「大和郡山といえばやっぱり金魚でしょ!」。当然っちゃあ当然の成り行きで、開業後すぐに水槽を待合室に置いた奈良県大和郡山市の鍼灸整骨院 楽(らく)院長・橋本和孝さん。当初は1本でスタートしたアクアライフでしたが、生きもの好きな患者さんたちの後押しもあって次第にバージョンアップ。施術を待つ待合室で、アクアとともに寄り添う患者さんたちとのアットホームな空気が毎日流れています。
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◆ええとこ北端
近鉄橿原線・九条駅周辺は、田畑が数多く残るのどかなエリアで、金魚池もところどころに。
さほどマンションなどの高い建物もないことで周囲の見通しもよく、世界遺産の薬師寺も望めることができます。
なるほど、かつてこのあたりは平城京の一角でもあったんですね。
大和郡山市内ではありますが、どちらかというと奈良市に近いほぼ北端。幹線道路に面した一角に、鍼灸整骨院 楽(らく)がありました。
開業後すでに10年あまり。患者さんにやさしい保険適用内で施術が受けられ、幅広い年齢層で地域の人々から親しまれているまちのお医者さんです。
◆そうだ!金魚置こう!
入口を入って右サイドで60㎝水槽が患者さんたちをウエルカム。勝手知ったる子どもたちすっかり人気で、2匹の水泡眼に「こんにちは!」「バイバイ!」に声をかけることが日常的シーンのひとつになりました。
小さな子どもの目線だとこんな感じに見えるのかな。
さらに真正面には、白いフレームが印象的な2本の水槽が。これも60㎝。どうやらこの水槽が、開業後設置した記念すべき第1号なのだそう。
上段の水槽にはデメキンや白ランチュウのほか、小さくてわかりづらいですがヤマトヌマエビなども。また下段の水槽には和金やリュウキン、よく見るとドジョウやタウナギなど、金魚以外の住民もいたりなんかします。
入口に近い水槽にいる水泡眼はいつも仲良し。平和ですよね~。当初のコンセプト通り、入れ替わりこそはありますが今も金魚がメインです。
設置理由は、大和郡山といえば金魚だから。いやあ、そうこなくちゃ。そのコンセプトは正しい。
◆めっちゃ金魚づきあい
院長の橋本和孝さんは36歳。奈良市出身で、学校も遊びも近鉄沿線でこなし、高校卒業後は専門学校で学び整骨医を目指しました。もともと生きものが好きで、開業時に真っ先に思いついたのがアイキャッチとしての金魚水槽を院内に置くことだったそうです。「私だけでなく、みなさん同じ思いで金魚を置いているのだと思ってました(笑)」。
待合室も施術室も結構広々。そしてバリアフリー。
密室空間的な暗さもまったくなく、年齢や性別に関係なく安心して利用できる環境が整っています。
医院サイドの合理化を考えれば予約制がいいのでしょうが、それをしないのは「体の調子がよくないなと思った時、いつでも気軽に立ち寄っていただけるような場所にしたかったんです」。これぞ患者さんファースト。
患者さんが水槽に接する時間も当然増えて、アクアに関心を寄せる人も少なくありません。会話も弾み、「患者さん自身が飼育してこられた金魚をくださったり、たくさん育ったからとミクロソリウムをいただいたこともありました」。
タウナギやドジョウもその一環。「ご自身の田んぼにいる生きものを持ってきてくださいました(笑)」。どこにいるか見えへんけど。
また、子どもたちにとっては地域のちいさな水族館。お母さんが施術している間も、待つのに退屈することなく生きものとふれあいながらコミュニケーションを図っています。
できれば、施術中のベッドからも見えるアクアビューは難しい?「う~ん(笑)、どうなんでしょうスペース的に厳しいかも知れません。いや、15㎝キューブくらいなら何とかなるかな?」。いやいや冗談ですから。結構真面目に話を聞いてくれる心優しき橋本院長でした。
◆先住民はウーパールーパー
受付のところにも水槽があります。こぢんまりとした20㎝キューブが、限られたカウンタースペースによく似合っています。
目を凝らしてみると、きれいなベルベットブルーシュリンプが数匹わさわさ。ソイルなどのアクセサリーとのカラーカーディネイトもイケてます。
以前はここにウーパールーパーがいて、患者さんたちの間で人気者だったとか。残念ながらキューブ水槽では限界があり、かなり大きくなりすぎてやむなく自宅の水槽に移動。主役の座をエビに引き渡しました。
これが自宅のウーパールーパー。これからも元気に育ってね。※橋本院長提供
あ、ついでに自宅の水槽はほかにも。かつては1本だった待合室の水槽は、患者さんのご好意もあって少しずつ増え、自宅にもアクアなシーンが受け継がれています。※橋本院長提供
◆エビたちの楽園目指して
もうひとつ水槽がありました、オフィスに30㎝キューブ。ここにもエビがいるんですが、もしかしたらエビを増やしていきたい感じ?「まだ実験段階ではありますが、そうなればうれしいなと思ってます」。おお~、エビユーザー増えてほしいです。
そういえば、入口に近い60㎝の水槽にはウォーターフェザーが。これもゆくゆくはエビたちの安息の場にしたいシロモノ。「モスマットのイメージで始めてみましたが、光が足らないのか多すぎるのか、なかなか思うように育たなくて。自宅ではうまくいってるんですが、水槽をふわふわの緑で埋めつくすことができればいいな、と」。
2段ある水槽の上段にもウォーターフェザー。こちらはきれいに色づいてますね。「でももっと密集させないとね(笑)」。
オフィスの水槽にいるレッドビー。ウォーターフェザー効果が功を奏して、エビたちの楽園になればいいですね。「でも、なったらなったで、たぶん隠れ家にしてしまってツマツマしているシーンはあまり見られないかも知れません(笑)」。念じましょう、ツマツマしてねと。
◆院長が本気出した
普段の水替えは橋本院長自らが。エサやりはパートの女性スタッフが担当しています。
院内には患者さんが撮った地元の写真がパネルで掲示されていたり。
患者さんが社会活動に参加する告知ポスターが貼ってあったり。
医院というより、まちのコミュニティーセンターのような親しみとあったかみがあります。
魚の数そのものはさほど多くはありませんが、アクアな待合室は確実に患者さんたちの癒しにひと役買っています。
おお~、オフィスで年季の入ったこんなものも見つけちゃいました。大和郡山といえば、金魚すくい大会ですからね。「7年前に医院内でチームをつくって出場したこともあるんですよ」。めっちゃ金魚ってますやん!
その時の写真がこれ。橋本院長、若し。7年前といえば水槽メーカー・KOTOBUKIも出場してたはずです!※橋本院長提供
おお~、かつては野球少年でしたか。「小中、そして高校でも少しやってました!」。まるでワンダーランドのようなオフィスでした。
◆ポイ投げ選手権にエントリー
今橋本院長が注目しているのは、あの全国ポイ投げ選手権大会。こんなイベントも地域でやってますよと振ってみたら、俄然テンション上げ上げ。「知らなかったです。出ます出ます(笑)」。どうやら、上位に入賞するとセット水槽がもらえるという賞品に目がくらんでしまった様子。
「どうやったら遠くまで飛ぶんかな~」と、イメトレよろしく振る右腕の力強いこと。野球経験者の橋本院長、肩の強さにも自信があるのだとか。野球も整骨医も力が必要ですからね。ぜひ新記録を打ち立てちゃってください。
「わかりました!」。あ~本気やこの人。