2019/02/01インテリア, 取材, 多肉植物, 専門家, 技術, 未分類, 水草

【ユーザー訪問】ジュエルオーキッドの模様がヤバいオレの美学☆プランツファクトリー「THE GAKI」太田垣光洋さん(大阪府南河内郡)

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花そのものではなく、葉っぱの模様や色を楽しむというちょっとマニアックな世界観。エンドラーズが好きだったアクアから始まり、水草を使ったレイアウト水槽へ。それだけでは飽き足らずベゴニアなどの熱帯植物にハマり、たどりついた先が洋ランの一種であるジュエルオーキッドでした。去年サラリーマン生活から、プランツファクトリーのオーナーに。弱冠29歳。世間ではあまり知られていない分野だけに、ぜひ会ってみたくなりました。

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◆第2ファクトリー完成も時間の問題?

太田垣さんのプランツファクトリー「THE GAKI」は、近鉄・富田林駅から車で約15分の閑静な住宅街の一角に。「いやあ、あの時はすごい騒ぎでしたよ。駅や警察署周辺だけでなく、町中どこにいてもパトカーとおまわりさんだらけでした(笑)」。ああなるほど、あの時の。日本一周の旅を装って逃亡生活を続けてきたあの容疑者の、いわばお膝元でしたからね(笑)

 


スキップフロアタイプのおしゃれな住居の2階部分がファクトリー。元は愛犬の住まいだったスペースが、今やプランツの培養工場に変身しました。

 

部屋に入るとあったか~い。さすが温室。密閉された状態だと室温22度、湿度は70%に保たれています。

 

「狭いところでしょ~?」いやいや、アナタのガタイが立派すぎるんです(笑)。こんな人が、わずか数センチの葉っぱの模様が好きでたまらないなんて、人はみかけによらないものです。つい1年前まではトラックのドライバーをしていたのだとか。うん、それならわかります(笑)

 

おお~、「キワメテ!水族館」のステッカーがあんな高いところに。さすがガダイが立派だから、あんなところにも貼れるんですね(笑)

 

とても住居の一角とは思えないファクトリーの全貌。2年前、ここに住むことを決めた時に奥様からの許可を得て誕生したのだとか。みたところ、かなりいっぱいいっぱいなような気がするんですが。「これ以上増えたら、どこか近くの家を借りようと思っています」。この現状をみていると、第2ファクトリーの誕生はそう遠い日のことではないような気がします(笑)

 

現在ここにアクアはありませんが、コンパクト水槽で育成されている熱帯植物がちらほらと。

 

熱帯植物のホマロメナ。葉がまるでビロードのような高級な質感は、きっと女性にも受け入れられるハイソな雰囲気。「ね、きれいでしょ~?」と目を細めて話す太田垣さん固有の美学。熱帯植物だけでは飽き足らず、ジュエルにも手を伸ばした背景にはこんなところにもあったのです。

 

◆現地採取の輸出入はワシントン条約で禁止

ジュエルオーキッドとは、日本語でいえば「宝石ラン」。ランはランでも洋ランの部類に入ります。通常のランと違って、花そのものよりも葉の模様を楽しむというのがこの趣味の楽しみ方なのだとか。花は目立たないくらい小さく、タネも細かくてラン菌のあるところにタネが着床しないと育たないため、株分けで増やすのが一般的です。

 

原産国はインドネシアなどの東南アジアに集中していますが、現地で採取されたジュエルの輸入はワシントン条約により一切禁止。絶滅危惧種に指定されているらしく、これは意外でした。ただし培養株の状態での国際取引ならOKですが、それでも市販はほとんどされていません。ということは、太田垣さんのように多くの種類の培養株を所有している人は極めて少ないというわけです。知名度も需要もこれから。ないといわれれば余計に欲しくなる。それほど希少なものだけに、マニア心をさらにくすぐられる植物なのかも知れません。

 

パプア産のジュエル。写真ではわかりにくいかも知れませんが、葉の表面をよくみるとキラキラ輝いてます。キラキラの葉っぱなんて、今までみたことありません。これが宝石といわれる所以でもあるんです。葉っぱに価値観を見い出す太田垣さんのセンス、素敵すぎます。ロマンですね~。キラキラのあるこのタイプはほとんど出回っていないそうです。

 

ホームセンターや園芸店などで時折一般的な園芸種がみられることもあります。そのひとつがマコデスペトラ。実にきれいな模様です。「ああ、あれってジュエルオーキッドだったんだ」と納得する人も多いのでは。テラリウムなどにアクセントとして添えられることも多いので、アクアショップでみかけることもあります。

 

丸く広い葉に赤いラメの葉脈が入るアネクトキルス・ブレビラブリス。育成も比較的簡単で、よく増えるそうです。

 

アネクトキルス。主脈から広がる極太銀脈や、葉のエッジに向かうにつれ赤くなる脈が非常に印象的なジュエル。近年このタイプはよく流通していますが、綺麗で観賞性も高いのでおすすめです。

 

「どうしても欲しかったので、ついつい買っちゃいました(笑)」というスマトラ産の班入りのアネクトキルス。葉は外側にカールして育ち、写真ではわかりづらいと思いますが、とても美しい風貌。太田垣さんと同じような立場の人から買ったもので、なんとン万円もしたそうです。

今のところワシントン条約による縛りもあり、国内で培養株を増やしているところは極端に少ないのが残念ですが、ちょっとしたキッカケで火がつけばテラリウムやパルダリウムに追いつき追い越す人気プランツであることは確かです。

