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【観光】水のある風景vol.53☆ついつい勘違いしてしまうほどクオリティが高すぎる好古園(姫路市)の「再現力」

Posted on 2023年3月24日2023年5月13日 by aquariummagazine

屋敷や庭園、築地塀など、江戸時代の雰囲気がそこかしこにあります。そのたたずまいは、時代劇のオープンセットさながら。姫路城西御屋敷跡庭園「好古園」。世界遺産・姫路城の存在感が強すぎるせいか、観光客数は足元にもおよびません。そんな事情など、知ったこっちゃない。アクアリウムにも通じる、こだわりの「再現の美学」がありました。

☆     ☆     ☆

◆まるで時空を超えた空間

まっすぐに続く築地塀。今にも向こうから侍たちが歩いてきそうな、緊張感のあるシチュエーション。やおら刀を抜きズバッと振り下ろせば、絶叫とともに真っ白な壁にほとばしる紅色のしぶき。ヤラレタァァァ。そんな妄想が頭の中をかけめぐり、気分はすっかり人斬りモードに。おろ?

 

これまで幾度となく映画のロケに使用されるほど、園内は江戸時代にタイムスリップしたかのような雰囲気。どこからともなく聞こえてくる、ししおどしの音に耳を澄ませていると、妙に心も落ち着きます。

 

足元にはきれいに生え育ったコケ類が。コケテラリウムユーザー必見。新芽が出るには早い季節ですが、エサが少なくなる冬場にヒヨドリなどの野鳥がツンツンして部分的に枯らしてしまうこともあるのだとか。それにしても、これほどきれいなコケがあったとは。ほとんどの観光客が見向きもせず、先を急いでいるのが残念でした。

 

かの江戸南町奉行も歩いたといわれるアーチ型渡り廊下も、武家屋敷の名残りそのもの。それにしても、保存状態がよすぎます。

 

廊下の外側に目をやると、軒下で雨だれを受ける砂利敷が。江戸時代のものにしては保存状態も完璧です。

 

その名も「階段状水平段落ち流れ滝」。ここでは完全に水が主役。映え映え。上下差のある水の流れ。時にダイナミックだったり、時には繊細だったり。まるで生命を宿しているかのような水の表情に、しばし足が止まりましたで候。

 

よく見ると、流れの途中の石にも、微妙にコケが張りついています。コケがここまでよい状態で育つためには、さぞかし長い年月を要したことでしょう。

◆コイが元気なこれだけの理由

滝の流れはそのまま、園内イチオシの大池へ。パンフレットによると、大池は瀬戸内海をイメージしたものだとか。

 

そんな大池も、引いたアングルだと額縁に収まった絵画のよう。

 

美しく元気に泳ぐニシキゴイ。どことなく品がありそうで。武家屋敷だったころからのしつけが伝承されてきた結果だったりして。

 

コイのエサやりタイムの始まり始まり。杓とバケツを使って音を鳴らし始めると、大池にいるすべてのコイたちがわさわさとやってきます。この光景、奈良公園で早朝に行われる鹿寄せにも似ています。

 

聞くと、園内にいるコイはざっと200匹。それにしてもエサにあやかるコイたちの行儀のいい振る舞い。「いやいや、冬だから比較的おとなしいんです。夏だとこうはいきません。エサの争奪戦、激しいですよ~(笑)」。そうでしたか。でも時間を決めて定期的に給餌されるというのは、コイにとって安心材料なのかも知れません。

 

池の向こう側にも小さな滝が。ついつい外掛け式フィルターのように見えてしまいます。

 

ここからも何やらエアが噴出。外掛け式フィルターと併用して、コイたちの健康に一役買っていたりなんかして。

◆フレンドリーなスタッフ

江戸時代の植物を育成する「苗の庭」。一体いくつの種類が植えられているのでしょうか、園芸ファン必見です。

 

冬の間はうら寂しいグレーな景色ですが、春になるときっと色とりどりの花が咲き乱れることでしょう。

 

兵庫県の県花も植えられています。春が待ち遠しい。

 

数寄屋造りの茶室「双樹庵」から見る茶庭。あとで気づいたのですが、ここから世界遺産・姫路城の天守閣がチラ見できるのだとか。そう、ここが姫路城のすぐ西側にあったことを忘れていました。

 

映えずにはいられない円窓と柳障子。

 

茶室でしばしの休息。

 

ここにも築地塀がありました。またもやここで足止め。そして妄想開始。この日一番の映えスポットだったことは、疑う余地もありません。

 

またもやあれこれ妄想にふけっていると、「何かお困りですか?」と作業服姿のスタッフの声が。頬に刀傷のある男の話を振ってみたところ、「あの映画は、この付近でロケがありました。以前は案内の看板も出していたんですが、上映からすっかり時間も経っていますので(笑)」と申し訳なさそう。いえいえ、ご親切にありがとうございました。

 

それにしても、園内のスタッフのフレンドリーで親切なことには驚きました。それぞれ制服が違って部署も違うのに、何を聞いても丁寧に教えてくれます。これも意外でした。話のついでに園の歴史を伺ってみると、とんでもない衝撃の事実が明らかになるとは、この時は思ってもみませんでした。

◆「再現」の追求こそ生命の持続

好古園は、市制百周年を記念して平成4年4月に開園した、文化財の保全と活用を兼ねた新しい文化の場だったからです。ということはこれまで目の当たりにしてきた風景のひとつひとつは、どれもこれも歴史的建造物ではなかったからなのです。

 

あの滝も?あの池も?渡り廊下も?そしてあの築地塀までも?ちゃんと調べてこなかったことに、情けないやら恥ずかしいやら。

 

とはいえ、西御屋敷や武家屋敷、通路跡などは、遺構として元和4年ごろの姫路侍屋敷図に記されたものとほぼ合致していることが過去の発掘調査でわかっています。ということは、「つくりもの」ではなく、研究に研究を重ねて歴史のロマンを追求してつくられたクオリティの高い「再現」の結果だったのです。

 

園内の見どころは、渡り廊下や築地塀などにとどまりません。水の風景を巧みに取り入れた日本庭園がほかにも6個所。それぞれのテーマでつくられ、じっくり見ようと思えばまる1日かかることは必至です。

 

見れば見るほど、よくぞここまで徹底して再現できたものだと、感心せずにはいられません。

 

入園時に聞こえてきたししおどしの音は、「竹の庭」から聞こえてきたものだったのです。

 

池や水の流れで結ばれた池泉回遊式庭園・好古園。コケ、コイ、そして園芸植物。アクアリストのみなさん、必見です。

 

考えてみれば、アクアリウムもいわば「再現」の世界。自然に近い環境を、可能な限り水槽に落とし込んで再現するのと同じだからです。

 

何気に立ち寄った文化施設ではありましたが、単なる模倣ではない徹底した再現の世界観にふれることができました。そして、アクアリウムの世界観についても、改めて考えさせられました。

 

水槽内で生息域を再現することこそが、飼育される魚たちのストレス軽減につながるものだと信じてやみません。

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