「金魚で大和郡山を元気に」をテーマに、地元の大型商業施設で開催される「金魚フェス」も今年で3回目。全体的には、どちらかというとファミリー色の強いイベントですが、特に注目すべきは金魚品評会。出品数も見学者も年々増え、関西唯一の金魚品評会として、また金魚生産地・大和郡山にふさわしいブリーディングイベントとして、定着しつつあります。今回もクオリティーの高い金魚が全国から多数エントリー。出品者も審査員も見学者も、本気度MAXでした。
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◆そうそうたる顔ぶれが揃った品評会審査員
金魚フェスが開催されたのはイオンモール大和郡山。大和郡山市を代表する大型ショッピングモールで、地元だけでなく京都など他府県からの来客も多数。今回は11月9日(土)・10日(日)の2日間。3年連続でお天気に恵まれました。みなさん日頃の行いがすこぶるよろしいようで(笑)
金魚品評会は10日のみの開催。そう、あの天皇即位「祝賀御礼の儀」パレードが行われた日。エントランス付近では朝早くから準備が始まり、この日だけは金魚ツールとしてすっかりおなじみの真っ白な洗面器が所狭しと並べられました。
エントリー総数は277匹。1人7匹までOK。10㎝以下の「小の部」と、12㎝以上の「大の部」に大別。もちろんサイズだけでなく、品種別部門も評価の対象となります。
審査員のみなさんをご紹介しましょう。まさに金魚サミットといってもいいくらいの顔ぶれが揃いました。
・(写真左から)鳳凰オランダやブロードテール琉金などの生産にも取り組む、大和郡山を代表する太田養魚場・太田善康さん(奈良)
・日本の大学を卒業後日本のアクア用品メーカーにも在職経験を持つ、中国金魚協会の張奇さん(中国)
・生まれた時から金魚に囲まれた生活を送ってきた、清水金魚3代目・清水大輔さん(浜松)
・この日のためにバイクで駆けつけてくれた目下花嫁募集中の平賀養魚場・平賀範之さん(埼玉)
・高い選別眼や知識を持ち、日本を代表する観賞魚問屋でもあるクロコの能登一郎さん(東京)
・金魚マニアなら誰もが知っている、金魚最大産地弥富を代表する加藤養魚場・加藤寿規さん(愛知)
以上計6名で審査にあたってくださいました。
品評会の実質的なオーガナイザーである、やまと錦魚園の嶋田輝也さんに話を伺いました。「大の部では、らんちゅうやオランダ、蝶尾などが比較的多かったような気がします。珍しいところでは、ローズテールオランダや茶和金、40㎝近くもあるフナ尾和金なども印象的でした。また小の部では、蝶尾、パール、オランダ、琉金が多く出品されましたが、藤ロクリン、鉄魚、ワトウナイ、ドラゴンスケールらんちゅうといった珍しい魚もありました」。今回初めて聞く名前の品種もあり、あーもっとしっかり見ておけばよかったなーと後悔しきり。
余談ですが、嶋田さんといえば3年前の今ごろ天然記念物のコウノトリがなぜか大和郡山市に飛来し、金魚たちを脅かす存在となった際に「金魚ドロボー!」とSNSで写真つきでコメントしておられたのを思い出しました(笑)。もう3年前の珍事でしたが、その後コウノトリはどうなったんでしょうね~。
◆来場者に聞く金魚のエサあれこれ
このクラスの金魚は、上から見るのがベーシックな観賞方法。しなやかな尾びれや背びれ、そして体全体の美しさもしっかり観察できます。優雅に泳ぐ姿を見て、これがもし自分が育ててきた金魚なら、「キミ、最近ずいぶんきれいになったね♡」としみじみ感慨にひたるオーナーも多いことでしょう。
さてさて、飼育上気をつけないといけないのは、どんなポイントなのでしょうか。どんなふうにして成長を目指すのでしょうか。飼育環境もさることながら、エサのことにも気になります。もちろんFLY MIXに対する評価も(笑)。ということで、会場にいた人に色々と話を聞いてみました。
らんちゅうやナンキン、土佐金など、何と300匹も所有している愛知の男性。「何といっても魅力は尾びれの美しさですかね」とニンマリ。今回はわざわざ品評会を見るためにやってきたのだとか。きれいに仕上げるための色揚げのコツは?「とにかく水替え。やっぱり水の汚れは成長を妨げます。そして消化のよいエサを与えることでしょうかね」。エサに対するこだわりはなく、「安くてもOK(笑)!」とのことでした。FLY MIXってご存知?「残念ながら知りません」。ってことは使ったこともないんですよね。機会があればぜひ使ってみた感想を教えてください!
