2022/08/05スポット, 人物, 技術, 歴史

【スポット】昭和から平成そして令和へ☆旧市庁舎時代から金魚水槽に携わってきた「ザ・チームきんとっと」(奈良県大和郡山市)

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きんぎょのまち・奈良県大和郡山市に新庁舎が誕生した今年5月。旧庁舎時代から玄関付近に設置されていた金魚水槽も新たにリニューアル。新庁舎オープンと同時に、広く一般公開されました。旧庁舎時代から水槽管理に携わり、新庁舎の新水槽のアイデア出しにも一役買ったのが、市の若手職員で構成された「ザ・チームきんとっと」でした。ある日、そんなチームに密着。新庁舎誕生とともに、チームも金魚水槽も新しい歴史を刻み始めました。

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◆金魚は永遠のアイドルだから

5月に真新しい庁舎のオープン以後、新しい金魚水槽の存在は市職員のみならず来庁者にもすっかり浸透した感があります。

 

何せ1階。旧庁舎取り壊しのため正面玄関はまだ使えないとしても、庁舎の中では最も市民と距離が近いところで圧巻のパフーォマンス。

 

よく見ると、子ども関係の窓口に一番近いポジション。とはいえ最も子どもが少ない時間帯のためか、ROKENくんもちょっと寂しそう(笑)。

 

そこで親子登場。お父さんに連れられて、お目当ての金魚水槽をじっと見入る幼稚園児の姿が。まさに金魚まみれの様相。

 

閉庁時間が迫ってきた夕方5時過ぎ。金魚をじっくり見つめている女性がいました。「新しい庁舎にやってきたのも水槽を見たのも、これが初めてなんです。いいですよね、生きものって。自分では飼えないですが、ここへくればいつまでも見られますから。また用事をつくってきちゃおうと思ってます(笑)」と、新水槽の誕生を待ちわびていた様子でした。

 

 

子どもも大人も、やっぱり金魚は永遠のアイドル。水槽のようにも見える2階のフロアを見上げていたら、チャイムの音がピンポンパンポン。時間は17時15分。閉庁と同時に、いよいよ今日の主役の登場です。

◆水替えで100mを行ったりきたり

「お待たせしました!」ザ・チームきんとっとのリーダー・保険年金課の熊谷菜摘さん(左から3番目)を筆頭に、この日は合計7人が集結。みんな若い!それもそのはず、メンバーは入庁1年目以降の若手職員のみで構成。全員が20代。もちろん部署はバラバラ。全然公務員っぽくないところもイイ(笑)。新水槽にふさわしいフレッシュさを感じずにはいられません。

 

チームが結成されたのは、旧庁舎のリニューアルが行われたころに遡ります。それまで水槽を管理していた農業水産課が、リニューアルを機に若い世代にバトンタッチ。正式にチームきんとっとの誕生となったのです。

 

5年前の夏にも1度集まってもらったことがありますが、当時とメンバーはほぼ世代交代。それにしても懐かしい~。みなさん今どうしているょでしょうか。でもひとりだけ今もメンバーに残っている律儀な職員がいました。さて一体誰でしょう(笑)?

 

清水康平さん(入札検査課)がその人。今日会った時からピンときてました。「え、覚えてはりました?」もちろん。決して背が一番高かったからではありませんよ(笑)。

 

ちなみに5年前の清水さん。メガネも金魚色でした(笑)。当時はメンバー歴が一番浅いペーペーだったような気が(笑)。でもアクアに関して誰よりも知識や経験があり、ほかのメンバーからは一目置かれる存在でした。そんな清水さんも今やチーム6年目の最年長。本人は引退をほのめかしていますが、チームにとってなくてはならない存在であることは確かです。引退はまだ早い(笑)!

 

フィルターの電源を切り上ブタを取り外して作業開始。メンテは毎週月曜日と木曜日。え、週に2回も?

 

「何せ水の容量が大きいですからねぇ。どうしても水替えが中心のメンテになります。1度のメンテでバケツ10杯分以上は替えないといけません」(子育ち支援課・中村直人さん)。

 

排水場所はここから100メール離れた屋外の排水口。台車にバケツを積んでひたすら行ったりきたり。「これも愛する金魚のためですから(笑)!」

 

正味の人海戦術。人がほとんどいなくなった庁舎1階に響き渡るのは、台車のゴロゴロというBGM。「シンプルな作業ではありますが、週に2回となるとやっぱり堪えます」とまちづくり戦略課の小野大輔さん。普段はまちづくりに関する仕事がメイン。そういえばつい最近、郡山城が国の史跡に指定されるなど市民の関心も高まる一方。平和のシンボルともいわれる金魚について、「金魚は毎日変化があるので、ぜひ毎日見にきてください。もちろん郡山城も(笑)!」と、しっかり市をPRするのも忘れていませんでした。

◆今だから明かされる新水槽誕生秘話

全長3.5m。水容量は約1トン強。どっしりとした存在感のあるオーバーフロー水槽。上見も楽しめるようにと設計された特注水槽。趣味としての水槽ではなく、あくまでエンタテイメント性を含んだ「人が見る水槽」。一体どのような経緯で新水槽が誕生したのか、ほんの少しですがエピソードをご紹介しましょう。

 

令和元年、新庁舎建設のためのプロジェクトチーム「庁舎建設室」が発足。建物の建設と並行して、新しい金魚水槽も必須案件でした。新しく生まれ変わるきんぎょのまち・大和郡山の新庁舎にふさわしい、シンボリックで市民に親しまれる水槽とは。その答を求められたのが、ザ・チームきんとっとだったのです。

 

早速メンバー招集。何度もミーティングを重ねてアイデア出し。もちろん時間外。チームにとっては初めての経験でした。

 

