ゴールデンウィークのラスト2日間といえば、「みんな大好き!ペット王国2018」。
今年も水槽メーカー・KOTOBUKIがブース出展し、昨年同様テラリウムワークショップが開催されました。
アクアショップを中心に、認知が高まってきたテラリウム。
とりわけ食虫植物を取り入れたテラリウムは、コケの美しさプラス神秘的な世界観を醸しだしています。
今回も2日間にわたって、さまざまな来場者がテラリウムワークショップに挑戦。
限られた時間の中で、どんな人がどんなテラリウムをつくり上げていったのか、レポートしました。
◆プレミアムフード「フライミックス」が関西初お目見え
数あるペットイベントでの主役は、やっぱりワンちゃん。さまざまな犬種のワンちゃんが、あっちにもこっちにも。今では当たり前になったペット同伴というスタイルによって、“来場犬”をみるのもひとつの楽しみになりました(笑)
KOTOBUKIブースの周りにもワンちゃんたちがいっぱい。ん?大型水槽に興味があるのー(笑)?
一方、ヒュドラケースが気になっているワンちゃんもいたりなんかします(笑)
さてさてKOTOBUKIブースでは、今春発売されたばかりの新製品を中心に展示。今、最も注目されている24時間自動調光システムLED「レイマックス」を始め、防水&マグネット機能を備えた超スリムLED、そしてさらにパワーを増したベストセラーの最新作「すごいんです活性炭」なども展示されていました。
先週の「キワメテ!水族館」でもご紹介した、KOTOBUKI初のフードとして誕生したカナダ産プレミアムフード「フライミックス」も、ついに関西初お目見え。
このフライミックスに手を止めたのが、奈良県香芝市の坂ノ上武司さん。おうちではKOTOBUKIの水槽でアピストを飼育したり、水草水槽をつくったり。最近、30㎝水槽が8個入る“お魚マンション”をつくったという、奥様も呆れるほどの熱の入れよう(笑)。フライミックスのサンプル約1カ月分を提供。果たして食いつきはどうか、1カ月後どのような効果があったか、後日話を利かせてもらうことにしました。坂ノ上さん、連絡くださいね~(笑)
ここは「アーク」や「クリスタルキューブシリーズ」など、スタイリッシュな小型水槽が並んだアクアなゾーン。
予想通り、女性には人気のゾーンだったみたいで、これって「インスタ映えしますよね~」とスマホを掲げる女性も。さすが水槽メーカーのKOTOBUKI。そのパフォーマンスはアクアファンならずとも熱い視線を送っていました。
◆ウリはやっぱり食虫植物を使ったテラリウム
イベントで来場者と直接ふれあう機会を-。そんな思いでKOTOBUKIが去年から始めたのが、テラリウムワークショップ。苔玉や多肉植物といった園芸的趣味は相変わらず女性に人気がありますが、テラリウムとなるとちょっと様子が違います。アクアで使用する水槽を使い、まるで水草を育成させるようにコケを育てていきます。これがきっかけで、本格的にアクアに移行するユーザーも少なくありません。というか、そうなってほしいのがホンネなんですが(笑)
ひとくちにテラリウムといっても大きさはまちまちで、今回ワークショップで使用する15㎝程度のコンパクトな水槽から120㎝以上の大型水槽に至るまで、実に千差万別。しかしながら、さまざまなコケや植物を用いる点ではまったく同じです。
特筆すべきは、コケ以外に食虫植物を使っているという点。食虫植物というと、みなさんはおそらくハエトリソウやウツボカズラくらいしかご存じないと思いますが、ほかに女子ウケしそうな可愛らしいウサギゴケやコバエを捕るモウセンゴケ、ドロセラ、、、、、、など、その種類は実に多彩。えー、虫なんか食べる植物って怖いーなんて言うなかれ(笑)。普段なかなか触れることのできないミステリアスな食虫植物と出会えるのも、このワークショップの大きな魅力なんです。
◆テラリウムはアクアリウムの布石となるか