島根からお越しの女性は、出雲地方のお膝元ともいえる出雲ナンキンの飼育を中心にアクア歴20年以上。2m四方のコンクリート製の池12個には、500匹以上がバシャバシャいるのだそうな。一体どんな豪邸なんでしょ(笑)。エサについては?「安いものがいいですね、やっぱり」。え、豪邸に住んでいるのに(笑)?FLY MIXについても伺ってみましたが、未使用とのことでしたので一度試してもらうようおすすめしました。さきほどの男性もそうでしたが、「昆虫(FLY MIXではアメリカミズアブの幼虫)が主成分というのがよさそうですね」と、中身については興味津々。たんぱく質が豊富で、自然界で最も“愛用”されている昆虫成分。食料枯渇の心配もなく安定供給が可能で、アクア新時代にはぴったりなんです。
東大阪市の男性。オランダショートテールなど約50匹を飼育しつつ、「いいのはいるんですが、逆に出品して病気になるのが心配だったんです」と品評会はもっぱら見学のみ。聞くと歯科技工士さん。なるほど、仕事柄病気に関してはシビアなのかも知れません。エサはヒラメ養殖用や粘膜補強用。FLY MIXに関してはまだご存知なかったので、来春からしばらくの間モニター的に使っていただいて意見をいただくことになりました。毎日仕事が忙しいとのことですが、FLY MIXのレポートだけは決しても忘れないように(笑)
豊橋の大木康進さんは、コイや土佐金、地金など、「猫の額ほどの土地に(笑)」舟が12本。そこには総勢約1,000匹と聞いて圧倒されました。アマチュアながらブリーダーの男性。「いやあ、金魚の魅力は女性と同じですよ(笑)」。あー、わかります(爆笑)。きっとおうちには、きれいどころが揃っているのだと思いますが、美しく仕上げるための秘訣は?「エサは安くていいことに越したことはありませんが、水が汚れないエサならさらによし!」。FLY MIXに関して、「水が汚れにくいんだったらぜひ使ってみたいです」と。水の汚れは、単なる見た目だけでなく金魚の健康に大きく影響するんですね。「FLY MIXのサンプル、20キロくらいもらえない?」。無理っ(笑)!
◆使ってみなきゃわからないFLY MIX
せっかくなので出品者の声も聞いてみました。まずはおなじみの金魚マイスターでもある前畑修昭(写真右)さん。マイスターとしては1年目ですが、弥富で行われる日本一大会では2度部門優勝を果たし、自宅では茶金を中心に100匹も飼育しているれっきとした金魚人。「金魚は腸がすべてです」とのこと。腸が丈夫だと体もしっかり大きくなるのだそうです。ほかにもたくさん蘊蓄もありそうなので、もっと話を聞きたいから後日おうちに行きたい旨を告げましたが、「一身上の都合(笑)」でアウト。残念やなあ。「すっごくいい茶金をつくるんですよ」と、同じ金魚マイスターの柴村敏之さん(写真左)も太鼓判を押してくれましたが、あえなく撃沈(笑)。「でもFLY MIXはちゃんと使ってみます!」。嘘ついたら金魚マイスターの資格、剥奪っ(笑)!
今回の品評会では計6匹を出品。大の部の茶金部門で準優勝(写真)、小の部でも茶金部門で準優勝、出目金の部でも2匹が5位入賞を果たしました。
亀岡からお越しの松迫知也さんは小の部の茶金・丹頂・青文魚など4匹を出品(写真・松迫さん提供)。自宅には約20匹いますが、「エサは高価なほうがいいと思います!だから普段から高めのものを買っています!」と、費用対効果に期待感満載(笑)。ということは、比較的プレミアムなFLY MIXにも興味が?「カナダ産というのに若干抵抗はありますが、昆虫という主成分に対して興味があります。どれほどの効果が期待できるのか、使ってみます」。金魚はこれから冬眠状態に入るので効果を判断するのは難しいと思いますが、もし来年春以降に手応えを感じたらきっとレギュラーで使ってくれそうな予感。ご自身がいいと感じたら、もう大丈夫。FLY MIXが亀岡で一大ブームを巻き起こすかも知れません(笑)!
