大阪府北部の丘陵地・千里山の高台にお住まいの古樫さんご夫妻。
11年前のマンション建設を機に、「マンションぐらしだからこそ、自然と寄り添っていきたい」との思いが、より一層強くなりました。
そこで、観葉植物などを積極的に取り入れて自然と共有するライフスタイルにギアチェンジ。
そして4年前から、アクアリウムも加わりました。
かつてはグッピー飼育の経験もあった古樫さん、潤いのあるくらしにさらに拍車がかかったのでした。
◆自然を取り入れたくらしの延長として
自己所有のマンションのワンフロアすべてが、オーナーの古樫さんのご自宅です。エレベーターから降りると、玄関前には純和風な風景が。洋から和へ、まるで別世界に飛び込んだような素敵なエントランス。「マンションを建てる前は、ここに自宅があったんです。すべて処分してしまうのも忍びないので、当時敷地にあった燈籠を持ってくることにしたんです」(奥様)。植栽とつくばい、そして時代を受け継いできた石灯籠が、私たちをほっこり迎えてくれました。
玄関を入ってすぐにある、「第一次応接室」。もしかしてアクアリウムがここに?「いえいえ、ここではありません(笑)」と奥様。ちなみに古樫さん宅は、広さ160平方メートル。バリアフリーはもちろん、間仕切りなどちょっとしたところに和テイストを随所に取り入れた住まいが特徴です。アクアリウム登場まで、あと少し(笑)
南向きのベランダには、奥様が普段から丁寧に手入れされている観葉植物が目を休ませてくれます。桔梗や日々草、サルビアなどなど。南向きに面しているので、栄養分もたっぷりです。「かつてこのあたりは、段々畑や竹林ばかりでした。夏も涼しく、とってもすごしやすいところでした。こうして観葉植物などを取り入れているのも、そんな昔が懐かしいせいもあるんですけどね」と奥様。千里一帯は、1970年の万博開催を機に都市開発が急速に進みました。時代がいくら便利になっても、潤いだけは残しておきたい気持ちはよくわかります。
◆7年間のブランクをものともせず
お待たせしました(笑)。ベランダに面したリビングルームの一角に、水槽がありました。西向きの窓に面したサイドボード上に置かれているのは、KOTOBUKIのレグラスフラットF-900S(90㎝)。周りのインテリアとも、うまく調和しています。
実は古樫さんは、マンションができる前にグッピーを飼育していた経験があるのだとか。ああ、それなら話は早い(笑)。「いえいえ、もう10年以上の前のことですから」(奥様)。残念なことに、マンション完成とほぼ同時に、グッピー飼育もやめてしまったそうです。
――ということは7年間のブランクがあったのですね?
「ああ、言われてみればそんなに長い間離れていたんですね」
――マンションを建てられても、アクアを続けようとは思われなかったのですか?
「まったく思いませんでした。お世話をするのが年齢的にしんどくなったこともあり、もう熱帯魚を飼うことはないだろうと、主人とも話していました」
――また興味を持たれたのはどのような理由で?
「ある日主人と出かけた時に、お掃除などを専門のかたにおまかせできる方法があるのを知ったんです」
――あああるほど、業者さんにおまかせするのであれば飼育の手間はかかりませんよね。
「そこに置いてあった水槽もとっても素敵で、これならもう一度飼える、と」
--水槽などの用品や器材はどうされたのですか?