午前10時受付スタート。今回使用する水槽は、去年発売されたレグラスネイチャーC150と同S200の2タイプ。いずれも15㎝幅のコンパクト水槽ですが、前面ガラスのカット仕様が若干異なります。もちろんお持ち帰り可能。参加費は有料ですが、「あー、だったらやってみよう」という人も少なくありませんでした。
講師は、去年に続いて今回もアクアショップ・アワジヤの淡路谷将明さん。これまでも数多くのテラリウムを製作してきたテラリウムの達人です。会場では達人と呼ばれたり、先生と呼ばれたり、巨匠と呼ばれたり。「やめてくださいよ~」と、ちょっとシャイな淡路谷さんでした(笑)
会場の一部には、アワジヤさんがこの日のために製作したテラリウムのサンプルがずらりと。いくら小さなサイズであっても、独特の世界観が表現されていることがおわかりいただけると思います。これをみると、イメージも膨らませやすいですよね。
テラリウムの手順を示すコーナーも。「え、たったこれだけのプロセス?」と驚いていた来場者も少なくありませんでした。そうなんです、つくり方そのものはさほど難しくないんです。
今回は、席さえ空いていれば参加のタイミングは自由。時間枠ごとの人数制限もありません。製作にかかる時間は1時間弱。ワークショップ会場には常に参加者がいて、子どもも大人もテラリウムづくりにいそしんでおられました。
どんなコケにしようか、確かに迷います。何せコケも食虫植物と同じように種類がありすぎる(笑)。葉がダイナミックなものにしようか、それとも可愛い花が咲くものにしようか、それも自由。迷った時は、淡路谷さんが的確なアドバイスをくれるので、参加者も安心です。
今回は石や砂のバリエーションも増えました。そういえば「川をつくりたい」「道を表現したい」という参加者が多かったような気が。決してジオラマになってはいけないのですが、川や道のイメージを表現するために各種の砂は大いに役立ちます。
流木選びも楽しみのひとつです。たとえ小さな流木であっても、緑が生い茂ったテラリウムでは圧倒されるような巨木になることも。
そうそう、こうやって手にとって途中経過を客観的に観察しながら進めていくのが、コツなんです。
ゴールデンウィーク最後ということもあって、ワークショップは終始にぎわっていました。
◆密着!ワークショップギャラリー
ご夫婦でワークショップに参加されたお二人。こちらはご主人のもので、「水を入れてメダカが飼うイメージで」。その言葉の通り石組みでしっかり高さを出したレイアウト。細い流木とウツボカズラがうまくマッチしています。いつかは楽しげに泳ぐメダカも見てみたいです。ちなみに「キワメテ!水族館」の愛読者でもありました(笑)
奥様はといえば、大小の島をつくりつつ、クリオネゴケを可愛らしく配置しました。大胆なレイアウトのご主人とは真逆の可愛らしいテラリウム(笑)。少しずつ育って咲いてくれるクリオネゴケを楽しんでくださいね。
神戸市の杉本圭悟君(小学3年生)。砂浜や川、橋など、ちょっとジャングルチックなイメージをしっかりかたちにしました。さりげなく置かれた左奥のハエトリソウもイケてます。ちなみに、ご両親は通販メインのアクアショップを経営されているのだとか。いつか取材に行かせてくださいね(笑)
大阪市の高安楓果さん(高校1年生)。シダとクリオネゴケと流木を組み合わせて森を再現。将来はペットショップのスタッフになりたくて、すでにレオパやグッピーを飼育中。そんな雰囲気がすでに漂っています(笑)。ペット系専門学校への進路も決めているそうで、将来が楽しみです。
奥様とワンちゃん同行の奈良市・赤川裕一さん。大胆に溶岩石を配置し、コケと流木を使って山道を表現。登りきった先には可愛い花が咲く草原が待っているのでしょうか?ついつい想像をかけたてるテラリウムです。「いつかはこんな水槽でベタを飼ってみたいです」。ぜひ飼ってください(笑)!
