大阪キタ・繁華街のど真ん中。バナナホールの目と鼻の先にあるのは、つい最近移転した爬虫類専門店・サティスファクトリー(大阪市北区)。ユーザーを迎えるのはいつもの女性スタッフ。個体のクオリティーを維持するための環境もさらにバージョンアップ。ただ今までと違うのは、想像もしなかった店内。これは超意外でした。こんな爬虫類ショップ、見たことない(笑)!シン・ゴジラやシン・ウルトラマンに続き、シン・サティスファクトリーの快進撃は始まったばかりです。
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◆異次元空間の理由
こ、こ、こ、れはまさに異次元空間!もしかして夢でも見ているんでしょうか。地球にいるんですよね!?まさかUFOにさらわれたわけではないんですよね(笑)?まるで研究ラボのようなエモーショナルな空間。あの超人気ゲームソフトに登場するアン〇レラ社のような雰囲気も。
ここは梅田のど真ん中。あの繁華街で超にぎやかな阪急東通り商店街の一角で、ライブの殿堂・バナナホールがすぐ目の前。まさかまさかそんなところに、近未来な空間で彩られた爬虫類ショップがあったとは意外すぎました。
オーナーいわく、ホワイトとクリアがコンセプト。爬虫類というとブラックのイメージが強い中にあって、このカラーリングは異色中の異色。真逆のテイスト路線。純真無垢に飼育されたピュアな個体を、真白な気持ちでお迎えしてもらおうという表れにほかなりません。
接客にあたっている女性スタッフを見ると。。ん?今日はコスプレイベントの日(笑)?いやいやそうではありません。すべてリニューアルコンセプトの一環。とことんホワイトにこだわりました。
店長以下、スタッフが身にまとっている新・オフィシャルユニフォーム。実際に医療現場で使われているものと同じ仕様のドクターコート。聞いたところによると、誰もが知っているあの女性アンダーウェアメーカー製。ユニフォームひとつにもこだわりがかいま見えます。これぞサティスのホワイトニング効果!
当ショップでお迎えした個体であってもそうでなくても、できる限りのメディカルチェックと飼育相談をさせていただきます、というオーナーの爬虫類愛は不変。このリニューアルは単にイメージカラーを変えただけではなく、以前からの代名詞でもあった「レプたちの駆け込み寺」をさらにブラッシュアップさせた結果といえるでしょう。
だから接客もバッチリ。といっても、決して売らんかな主義ではなく。それよりもっと大切なのは、エンドユーザーとのスキンシップと自らのスキルアップ。スタッフ自身がそれぞれお気に入りの爬虫類と自宅で暮らしながらショップと同時並行するなどして、日夜研究に明け暮れているからです。そう、白衣はダテじゃないんだぜ(笑)!
◆ユニークな飼育ケージ
天井を見上げると、新たに空調を増設。リニューアルで空調まで増設したのも、レオパやヘビたちのコンディションを重視したためにほかなりません。それぞれの生体に合わせた適切な配置。新型の換気扇がロスなく稼働しているほか、加湿器も大型タイプにリニューアルされフル稼働しています。
パッと見たところでは、以前の2倍以上の広さがあります。壁面にびっしりと飼育ケージを配置しているのも、効果的な空気の流れを考慮した結果。ちなみに、ブラックの縦長ケージにはカメレオンちゃんがいます。
飼育ケージもすべて新しいタイプにリニューアル。しかもオールオリジナル。これまでの経験がかたちに表れています。こちらは主にヘビなどがいるゾーン。ひとつのユニットにMAX20匹。
基本的に24時間稼働。温度管理を行うための温度調節パネルが並んでいます。ひとつのサーモスタットで、全部で5段ある飼育ケージを段ごとに温度管理するシステム。このシチュエーションも近未来的そのもの。
ケージの奥に見えるのが、温度管理を行うためのケーブルヒーター。もちろんこれもオリジナル。サーモスタットやケーブルヒーターにも、オーナーのきめ細かい爬虫類愛がかいま見れます。
他店にはない独自の保温管理飼育システム。この際、HKSSと呼びたい(笑)!爬虫類たちが快適にすごせるよう管理して、健康で良質の個体をユーザーに提供したい。そんな基本的な発想が爬虫類飼育の理想形を生み出しました。
ん?どこかで聞いたことのあるフレーズに、思わず膝カックン(笑)。なんのなんの、店内の高温ゾーンで使用されているものとほぼ同じ方式のケージで、ヘビやレオパが飼育管理できる販売用ユニットだったのです。これは欲しくなりますよね。一度に10匹のレオパが飼育できる、やっぱりレオパたちのマンションだからネーミングもこんなふうに着地したのは容易に想像がつきます(笑)。A棟はまだ少し在庫がありますが、A棟の2倍のサイズだったB棟は好評につき完売。次回いつごろの入荷になるかは未定とのことでした。
