アジア最大級のペットイベント「ジャパンペットフェア2017」。
関西では4年ぶりということもあって、会期中は多くのペットファンでにぎわいました。
「キワメテ!水族館」も同イベントに注目し、水槽メーカー・KOTOBUKIブースを前線基地に会期中あちこちに顔を出して取材に奔走。
結果、アクアもまだまだ捨てたもんじゃないなと実感した次第です。
もちろんメーカーや商社の出展だけでなく、日本を代表するトップアクアリストによる水槽コンテストや即興レイアウトライブ、その他SNSを使った記念写真コーナーなど、子どもから大人まで楽しめる仕掛けが盛り沢山でした。
そんな熱い3日間の様子を、前編・後編の2回に分けてレポートいたします。
来場して盛り上がれたラッキーな人たちも、都合で会場に来ることができなかったアンラッキー人たちも、必見!
◆お目当てのブースへスタートダッシュ
会場となったのは、大阪市住之江区の南港インテックス大阪6号館B。春の到来にはまだ少し早いせいか、朝晩は少し冷え込む3日間でした。それでも早くからチケットを求める人が数多く会場に到着。今か今かとオープンを待っていました。
午前10時前。受付場所の混雑を避けるため、早く到着した人から順番に会場へ。何か運動会のスタート風景みたいです(笑)。そして、オープン時間がくるのをひたすら待つことに。
午前10時。いよいよオープン。と思いきや、案の定スタートダッシュする人の多いこと。ちょっとちょっと!バーゲンセールじゃあるまいし(笑)。「危険ですから会場内では走らないでください」のアナウンスもなんのその。お正月に年男を決める西宮戎神社を思い出してしまいました(笑)。
少しさかのぼって、23日(木)のビジネスデーでは「2017ジャパンペットアワード授賞式」がイベントステージで行われました。あいさつするのはペット用品工業会・柳原会長。これまでペットのためにさまざまな活動や功績を残し、ペット業発展のために寄与してきた人々を表彰する制度です。
今年は虫アイドルのかぶとムシゆかりさん、タレントの森泉さん、そしてイケメン獣医師の佐藤貴紀さんが受賞されました(写真左より)。おめでとうございます!
でも、できることならアクア関連からも受賞者が出てくるといいですねー。
◆注目度ナンバーワンはLED
KOTOBUKIブースは新製品および参考出展のオンパレード。本当にたくさんありました。これほど新しいアイテムがイベントで揃ったのは、久しぶりのような気がします。
KOTOBUKIカラーを基調とした新しい製品カタログも、このイベント直前に完成しました。
最も注目を集めていたのは、このコーナー。会場入口から一番目立つ場所に、高輝度&高機能のLEDライトに注目が集まっていました。
24時間自動的に明るさや色が変えられる新世代の自動調光LED「レイマックス」と、マグネット方式によりさらにスリム化を実現したLEDスリム「WP」。KOTOBUKIの『可能性がカタチになる』新しいコンセプトから実現した製品です。
レイマックスは、朝・昼・夜・深夜・早朝といった、1日のくらしのリズムを光と連動させることが可能で、まさにアクアリストがノドから手が出るほど欲しかった夢のアイテムだといえるでしょう。タイマーに頼らざるを得なかった照明の煩わしさから解放されるばかりか、水草をしっかり育てたい人にとっても画期的なLEDですよね。
照明の存在をほとんど感じさせないほどスリム化をさらにシェイプさせたのが、WPの持ち味。水槽の上部とほぼまっ平ら。マグネット方式で自在に取り付けできるうえに、防水機能も加わったのはまさに至れり尽くせり。
いずれも参考出展ではありますが、多くの来場者の反応がよかったためほぼ商品化されるでしょう。正式に商品化が決まった時は、改めて「キワメテ!水族館」で詳細を紹介します。
◆アークのイメージは「社長室に似合いそうな水槽」
「お、これカッコいいやん!」。そんな声が多く聞かれたのが、スタイリッシュ水槽「アーク」。ショップ関係者・一般ユーザーに関係なく人気がありました。先日の「キワメテ!水族館」でも少しだけ触れましたが、まさに「社長室にありそうなイケてる水槽」。
