「大阪市のとあるところに、レオパばかりが棲むマンションがある」。そんなウワサを耳にしたのは、今年の春でした。レオパの棲むマンション。。それって、今ハヤリの「レオパ〇〇21」とかじゃないの?なんでやねん!なーんて一人でボケたり突っ込んだり(笑)。何はともあれ、真実を確かめるべくレオパワールドを探すことになりました。いやいや、レオマワールドでもありませんから(笑)
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◆レオパのそばで一家団らん
おお~、これがレオパマンション!いつものように読者のみなさんをじらすこともなく、さっさと答をみせてしまいました(笑)。東淀川区のとあるマンションのLDKには、食器棚や家電製品シェルフなどよりもスペースを占領してしまっているのが、レオパたちの棲み家だったのです。
いやはや、圧巻です。一匹ずつしか飼えないレオパの特性を考慮して、約30㎝ほどの長さのプラケースがぎっしりと詰まっています。いや~、こんなLDKみたことない(笑)
レオパたちにとって、それぞれがワンルーム(笑)。まさに、マンション・イン・マンション。
LDKにテーブルがあるということは、ここでご家族みなさん食事も?「はい。みんなで普通に食事してますよ(笑)」と何事もないように笑顔で語るのは、12年前からレオパのブリーディングにとりつかれた男・岩見一雄さん。今も現役サラリーマンではありますが、「あまりにもレオパが可愛すぎて」趣味として飼育を始めていたら、「いつのまにかこんなことになってしまいました(笑)」。
「全部で220匹はいると思います」。げげーっ、そんなに多く?ペットショップと変わりませんね~。「いやいや、レオパオンリーとなるとペットショップより多いと思います」とサラリ。今やどのケースに何がいるか、ほとんど覚えているそうです。
ケースは、繁殖用のアダルトと生後間もないベビーに大別。取材中、声を聞きつけたのか大人のレオパが興味深そうにカリカリやってるのが印象的でした。
やあこんにちは(笑)。アダルトにはひと部屋が与えられています。
こらこら、アカンって(笑)
生後2~3カ月のベビー。両端がベルサングロー、中央がホワイトアンドイエロー。アダルトと違って、ひとつの部屋をさらに3分割。ひと部屋を割り当てられるには、子どもだからまだ早すぎるというわけです(笑)
◆レオパを愛してやまない本当の理由
目を凝らしてみると、いつ産卵したかなど細かく管理されています。「いいレオパに成長させるには、やっぱり管理が第一。不規則な給餌だと、やはり健康にもよくないのは人間と同じです」と岩見さん、ことレオパのブリーディングに関しては絶対の自信をお持ちです。
室温は28度に設定。温度管理も重要なファクター。「確かにほかの爬虫類と比べると飼育は一番簡単ですが、変温動物なのでヒーターも必要不可欠です」。ですよね~、自分で体を温めたり冷やしたりできないんですから。
岩見さんオススメの数匹を撮らせてもらいました。まずはこの子。ブラックナイト。巷ではン十万円もするハイクオリティーレオバだそうです。
ジャイアント。その名の通り、比較的大きくなる個体です。
マックスノーホワイトアンドイエロー。特に女性に人気があります。
最後にスーパーマックスノー。「レオパは人間の手にもなじんでくれていますが、爬虫類にとって可愛がってくれているという概念はありません。むしろ迷惑なのかもしれませんよ(笑)」。なるほど、いちいち構わずにほっといてくれ、と(笑)。逆にいえば、そこがまた爬虫類が飼いやすいという利点でもあるんですが。
ちなみに餌はコオロギ。もちろん生き餌。「そうですね~、餌だけでも月10万円くらいはかかります」。エー、そんなに!?コオロギを飼ってるのかレオパを飼っているのか、わからなくなっちゃいますね(笑)。
一方、別の部屋にいるのは、もうすぐ孵化する予定の卵たち。「単にブリーディングだけでなく、最近は遺伝子の勉強もしていて役立てています」と岩見さん。そうなんです、繁殖はできても遺伝子のことがちゃんと理解できていないと、無理な掛け合わせによって不都合が生じるのは、魚だけではないんです。レオパの遺伝子の研究までする人はなかなかいないからと、ペットショップからもガチで問い合わせが少なくないそうです。
取材の日の朝、生まれたばかりという赤ちゃん。そばにはまだ卵のかけらが残っています。「やっぱりこの瞬間が一番感動しますね。レオパを飼っているのは、このためだといっても過言ではありません」。
◆全国のレプイベントに東奔西走
岩見さんは、「Ka’z Leopa」の屋号でブース出店しています。あ~、やっぱりあの人か~と気づかれたかたも多いのでは?岩見さんのパソコンには、今後開催されるレプイベントのスケジュールがびっしりと。だからなかなかアポがとれなかったんですね~(笑)
岩見さん独自のイベント販売用ケース。通常、12㎝がほとんどなのですが、岩見さんは15㎝のものをわざわざメーカーから取り寄せて使っているそうです。少しでも広いほうがレオパにとって快適でしょうし、底に敷かれた黒いケント紙のおかげで見栄えもばっちり。これもすべて岩見さんのこだわりなんです。
その容器には、ちゃんと生体ごとにデータが細かく刻まれています。「いいレオパに出会うためには、出所や生まれた日がきちんと書かれていることが必須条件です」。爬虫類も野菜も、生産者の顔がみえるということはやっぱり大事なことなんですね。
今年4月に神戸で開催されたコウレプでのひとこま。こうして日頃からきっちり管理されたレオパは、どのイベント会場へ行っても注目の的です。ちなみに、スタッフたちもレオパファンであると同時に、れっきとした岩見ファンばかりなのです(笑)
最近増えてきた“爬虫類女子”たちも岩見さんブースへ。この女子グループも、岩見さんがブリーディングしたレオパがお目当てでした。「私はこのブースでしかレオパは買わないんですよ!」と言う女性も少なくありません。エンドユーザーが言うのだから、間違いありませんよね。
イベントでレオパを買った人には、もれなくトートバッグ風の保冷バッグがついてきます。しかもファスナーつき。もうこれだけでもかなりおトクです。
ほらほら、さきほどの爬虫類女子の手にも(笑)。こういったレオパユーザーとのオフ会も開催されるなど、岩見さんのファンは多いんです。
岩見さん、この先の目標とか夢とかはありますか?「実はあと3年少しで定年なんてす。その時期がくれば、さらに本格的にレオパを扱っていこうと思っています」。その言葉、待ってました(笑)。だって、趣味とはいえこれほど質のいいレオパを飼育管理しているブリーダーさんなんですから、レオパファンにとってこんな心強いことはありません。
レオパならぜひうちで買ってください、とは最後まで言わなかった岩見さん。「いやまあ、それは人それぞれですから(笑)」。温厚な人柄。徹底したこだわり。そして静かな自信。世界でただ一人、レオパマンションの管理人のこれからが楽しみです。
★レオユーザーなら一度はチェックしたことがあるという岩見さんのブログ「KAZのハチュ記録」はこちら
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