京都市山科の本店をはじめ、大阪府や滋賀県などで合計8店舗を展開するペットプラザ「ノアズアーク」。
ショップ的には、ワンちゃんやネコちゃんの販売やトリマーが中心ですが、なかなかどうして☆
アクアの部分で異彩を放ち、地元のアクアファンに愛されているお店がありました。
ということで、2016年最初のショップ取材は滋賀県草津市へ。
どのスタッフも笑顔を忘れず、お店に信頼を寄せるお客さんもたくさん。
そこには、なるほどと感心させられる深イイ話があったのです☆
◆ホームセンターらしからぬ?高品質な品揃え
ここは、ノアズアークにとって記念すべき第1号店。
JR草津駅から車で約10分。
着きました~、ホームセンターコーナン草津店☆
この一角にユニークなアクアショップがあると聞いて、はるばる大阪から。
店名のノアズアークをズバリ訳せば、「ノアの方舟」。
聞いたところによると、現社長が創業時にネーミングしたのだとか。
お客さんもスタッフも運命共同体!っていう意味なんでしょうか。
今度また聞いておきます(笑)
それでは早速店内へ☆
それにしても、コーナンはおっきい!
正面から入って、ひたすらま~っすぐ奥へ奥へ進みます。
そして突き当たり、2段式にズラリと並んだスペースで元気にわんちゃんが出迎えてくれました。
う~ん、ここのわんちゃんたち、どのコもなんか愛想いいですね~♪
ペット用品がたくさん並ぶコーナーを右手にみながらさらに奥へ進むと、ここがノアズアークのアクアリウムコーナー。
最初に目に飛び込んできたのは、「金魚一徹」のユニークなフォント四文字。
ん~と~、そんな四文字熟語って世間にあったっけ(笑)?
しかもそこには、らんちゅうや琉金、オランダなどが優雅に泳いでいます。
どれもこれも、育ちのよさをうかがわせる質の高い金魚ばかり。
しかもみんな健康状態は万全です。
ホームセンターにもこんな上質な魚が置かれてあったとは、思いがけない展開☆
きっと万人受けするような品揃えだろうと勝手に思っていましたが、まったく違いました。
こりゃ失敬!
一番奥のエリアは、ちょっとしたミニ水族館のような雰囲気。
どの水槽もメンテが行き届いていて、めっちゃきれいです。
金魚のみならず、カージナルテトラ、エンゼルフィッシュ、ディスカス、アロワナなどなど。
コーナンでのショッピング途中なんでしょうね~、親子連れの姿も結構みられます。
「ここ(コーナン)へくると、子どもたちに絶対連れてこられるんです(笑)。いったん見入ったらもうなかなか水槽から離れなくて。よほど魚が好きなんでしょうね」とある若いお母さん。
子どもたちにとってここは、まさにパラダイス。
お父さんお母さん、ぜひこの機会に自宅にアクアリウムはいかがですか?
ガンバレ、子どもたち!
せがめば願いはきっと叶う(笑)!
スタッフたちの作業用脚立ではありますが、子どもが間近に水槽をみて楽しめるのなら、結果オーライ♪
いちいち固いことをいわないのが、ノアズアークのいいところでもあります。
◆気はやさしくて「知識持ち」!
草津店になくてはならない存在がこの人、川村卓矢さん。
見た目はすっごく優しそうで柔和な笑顔を絶やさないんですが、アクアに対する情熱と知識はとんでもなく豊富な若きアクアマネージャーです。
お店にいるだけでなく他店の巡回はもちろん、養魚場やメーカー、ブリーダーさんなど、全国を飛び回る多忙な日々を送っています。
「色々な人との交流が深まり、有益な情報もたっぷりいただいています。そうした情報は自分のものにするだけでなく、お客さんに惜しげもなく提供していますよ」。
絶対大変なはずなのに、屈託のない川村さんの笑顔には本当に癒されます。
いつも忙しそうにしている、しかめっ面のスタッフってイヤですもんね(笑)
ちょっとだけ、京都市内の川村さん宅にオジャマムシ。
おおお~、ベランダには舟に入ったらんちゅうが数匹ゆ~らゆら。
これはスゴイ!
まるでお店ですやん(笑)!
そして屋内にはデーンと120㎝水槽が!
めっちゃイケてます!
