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【観光】水のある風景vol.47☆100年以上の歴史を紡いできた2分30秒の船旅・天保山渡船(大阪市港区)

Posted on 2022年7月1日2023年5月13日 by aquariummagazine

大小いつくもの川が流れる水の都・大阪。そこには、今も渡船と呼ばれる水上交通が現存しています。その歴史は何と100年以上。今では大阪市が管理し、水上ではありますが「市道」という位置づけ。観光船ではない、れっきとした大阪市民の足。そのひとつ、大阪港やUSJにもほど近い、天保山渡船に足を運んでみました。今日も明日も、川の向こうには人々のくらしがあります。

☆     ☆     ☆

◆大阪港のかたすみに

大阪メトロ中央線・大阪港駅から歩いて10分足らず。海遊館や大型商業施設のあるエリアは、関西屈指の観光スポット。少し前までは、多くの外国人観光客でにぎわっていました。

 

関西屈指の客船ターミナルでもあるこの場所。この日は接岸する船はありませんでしたが、日本国内のみならず諸外国からやってくる大型客船の寄港地でもあります。

 

目の前に広がるのは、海ではなく安治川。貨物船やタンカーなど、さまざまな種類の船が係留されています。

 

観光客を乗せてUSJとを結ぶシャトル船。まだまだ余談を許さない状況が続いていますが、ようやく人が戻ってきました。

 

大阪市の「みおつくし」のマークをつけた小さな船。浪を蹴立ててすぐ前の対岸へ向かったり、またこっちへ走ってきたり。折り返し運航をしているこの船こそ、大阪市内に現存している渡船そのものでした。一体、どんな船がどのような人を乗せているんでしょうか。早速乗り場へ向かってみました。

◆年間150万人を運ぶ大阪の渡船

着いたのは天保山公園。昔ながらの公園は、海遊館などのにぎわいとはまったく無縁の静かなたたずまい。

 

少し小高くて丘のよう。それもそのはず、江戸時代に船の通航の妨げになっていた川底の土砂をさらって積み上げて完成した「山」だからです。

 

浚渫工事が行われたのが天保年間。天保山の名がついたのは、それがきっかけでした。かつては高さが20mもあり見晴らしがよく、「諸国名所百景」にも登場した大阪でも有数の景勝地でもありました。

 

あの坂本龍馬も、寺田屋事件後に妻・お龍を引き連れ鹿児島へ向けて船で出航した場所でもあります。これが何と、日本最初の新婚旅行だったとは。

 

そして、誰もが知る「日本一低い山」天保山。標高わずか4.53m。明治44年(1911)に国土地理院が認定した、れっきとした山なのです。

 

乗り場らしき建物と停泊中の渡船が見えてきました。

 

ここが天保山渡船場。小さな建物の1階は待合室。ちょっとした旅情すら感じさせてくれます。

 

乗船の心得。

 

万一の時の避難場所一覧。

 

ここだけカラー。

 

渡船は30分に1本の割合で出航しています。

 

このマップを見る限りでは、大阪市内の南西部8カ所に渡船が現存しています。一番多い時には31カ所もあった渡船ですが、時代の変化とともに減少していき、今に至っています。

 

それでも、現在では8カ所の渡船場で年間150万人もの市民が利用しているのだとか。天保山がれっきとした山であるように、渡船はれっきとした「道」であることに違いはありません。

◆「頼もしき男」に安全を託す

このトビラが開くと乗船開始。短い桟橋を渡り、ポンツーン(台船)を経て船内へ。あっという間に乗船手続き完了です。

 

利用客が全員乗り込むと、船はエンジン音を響かせて対岸に向けて出航。座席はありません。オール立ち席。定員は80人。

 

ふと安治川の上流方向には、大阪市内の高層ビル群が見えています。こんな経験、めったにできません。

 

時折、左右や上下に身を任せながら安治川の上をスイスイ。側面の開口部も広く、潮風も心地よく。

 

安全と安心を託された、頼もしき海の男。

 

こちらには、天保山のランドマークの観覧車や大型商業施設、海遊館、そして南港方面も。ふだん見慣れた風景を、こうして間逆から眺められるのも船ならでは。

 

束の間の船旅気分に浸っていたら、あっという間に対岸の桜島側に接岸。ストップウォッチで計ってみると、わずか2分30秒の船旅でした。

 

そして、船が着くや否や桜島側からは利用客が乗り込み、再び天保山側へ向けて出航していきました。

◆継続こそ力なり

桜島側の周囲は、マテリアル工場や物流倉庫などが数多く建ち並んでいます。

 

こんなレトロな食堂もあります。

 

何やら歓声が聞こえていたと思いきや、USJのすぐそばまできていました。

 

大阪環状線桜島線・JR桜島駅も歩いて10分ほど。今でこそUSJや一般住宅も整備されましたが、昔は関西の経済を支えてきた工場地帯でした。かつてはそんな人たちを数多く乗せてきたのも、渡船の大きな役割だったに違いありません。

 

元きた道を戻り、再び桜島側の渡船場へ。

 

待合室は天保山側よりも広い感じです。

 

観光で訪れたご夫婦あり、USJ目的に乗船した女子あり、食料を買い込んで桜島側に戻ってきた工場作業員あり。さまざまな日常でのそれぞれの目的があり、そんな人たちの思いやくらしを渡船が運んでくれています。

 

2分30秒後に再び天保山側に接岸。渡船スタッフのみなさん、お疲れ様です。大事なことを言い忘れていました。乗船料は無料です。

 

 

水のある風景、船から見る風景。そこにはまちや人の歴史があり、いつもくらしと隣り合わせでした。

 

水の都・大阪で、渡船が積み上げてきた100年以上にわたる歴史の重みを感じるには、わずか2分30秒の船旅では短すぎるのかも知れません。

 

でも渡船たちは知っています。継続こそ力なり、という事実を。

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