 

日本の八丈繻子ランに似ていますが、全くの別種。こちらは南米産のジュエルで、子株のうちはそれほどでもないのですが、大きく育つにつれ非常にキラキラが濃くなります。美しくて育てるのも比較的簡なので、日本でもこれから人気が出てくるのではないかと期待しています。

 

やや渋めのミクロキルス・トリダックス。赤いドットが入る派手なタイプもありますが、こちらは変異個体なのか個体差なのかホワイトドットが入っているのが印象的です。同じ品種であってもそれぞれに極端な個体差が生まれるのもジュエルならでは。これが好き、あれが好きと、楽しさは無限に広がります。

 

赤い葉脈が美しいベトナム産のグッディエラ。用土は程よく通気性のいいものが安定して育てられるそうで、太田垣さんの場合は洋ラン用の発酵バークや水ゴケあるいは松の木の樹皮を砕いて加工したバークチップなどを使っています。

いかがでしたか、太田垣ギャラリー。どれもこれもインスタ映えもしそうだし、今以上にSNSで拡散されれば女性とかに人気が出そうな気がして仕方ありません。

 

◆自分のことは自分でという「約束」

ドアの裏側にも多くのジュエルがびっしり。まるでお持ち帰りカフェカップのような手軽なサイズ感がいいんですよね。もうすっかりインテリア小物。

 

LEDは終始このカラーで点灯。見ようによっては怪しげな雰囲気(笑)。でもバー風に丸椅子でも置いてカクテルなんぞをたしなめば、いい気分で酔えるかも知れません。

 

これは?「電気使用料がわかるデジタル式メーターです」。何のために?「自分のことは自分で、というヨメからのお達しです(笑)」。ああ、ということはファクトリー内の1カ月の電気使用料がこれで一目瞭然というわけですね。ならばモメることもない(笑)。ちなみに奥様もかつてはアクアに夢中だったそうですが、ジュエルまでには至らなかったそうです。なぜなんでしょうね。「なぜなんですかね(笑)」

 

ファクトリー前の廊下には多肉植物のコーナーも。日当たりもよく、中には窓のほうに向いてしまっているわがままなヤツもいたりなんかします(笑)

 

多肉植物にも興味が?「これはこれでいいところがあるんですよね~(笑)」

 

小さなジュエルを手にして愛おしむ太田垣さん。脱サラから1年少し。「やっとこさ何とか食っていけるようになりました」。好きなことを仕事にしてしまう若い人のバイタリティーには頭が下がります。それを理解して口を出さない奥様にも頭が下がりまくりです。

 

ジュエルの販売は、ホームページを始めヤフオクやSNSによるネット販売が中心ですが、アクア系のイベントにも出品しています(去年の「アクアブリーダーズフェスタ」で)。「対面販売のせいでしょうか、人と話をするのがすっかり楽しくなりました」。

 

ステッカーなどのオリジナルグッズの販売も行っています。これも奥様のハンドメイド。内助の功、すごすぎます(笑)

 

販売用のジュエルは、自宅LDKの一角で撮影。できるだけ全体にピントを合わせたい時は絞りを絞る。逆に部分的にだけピントを合わせて背景をボカしたい時は絞りを開ける。なーんて、アドバイスもきっちりしてきました。「いやあ、今まで知りませんでした。聞けてよかったです」。でしょ(笑)?

 

◆2月・5月には関東・関西それぞれで出品

ジュエルの育成ポイントは、湿度を保ったりカラカラに乾いたら適宜水を足すなど、テラリウムなどとさほど変わりありませんが、何といっても「毎日見てあげるのが一番ですね。そうすれば常に状態がわかります。どんなものを育てるのも、それが基本のような気がします」。何よりジュエルをとことん好きになること。そうすれば、おのずと道は開かれるのでしょう。

話がわかりやすくて丁寧。これもイベントなどで人と接する機会が増えたから。とっても好感の持てる人柄。この商売、信用が何よりですから。ちなみにこの日のツイッターで、当日は激しい寝グセだったことを知りました(笑)

 

「これからもっともっとマニアにアピールして広めたいと思います」。でも一般の人にも、もっと知ってもらわないといけませんね。「もちろんそうですが、そのためにも私たちがちゃんとした培養方法を確立しないといけないと思います」。数少ないジュエルを扱う先駆者。若手ホープにかかる期待は大きいです。

 

一方では、現地でジュエルを採取して世界に売ろうとする悪質なプラントハンターも多いのだとか。ワシントン条約が確立されていても、その裏をかいくぐって儲けようとする輩はどこにでもいるものです。「絶対許せません。れっきとした密輸であり犯罪なんですよ。それを取り締まる手立てはないのか、私たちのような立場の者が誤解されることはないのか、本当に頭の痛いところです」。そうですね、そのためにもまずはジュエルという存在をもっと知ってもらう必要がありそうです。

 

最後にお知らせです。関東では2月10日(日)に行われるアクアリウム・バスで今年3回目の出品を、関西では5月19日(日)に開催されるアクアブリーダーズフェスタにも出品が決まっています。興味のある人、一度買って試してみたい人、一攫千金を狙う人(笑)など、ぜひ「THE GAKI」のブースに立ち寄ってみてくださいね。すぐにわかりますから(笑)

※=太田垣さん提供

 

★プランツファクトリー「THE GAKI」 のホームページはこちら

 

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