「テラリウムをつくるためだけに来ました(笑)!」。神戸市の奥村恭子さん。ツイッターをみて、食虫植物を使ったワークショップに興味を持ってくれたそうです。イメージしたのはアマゾン。流木や木化石を使って2種類のトンネルを上手に表現されています。
今回のワークショップで唯一、メダカ飼育のためにつくりたかったという宝塚市の長尾雅弘さん。コケ類が水浸しにならないように溶岩石などで高さをつくり、底砂もソイルにしてメダカたちの新居の出来上がり。ウツボカズラとシダ、そして流木の組み合わせが奥深い森を想像させます。
食虫植物を始め、生き物が大好きという大阪市の川俣明鈴ちゃん(小学5年生)。悩みに悩んだ末に選んだハエトリソウがベストマッチのテラリウム。大きな岩に置かれたゴリラのフィギュアも雰囲気づくりにひと役買ってくれています。脇目もふらず集中して取り組む姿勢が印象的でした。
◆日本の絶景をテラリウムに
ところで、今回も「キワメテ!水族館」スタッフはワークショップに潜入し、テラリウムをつくってみました。性懲りもなく(笑)。テラリウム製作はこれが3回目。1回目はアワジヤさんのテラリウム教室で。2回目は去年の「ペット王国2017」の同じKOTOBUKIのブースで。3度目の正直ではありませんが、お客さんがせっせとつくっているのをみていると、つくりたい衝動を抑えることができませんでした(笑)
今回は、以前のように漠然とつくるのではなく、ちょっとイメージを固めてきました。これを進歩というのかどうかわかりませんが(笑)
まず頭に浮かんだのはこれ。すごい絶景でしょ!?今年2月にプライベートでトレッキングした兵庫県神戸市の須磨アルプス。神戸といえば六甲山が代表的ですが、こんなところもトレッキングコースあったとは知らなかったです。むき出しになったゴツゴツとした花崗岩、そして岩がゴロゴロ転がっている狭き登山道が印象的でした。
この絶景が、もしテラリウムになったら-。そんな発想で、せっせとラフスケッチを4枚ほど。淡路谷さん曰く、「写真通りにつくらないといけないことはありませんし、ラフスケッチ通りでなくてもいいんです。つくっているうちに変わってくることもありますから(笑)。要はジオラマをつくるわけではないので気楽にやりましょう」。ちょっと気が楽になりました。そうですよね、きっとつくっているうちに変わってきますよね(笑)!
今回セレクトした水槽はレグラスネイチャーC150。下地となるミズゴケをギュッギュッと固めていきながら、とりあえず山の高さを出すために積み上げていきます。
テラリウムの基本は、手前側を低く、奥側を高く。そうすることで、正面からみた時に奥行きと立体感が出せるからなんです。でも須磨アルプスというには、コケばかりが多くて岩場が少なすぎますよね(笑)
そしてここまで進化。日陰の湿気を好むといわれるシノブコケと、石組レイアウトでよく使われる青龍石と、その名の通り木の化石のような木化石をいくつかまぜて配置。でもやっぱりこれだけだと、全体のバランスがイマイチですよね。ということで、このあと粒のやや大きい褐色の砂を、登山道のようなイメージで足しました。
できあがったのがこれ。ゴツゴツした岩肌、そして山々の緑、険しい登山道。自分の中ではほぼ須磨アルプスに近かったんですが、しいていえばもっと高さを表現したかったような。なおアクセントとして、かわいい葉っぱが印象的なドロセラという植物を2~3添えてみました。フィギュアと相まって、須磨アルプスの完成です。ちょっとジオラマっぽくなってしまいましたが(笑)
◆V字渓谷のイメージをパルダリウム風に
