シリーズでお届けしている「KOTOBUKIレジェンド」も、そろそろ佳境に。
過去の歴史はともかく、創立50周年を迎えた今、近未来も気になるところです。
これこそが、KOTOBUKIの51年目への期待にほかなりません。
そしてこのほど、ついに登場したのが新しいブランドと新商品。
きっとまだ誰も知りません(笑)。
そこで今回は、この10年間商品開発に携わってきた開発担当者に、あれこれ話をうかがうことができました。
◆目に飛び込んできたのは「AQXT」の4文字
9月の某日。台風接近の影響で、やたらと蒸し暑い日でした。ハッキリ言って、仕事するにはちょっと気が進まない日だったことを白状しておきます(笑)。
場所は、奈良天理工場。別館建屋2階にあるのは企画開発特別研究所。文字通り、KOTOBUKIの中枢神経。モノづくりの最前線。同時に、「キワメテ!水族館」が新製品の取材や撮影によく伺うヒミツの場所。あ、この間の金魚すくい大会に出場するためのTシャツをつくっていたのもこの場所だったという、ゆる~い側面も(笑)。
そして部屋に入ったとたんに目に飛び込んできたのが、「AQXT」の4文字でした。待っていたのは、新しいパッケージに包まれた4タイプのセット水槽。さらに言えば、今までのKOTOBUKIとは少し違う、清らかな水を連想させる美しいアクアブルーが印象的なパッケージです。これはすぐにでも話をうかがわなければ。
話をうかがったのは、入社10年目という商品開発担当の山口修平さん。得意なCADを駆使して商品開発に携わりつつ、パッケージデザインや商品カタログ制作にも関わるなどして、多忙な毎日を送っています。ちなみに、「キワメテ!水族館」の取材にも、いつも立ち会っていただいています。いつもは実直で寡黙な山口さんですが、今日はガンガンしゃべってもらいますよー(笑)
◆新製品はKOTOBUKIのブランドとして
――おお、ついに新製品登場ですね~。
山口 新製品はやっぱりうれしいです。商品開発者冥利につきます。同時に、売れてくれよ!という心配もつきものですが。
――商品名は「AQXT」。アクストとお読みするのでしょうか。
山口 そうです。ただ、今回はあくまで商品のシリーズ名ですが、これをひとつのブランドとして新しいラインナップに加えていければいいな、と思っています。
――なるほど、レグラスやプログレのような感じですね。そこにはやはり、創立50周年の節目という背景も含まれているのでしょうか。
山口 もちろんそれもあります。ここ数年来で「スタイリッシュ」という言葉を打ち出して多くの商品を世に送りだしてきましたが、今の時代に合ったスタイリッシュとは何かを模索・検証し、導き出された答だといってもいいと思います。アクアリウムファンのかたは当然ですが、アクアリウムを始めて扱うユーザーのかたにも簡単にアクアライフを楽しんでもらえるように、洗練されたデザインでありながら親しみやすいシステムを導き出し、誰もがスタイリッシュにアクアリウムを楽しむことができるステージを目指しました。
――それはAQXTという言葉から容易に想像できました。アクアリウムとネクストの合語であり、アクアリウムを次のシーンへ、、、といった具合に。
山口 誰にでもわかりやすいということは、とっても大事だと思います。そのためには、ネーミングだけでなくロゴマークやパッケージのカラーなど、スタイリッシュというキーワードらしい統一感を図りました。
◆女性をターゲットにしたスタイリッシュテイスト
――パッケージには「発見!スタイリッシュアクアリウム生活」と記されているところに、スタイリッシュ路線を前面に打ち出しているコンセプトがよくわかります。あまりキャッチコピーなどにお目にかかったことがなかったので、これはグッと目を引きました。もしかしたら、KOTOBUKIの新しいキーワードというかキャッチフレーズになり得ますね。
山口 会社としてもその方向に徐々に動き出しつつあります。以前当社でスタイリッシュという言葉が使われ始めた時は、まだまだ水槽は手の届きにくいイメージがありましたが、それだけではだめだろうというのが、今の考え方です。
――ということは、スタイリッシュでありながら、誰もが手に届きやすい商品でなければならないと?
山口 そういうことになります。しかもセット水槽にすることで、すぐにでもアクアリウムを始められるという利点にもポイントを置きました。
――パッケージのイメージも、色使いなど今までとずいぶん変わりましたね。
山口 どちらかというと、これまでは原色をズバリ使う傾向にありました。しかしながら今回は、白をベースにきれいなブルーを採用しました。
――そうそう、白とブルーとがマッチしていて、爽やかなイメージがよく表されていると思います。
山口 お店では縦積みされることを意識して、セットに含まれるフィルターや照明器具のパッケージとも統一化を図りました。決して目立つ商品ではないかもしれませんが、原色の多いお店の中では逆に引き立つかもしれません。
――そういう点でいえば、やっぱり女性もターゲットに入ってるんでしょうね。
山口 もちろんです。いやむしろ、女性に対してのウエイトは高いですよ。最近、メダカやベタの飼育をする女性が増えてきました。アクアというより、インテリア感覚の趣味として。先日行われたベタコンテストなどでもそうだったですよね?
――激しく同意します(笑)。アクアはもう一部のマニアの世界ではなくなってきた気がします。金魚の世界も最近そうですし、やはり女性をターゲットにするのは正解だと思います。
◆白色で統一されたイケてるセット水槽
-―全部で4タイプのセット水槽、付属するフィルターや照明器具がめっちゃおしゃれですね。そして水槽本体をよくみると、下部のフレームも白なんですね。
山口 パッケージにホワイトを多用したことと合わせて、基本白で統一しました。
――うん、きれいです。いいと思います。あのリンゴマークでおなじみのスマホやタブレット端末を連想します(笑)。
山口 色だけではなく、かたちもキマッてるでしょ?特に背面式のフィルターは、吐出口やろ過フィルターなどのパーツがひとつのケース内に収められています。
――そうですよね、このあたりもスタイリッシュに仕上げられていますね。まるでパソコンのモデムみたいです。色や大きさなど、これなら水槽にコンパクトに設置できますし、水槽自体を部屋のどこに置いてもサマになりますよね。
山口 インテリア感覚で使っていただければうれしいです。
◆全部で4タイプ(サイズ)
--商品ラインナップとしては、全部で4タイプですね?
山口 一番小さいタイプが22㎝、続いて40㎝、最大が50㎝になります。あと、ラウンド型タイプ(直径約25㎝)もあります。
――すでに新製品として発表されているので、もしかしたらどこかのお店で展示されているかもしれませんね。まさにKOTOBUKI創立50周年にふさわしい新製品の登場です。本当に「待ってました!」と声をかけたいくらいですよ(笑)
山口 さきほども言いましたように、AQXTの名前が商品名として終わるのではなく、新しいブランドとして意識した商品開発をしていければいいな、と思っています。
――それはぜひそう願っています。このロゴマークをみていると、新しいアクアの時代を予感せずにはいられません。商品のベース色が白というのも、初心に帰ろう的な意味もあったのかな、と(笑)。このブランドが一人歩きしてくれることを祈っています。KOTOBUKI51年目の答として。なおAQXTに関しての詳しいセッティングの方法や機能など商品の詳細については、後日「キワメテ!水族館」でご紹介する予定です。
山口さん、本日はどうもありがとうございました。