と思いきや、新たに編集部に写真を送っていただきました。
「最近またつくり変えたんです。水草はまだ育ってませんが)」とまあ、なんとマメなこと(笑)
自宅の水槽とはいえ、こうしたこだわりが川村さんのポリシーを支えているのでしょうね。
フィルター関連は、KOTOBUKI製☆
「10年使っていてもビクともしないスグレもの」(川村さん)だそうです。
飼っているのは魚だけではありません。
カメもヘビも、そしてシベリアンハスキーも、ペットはひと通り(笑)
いやはや、恐れ入りました。
◆まさに「好きこそものの上手なれ」
普通、アクアショップのスタッフは「プライベートまで魚を飼いたくない」という声が多いのに、これには違いました。
「え?好きなものといつも一緒にいるって、おかしいですか~(笑)?」とにこやかに笑う川村さん。
きっと「世話をしている」なんてネガティブな実感はないんでしょうね。
お父さんの影響でアクアに強い興味を抱き、気がついた時はすっかりアクアにハマっていたそうです。
お父さん、立派な息子に成長しましたね(笑)!
ちなみに、アクアコーナーに限らず、ほとんどのスタッフが自宅で何らかのペットを飼っているのだとか。
あー、だから川村さんを筆頭にみなさんやさしい笑顔をしているのかもしれません。
好きなことを、仕事にできる満足感と充実感。
でも仕事となると、決して楽ではないはず。
それでも、好きなことを突き詰めようとすると知識も自然に増えるし、結果的にお客さんの信頼を築いてきたことだけは確かです。
取材中も川村さんを目当てに話しかけてくるお客さんの多いこと。
野洲市からほぼ毎週来店しているという、ある男性客もその一人です。
自宅のなんと170坪の広大な敷地には、地金(愛知県の天然記念物にも指定)やらんちゅうをはじめ、アロワナやメダカなどめっちゃ多数。
えらいハマっておられます(笑)
「いい金魚がたくさん揃ってるんです。しかも安い。それだけではありません。金魚飼育で心配なことやわからないことがあったら、川村さんに聞けば何でも答えてくれるので、本当に助かっています。アクアリウムは買ったらおしまいという世界ではないですからね」と絶賛。
この日の来店目的は、愛魚(鈴木東・3才のオス3匹)の「お嫁さんさがし」。
春には必ず!と、男と男の約束を交わしていたのが印象的でした。
こうした「川村ファン」の存在は、そのままお店の信頼につながっています。
◆スタッフのやりたいことができる好環境
店内には、至るところに印象的なPOPがいっぱい。
スタッフ自らの工夫によって、ちょっとした知識と情報がわかりやすく理解できます。
聞くところによると、同店は初心者に近いお客さんとかなり上級者のお客さんと、客層は両極端に分かれるのだとか。
誰もが手軽で利用できるホームセンターでありながら、アクアファンの層が二分化されるという点が実にユニークですね。
これも意外でした。
そして頼もしい!
コバルトブルーデンプシーという川村さんおすすめの魚。
きれいなブルーが印象的で「20匹仕入れたんですが、一気に売れて残り少なくなってしまいました」。
(掲載時にはすでに売り切れている場合もありまのでご了承ください)
すだれなんかが設えてあり、ちょっと夏っぽい雰囲気ですが。
愛知県の女性ブリーダーさんを仕入れ先に持つ、上質のメダカにも人気があります。
めだかだを取り扱っているというちょっと珍しいブリーダーさん、一度お会いしてみたいものです。
本当にきれいなグッピーがいっぱい。
愛情を持って育てられていたことがよくわかります。
こちらの仕入れ先は、奈良・大和郡山の某ブリーダーさん。
このかたにもお会いしてみたいなあ~。
はい、スグレモノの用品もバッチリあります(笑)!
こちらは小動物コーナー。
動物好きな女性スタッフが担当しています。
コーナーの随所に、女性スタッフらしい発想が生かされています。
小動物が売れたケージにはこんなほんわかとした表示が。
そうですよね、ペットといえど家族同然ですからね。
「商談中」と書いていないのがイケてます!
「いらっしゃいませ♪」
えっ(笑)?
