水草育成の必須アイテムといえばやっぱりソイル。水草を思い通りに成長させられるかどうかは、ソイル次第といえなくもありません。新開発の「エナジーソイル」は、水草育成に特化した国内産の高濃度栄養含有ソイル。その特徴を深掘りしてみました。
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◆世界が注目する国産ソイル
一般的にソイルは、吸着系と栄養系に2分化されます。どちらもそれぞれ特徴がありますが、開発スタッフの話によると「エナジーソイル」は水草に必要な栄養成分を高濃度で配合した栄養価の高い栄養系ソイルなのだそう。
しかも純国産。原料は日本国内の土壌で育まれた天然の黒土。国内固有の原料を産出・精製された国産品が生まれたことで、アクア需要がありながら水質的にミネラル成分の多い諸外国からも関心が高まっています。
エナジーソイルの大きな特徴としては、リン酸・カリウム・窒素のほか、フミン酸・フルボ酸といわれる腐植酸も含まれている点。これにより、従来のソイルと同等もしくはそれ以上の栄養価が期待できるというスグレモノなんです。
◆黒土に秘めた自然のパワー
エナジーソイルの企画開発にあたったスタッフに話を聞いてみました。
――日本国内でしか採取できない成分だそうですね。
「具体的な採取場所などは差し控えますが、日本でもそこからでしか採取できない黒土です。日本の土壌が生んだ貴重な資源であり、以前から海外でも関心が高くなっています」
――どのような地層から採取されるのでしょうか。
「土の層は、表層からおよそ数メートルまで数種類の土や石で構成されています。そのうちの表層部分80㎝までにある黒土に、栄養価の高い成分が含まれています」
――まさにその部分にエナジーソイルの原点があるのですね。
「精製時には、黒土から採取した成分に窒素やカリウムをブレンドして強化しました。特にこだわっている点は、窒素成分の中でもバクテリアの硝化作用によって変化したのち、水草の根に吸収される種類を選択している点です。これにより、長期的に栄養を水草に与えることができることになります」
――光合成については?
「不足しがちなカリウムをしっかり補います。光合成を促すだけではなく、鉄分やマンガン、マグネシウムなどの微量元素などが加わることで、水草の発色や成長の手助けにつながります」
――フミン酸というのは初耳です。
「フミン酸には腐植酸を含んでいることから、カルシウムやマグネシウムなど植物に必要な塩基イオンを多く吸着する力があります。PH変動を緩和し、バクテリアの活動を促すなどの効果があり、ビーシュリンプの繁殖や稚エビの成長にも効果があるといわれています」
◆万能ソイルもさまざまな注意点
エネジーソイルの使用にあたって、注意点などもお聞きしてみました。
――殺菌済みでしょうか。
「自然から採取したものを、独自の方法で殺菌していますのでご安心ください。開封後すぐにお使いいただけます。。ただし、魚病薬などとの併用は若干吸着してしまい効果が薄れてしまうことがありますので、ご注意をお願いいたします」
――水洗いはしないほうがいいのでしょうか。
「水洗いすると、柔らかな粒が崩れてしまいます。そうなると水槽の水が汚れてしまって濁りの原因となりますので、そのままお使いください」
――水質にデリケートな生体でも大丈夫でしょうか。
「おおむね問題はないと思われますが、栄養価が高いだけにセット初期すぐには生体は入れず、2週間ほど換水後にアンモニアや亜硝酸濃度などの水質をチェックしてから生体を入れるのも一興かと思われます」
――コケは発生しますか?
「水草が育つように、同じ植物という観点でいえばコケが発生しないとはいえません。セット初期は、2日おきの換水と出来るだけ多くの水草を植えてCO2を添加して光合成を促し、栄養素を吸わせることでコケにまで栄養を行き渡らせなくすることがポイントです」
――特にエナジーソイルが適している生体は?
「弱酸性の軟水水域にいる淡水魚やビーシュリンプなどの飼育には適しています。ただし、海水魚や汽水魚などアルカリ性で硬度の高い水質を好む生体の飼育は避けてください」
――テラリウムに使用しても問題ありませんか。
「問題なく一般的な底床としてお使いいただけます」
◆2タイプがラインナップ
エナジーソイルは2タイプ・容量別に6種類がラインナップ。ノーマルブラック3種類、パウダータイプ3種類の計6種類。
ノーマルタイプ3種類。左から1ℓ入り、3ℓ入り、8ℓ入り。
ノーマルタイプの粒の大きさは約2~5㎜。粒と粒との間に空間があるため、通水性に優れています。水草の育成に適しているほか、弱酸性水域の生体飼育にも適しています。
パウダータイプ3種類。左から1ℓ入り、3ℓ入り、8ℓ入り。
パウダータイプの粒の大きさは約1~3㎜。前景草などの抜けやすい水草に適しています。またノーマルタイプのエナジーソイルの上層にさらにパウダータイプの層をつくることで、稚エビの入り込みなどが防げます。
水槽の容量によって、エナジーソイルの使用量も異なります。
◆エナジーソイルのメカニズム
ソイルの性質上設置後1~2週間は、水槽内にコケが発生しやすくなります。予防のポイントとしては、水槽内にできるだけ多くの水草を植え、光合成ができる環境を整えてください。※
設置当初の水換えは2~3日おき程度で。これでコケを抑制することができます。※
また設置当初はアンモニアや亜硫酸が発生しやすくなるので、フィルターに活性炭を投入するなどしてください。もちろん生体は1週間程度は入れずに経過を待ち、水質が安定したら入れてください。※
このほか、コケを食性とするオトシンクルスやヤマトヌマエビ、ブラックモーリー、サイヤミーズフライングフォックスなどの生体と共存させることで、コケの抑制もある程度可能です。※
日本の土壌が生んだエナジーソイル。外国でも注目されているエナジーソイル。商品名の通り、日本固有の自然エネルギーが水草ユーザーにもたらした新世代のソイルといえるでしょう。エナジーソイルは全国のアクアショップで発売中です。
※=「インターペット2024」KOTOBUKIブースにて