2018/02/09取材, 地域社会, 技術, 水槽, 海水魚

【スポット】泡盛片手に琉球の海が広がる大型水槽☆てぃーあんだ堀江店(大阪市西区)

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ファッションやグルメなど、若者を魅了するスポットが点在する堀江エリア。

琉球料理専門店「てぃーあんだ堀江店」は、そんなおしゃれなエリアの一角にありました。

お店の目玉は、何といっても「沖縄の海」。

4メートルもの大型水槽に、さまざまな海水魚が泳いでいます。

オープンして今年でちょうど10年。

琉球料理に舌鼓を打ちながら、遥か南の海に想いを馳せている人は少なくありません。

 

 

◆まるで4Kテレビのような水族館のような

大阪市西区。堀江エリアの一角。周りにはブティックや雑貨ショップなどが多く建ち並び、とびきりグルメなスポットも数多く、今をときめく人気のエリアです。「てぃーあんだ堀江店」もそのエリア内で、琉球料理専門店としての存在感もバッチリです。

 

てぃーあんだとは、沖縄の方言で「手の脂」という意味。そこには、愛情込めて手の込んだ料理を提供する、料理人たちの熱い思いが込められています。

 

まさに沖縄テイスト。周りのお店とはちょっと雰囲気が違います。

 

あ、早くも沖縄の海が(笑)。窓からは、ほんの少しではありますが、このお店のウリである大型水槽がチラ見できるのです。店内を覗き込んで「わあー、なんかいい感じの店やんな~」と通りかかった2人のグルメ女子、そう思うならどうぞ中へお入り~(笑)

 

普通席あり、円席あり、カウンターあり。店内は意外と広い。お店のオープン時、以前あった2店舗分をひとつにしてこの広さが実現したそうです。よくみてみると、一番奥にある沖縄の海がチラリと。

 

おお~、間近でみるとやっぱりデカい!話には聞いていましたが、4メートル水槽がこれほどインパクトあるとは。店内奥の壁面をほぼいっぱいに使ったアクアな演出。思わず口をついて出る言葉は、「やっぱりアクアっていいね~」。

 

壁面を利用したビルトイン方式の水槽。こうして照明をすべて落とすと、さらに幻想的です。4メートルというワイド感は、まるで大型の4Kテレビのような、水族館のような。

 

◆こんな大型水槽は堀江エリア唯一

 

「最初は、サンルームみたいにしようかなとも考えました。植物が好きなので、グリーンを敷き詰めようかとも思いました。でもそれだと普通でしょ(笑)。あれこれ考えた末に思いついたのが、沖縄の海をイメージした水槽だったんです」とオーナーの安國正隆さん。以前は、音楽イベント・琉球フェスティバルのプロデューサーとして活躍し、それがきっかけで琉球料理店をスタートさせました。現在、ほかに大阪市内に1店舗、沖縄本島に2店舗を構えています。

 

若者に人気のエリア・堀江の中でも、このクラスの大型水槽が設置されているところはほかにありません。ましてや10年も前に、こんな発想は考えられなかったかも知れません。

 

ことのほか大変だったのは、開店準備と同時期に水槽を搬入したことでした。当然ながら、玄関ドアからはどう考えても入りません(笑)。結果、1メートル四方のこの窓から10人がかりで2時間もかかって搬入できたそうです。

 

「まさに沖縄の海。いいイメージに仕上がりました。水槽にしてよかったと思います。メンテナンスはプロにまかせていますが、おかげでトラブルもありません。何より、思っていた以上に魚たちが元気でいてくれていることがうれしいですね」(安國さん)。

 

お店も水槽も今年でちょうど10年を迎えました。「あ、そうでしたか(笑)。時の経つのは早いものですね」(安國さん)。つくるのはすぐにできても、維持継続していくのはそう簡単なことではありません。ましてや、相当な重量があり、しかも海水を扱い、主役は生き物。どれを欠いてもいけないのがアクアの世界だからです。

 

◆メンテの主は科学機器で

 

