去年の7月にオープンした京都初の爬虫類カフェ「Funny Creatures Forest」祇園本店は、通称・ふぁにくり。「奇妙な生きものが棲む森」という意味の店名をショートカットし、多くのレプファンに親しまれています。来客の8割が何と女子。カップルやファミリーはもちろん、舞妓はんや芸者はん、よしもとの若手芸人までたまに顔を出すという祇園の新しいスポットとなっています。さぞかし、とっつきにくいオーナーのいるヤバそうな店かと思いきや、全然全然(笑)。早速ご案内しましょう。
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◆いきなりAQXTは歓迎のしるし☆
八坂神社にほど近い祇園会館。1階はよしもと祇園花月。若手お笑い芸人目当ての女子を横目に、目指すはふぁにくり。
昭和チックな建物の階段の横には、ちゃんと立て看板がありました。ちょっと安心(笑)
2階入口は、ちょっとモダンなカフェみたい。あ、カフェか(笑)。爬虫類に特化しているだけでした。
角付近には水槽が。不思議なもので、どこへ行っても水槽があるとついつい立ち止まってしまうんです。そして親しみを覚えるんです。さらに安心できるんです(笑)
コンパクトな水槽ではありますが、ネオンテトラのほかに、あのグッピーとも混泳ができるアルジイーターも。頑張ってコケとりに勤しんでいます。あれ?この水槽ってどこかで見たことあるような。
あー、やっぱり(笑)。3年前にKOTOBUKIから発売されたスタイリッシュ水槽「アクスト」でした。こんなところに使われているとは、幸先よし!
水槽だけでなく、フィルターもLEDもアクスト。取材があるからといって、そんなに気を使ってもらわなくてもよかったのに(笑)
入ってすぐの場所にも水槽がありました。120㎝水槽には和金がゆ~らゆら。やっぱりアクアが何気なく空間にあるとうれしくなってきます。
ずいぶん奥行がありそうなお店。クリスマスも近いことだし、何だかワクワクしてきました。
一番に出迎えてくれたのは、4匹のギリシャリクガメたち。水槽があって、金魚がいて、カメがいて。まるで小学校的オープニング(笑)。どことなく安心感があるのは、そのせいだったのでしょうか。ということは、このまま行くとニワトリがいたりなんかして(笑)
いましたいました、トリはトリでもニワトリではなく猛禽類でしたが(笑)。こちらアフリカワシミミズクの冨美千代ちゃん。やあこんにちは!目がパッチリ可愛い☆最近は猛禽類ファンも急増中。
反対側にはメンフクロウの豆千代ちゃんと梅千代ちゃん。
初めまして☆も、も、もしかして、じっくり観察されてます(笑)?3羽とも「千代」がついているのは、お客さんの中に祇園の芸者さんや舞妓さんも多いからだそう。キミも小唄や三味線ができればいいのにね(笑)
◆古代魚もいる広々とした店内
ここからがいよいよレプたちのいる空間。とにかく広い!そして明るい!これは意外でした。こんなに明るく健康的な雰囲気だなんて。もっと薄暗くて、ジャングルみたいで、ジメジメした感じなのだろうと勝手に思っていたら、全然全然(笑)
壁面にビルトインされたガラスケージはどれも見やすく、ちょっとした動物園です。これはレプファンでなくても楽しめそうです。お店はワンドリンク+時間制ですが、時間なんて気にせずに遊びつくせそうです。
それぞれのテーブルと椅子はカウンターバーくらいの高さがあるので、お目当てのレプをみつけたらサッとケージまでお出迎えが可能です。よっこらしょというのが、ここにはありません(笑)。というか、お客さんを見ているとテーブルでじっとお茶している人なんてほぼ皆無。カフェといっても、みなさんの視線は可愛いレプのほうに行っちゃってます。
ふくろうカフェなどのように、スタッフがつきっきりということもほとんどないので、リラックスできちゃいます。でもお目当てのレプが見つかって抱っこしてみたい時は、必ずスタッフに声をかけてくださいね。
ここにも水槽がありました。まず中央には180㎝水槽にアロワナがゆうゆうと4匹。一番大きいもので70㎝はあるでしょうか。あと、模様に特徴があるピーコックバスという古代魚が2匹。爬虫類カフェでありながらも、古代魚の存在感もハンパではありませんでした。
そばにはアフリカハイギョの水槽も。
店内でレプや古代魚に囲まれながらマニアックな時間をすごしていると、ここが古都・京都ということを忘れてしまいそうになります。いや、そのギャップがまた楽しいんでしょう、まさに新名所誕生という感じです。
ガタンゴトンとさっきから音を立てているのは何だろうと思いきや、あららこんなところにケヅメリクガメがいました。それにしてもデカっ!名前は何と「ゆりやん」。このネーミングも、階下によしもとがあるから(笑)?