新庁舎誕生は60年ぶり。ということは、過去の経緯がどうであれ、この記念すべきタイミングで新水槽に関われるのは、これが最初で最後の可能性も。こんなラッキーなことはない!自分たちはなんて恵まれてるんだろう!なーんて自覚がメンバー内にあったかどうかは知りませんが(笑)。

 

当時のアイデアラッシュをちょい見せ。SNS映えを狙った水槽、すべり台っぽく水が流れる水槽、水時計風の水槽、子どもたちが自由にお絵描きできる水槽などなど、自由でフレッシュなアイデアが出されました。もちろん、水槽メンテと同時並行だったことはいうまでもありません。

 

そして、さまざまな案をさらに煮詰めて集約し、ようやく一つの完成形にたどり着きました。これで最終決定。実意に2年間の月日を重ねて、チームの思いがひとつになったのです。

 

ついに設置の日。メンバー総意のアイデアがかたちになった日。ブルーシートがまるで大海原のようで前途洋々の船出を祝ってくれていました。

 

底砂が入りフィルターも作動開始。そしていよいよ金魚投入。あとは5月2日のオープンセレモニーを待つだけとなりました。

 

オープンセレモニー当日。上田清市長らにまじって、キラッキラのメンバーの姿がありました。新しい水槽の立ち上げに関われたことは、きっと誇らしき出来事だったに違いありません。

◆庁内連携プレーが完璧な理由

セレモニーはセレモニー。現実は現実(笑)。いざやってみると、やっぱり水替えは大変でした。水槽自体の本数はたった1本には違いありませんが、水容量が多い分やっぱり手間がかかります。

 

フィルターのウールマットを洗ってセッティングするのは、会計室の山本未季さん。メンバーに加わって3年、旧庁舎では水槽下のPOP製作が担当でした。「何もわからないままメンバーになってしまって(笑)。一度ヒーターの接続に失敗して水温が異常に上がってしまった失敗があるんです」。時効時効(笑)。「それに、前のようにプレコがいてくれたら掃除も少しは楽になるような気もするんですがね(笑)」。ああ、確かに。プレコだったらきっと期待に応えてくれるでしょうね。ただ、キャラ的に主役の座を金魚から奪ってしまう可能性はありますが(笑)。

 

水槽からオーバーフローした水は、外部フィルターの働きによって上部からウールマットやろ材を経てろ過されます。ろ過された水はいったんろ過槽横のスペースに貯められ、パイプを通って2個所から吐出される仕組みです。そして吐出されるほぼ同じ場所でエアレーションも。金魚にとって快適な環境が実現しています。

 

「水槽が1本になったことで、今後はコケの発生や個体の病気の心配もしておかないといけないでしょうね」と最年長の清水さん。さすがアクアキャリア10年。先を見通したクールなコメント。キワメテ的には、やっぱり引退は待ったほうがいいと思いますけど(笑)。

 

学生時代から趣味としてアクア歴のあるリーダーの熊谷さんは、ちょっとした姐御的存在。メンバーがメンテをしている最中も、様子のおかしい金魚がいないか、水質は安定しているかなど、総合チェックに余念がありません。

 

男性にまじって、女性だって力仕事はしないといけません。保育支援課の木村手鞠花(左)さんは、地域の保育所とのパイプもしっかり。「設置当初もっとはたくさんの金魚がいたんですが、地元の保育園でも飼いたいという話がありまして。市内数カ所の保育園で2~3匹ずつ飼育してくださっています」。

 

ほかにも、受付を通じてどこにいけばあの金魚は手に入りますか?などの問い合わせも後を絶たないそうで、金魚が市民との間の架け橋になっていることは確かです。

 

水槽をゴシゴシ、黙々と作業に勤しむ障害福祉課の菅家颯斗さん。昔はカメ飼育の経験も。だからでしょうか、「水槽がやたらデカいです」とボソッ(笑)。ひたすら水槽内の汚れをチェックしていたのが印象的でした。

 

「あ、ここ汚れてます!」

 

「ここもお願いします!」

 

「あー、ここも!」。リーダーの熊谷さんとのコンビは絶妙(笑)。いくら部署が違っていてもチーム内連携はさすが。きっと通常勤務でもうまく連携が図られているに違いありません。チームきんとっとは、庁内のコミュニケーションスキル向上にも貢献しています。

◆新時代とチームきんとっと

水替えが終わったら、カルキ抜きを適宜投入。

 

1日に1度行われるエサやりは当番制。

 

 

 

Gメン75風。「え、なんですか?それって」。すみません、Z世代に昭和のテレビドラマをシンクロさせること自体に無理がありました(笑)。

 

設置以来大きなトラブルはありませんが、「お子さんがはしゃいで庁内を走る姿を見ているとちょっとヒヤヒヤします」とあるメンバー。もしものことを考えて水槽の角にクッションが取り付けられてはいますが、よい子のみんなは決して走らないように。

 

約1時間ちょいでメンテ終了。みなさんお疲れ様でした!5年前とくらべて水槽の本数が減り、少しはメンテも楽になっただろうなと勝手に想像していましたが、実際は違いました。

 

「ぜひみなさんの推しの子をみつけてください!」(熊谷さん)、「新庁舎には本物の以外にも金魚のモチーフがあるのでそちらも見てください」(清水さん)、「黄色い出目金とか光るウロコのある金魚などレアものも多いですよ」(山本さん)などなど、若い男女は間違いなく金魚愛にあふれていました。

 

新庁舎とともに、新しい歴史を刻み始めた新水槽。毎年少しずつ顔ぶれが変わりつつも、確実に次世代に引き継がれていくザ・チームきんとっと。庁舎に水槽がある限り、ザ・チームきんとっとは永遠に不滅です!

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