見た目スッキリの大型水槽。果たして、日頃の維持管理は果たしてどのように行われているのでしょうか。ちょうどメンテの日があると聞いて、半日密着してみました。これだけの水槽ですから、きっと大きな浄化用の水槽がこの下に隠されているんだろうと思っていたのですが、意外や意外、設備を工夫することで大がかりな浄化水槽を使わずに水質が管理されていました。

 

海外製のLED。お店の営業時間に合わせて点灯するように、タイマーでコントロールされています。

 

メンテの頻度は月2回。お店の定休日に合わせて昼間に行われます。2週間ごとのメンテなのに、まったく汚れている感じがしないのは、常に美しさを保つ工夫が随所にされているからです。

 

水槽の照明が点灯され、いよいよメンテナンスが始まりました。まずは水槽内部のコケ落としから。いやー、そんなに汚れてませんけど(笑)。普段は点灯しない時間帯なので、魚たちが照明になれるまでの間に、こうした作業からスタートです。

 

容器に入れられた炭素源。水槽内部の炭素量を適量に保つために用いられ、1日につき1つずつ水槽に投入してもらっています。

 

これ、なんだかわかります?最少の水量で水換えができることを目的に設置された海藻水槽が、大型水槽の下に隠されているんです。大きな浄化用水槽の代わりに、24時間点灯された特別な水槽の中で、海藻にしっかり海水を浄化してもらうというわけです。メンテの時は照明が弱くなっていないか、蛍光灯が切れかかっていないか、しっかりチェックします。

 

海水のPH濃度を示す機器もチェック。この時点では少し高めの数値ですが、このあと適正濃度(PH7)まで徐々に下げていきながら、水槽内を掃除していきます。こんなものも、大型水槽の下に隠されているんです。

 

海水の温度を示す機器もチェック。サンゴがメインの水槽なので、このくらいの水温がベスト。魚の調子が悪い時、よく魚自身が病気になったのではと心配するユーザーも多いですが、調子の善し悪しは水温や塩分濃度やバクテリアの状態など、外的な要因によることが多いのだとか。その要因を取り除くだけで、調子が戻ることがあるそうです。

 

水槽内の全水量は約4トン。この内200~500リットルくらいが水換えの目安。水槽から排水された水は、こうして貯められていきます。ここで人工海水の元を入れて、適切な濃度の海水をつくったあと再び水槽に戻されます。

 

一旦排水された海水が、こうして待機中。

 

人工海水の元。10リットルに対して1カップが適量。

 

海水の塩分濃度と比重をチェックするのが、一番大切な仕事。とはいえ、チェッカーが壊れているとえらいことに。以前、メンテ先のチェッカーが壊れていて正しい濃度が測れてなかった苦い経験が過去にもあったそうです。

 

オリジナルにブレンドされたエサが、メンテごとにフードタイマーに補充されます。フードタイマーに適しているのは、粒タイプや粉タイプのフードだそう。この2種類をさらにブレンドして、フードタイマーにセットします。

 

ポンプ3台で稼働させているプロテインスキマー。細かい泡が海水内の汚れを取ってくれているのがよくわかりますよね。そう、砂浜の波打ち際と同じ原理で水の汚れがとれるそうです。面白~い!

 

大型水槽の下に格納されているカルシウムリアクター内の様子。ここで石灰岩を溶かし、サンゴのためのカルシウムイオンと炭酸水素イオンを発生させます。天然の海の中で起こっている科学反応を、水槽の中で再現しているそうです。化学反応式を紙に書いて説明してもらったのですが、話を聞いているうちに高校の化学の授業を思い出してしまいました(笑)

 

メンテの仕上げは、底砂の掃除。海水の場合は底砂をかき混ぜてしまうと水槽内で一気に病気が蔓延してしまうことがあるため、慎重に大きなゴミだけを取り除きます。

 

照明部分のカバーを下ろして本日の作業は終了です。

 

前回調子が悪かったという照明を、最後の最後にもう一度チェック。次にメンテは2週間後なので、入念に最終チェックをしていたのが印象的でした。

 

海水水槽では、何といっても自然の海と同じ環境を保っていくことがいかに大事か、よくわかりました。そのためには、掃除のような単なる物理的なメンテではなく、科学機器によるチェックが最も必要だということも。どうもお疲れ様でした!

