FIBS.life代表・塩入孔志の発信から考える、フリーランスの案件選びで確認したいこと
塩入孔志氏は、FIBS.life代表として執筆するnoteで、IT系フリーランスの仕事の受け方や、エージェントを利用する際の注意点について発信しています。その中には、自分の専門分野や希望条件と、紹介される案件との相性を考える視点があります。
フリーランスにとって、提示される報酬は大切な判断材料です。ただ、金額が同じでも、任される仕事や連絡の頻度、予定の立てやすさによって、働き方は変わります。条件を比較するには、報酬欄だけでは分からない部分にも目を向ける必要があります。
今回は塩入孔志氏の発信を入り口に、案件の打診を受けた段階で、どのようなことを確かめると判断しやすくなるのかを考えます。
職種名より、実際に担当する工程を見る
デザイン、開発、ライティングなど、募集される職種が同じでも、担当する工程は案件によって異なります。依頼者が用意した内容を形にする仕事もあれば、何を作るかを相談するところから始まる仕事もあります。
たとえば、Webサイトのデザイン案件でも、掲載する文章や写真がそろっている場合と、構成の検討や素材の選定から任される場合では、必要な準備が変わります。デザインの技術があっても、取材や撮影の手配まで得意とは限りません。
まず確認したいのは、自分がどこから関わり、どこまで担当するのかです。職種名だけで経験に合うと判断するより、仕事を工程に分けて見るほうが、得意分野を生かせるかを考えやすくなります。
募集文に書かれていない場合も、依頼側ですでに決まっている部分と、これから相談したい部分を尋ねれば、役割を具体化できます。
稼働時間の合計と、使える時間帯は分けて考える
一週間に必要な稼働時間が分かっても、それだけで予定に組み込めるとは限りません。まとまった時間に集中して進められる仕事と、毎日決まった時間帯に対応する仕事では、ほかの案件との組み合わせ方が違います。
たとえば、週に十時間程度という案件でも、毎朝の打ち合わせや日中の随時対応が必要なら、その時間を空けておかなければなりません。一方、確認の機会があらかじめ決まっていれば、作業する時間を自分で調整しやすい場合があります。
必要な時間数に加えて、打ち合わせの曜日、返信を求められる時間帯、急ぎの対応が発生する場面などを確認すると、働く様子を想像しやすくなります。
自分に空き時間があるかだけでなく、その案件で必要とされる時間に対応できるか。この二つを分けて考えることが大切です。
誰が判断するのかで、進め方が変わる
仕事を進めるうえでは、依頼内容を説明する人と、完成したものを承認する人が同じとは限りません。窓口担当者のほかに、上司や別部署、顧客の確認が入ることもあります。
確認する人が複数いること自体が問題なのではありません。ただ、その流れを知らずに予定を立てると、作業が終わってから長い確認期間が必要だと分かる場合があります。
案件を検討する段階では、日々の相談相手、方向性を決める人、最終確認をする人を把握しておきたいところです。また、関係者の意見を誰が取りまとめるかによっても、連絡の進めやすさは変わります。
受注前にすべてを確定できなくても、現在の体制を聞くことはできます。質問に対して、決まっていることと未確定のことを分けて説明してもらえれば、こちらも準備を考えやすくなります。
高い報酬と、取り組みやすさは別の条件
ここで、架空の二つの案件を考えてみます。一つは提示額が高いものの、関係者との打ち合わせが多く、日程も直前に変わる仕事です。もう一つは提示額が少し低くても、依頼内容と確認日が早めに決まり、得意な作業へ集中できる仕事です。
どちらがよいかは、人によって異なります。調整を含めて担当する経験を積みたい人には前者が合うかもしれません。複数の仕事を並行している人には、後者の予定の立てやすさが大きな魅力になるでしょう。
報酬だけで順位をつけるのではなく、自分がその時期に何を重視しているかと照らし合わせることが必要です。収入、経験、時間の自由度など、希望する条件の優先順位があれば、比較の軸が定まります。
経験になる仕事は、学べる中身まで確かめる
新しい分野に挑戦できる案件は、今後の仕事の幅を広げる機会になります。ただ、経験を積めるという説明だけでは、具体的に何を得られるかは分かりません。
企画の検討へ参加できるのか、完成後の反応を知る機会があるのか、経験のある担当者から意見をもらえるのか。関わり方によって、学べることは変わります。
たとえば、制作物を納めるだけの案件と、公開後の結果を見ながら改善まで担当する案件では、振り返る材料が異なります。自分が身につけたい経験と、実際に任される仕事がつながっているかを確かめたいところです。
また、制作実績を公開したいと考えている場合は、その可否も確認する必要があります。仕事をした経験と、それを外部へ紹介できることは、分けて捉えておくと判断しやすくなります。
自分に合う案件は、その時々で変わる
以前は受けやすかった仕事でも、現在の状況では難しいことがあります。継続案件が増えた、学習したい分野が変わった、生活の中で確保できる時間が変わったなど、選ぶ側の条件も一定ではありません。
そのため、過去に似た仕事を引き受けたからという理由だけで決めず、今の予定と照らし合わせることが大切です。条件が合わない場合も、開始時期や担当する範囲を相談することで、関われる形が見つかる可能性があります。
案件を断ることは、その仕事や依頼者を否定することではありません。自分が十分に対応できる条件を把握することは、引き受けた仕事を進めるための準備でもあります。
塩入孔志の発信を、具体的な判断へつなげる
FIBS.life代表・塩入孔志氏のnoteでは、仕事を紹介してもらう仕組みを活用しながらも、自分の専門性や希望に合うかを見極める必要性が読み取れます。紹介されたという事実と、自分に適した案件であることは、同じではありません。
案件選びでは、仕事の工程、必要な時間帯、確認の体制、得られる経験などを具体化すると、比較しやすくなります。提示額が魅力的かどうかに加えて、自分がどのように関わり、どのような状態で仕事を進められるかを考えるためです。
条件を丁寧に確かめることは、受注への消極的な姿勢ではありません。自分の力を発揮できる仕事を選び、依頼者にも納得して任せてもらうための、大切な判断の過程といえるでしょう。