宝塚の茂木康博さんは、初出品でありながら大の部・オランダ型その他の部で3位入賞(写真・茂木さん提供)。小の部でもらんちゅう型その他の部などで4位と5位という好成績を収めました。特に、写真の“かのこちゃん”は、成長するにつれてドット柄が大きくなってきて、「口の赤が残ったのがうれしかったです」。審査では赤が残るほうが有利なのだそうで、今回はうまくいきました。おうちでは、マンションのベランダにプラ舟を3個、室内では水槽を置いてそれぞれ金魚飼育を楽しんでおられます。色々お話を伺いつつ、暖かい季節になったら取材に伺うことになりましたので、その時にまたFLY MIXの効果についてお聞きしてこようと思っています。
それにしても、FLY MIXを今回初めて知ったという声が多かったのが意外でした。やはり金魚に適した国産老舗フードメーカーの影響が大きいのでしょう。これからも、機会あるたびにサンプル配布などの地道な活動を続けていくことが望ましいと思われます。口コミがモノをいう時代ですから。
◆コメットが大会初受賞
それでは受賞魚をご紹介しましょう。大の部総合優勝はコメットを出品した藤井和洋さんでした。ちなみに、これまで行われた同品評会でコメットが優勝するのは初めて。これはアッパレです。まるで鯉みたいなスレンダーなプロポーションに、「大きさや体型、色などすべてにおいて最高のコメットでした」と、金魚コメンテーター☆嶋田さんも絶賛でした。
続いて小の部総合優勝は、大の部でも総合優勝を果たした藤井さん所有のオランダでした。栄えあるダブル受賞。金魚評論家☆嶋田さんによると、「最近オランダの愛好会が全国に広がるほど活発になってきました。特に香川ではオランダの全国大会も開催されるなど、愛好者が切磋琢磨しているので、レベルもかなり高くなっています」とのこと。少しずつではありますが、人気の品種にも変化が生じているようです。
11月も半ばに差しかかると、金魚もそろそろ冬眠状態直前。快晴のコンディションとはいえ、普段部屋飼いしている子にとってはちょっと寒いかも知れません。逆に外飼いの子にとっては、どうってことのないコンディション。いずれにせよ元気がない子には、「魔法の白い粉」が有効です。言っときますが、あのヤバい白い粉ではないのでくれぐれも誤解のないように(笑)。※写真は大の部・第2位の琉金(福井章さん所有)
今回は、奈良や大阪、京都などの関西だけでなく、岡山や島根といった西日本、愛知や静岡、群馬などの東海・関東、そして長崎からの出品もあるなど、今や事前情報はSNSなどを介して全国にも浸透。関西唯一の金魚品評会としてすっかり定着しました。※写真は小の部・第2位の東錦(藤井和洋さん所有)
審査の基準は、品種そのものの特徴が出ているか、全体のバランス、そして泳ぐ姿も評価のポイントになります。※写真は大の部・第3位のオランダ(東英範さん所有)
ところで、品評会の展示に使用されるのは洗面器と決まっていますが、一体、いつ、誰が、どういう経緯で決まったんでしょ。SNSで色々写真を検索してみると、中国などの海外品評会でも洗面器が使われています。そもそも、今時こんなものを使って顔を洗っている人もいないでしょうから、洗面器という言い方も令和にはふさわしくありませんよね(笑)。何でもよく知ってる金魚界のレジェンド☆嶋田さん、ぜひ教えてください!※写真は小の部・第3位のらんちゅう(岩田美幸さん所有)
さてさて、今回大の部・小の部合わせて5部門で入賞を果たしたチャンピオン・藤井和洋さん(浜松在住)は、一体どんな方法で入賞魚を飼育し、どんなエサを与えているのでしょうか。後片付けに忙しいことは承知で、少し話を聞いてみました。※写真は大の部第4位の和金(藤井さん所有)
――飼育しているのは金魚オンリー?