もちろんレオパパレスにも、ケーブルヒーターがビルトインされています。店内の飼育ケージと販売用のケージは素材や形状に若干の違いはありますが、自宅で1度に10匹飼育が可能。何より、オリジナルで設計された店内のユニットとほぼ同じオーセンティックな商品が入手できるというのは安心感があります。
◆尻尾がまっすぐな意味
こちらは、見開きタイプで湿度計がビルトインされているユニット式のケージ。現在は主にトカゲのベビー専用に使用されています。このほか、アオジタトカゲもいますが、微妙な温度管理が行われているのが特徴です。
ヤモリのなかまで、通称・ラコダク。ニューカレドニアのヤモリで、どちらかといえば店長推し。夜行性だからでしょうか、目が縦にクッキリほっそい。切ないくらい(笑)。
大人になると30㎝まで成長するとのこと。アゴの部分がたいらになっているのが特徴のよう。しれっとしていて可愛い。
ケージ内には、流木だけでなはく発泡スチロール製のポールがあります。店長曰く、「ヤモリは樹上性なので、しっかり登れる流木などが必要なことは知られていますが、それだけではないんです。ケージが狭すぎると休まるところがなくなり、ストレスの原因にもなるんです。でも、あれ(発泡スチロール製ポール)があれば大丈夫。うちで育った子はしっぽもまっすぐきれいですよ」。今まで尻尾まで気にしたことがありませんでした。こういうきめ細かいところまで配慮・実行できるのが、さすがのサティススピリット。
あの子もこの子も、言われなくてもわかってるよ的に特製ポールがお気に入り。流木ではなく、自らの意思で寝そべって心も解放。人も爬虫類もストレスは禁物。健全なハートがあれば体だって健康に育ちます。
この子たちのいるケージもオリジナル。アクリルメーカーとのコラボ製品で、総アクリル仕立て。軽量かつ丈夫で、通気のための穴も上部・下部の2カ所あります。
開閉は小さなマグネット3つでひたっと完成。機能性にも優れています。
こちらも販売用がラインナップ。全部で3サイズ。案の定、すごく売れています。気になったユーザーはぜひ。
◆爬虫類愛という真実
ヘビコーナーには、ボールパイソンが。白がベースで、ところどころに模様が入ってます。モルフの一種で、体の模様が部分的に消失したものをパイ(パイボールド)と呼ぶのだそうで、「原色の模様と白い部分が交互に表れる不思議な表現をしているんですが、この子は特に白と黒だけのパンダ柄になってます」と、マネージャー推し。販売用だけど自分の個体のように愛情を持って接するスタッフたち。サティスにはいい個体がいるといわれる所以でもあり、これこそがサティスの強みでもあります。
この日来店したのは、リピーターのシンヤ君(右)。自宅ではヘビ8種、トカゲ3種、クモなどの奇蟲類30種、古代魚なども5~6種を絶賛飼育中。このほかカメ、イモリ、カエル、アルバーティスパイソンなど多数所有し、爬虫類愛に満ちています。しかも古武道のコーチとして出身大学に出向いているという変わり種。キワメテ記者もかつては空手人だったということもあり、話が弾む弾む(笑)。後日、3匹目のアルバーティスパイソンをお迎えするタイミングを狙って自宅にお伺いすることになりました。久々の爬虫類ユーザー取材、今から楽しみです。
爬虫類特有のにおいがほとんどしないとよくいわれるサティス。だからこそ来店しやすいし女性客にも抵抗がないのですが、「普通にお掃除しているだけなんですよ(笑)」と店長。ひたすらケージごとをチェックし、排泄物があったらひとつずつていねいに除去。そんなシンプルな作業ではありますが、実はそれが一番大変なんです。消臭スプレーとも無縁です。
大阪市内、しかも梅田の繁華街のど真ん中にショップを構える希少な爬虫類シップ・サティスファクトリー。オールマイティーに爬虫類をざっくり店頭に並べるのではなく、1匹1匹こだわり抜いた個体だけを揃えてお迎えを待つ。いわば爬虫類のセレクトショップ的存在。
今回のリニューアルで、そんなショップのコンセプトが今まで以上に明確になった気がします。販売前も、販売中も、そして販売後も。スタッフのスキルによって個体のクオリティーに自信があるからこそ。リニューアルして正解でした。
爬虫類愛。この言葉が、サティスファクトリーのものだけではありませんように。