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【スポット/前編】知られざる生きものたちの宝庫?万葉集ゆかりの和歌山県・和歌の浦周辺

Posted on 2024年10月18日2024年9月27日 by ikedakoji

「絶景の宝庫」として2017年に文化庁・日本遺産に認定された和歌山県和歌の浦。昔から多くの歌人に詠まれ、今もおだやかな海を中心とした風光明媚なシチュエーションは今も変らず。そんな和歌の聖地は、干潟でわさわさ磯遊びが楽しめるフィールドでもありました。

☆     ☆     ☆

◆和歌にまつわる美しい海岸美

県名の由来ともなった和歌の浦。和歌山市の南方に位置し、美しい海岸で彩られた独特の地形が印象的で、和歌山市屈指の観光地であることはいうまでもありません。

 

陸地から南東にかけて長く伸びた独特の地形。全長約2㎞の細長い形状は、日本三大景観のひとつ・天の橋立(京都府)に似ています。さすが日本遺産。絶景の宝庫たる所以はここにあります。

 

松林の向こう側は、外海に沿って砂浜が広がる片男波(かたおなみ)海岸。海水浴はもとより、パラセーリングなどが楽しめるマリンスポットでもあります。

 

青い屋根は、万葉集に関する資料が収蔵されている万葉館。

 

部分的ではありますが、遊歩道も整備された美しい海のある風景。1300年も前の昔から、歌人たちはこんな風景に心を寄せながら歌を詠んだのでしょう。

◆健康・長寿を願う不老橋

和歌の浦の観光シンボル「不老橋」。1851年に紀州藩10代藩主・徳川治宝により完成。橋の北西方向にある紀州東照宮の祭礼の際に、徳川家や東照宮関係の人たちが渡る「お成り道」として架けられた由緒ある石橋だったそう。

 

石橋をつくるにあたって、熊本県や当県湯浅町から多くの石職人たちがやってきて、橋づくりに貢献。江戸時代のアーチ型石橋としては、九州地方以外では大変珍しい存在。思わず長崎にある日本最古のアーチ式石橋「眼鏡橋」を思い出しました

。

遠くに見えるのは紀三井寺。不老橋には、「不老不死」の願いが込められています。橋を渡ることで、元気で老いることなく長寿できますように、と。健康や長寿への願望は今も昔も同じ。ちょっと生きづらい時代ではありますが。

 

不老橋とほぼ並行した車道がありますが、よく見ると橋脚のデザインなどにも統一感があります。

◆県下屈指の干潟の秘密

海にほど近い川に沿う歩道も、レトロな演出。

 

海面ギリギリまで人が下りられる石段も。

 

ここにも石段。実はこの付近、県内屈指の干潟があることでも知られているのです。干潟は干潮の時にのみ出現するのですが、その規模がかなり大きいのだとか。ということは、干潟には多くの生きものが生息するってことなんでしょうか。いつの間にか観光モードからアクアモードへ。おだやかな海を眺めているとさまざまな想像をかき立てられるのも、アクア好きの性なのかもね。

 

和歌の浦にほど近い和歌山県立自然博物館の主査学芸員・楫(かじ) 善継さんによると、潮位差の激しい日の干潮時になるとかなりの規模で干潟が現れ、普通では見られない珍しい生きものが観察できるそうです。おお~、やっぱり。

 

何といっても代表的なのは、ハクセンシオマネキ。「カニの一種なんですが、左右どちらかのハサミが大きくて、白色をしています。繁殖シーズンになると、大きなハサミを動かしている様子がまるで白い扇で潮を招くように見えることから、この名がつきました」。なるほど、だから「白扇潮招」か。ヘー、面白い!

 

ハクセンシオマネキは絶滅危惧Ⅱ類。干潟そのものが環境の変化によって全国的に少なくなっていることから、ハクセンシオマネキが見られるエリアもかなり限られてきているのだとか。ほかにもチゴガニやコメツキガニ、トビハゼ、イボウミニナ(絶滅危惧Ⅱ類)など多くの生きものが観察できるそうです。マジか~。

 

ラッキーなことに、取材に訪れたこの日、あと1時間もすれば干潮を迎えることが判明。なんという偶然!やっぱり持ってます。

 

「いやあ、たぶん今日は見れないと思います」と同博物館の楫さん。え、なんで?干潮ですやん。「同じ干潮でも、潮位差が激しい時とそうでない時があるんです」。で今日は?「んー、小潮ですからねえ~。潮位差はわずかだと。やっぱり大潮くらいの時でないと難しいと思うんですよ」。そっか、干潮なんてみんな同じだと思っていたキワメテが無知でした。

 

それから1時間後。干潮の時間になりました。れれれ?海面を見る限り、潮が引いた様子はまったくナッシング。さっきと全然変われへんやん!

◆ひたすら自分を信じて

干潟が出現するのは、妹背山を中心とした小島の周辺。話によるとかなり大規模な干潟が出現するらしいのですが、その気配はまったくなし。

 

今まさに干潮の時間なのに、水はたーっぷり。

 

1カ所だけこんなところがありました。干潟というよりただの磯のような。やっぱり楫さんの助言は正しかった(当たり前だ)。ちなみにこの日、直前の満潮との潮位差はたったの3㎝だと(泣)。トホホ。勉強になりました。とりあえず手ぶらで帰るのもあれなので、磯まで下りてみました。いくら小潮でも、もしかしたら1匹くらいハクセンシオマネキがいるかも知れませんから。

 

ひとつひとつ潮溜りなどをチェック。いな~い。

 

この付近も、あの付近もすべてアウト。ほかにも色々チェックしてみましたが、いる気配はまったくありません。やっぱりアカンか。

 

いないとなったら余計に見たくなるのが人情というもの。そろそろ退散しようかなと思ってたら、石垣のところでゴソゴソッと音がしたと思ったら数匹のカニと遭遇!やった!

 

人見知りなのか、カメラを持つ不審者と思われたのか、逃げ足の早いこと。でもとりあえず数匹のカニを確認しました!これってハクセンシオマネキ?

 

違った。一番近くまで寄れてこれ。何というカニなのかはわかりませんでしたが、ハサミの大きさや色などからしてハクセンシオマネキとは違うのか明らかでした。あとで楫さんに確かめてみたら、おそらくフタバカクガニではないか、と。

 

ってことで、この日の成果は結局これだけ。あと、トビハゼらしいものがピョンピョン跳ねる可愛い姿も確認できましたが、カニ同様近寄っていったらどこかへ逃げちゃいました。

 

この付近にハクセンシオマネキがいることは間違いないのに、この日はまさにボウズ。会いたかったなー。どうしても観察したいと思う人は、干潮の中でも潮位差が激しい時間帯を選ぶべし。撃沈。

 

なんという残念な1日。でも仕方ないですよね。後ろ髪を引かれる思いで和歌の浦をあとにしつつ、自身も一句したためてみました。

和歌の浦 

ハクセンシオマネキと会えずじまい 

我泣きぬれて 

カニとたわむる

なんじゃそら。

【後編へ続く】

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