ある女性の来場者がポツリとひとこと、「まるでふわっと宙に浮いてるみたい」。特殊なガラス形状によって、斬新なデザインとなりました。なおこの商品は今春発売の予定です。
ヨーロッパを代表する信頼のブランド「JUWEL」。10数年ぶりに日本にお目見えです。ヨーロピアンテイストが随所に散りばめられた上質なスタイルは、ドイツのブランドならでは。伝統的なスタイルを保持しつつ、照明やフィルターなど、水槽周りのアイテムには常に最新技術が取り入れられています。
エッジの効いたシャープなシルエット、そして高機能・高性能を誇るオールインワンスタイル。工業王国ドイツの先進技術があますところなく、商品に反映されています。「やっぱりこのクラスの水槽がいいよね」と、ショップオーナーさんからの問い合わせが多くありました。
「あ、デビューやん」。そうなんです。かつて一世を風靡したあの伝説のシステム水槽「デビュー」がスタイリッシュになって新登場。LEDライトや上部式フィルター、そして水中ポンプをひとまとめにしたオールインワン水槽に、また脚光が浴びるのも遠い日のことではありません。
ブースの奥に置かれていたため一瞬見落としてしまいそうだったのが、「苔リウム水槽」。
これ、一見地味ですがシンプルでいいですよね。
3年前に登場した自然循環型シテスム水槽「アクア ポニックス」などと並んで、植物飼育を前提としたコケリウムのための専用水槽が参考出展。気軽にコケリウムやテラリウムが始められそうな手軽な水槽で、とっても気になる商品でした。
このほか、水槽以外のアクア関連用品も新製品ラッシュ。いずれも春をメドに新発売されるそうで、ショップに並ぶ日が待ち遠しく感じました。
新しく登場した「ジャパンペットフェア2017PR隊」もKOTOBUKIブースを表敬訪問。現役の女子高校生モデルやイケメン男子がメンバーに。一瞬ブースがパーッと明るくなりました。しっかりPRしてくださいよ~(笑)
なおブース来場者にはアンケートを書いていただき、抽選で5名のかたに水槽を進呈する企画も実施しました。
◆「キワメテ!水族館」コーナーが初登場
今回、初の試みとしてKOTOBUKIブース内に「キワメテ!水族館」コーナーが誕生。同WEBマガジンでこれまで取材してきた人の中から、各分野に強いスペシャリスト3人をピックアップ。「アクアクリエイターズファイル」として3名を紹介しつつ、KOTOBUKIの商品とコラボしました。順を追ってご紹介していきましょう。
「キワメテ!水族館」編集部をちょこっと紹介するパネルもちょこっとあったりなんか(笑)
まずは、アクアクリエイターズファイルvol.1。日本唯一のベタ専門ショップ・フォーチュン店長の石津裕基さん。ベタのスペシャリストといえば、もうこの人しかありません。2年前に取材し、去年は「国際ベタコンテスト2016」でも色々お世話になりました。
45㎝の横長水槽「ダックス45」に、鮮やかな色のベタをご提供いただきました。「え、ベタって一緒に飼えるの?」という声があちこちから。石津さん、やっぱりみんな驚いてくれてましたね(笑)
一番高い位置に置かれていたのが、15㎝のキューブ水槽が3本ぴったり収まる新製品「コレクトボード450」(発売中)。水槽と水槽の間にある仕切りを出し入れして、フレアリングを楽しむ人の姿もありました。
この子たちもフォーチュンさん提供のベタ。「水槽も可愛いサイズだし、これならベタを飼ってもいいね」と言葉を交わす人たちもいました。
最終日には、石津さん自らが現場に立って来場者とベタ飼育について色々と。
フォーチュンの紅一スタッフ・太田垣さん。3日間連続で現場に立ってくださいました。
続いてこちら。アクアクリエイターズファイルvol.2。大阪市西区にあるショップ・アワジヤの店長・淡路谷将明さん。以前ショップの取材をさせていただいた際に、アクアテラリウムのスペシャリストであることを知りギョギョッ(笑)。その手腕に惚れ込んで、今回は3つの作品をつくっていただきました。
アクアテラリウム製作に際して、参考出展の爬虫類専用ケース「ヒュドラ」を使ってもらいました。ガラス扉を備え、しかも上部のメッシュ部分も取り外せることから、爬虫類飼育だけでなくテラリウム育成にも適していることがおわかりいただけたかと思います。