 

オープン当初から健在の10年選手も

 

さて、すっきりキレイになったところで、改めて主役たちをご紹介しましょう。水槽にはサンゴがいっぱい。ナグラカタトサカ、スターポリプ、タマノウトサカ、ウネタケサンゴ、パールコーラル、ディスクコーラルなどが入っています。

 

飼育環境がいいので、大きく育ったウミキノコ(左)。左奥を泳いでいるカクレクマノミとともに、何とお店のオープン当初から棲んでいます。すごいですよね、水槽の10年の歩みをみつめてきたとは。

 

さまざまなかたちをしたナグラカタトサカ。全部違うサンゴだと思っていましたが、水流や光のあたり具合でかたちもこんなに変化するそうです。

 

ヒトデの赤ちゃん。素人受けして可愛いのですが、大量に発生するとサンゴを食べてしまうので、メンテ時に排除します。

 

カラフルなニシキベラ。

 

ハタタテダイ。エンゼルフィッシュによく似ています。泳ぎ疲れたらウミキノコの上で休憩することも(笑)

 

オニヒメブンブク。こう見えてもウニの仲間です。

 

イトヒキテンジクダイ。今回のメンテのタイミングで、新しく仲間に加わりました。よく見ると、ほかの魚より背ヒレが多めなのがわかります。

 

こちらも新入りのカクレクマノミ。やっぱりこのサイズがかわいいですね。

 

ヨスジリュウキュウスズメダイ。黒と白の縞模様が綺麗です。

 

サンゴと遊ぶヒフキアイゴ。

 

群れで泳ぐデバスズメダイ。緑がかった淡いブルーの体色がきれいです。

 

なぜかシリキルリスズメダイはこの場所がお気に入り。何度もここへきておデコに水流をあてて楽しそうでした(笑)

 

水槽のお掃除役のマガキガイもいます。地味だけどこういう脇役って大事ですよね。

 

◆インスタ映えもバッチリ

 

夜のオープンは午後5時からですが、客足は結構早めです。何より、水槽のすぐそばが特等席。

 

やはり水槽のそばの席から、早く埋まっていくそうです。予約の際は、ぜひ「水槽のすぐ横をお願いします!」と仰ってくださいね(笑)

 

料理を忘れて、ついつい水槽に見入ってしまいます。海水魚ならではの美しさとカラフルさ。もう言葉はいりませんね。

 

やはり女性客が多いような気がします。沖縄の海に想いを馳せながら琉球料理に舌鼓を打つのはまた格別でしょう。

 

琉球料理専門店、やっぱりオリオンビールが似合います(笑)

 

食っちゃー水槽を見、水槽を見ちゃー食い(笑)。沖縄で紅芋を食べて育った紅豚を使った鍋。特に沖縄産ごまだれが絶妙です。

 

インスタ映えすること、間違いありません(笑)

 

店内には、琉球ガラスを展示販売しているスペースもあります。

 

什器も沖縄のものにこだわっています。いかにも沖縄~みたいなディスプレイでなく、シックで上品な雰囲気を大切にしていることがわかります。

 

店内に流れる音楽は沖縄ポップス。心地よいサウンドを聴いていると、臨場感もたっぷり。

 

大きな声を張り上げるわけでもなく、決して元気すぎないお店のスタッフも好印象です(笑)

 

今回は水槽の取材がメインでしたが、琉球料理の数々はとっても美味しかったです。何よりメニューが豊富。しかもボリュームがあり、女性なら少し食べただけでもすぐにおなかがいっぱいになるかもしれません。

 

10周年を迎えた、てぃーあんだ堀江店。お店も、水槽も、魚たちも、みんな10歳。これまでのお店の成長と来店客を、じっと見続けてきました。11年目に入った大型水槽は、これからどんな成長を遂げていくのでしょうか。

小さくていいから玄関のほうにもう1台水槽があればいいですね。「うん、それもいいかれ知れませんね」(安國さん)。ひょっとして、ひょっとするかも(笑)

(取材協力/株式会社ビーイング、アクアプロショップアワジヤ)

 

☆てぃーあんだ堀江店のホームページはこちら

 

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