2016/10/08ショップ, スタッフ, ユーザー, 取材, 告知, 商品, 地域社会, 専門家, 技術, 海水魚, 淡水魚

【製品】ヒーターは何よりも安全性☆シーズン到来を前に知っておきたいこと

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10月に入って、いよいよ秋めいてきました。

同時に、アクアユーザーにとってはヒーターの準備もそろそろ視野に入れておきたい時期でもありますね。

初めて冬を迎えるアクアユーザーもいれば、何度目かの冬を越してそろそろ買い換えを検討しているユーザーもいることでしょう。

とはいえ、どのようなタイプのヒーターが適しているのか、使用上注意したほうがいいのはどんな点なのか、気になるところでもあります。

今回は、そんなヒーターのことで悩めるユーザー必見企画。

最近のヒーター事情に詳しいアクアショップの声に耳を傾けながら、ヒーターの部門でも常に安全性を追求してきたKOTOBUKIの製品を検証してみたいと思います。

 

 

◆「お客様が安心して使える質のいい商品」こそお店とメーカーとの共通した思い

 

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訪れたのは、大阪府吹田市にあるP&LUXE(ピー・アンド・リュクス)。以前「キワメテ!水族館」でもご紹介したことのある総合ペットショップで、ことし創業10周年を迎えました。すべてのペット関連用品に関して、「お客様が安心して使える質のいい商品しか置かない」と、常にユーザー目線のスタンスに立っていることで、リピーターも多いお店です。

 

▲P&LUXE 野口隆英さん

▲P&LUXE 野口隆英さん

そして、お店のオープン時からアクアを担当しているのが、野口隆英さん。アクア歴は20年以上。なぜか前職は、編集者として京都のお寺や仏像に携わっていたという変わり種です(笑)。ヒーターの本格シーズンを前に、ヒーターに対するユーザーの意識やどのような製品が求められているのかなどを、語っていただきました。

 

▲KOTOBUKI・杉田雅司営業部係長

▲KOTOBUKI・杉田雅司営業部係長

一方、今年創業50周年を迎えたKOTOBUKIで、西日本エリアを中心に広く営業活動を行っている杉田雅司営業部係長。「お客様に安心して使ってもらえる製品を届けたい」とのポリシーのもと、日々東奔西走しています。常にショップのニーズを探りながら、商品開発にも関与。常に業界をリードしながらたどりついた、KOTOBUKIのヒーターの安全性について解説していただきました。

※以下敬称略、司会・「キワメテ!水族館」編集部

 

◆意外と多いオートヒーター単体によるトラブル

 

▲理想の「水槽内冬支度」の図

▲理想の「水槽内冬支度」

 

――一般的にヒーターは、どの時期から売れ始めるのでしょうか。

野口 毎年10月の半ばくらいからでしょうか。私たちが「そろそろ涼しくなってきたな」と感じるころとだいたい同じです。朝夕の温度が下がることで水温も急激に下がる可能性もありますので、本来ならもう少し早めに準備したほうがいいと思います。

――なるほど、人間の体感温度より魚のほうがシビアだと思っていたほうがいいわけですね。

杉田 人間は衣服で調節できますけど、魚にはそれができませんからね(笑)

野口 ヒーターは、やはり早めに設置するに越したことはないんです。冬に弱い熱帯魚は特にそうです。今飼いやすいと流行っているベタも、もともとタイの魚なので寒さには弱いですから。

 

▲高性能センサーが26度に自動調整してくれるオートヒーター

▲高性能センサーが26度に自動調整してくれるオートヒーター

 

――どんな種類のタイプのヒーターが売れ筋でしょうか。

野口 やっぱりオートヒーターですね。これが一番よく売れます。コンセントに差し込んでオンにさえしておけば、サーモスタットなしでも適温だといわれる26度で常に使えるので、特に初心者には便利だと思います。ただし固定した水温でしか使えないので、魚の種類や水槽の大きさによっては適さない場合もありますので、注意が必要です。

杉田 そういえば、サーモスタット(任意の温度をコントロールできる別パーツ)が別途必要なヒーターなのに、オートヒーターだと勘違いしてヒーター本体だけ買って、使ってみて水温が異常上昇してしまったというトラブルが時々あります。

野口 うちの店でも時々ありますよ。そうした間違った使い方をしたにもかかわらず、「ちゃんと使っていたのに異常高温になってしまった」とクレームが。

――そうなんですか。それってユーザーの完全な誤解というか使用上のミスですよね。それに対応しないといけないお店もメーカーも大変ですね。

野口 誤使用の場合はわかりますよ(笑)

――え、「動かぬ証拠」みたいな?