店内の一角にはカウンターが。
まるで、どこかのショールームかカウンターバーみたいです。
実はこれ、比較的高価な金魚を納得して買ってもらうための接客カウンターなんです。
それでも、常連客のおばあちゃんがここでひょっこり休みにきたり、喫茶スペースと間違えられたり(笑)
色々話を聞いていると、お客さんとの関係がすごく良好なことがよくわかります。
それもこれも、川村さんたちが日頃マメに外へ足を運んで情報を収集していることと、アクアという好きなことを仕事にしていることとが相乗効果となって表れているんですね。
専門的なプロショップへ行かなくても、ここにくれば色々とスタッフが親身になって教えてくれるという安心感が、ここにはあります。
◆スタッフの情熱はそのまま接客に
ん?おお、これは金魚関連の品評会で賞を獲得した時の表彰状ではありませんか!
そうなんです、らんちゅうやオランダなどの金魚の品揃えがハンパないのが、草津店の大きな特徴なんです。だから「金魚一徹」!
「スタッフが外で仕入れてくるのは、金魚だけじゃないんですよ。情熱を持って、養魚場やブリーダーさんとじかに交渉することで信頼関係が築け、そしてとっておきの情報が入ってくる。これを積み重ねていけば、草津店独自のカラーを打ち出すことができます。それを繰り返し深めてきたことで、お客さんにも浸透しリピーターになっていただいていると思います」と話すのは、専務取締役の上村公之さんです(写真右/昨年大和郡山市で行われた金魚セリ市で)。
自身も数年前に金魚に魅せられ、草津店をテコ入れした「張本人」の上村さん、なんと去年金魚日本一大会でも大賞を獲りました。
「いやいや、私の専門は犬なんですけどね(笑)」。
なるほど、ブリーダーさんとの信頼関係が必要不可欠な世界のノウハウを、アクアに活かしてこれたからこそ、草津店の地位を向上させたに違いありません。
もちろんご多分に漏れず、上村さんの自宅にも多くのペットがいるそうな。
犬のキモチがわかり、金魚のキモチもわかり、ペットを愛するキモチもわかるからこそ、スタッフのキモチもわかるんですね。
上村さんのような人が上にいるから、スタッフが仕事をしやすい環境がつくれるのでしょう。
スタッフがやりたいと思うことは、ほとんどOKなのだとか。
多少の失敗も仕方ない、と。
「一番イケてないのは、失敗しそうだからと言い訳ばかりで何もやらないことでしょうね(笑)」。
アドバイスを求めてくるお客さんがいればいるほど、それはスタッフの働く意欲につながっています。
不振といわれて久しいアクアも、まだまだ伸びしろはあると断言。
「お客さんがわくわくするような、また来たいと自然体で思ってもらえるような店にするためには、“無為自然の精神”が必要不可欠だと思っています」。
◆即売会などを通じてさらに前進
去年の11月には、初めての金魚即売会を行い大好評でした。
日頃つきあいの深い多くの人が、応援に駆けつけてくれたそうです。
先日ご紹介したやまと金魚園のスタッフや、「金魚博士」の異名をとる藤原宗爾さんといったそうそうたる顔ぶれが勢ぞろい。
こんなイベントひとつにも、そんな人がすぐに集まってくれるのも、普段の努力の賜物にほかなりません。
アクアの世界も、すでに若い人の時代に入ってきたと、しっかり実感できました。
↑ここ、大事なところですから(笑)!
今年の春ごろには、2回目の即売会を門真大橋店でも実施予定だとか。
さらに、ここ数年のうちに、京都市内に路面店をオープンさせたい、とも。
「ホームセンターではなかなかできなかったことを実現できる、そんな店をぜひつくりたいんです。アクア部門を縮小するペットショップが多い中、時代に逆らっているかもしれませんが(笑)。そのために、今より一歩進んでアクアのいる生活をお客さんに提案していきたいと思っています」と話す上村さんの夢は、果てしなく広がります。
つい先日、ずっと貯めてきたお小遣いでついに90㎝の水槽とディスカスを買っていった小学生がいたそうです。
「インターネットなどで自分でちゃんと調べてから、確認のために何度かやってくることも多くて。
少しずつ成長していく姿をみるのが、とてもうれしかったです」(川村さん)。
その小学生も、今年からいよいよ中学生。
もしかしたら、子どもの成長ぶりはそのままノアズアークの成長とシンクロして、川村さん自身が将来に力強い手応えを感じてさせたのかも。
ギリシャ神話に登場する「ノアの方舟」(ノアズアーク)。
スタッフもお客さんも魚たちも、すべてがひとつになって幸せになれる未来は、すぐそこまできているのかもしれません。
■ペットプラザ ノアズアーク草津店
525-0051
滋賀県草津市木川町389
ホームセンターコーナン草津店1階
077(565)6116