「浮気はしません(笑)」
――金魚の魅力は?
「飼い方によって1匹1匹個性が出てくるのでそれが楽しいんです」
――水替えの頻度は?
「そんなに多くないですよ2日に1回くらいかな。1回1時間はかかります」
――多いじゃないですか(笑)
「夜勤前であっても夜勤後であっても、これだけは絶対やってます」
――今回優勝したコメットのエサは?
「コメットのような長ものにはコイのエサを使っています」
――エサについてのこだわりは?
「ないですね~、色々使ってます。店にプラッと立ち寄った時についでに買う程度です」
――藤井さんもエサより水替え命なんですね。
「これは大事です。色揚げも成長も水替え次第だと思いますよ」
表彰式のあと上田清・大和郡山市長(右)と。帰り支度に忙しい藤井さんでしたが、FLY MIXを来春から使ってもらうことになりました。来年の品評会では、「FLY MIXを使ったから優勝できました!」という喜びの声が聞こえることを祈ってます(笑)。乞うご期待!
◆ファミリーに人気の金魚水族館
第3回金魚フェスでは、品評会のほかにも金魚関連イベントが店内各所で開催。ひときわ目を引いたのが、中央ブースで展示されていた「金魚水族館」でした。
毎年、奈良県天理市に本社のある水槽メーカーの老舗・KOTOBUKIが水槽を提供。高さ50㎝のハイタイプの水槽を4個組にして、計20個を会場の5カ所に分散展示。
しかも、それぞれの水槽に地元の養魚場や専門のアクアショップが生体をプレゼンツするというコラボ企画。クリスマスツリーにも負けないキラキラ感でにぎわっていました。
会場で特に人気があったのが、ピンポンパール。ピンポン玉のようなまあるい体でひれをヒラヒラなびかせる独特の泳ぎかたが可愛いこともあり、子どもたちが見つけて真っ先に近寄ってくるのがピンポンパールでした。
ピンポンパールとは逆に、一番ビッグサイズだったのがローズテールオランダ。ピンポンパールに比べて人口密度は低いものの、いかんせんガタイが大きい分水槽が狭そう(笑)
◆キミは見たか「大和郡山ONE TEAM」の底力
水槽をバンバン叩く今時とんでもないガキ(失礼!お子様 笑)もおらず、さすが大和郡山のおぼっちゃま・お嬢ちゃまはパパとママのしつけが行き届いているようで(笑)
ショッピングのついでに立ち止まる人たちの多いこと。そういえばこの日は天皇即位にちなんだパレードの日でした。にもかかわらず、金魚的行事にたくさんきてくれてありがとうございます!
やっぱり動くものっていいですよね。ついつい見入ってしまいます。
あー、癒されるー(笑)
今話題のKOTOBUKIのスタイリッシュ水槽「ビュース」の展示即売も行われました。圧倒的にホワイトに人気が集中したのも想定内(笑)?
「いやいや、うちは夜店ですくってきた金魚が1匹いるだけなので」とビュース購入者。いやいや、それが金魚生活の第一歩なんです。もしかしたら、1~2年後には出品者として品評会会場にいらっしゃるかも知れないし!あそうそう、エサはFLY MIXですからね(笑)
もちろんFLY MIXの販売も行われました。金魚飼育を地道に楽しんでいる男性や、金魚とメダカを飼育している中級クラスの女性にもお買い上げいただいたほか、「品評会で聞いたから」と購入した人もいらっしゃいました。どうせなら、もっと品評会と連動してタッグを組んだらよかったかも知れません。ま、また来年があるさ(笑)
そうこうしているうちに午後6時。第3回金魚フェスはこれにてお開きとなりました。やっぱり金魚のふるさと・大和郡山で開催される金魚イベントはひと味違います。
今回の金魚フェスでは品評会を重点的に取材してきましたが、改めて金魚の奥深さを知るばかりで感心させられることも多かった気がします。
何よりもチームワークのよさを実感。これぞまさに大和郡山ONE TEAMの底力!運営にあたる人たちの立場はそれぞれ違いますが、これからもスマートな「金魚づきあい」をよろしく(笑)!