 

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野口 間違って使った時は、ヒーター本体に貼られたワット数を示すシール(写真上)が異常にふやけてしまっているんです。

――なるほど、高温によってシールがフニャフニャに。それだとハッキリわかりますね。

杉田 ヒーター単体で使用しないように、パッケージにも注意点を書いてるんですけどね。

野口 バラ売りの場合は難しいですよね。メーカーとしては、どちらか一方が壊れた場合でも対応できるように、との配慮なのに。まあヒーターに限ったことではないんですが、そうした注意書きをちゃんと見ずに買っていくユーザーが多いのも確かですけど(笑)。

――「うっかり使ってしまった」では、返品の対象にもなりませんしね。

 

▲ヒーター本体とサーモスタットをセットにしたセーフティーオートヒーター

▲ヒーター本体とサーモスタットをセットにしたセーフティヒートセット

杉田 そもそもヒーターは消耗品なので、単体で使えるものやセットとして使えるものなどバリエーションが豊富なんですが、それが裏目に出てしまっている例でしょうね。ちなみに、ヒーターとサーモスタットとをセットにした「セーフティヒートセット」を商品ラインナップに加えているので、それだと誤使用することはまずないと思います。

野口 そういった買い方のミスがないよう、これからの季節は店でも気をつけないといけません。サーモスタットをつけないといけないヒーターと、つけなくてもいいヒーターとの違いがわからないユーザーがいたら、できるだけアドバイスするよう努めています。

――それだけでもずいぶん違うと思いますね。レジでもチェックできますし、POPでも注意書きするのも一考かもしれません。

▲正しいヒーターの使い方例

▲正しいヒーターの使い方例

 

野口 特にヒーターのような商品は、ユーザーにとっては「あればいい」という意識が強いような気がします。だから商品に対して、いちいち細かいところまで見ないのかもしれません。特に冬場だけのアイテムなので、一個買っておけば何年も使えると思ってるユーザーも少なくありません。

――ヒーターの寿命ってどのくらいなんでしょうか?

杉田 メーカーとしては、本当はワンシーズンごとに替えてほしい、と。

――2~3年は使えるものだと思っていました。意外に短いものなんですね。

杉田 ヒーター本体内の発熱部が、そんなに強いものではないんです。微妙な温度にも対応しないといけませんし、オンになっているとずっと発熱しているので案外デリケートな商品なんです。

野口 これも使用状況にもよりますけどね。人間のように、エアコンのスイッチを入れたり切ったりするというようなわけにいきません。水替え以外は、ほぼつけっぱなしの状態で冬を乗り越えないといけませんから。なので、日頃の温度管理も大事だということです。

 

◆命に関わる問題だからこそ

 

――ヒーターといえば、過去に重大な火災事故があったとお聞きしていますが。

野口 空だきによる事故ですね。ヒーターを水中から取り出したにもかかわらず、スイッチが入ったままになっていたんです。ヒーターを空気中で放置しておくと、どうなってしまうか容易に想像はつきます。結果、それによって空だきを起こしてしまい紙などに引火し、ついには火災を誘発してしまったという事故です。

――なんでまたヒーターをオフにせずに外へ出してしまったんでしょうね。

杉田 水替えないしは掃除の時に、ヒーターを外に出すことはあり得ますからね。スイッチさえ切れば問題なかったのでしょうが、掃除などに夢中になってうっかり忘れてしまうこともあり得ます。しかもこの事故の場合は、長時間その場から離れてしまったことが大きかったような気がします。まだ短時間であれば、こんな一大事にはならなかったのかもしれません。

――人間のことですから、ついうっかりということはあるでしょうね。逆に、スイッチをオフにしたままヒーターを元に戻していたら、今度は魚に影響を与えてしまいますし。スイッチのオンとオフを確認すればいいことだ、と言ってしまえばそれまでですが。

杉田 東京消防庁のガイドラインによると、摂氏400度というのが新聞紙の発火温度だそうです。400度を超えてしまうと、万一近くに可燃物があれば発火の危険性があるという見解です。

野口 あの時は、メーカーさん同士で緊急に対策を講じられたと記憶していますが。

杉田 そうなんです。幸い当社の事故ではありませんでしたが、これは業界全体が取り組まなければならない緊急課題だというのは、全社一致した意見でした。そこで2012年に安全対策に関する協議会をメーカー間で発足させ、「ヒーターの表面温度を400度以下にする」と決まったんです。今ではその基準が電気用品安全法の法令と定められましたが、当時われわれが自主的に設けた安全基準がベースになっているんです。