「契約の業者さんにご提案いただいて、すべて私たちが購入させていただきました」
――またアクアを始めるのに、迷いは全然なかったのでしょうね。
「はいまったくありませんでしたし、ほぼ即決でした(笑)」
アクアに興味はあるものの、自分で飼育管理するのは自信がないという人は少なくありません。そんな時に、メンテナンス契約という方法は、古樫さんのようなライフスタイルにはぴったりだったのでしょう。かくして、7年間のブランクを経て、またアクアライフが始まったのです。
◆まるでお孫さんをみるように
90㎝の水槽には、ミッキーマウスプラティ、カージナルテトラ、アルビノグローライトが各20匹ほど、そしてセルフィンプレコが1匹、ヤマトヌマエビ数匹。取材に伺ったのは、ちょうど業者さんによるお掃除の日でした。と同時にこの日は、魚を入れ替える日でもありました。
水の交換が終わったら、今度は水草の模様替え。ミクロソリウムやパールグラス、アヌビアスナナなどが手際よく投入されていきます。
そして今回の主役はこれ。「以前入れてもらっていたエンゼルフィッシュがとても気に入っていたので、また入れてもらうことにしました」とご主人。約2年ぶりのエンゼルフィッシュとの再会。こうして定期的に好きな魚を飼育できるのも、メンテナンス契約の魅力のひとつといえるでしょう。
水ならしを終わったところで、魚たちは水槽へ。「いいね、いいね」を連発するご主人(笑)。普段アクアに関してはほとんど奥様におまかせですが、今回はご自身の好きな魚をリクエストされました。
最初は引っ込み思案気味だったエンゼルも、自由に泳ぎ始めました。「この魚みたいにキラキラしていたり、色がついている魚は、とってもオーラがありますね。ベランダにいるのが地味なメダカですから、ちょうどいいかもしれません」と奥様、えっ?水槽はここだけじゃなかったんですか(笑)?
確かにベランダに水槽がありました。よくみると、10匹ほどのメダカが泳いでます。実は、4年前にアクアを始めた当初の「初代水槽」がこれなのだとか。同じKOTOBUKIの水槽で、こちらは60㎝。その後サイズアップを希望し、現在の90㎝水槽に落ち着いたというわけです。ベランダのメダカは奥様自らが飼育。もしまた慣れてきたら、メインの水槽もご自身で飼育できるようになるかもしれませんね、と投げかけてみましたが「いえいえ、もう手出しはしません(笑)」
水槽の模様替えをした時は、スマホで写真を撮ってお友達にもみせる楽しみも生まれたそうです。「みなさん、きっても喜んでくれますよ」(奥様)
「この魚も最近は可愛く思えてきました」(ご主人)。ちょっと個性的な外観(笑)、最初は少し抵抗があったそうです。いやいや、お掃除担当のプレコは水槽内では家政婦さんなのですから、いてもらわないと困ります(笑)
業者さんとのコミュニケーションも良好。月に1度の機会に、色々と意見交換をするのだそうです。「プラティに赤ちゃんが生まれた時は、もう可愛くって仕方ありませんでした」「砂を掘り返す習性のあるアフリカンシクリッドがいたんですが、とってもやんちゃ坊主でした(笑)」(奥様)などなど、魚の種類や習性などに対する奥様の関心の高さは、並々ならぬものがあります。奥様にとって、魚たちはまるでお孫さんみたいな存在なのかもしれません。
◆無理のないプランで実現した「小さな水族館」
すべての作業が終わりました。まるで、水槽を置くためにあるようなサイドボード、まだまだ余裕があります(笑)。家庭に水槽を置く場合、水の重量も考慮しておかないと什器などに負担がかかることも珍しくありません。幸い、マンション建設時に取り入れたサイドボードに十分な強度があったのも、安心してアクアを始めるきっかけになったそうです。
リビングルームからのながめもかなりイケてます。視線の高さもちょうどいい感じです。「やっぱり(水槽を)置いてよかったです」。見た目だけでなく、空気が乾燥しがちな冬場では加湿器代わりになり、健康維持にも一役買っているそうです。
この先、携わることはないだろうと思っていたアクアリウム。ひとつの出会いによって、メンテナンス契約という選択肢が背中を押してくれました。今ではすっかり古樫さんの生活に溶け込み、癒し効果に貢献しています。「ここはまさに小さな水族館。ペットロスに陥ることもないし、よほどのことがない限り水槽を手放すことはないと思います」(奥様)。
決して無理のない、観賞魚飼育。くらしなどの環境に合った方法が、ここにあります。何よりも、業者まかせにしない奥様の関心の高さが、充実したアクアライフにつながっているのでしょう。