エサやり体験もできるので、子どもたちにも人気があるゆりやん。推定年齢18才。ゆりやんという名前だけどオス。約80年は楽勝で生きるそうです。一体この先、誰が飼っていくのでしょうか(笑)
◆専門学校で知り合った奥様とともに
オーナーの木村晃平さんご家族。そしてもうすぐ2歳になる羽玖(はく)君と、奥様の尚美さん。みなさん揃いのポロシャツを着ているということは?「はい、全員ここのスタッフです(笑)」。
とても人懐こいキャラでよく笑い、どんなことでも親切に教えてくれる木村さん。類爬虫類カフェのオーナーとしては、もしかしたらほかの誰よりも気さくすぎるかも(笑)。京都出身。ペットショップなどの勤務を経てわずか26歳で独立。当初は神戸からの開業スタートでしたが、生まれ育った京都でお店をしたくて去年その念願が叶いました。奥様とは動物系の専門学校で知り合い、以前は動物病院の勤務経験もある動物看護士資格取得者。奥様いわく、木村さんは「動物が好きなだけでなく、動物にも人にもやさしい人なんですよ~」。あー、惚れた弱みですねー(笑)
――奥様がおっしゃるように、きっとあったかい人なんでしょうね。
「いやあ、全然全然(笑)!」
――あまり怒ったりしないでしょ?
「ああ、全然全然(笑)」
――お客さんに対してすごくていねいに接しておられますね。
「動物も人も大好きですから(笑)。わからないことがあったら何でも相談に乗りますよ。公式LINEもありますので、気軽に使ってもらえば対応します」
――このお店で買った生体でもなくても?
「もちろん、全然全然(笑)!」
――それは心強い。
「もう、全然全然(笑)!飼われたら、その後はしっかりサポートします!」
すでにお気づきかと思いますが、「全然全然!」というのが木村さんの口グセなんです。一見ヘンな日本語ではありますが、この世のものはすべて受け入れて拒否はしない。そんな器の大きい人柄が、口グセに表されているに違いありません。
ゴジラのフィギュアがやたらと置いてあります。さすが爬虫類カフェ、木村さんもゴジラコレクターでしたか。全然全然!とは言わせません(笑)。いくつ置いてあるのか数えてみようと思いましたが、多すぎてヤメました(笑)。よくよく観察してみると、どうやら平成ゴジラ以降のタイプがお気に入りみたいです。いやいや、ゴジラはやっぱり円谷英二監督がメガホンを握っていた昭和のゴジラですって(笑)!
カウンターにはレプにちなんだ各種雑貨・アクセサリーも販売中。
「このトレーナーなんスけど、この間完成したばかりなんですよ」と木村さん。イグアナをモチーフとしたオリジナルアイテム。このキャラの向きと書かれた英文の引用、ゴジラファンなら 間違いなくピンとくるビジュアルデザインなんです!答がわからなかった人は、直接ふぁにくりで木村さんに聞いてみてくださいね。
店内で一番大きいケージというか展示施設と呼ぶべきか。これは立派です。それぞれ色の違うグリーンイグアナがワサワサいます。「施設は前のテナントさん(ラウンジ)の名残なんです。それを利用できたのでラッキーでした」。一体何に使っていたのか、謎は残りますが(笑)
まるで動物園さながら。見てて飽きません。彼らのサービス精神も旺盛です。
サルバトールモニターが飼育されているこのケージも大きいですね。「決して獰猛ではないんですが、こいつはとにかく力が強いんです。特に尻尾のパワーはすごいです。悪気はないんですけどね(笑)」。スペックを見ると、最大体長2m50㎝にもなるそうな。写真ではわかりにくいと思いますが、その迫力たるやゴジラも顔負けです。
ということで、ここだけは5㎜厚の強化ガラスを使用して展示し、万全を期しています。
逆にちっこいレプもいました。生まれてまだ数カ月のフトアゴヒゲトカゲのベビーたち。なぜかいつも3匹並んでこちらを見ている姿がユーモラス。こういうのってディズニー映画によく登場しますよね、いつも3人揃って悪巧み、みたいな(笑)
こっちにもちっこいレプが数匹。最大の体長が20㎝という小ぶりなサビグニーアガマ。さきほどのフトアゴヒゲトカゲのベビーに似ています。口角がキュッと上がってるだけなんですが、キャラ的に愛嬌があります。
アルゼンチンB&Wテグー。最大で全長150㎝にもなる大物です。デカいなー。
同じアルゼンチンB&Wテグーでも、こちらのほうが頭が小さくてやさしそう。
と安心していたらダメダメ!おなかがすいてる時はデンジャラス!もー、レプって結局みんなツンデレや~ん(笑)!