――これでもし空だきをしたとしても、発火の可能性はなくなったわけですね。

 

▲ヒーターを買う時にはこのマークのある商品を

 

杉田 限りなく可能性は低くなったと断言出来ます。現在、市販のヒーターほとんどにSHマークというのが入っているんですが、これは自主的に各メーカー間で定めた規格基準をクリアしている証となりました。いまではその基準が法令化されています。なので、ヒーターを買う時はこのマークがあることを確認していただければ。

――お店に置かれている製品は、すべてSHマークが入ってますよね?

野口 もちろんです。SHマークに限らず、やはり信頼のおけないメーカーの商品を取り扱うことはできません。それは長年の経験からいえることで、メーカーさんがそうした地道な努力をされていることをしっかりと受け止めて、ユーザーにも安心して使える商品を提供していきたいですから。この機会に、ぜひユーザーにもこのことを知ってもらいたいと思います。

――ヒーターの事故は、アクア関係で起こりうる事故としては一番危険なものになりますよね。

野口 水槽に万一ヒビが入っても、水びたしにはなりますが命の危険性まではありません。しかしヒーターの事故となると、そうはいきません。火災という地域的にも社会的にも大きな影響な損害を与えてしまいます。ヒーターの事故は、命にかかわる大きな問題である、と、誰もが認識しておくべきでしょう。そしてヒーターはSHマークの入っているものを。これも覚えておいてほしいと思います。

 

◆カバーがなくても安全という設計思想

 

――定められた安全基準をクリアするために、各メーカーはどのような設計を講じたのでしょうか。

杉田 ヒーター本体が400度に達しないよう、多くのメーカーが行ったのはヒーター本体にカバーを装着することでした。それによって、万一空だきをしてもカバーがあればそれを防げるというものでした。

野口 市販されているヒーターのほとんどに、カバーがつけられていますね。来店するユーザーにとっては、これが当たり前だと思っているみたいです。「ヒーターにはカバーがついているものだ」と。でも、KOTOBUKIさんのヒーターは違いましたよね。

杉田 当社の設計思想の中には、ユーザーが誤使用するかもしれないという概念を、最初から取っ払っておこうとしたのです。ここが、他メーカーとまったく違いました。

野口 KOTOBUKIさん独自の安全基準を設定したのですね。

――いつもよくいわれるように、その発想も「KOTOBUKIらしさ」だったのでしょうね。具体的に教えてください。

杉田 ヒーター本体が400度に達しないためにカバーをつけるというのは、設計技術的にそう難しいことではありませんでした。しかしながら、「万一ユーザーがカバーを外してしまったらどうなるのか」、という議論になったのです。水中から取り出してうっかりスイッチを切らなかったことが事故に結びついたように、もしスイッチオンになったままカバーを外して放置したら同じような事故になりかねない、と考えたんです。

――400度以上になってしまいますよね。じゃカバーは外さなければいいわけで。

野口 それがユーザーの行動を読めないところなんですよね(笑)。外さないようにと注意書きされていても、つい外してしまうこともあります。

――それはどんな時に?

野口 おそらく掃除のためだと思います。長期間使っていると、確かに藻などで汚れてきます。カバーはフラットな設計ではありませんから、もしかしたらほかのパーツより汚れやすいこともあるかもしれません。だから、掃除の時に外したくなるのだと思います。

――外せないように設計すればいいじゃないですか(笑)

野口 それが意外と簡単に外れるんですよ。掃除しやすいようにしているのかどうかわかりませんが。たとえカバーを外したとしても、ヒーターをオフにして掃除が終われば、元通りにしてくれればいいんですが。

――ああ、カバーがないほうが見た目にもすっきりすることに気がつくと、もしかしたらそのまま水中で使うユーザーもいるかもしれませんね。水中だと400度に達しないことは誰でもわかりますし。

杉田 ヒーターひとつでも、少しでもコンパクトになるとスッキリするという心理も働きますからね。それでなくても水槽内には色々な器具が多いですから。

――こまめに掃除したり水槽の中をスッキリしておきたいというのは、日本人特有のきれい好きな資質からくるのかもしれませんね。で、どのような製品に?