そして2日目。須磨アルプスはほぼイメージ通りに出来上がりましたが、今度は祖谷渓の青々とした秘境の緑を表現してみたくて、再びコケと向き合いました。京セラドーム大阪のイチロー選手も、頑張れよと言ってくれてるような(笑)
2点目の絶景はこれ。思わずアッというでしょ(笑)?4月初旬に別の取材で徳島県の秘境・祖谷渓へ行った時の写真です。そう、あの有名な祖谷のかずら橋のあるところです。このあたりは、日本三大秘境のひとつといわれ、高さ200m以上ものV字渓谷が圧巻。ちなみに、ここは“ひの字渓谷”といわれるところで、その名の通り渓谷がひの字のかたちをしています。
コケを物色しながら、頭の中でふくらむイメージ。どうすれば、V字渓谷みたいな迫力が出せるか。実際の写真やラフスケッチのことはちょっと置いといて、山の青々としたイメージを貫くならどっさりコケを盛り込み敷き詰めるしかない!という結論に(笑)
結果、スナゴケやコツボゴケ、シノブゴケといった、比較的青々としている種類のものをチョイス。そして、V字渓谷のイメージの延長として、パルダリウムみたいに水槽の後部をコケだけでびっしり敷き詰めてみることに。あー、何という大胆な(笑)
ミズゴケを敷き詰めながら、可愛い花びらのクリオネゴケを採用しようか思案中。「何でもかんでも入れたらいいというものではありませしね~(笑)」と淡路谷さん。いやいやわかってるんですよ、ここが決断のターニングポイント。そう、青々としたこけを敷き詰める計画だったことを思い出し、勇気を出して採用を断念しました。いつかクリオネゴケをメインにした可愛いテラリウムもつくってみたいものです。
そして完成したのがこれ。意外と短時間でつくれました。注目してほしいのは、パルダリウム風にシノブゴケを後部に貼り付けた点。V字渓谷とはほぼ遠いかもしれませんが、高さを極端に演出したことでほぼイメージ通りに仕上がりました。
なお、平らな部分には緑がきれいなスナゴケを使い、アクセントとしてコツボゴケなんかも少し。ただ、どうしても険しい山の雰囲気も盛り込みたかったので、メダカの水槽などによく使われる明るめの天然石を2個配置し、その間に1本だけ流木をシンプルに。おまけで添えたアルピニスト風フィギュアもいい味を出してます。取材の合間を縫ってのテラリウムづくりでしたが、昨日より早く完成したのは、あまり深く考えすぎなかったことが要因だったかも知れません。
水槽を斜め上からみるとこんな感じ。シンプルなテラリウムにするべく、今回はあえて食虫植物は使いませんでした。
◆テラリウムの元気のもとは朝日浴?
イベントが終わって、2個(手前)のテラリウムをオフィスに持ち帰り、これでテラリウムは計3個に。
オフィスでは、LEDだけでなく午前中だけお日様のお世話に。聞くところによると、短時間であっても朝日が効果的なのだそう。もし、みなさんのおうちのコケが元気でなかったら、ぜひ試してみてください。去年つくったマイオフィスのテラリウムも、それで復活しましたよ(写真左)。
というわけで、今年もKOTOBUKIの新製品やテラリウムのワークショップでにぎわったペット王国2018もジ・エンド。テラリウムという特化したジャンルをワークショップというかたちでアピールしたKOTOBUKIでしたが、これをきっかけにやがてアクアリウムに興味を持ってくれる人が増えることを願ってやみません。
イベントはこれで終了しましたが、テラリウムに関するお問い合わせは今回も講師を務めたアクアショップ・アワジヤさんへぜひどうぞ。独自で開催されているタラリウム教室も人気です。
ペット王国2018にご来場いただいたみなさん、ワークショップに参加いただいたみなさん、どうもありがとうございました!