クネクネしているからわかりにくいんですが、最大の全長が650㎝になるオリーブパイソン。さすがにデカいからでしょうか、かなりの肉食だそうです。間違っても給餌シーンは撮りたくないです(笑)
◆ユニークな「5段階評価」
こちらは生体販売コーナー。今はボールパイソンやポールスネーク、そしてヒョウモントカゲモドキなどが売れ筋です。
zzzzz。。。。。
パンサーカメレオンもペアで販売中。とかく飼育が難しいといわれるカメレオンですが、ふぁにくりだったらきっと大丈夫。そう、全然全然(笑)
クツワアメガエルやサビトマトガエルなど、珍しいカエルも各種絶賛取り揃え中。
ゲゲ!猛毒を持つタランチュラなんか手にしても大丈夫なんでしょうか!「はい、脱皮したあとの脱け殻だから大丈夫です」。へー、クモってこんなにきれいなまま脱皮するなんて知りませんでした。ほかにも脱皮サンプルが色々と。脱皮ならぬ、脱帽しました(笑)
ちょちょちょ!サソリのケージ横に別の小さなサソリが!大変!「ああ、これフィギュアです。お客さんをちょっとビックリさせたろと思いまして(爆)」。もー、心臓に悪いから余計なことやめておくれやす~(笑)
それぞれのケージに貼られたキャプションには、主なスペックのほか人慣れ度や奇妙度、レア度、飼育難易度など、木村さん独自の5段階評価がわかりやすくてナイスです。でも強毒度ってのだけは、いくら評価1でもイヤ(笑)
◆遠く熊本からもやってきた
京都市内の同じ高校に通う京都市の中川弥空さんと伊藤友作さんは、テレビ番組で知って初来店。「以前から興味があって1度きてみたかったんです!」と、フトアゴヒゲトカゲを抱っこしながらテンションも高め。こういう心理状態の時って、たいてい取材OKしてくれるんですよね(笑)
趣味が合う者同士のレプデート、うらやましすぎます。以前友人が小さなレプを飼っているのを見たことがあり、今回初めて大きなレプをハンドリングできたことで「もっと見たい!こんなのが欲しい!いずれ飼いたい!」の3段活用も発動(笑)。高校卒業後はそれぞれ違う道に進むそうですが、レプという強い絆がある限り大丈夫。そう、全然全然(笑)!
「同じ爬虫類でも、ハンドリングができる種類のものが好きなんです」と話す山科の松田大樹さん。すっかりお店のリピーターになりました。レプ歴はまだ1年少しですが、お気に入りのガーゴイルゲッコー(写真はふぁにくり)2匹をメインに、ボールパイソンやブラジルレインボーボアなどのスネーク類も少々。「生体を見ていると、ついつい欲しくなってしまって今に至っているんです」。が、現在はちょっとセーブ中。そんなに自分を抑えなくてもいいのに(笑)。目下の悩みは、冬場の温度管理。「古い家なので、すきま風が入ってくるんです。自分一人だけなら何とか辛抱できますが、レプがいる限りそうもいかなくて(笑)」。すきま風防止テープを貼って工夫するかたわら、エアコンでの温度管理にも気を使っているそうです。こうなったら断熱住宅でも買って引っ越しちゃいましょう(笑)
この日はサバンナモニターをハンドリング。「ここへくれば、大きいサイズにも触れられるのでうれしいです」。何だかとても愛おしそう。心の中では「欲しいな~」ってきっと思っていることでしょう(笑)。奥が深いレプの世界、どんどんレプ沼にハマっていってください(笑)
数分前、取材中に悲鳴が聞こえた気がしたので振り返ってみると、楽しそうにボールパイソンと戯れていた左右田さんご一家。ああ、うれしい悲鳴でしたか(笑)。「いやいや、さっきフトアゴヒゲトカゲを腕に抱えていたら、顔に向かって歩き出し出したからビックリしたんです~」と悲鳴張本人の弘子さん(左)。週末を利用して、娘さんの彩香さん(中)と一緒に何と熊本県八代市から。現在、ご主人の智郁さん(右)が高速道路関連の仕事に携わっていて、久しぶりの陣中見舞い&親子対面となりました。