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▲カバーなしで空中400度以下制御を実現したKOTOBUKIのヒーター本体

杉田 まずカバーを装着する構造にはしませんでした。ヒーター本体だけでも(空中で)400度に達しない設計にしたんです。そうすればカバーは必要ありません。これにより、安全基準をクリアすることはもちろん、独自の設計によってさらなる安全をクリアしたことで、二重の安全対策が可能になったんです。2013年に発売された「スリーエスヒーター」シリーズが、それの第一号でした。

――カバーがなければ見た目にもスッキリしたでしょうね。それに、他社がやらなかったことをやったという点では、これまでの歴史の中でもやっぱりKOTOBUKIらしいですよね。

野口 他のメーカーが驚いたそうですよ。同時に、KOTOBUKIさんのだからできたことだという称賛の声もありました。

▲よりリーズナブルなベーシックスタイルへ

▲独自の石英管は水槽内でも目立たない設計

▲独自の石英管は水槽内でも目立たない設計

 

杉田 材質自体も見直しました。これまで使っていたセラミック素材を石英に変更したことで、独自の着色が可能になりました。黒に近いグレーで着色したことによって、水槽の中でなるべく目立たなくなるよう配慮したんです。

――考えてみれば、これまでのほとんどのヒーターは白色なので、水槽の中に入れるとかなり目立ちますよね。

 

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杉田 さらに言うと、セーフティーオートヒーターシリーズの中には、センサー部分を本体から離して設計したタイプもあります。発熱部とセンサーを離したことによって、より正確な温度制御が行えるようになりました。しかも、コードも含めて水槽の中で「くの字」状にセット(写真上)でき、水槽内をコンパクトにまとめられるようにもなりました。

野口 二重三重の安全性に加えて、設置した時の見栄えにも配慮されたんですね。そのあたりのものづくりに対する考え方は、いかにもKOTOBUKIさんらしいと思います。これなら、ユーザーも安心して使うことができますね。

 

◆いい商品だからこそユーザーにちゃんと伝えたい

 

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▲ヒーターを購入する時は必ず「SHマーク」のあるものを

 

――お店でも結構注目されたのではないですか?

野口 もちろんです。何があっても絶対安全でなければならない、というヒーターの大きなセールスポイントになりますからね。

杉田 カバーなしで本体だけで400度に達しない技術は、当社だけのものだと自負しています。ちなみに、去年発売した「セーフティーオートSH」は、これまで培ってきた技術により安全性を保ちつつ、さらにリーズナブルにした製品です。

野口 これまでの技術をいかしてシリーズ化させ、ユーザーの手に届きやすくする販売戦略もいかにもKOTOBUKIさんらしいと思います。

――あとはユーザーがそのことにどれだけ関心を持ってくれるか、ですね。そんな安全なヒーターがあることを、一人でも多くのアクアユーザーに知ってほしいです。こうして、「キワメテ!水族館」で詳しく紹介することで、少しでも役立てばいいとは思ってますが。

杉田 冒頭のところでも野口さんが仰っておられたように、ユーザーはあまり細かいところまでみて商品を買わないことがネックですし、それにお店のスペースにも限界があるので、メーカーの思いをユーザーに伝えることはそう簡単なことではない気がすることもわかっています。

――というか、こうしてメーカーサイドの考え方を、私たちやお店のかたが聞くことも大事だと思いますよ。初めてわかったことや、安全に対する設計思想とかは店頭の商品やカタログではなかなかわかりませんから。

野口 確かにいい機会ではありますね。メーカーの思いを知ることができますし、反対に店を通じてユーザーの気持ちをメーカーに知ってもらうこともできますから。

 

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――これからはどのようなヒーターが理想でしょうか。

野口 安全性に関しては特に問題ありません。ほかにあるとすれば、もう少しコンパクトになれば言うことないんですけどね(笑)。お持ちの水槽がコンパクトだからかもしれませんが、コンパクトなヒーターが売れるのも事実です。

――やっぱりユーザーはコンパクトな製品を望んでいると?

杉田 そのあたりの声は、ユーザーからもよくいただいています。確かに、表面温度を下げるために発熱部は弱冠大きめかもしれませんが、水槽の適用量に対して対応するヒーターとしては比較的コンパクトなほうだと思います。

――大きいよりは小さいに越したことはありませんが、だからといって設計的に無理があってはいけませんし、コスト削減のために安全性が犠牲にはなってほしくありません。そんなことが原因でまた事故につながったら、本末転倒です。やっぱり安全第一。ヒーターが命に関わる大事な部分だということもよくわかりました。ほかがやらないことをKOTOBUKIがやる。ヒーターだけでなく、これからもその設計思想でいてほしいと思います。本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。

【終】

取材協力/P&LUXE

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