最後は覚悟を決めた弘子さんもボールパイソンと。レプの悟りを開いたのか、なぜか合掌ポーズ(笑)。それにしても、よく爬虫類カフェを親子対面ツアーに組み込んだものです。ふぁにくりを世界最大手のショッピングサイトの会員制動画コンテンツで見つけて、突然行く気になったのだとか。「せっかく京都ば行くんやけえ、お父しゃんだけやのうて、トカゲにも会いたか~!」と、弘子しゃんが言ったかどうかは記憶がハッキリしませんが(笑)。爬虫類の聖地が観光地・京都にあるというのは、多角的に販促効果は絶大です。
京都市在住の自称・ナカタニヨシトさん。かつてブラジルレインボーボア(写真はふぁにくり)をひと目見た時、「キラキラ虹色に輝く姿に惚れ込んで買っちゃいました」。この日は、冬越しのための乾燥状態が気になりアドバイスを求めてふぁにくりへ。「高温多湿を好むヤツもいれば、意外と湿度を嫌がるヤツもいる。水に入るのも、気持ちいいのか水がないとダメなのか、毎日観察しながら学ぶことばかりです」と、レプ歴は1年くらいですがかなり研究熱心。でもそこはふぁにくりの木村さん。カクカクシカジカ、「大丈夫です大丈夫です、全然全然!」と、ナカタニさんを安心させていました(笑)
自宅で6匹のレプを飼育中とかで、どんなケージで飼育しているのか参考に聞いたところ、レプイベントでも人気のKOTOBUKIのヒュドラケース3120(写真はコウレプ2019)を使用中。「使い勝手がとってもいいし、飼育環境的にも体長1mのスネークにジャストフィットしています!」と、もはやヒュドラをオマージュ(笑)。自作で製作したスチール製ラックも、3120が縦横ぴったり納まるよう最初からコンプリート設計。現在5個所有していますが、この先ケージを追加するにしてもヒュドラしか考えていないそうです。え、ヒュドラってそんなによかったっけ?と思われたかたは、ぜひこちらをどうぞ♪
◆祇園に出店したことの意味
ドリンクをたしなみながら、優雅に泳ぐアロワナにウットリ。時間がゆったりと流れる至福のひととき。
と言いたいところですが、実際行ってみるとわかりますが1時間なんてアッちゅーまですから、マジで(笑)。席をキープしつつも、ほとんどのお客さんはスタンディングスタイル。あれこれ目移りしてしまうのは、ふくろうカフェも猫カフェでも一緒なんでしょうね。
あ、もうこんな時間。入店したのは1430だったんですけど(笑)。ホントに時間の経つのが早すぎます。
――レプたちの管理はどのように?
「普段の室温は28度、湿度は60%に保っています。あとは個別に霧吹きなどで対応していますが、さほど手間はかかりません」
――人間にとってもTシャツ1枚でも大丈夫ですね(笑)
「冬は快適だと思います(笑)」
――こんなに照明を使ってても大丈夫なんでしょうか。
「前テナントさんのおかげなんです。コンセントが多くて、しかも電気容量が多い契約だったのをそのまま引き継げたことがラッキーでした(笑)」
――前テナントさんに感謝ですね(笑)
「祇園という場所を選んで正解でした。八坂神社などの有名観光地も近いですから、観光に疲れたらぜひ利用していだだけたら」
――祇園というネームバリューもある。
「その分賃料もそこそこしますけどね(笑)」
――今日もそうでしたが、女性の来店率が高いように思います。
「だいたい8割が女性なんですよ。レプイベントでもおわかりだと思いますが、最近爬虫類は女性に人気がありますから、その影響でしょう」
――次に考えていることは?
「オープン後おかげで順調にきましたが、そろそろ2号店を出したいなと思ってます」
――出すとすればどのあたりに?
「まだ決まってませんが、滋賀とか奈良とか。どっちにしろ、市街地にはなると思います」
京都に誕生.した、いきものの殿堂。専門分野のカフェでありながら、誰でも気軽に立ち寄れてついつい長居してしまうお店。祇園観光に疲れたら、レプファンであってもそうでなくても、ぜひふぁにくりを訪ねてみてください。旅の疲れなど吹き飛んでしまいますから。ね、木村さん!「そうですそうです、全然全然!」(笑)(笑)(笑)
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