時代の流れでしょうか、アクアテラリウムに熱い視線を浴びせる人は決して少なくありませんでした。
ひとつの水槽の中で広がる大自然。自分だけの世界観。しかも比較的簡単につくれるとあって、アクアテラリウムは女性を中心に密かな人気を呼んでいます。
「あ、これいい~♪」と何度も連発していたのは、数人のグループで来場したショップ関係者のかたがた。特にスライド式のガラス扉に注目、しかも簡単に取り外しができるとあって、どうやら一目惚れしてくださったみたいです。「これぜひ店で扱ってみたいです」と、反応は上々。早速オーナーと交渉して仕入れてくださいね(笑)
そして最後。アクアクリエイターズファイルvol.3。去年、関西で初めてメダカやグッピーなどのブリーダーさんが中心となった展示即売会「アクアブリーダーズフェスタ」のリーダー的存在が藤原彦亮さん(ライブベアラーズクラブ事務局)。あくまで趣味として長年ライブベアラーズ系を飼育してこられ、ご自宅取材時に対面した「グッピー御殿」には度肝を抜かれました。従来の飼育方法に縛られない自由なやり方に感銘し、今回生体の出品をお願いしました。
ご提供いただいたのは、ブランコ(スペイン語で「白い」という意味だそう)、ゴールデンマルチカラー、プラチナスペアテールなど。いずれも藤原さんが「グッピー御殿」で独自に繁殖・飼育してきたものばかり。去年発売されたばかりのアクアリウムの新しいシーンを演出するセット水槽「アクストシリーズ」に新たにラインナップが加わった(参考出展)2基の水槽内でお預かりしました。
生体が小さいのでなかなか見づらかったかもしれませんが、フィルターやLEDをセットにした新サイズのアクスト水槽セットこそメダカやグッピーを飼育するにはぴったり。白を基調にしたスタイリッシュなスタイルも印象的で、メダカやグッピーとの相性も清潔感があってよかった気がします。
参考出展以外にも充実したラインナップを誇るアクストシリーズは、手軽にアクアが楽しめるアイテムとして、初心者らしきアクアユーザーに注目を集めていました。
「キワメテ!水族館」オリジナルステッカーもご用意。Facebookページにいいねをしてくださったかたにプレゼントしました。声をかけてくださった来場者のみなさん、どうもありがとうございました。次回【後編】で、会場で出会った人たちをご紹介したいと思います。
◆「メダカにやさしいメダカ釣り」が人気だったジェックス
それでは、そのほかのアクア関連ブースもご紹介しましょう。まずはジェックスさんへ。どのイベント会場でも鮮明なレッドカラーのログマークが印象的です。
まるでリビングルームのような雰囲気。ブースの一部を住空間に仕立て上げた展示手法が印象的です。今にもアクア好きな家族の笑い声が聞こえてきそうです。
アクアのあるくらしを疑似体験することで実感できるさまざまな癒し。水槽や周辺機器を通じて心豊かなアクアライフを提案しているように思いました。
同社の直近のテーマはずばりメダカ。飼いやすく繁殖させやすいメダカをテーマにした商品ラインナップが充実しています。なるほど、だからメダカ釣り(笑)。家族連れだけでなく、大のオトナたちもニコニコ笑ってメダカ釣りを楽しんでいます。聞くところによると、放流されているのはかなりイケてる高級メダカなのだとか。しかも、釣り針を使わない特殊な方法によるものなので、安心してメダカ釣りを楽しむことができました。
なお今回の出展品の中で、オールガラス・オーバーフロー水槽「Glassterior
AGS」が経済産業大臣賞を受賞されました。おめでとうございます!
◆生体に特化したキョーリンならではの仕掛け色々
何やら長蛇の列ができています。これは一体?
正解はこれ。カクレクマノミやピンポンパールを写真に収めようとする人たちの列だったのです。
さすが生体に特化した企業風土、このコーナーは最後まで人気がありました。
ここはカミハタさん・およびキョーリンさんの出展ブース。姫路や山崎・指宿・南九州に巨大養魚場を持っています。さきほどのピンポンパールも自主養殖で生まれた生体なのだとか。
特筆すべきはココ。カミハタビジネスオンラインのサイトに行けば、誰でも生体の入荷情報を見ることができる点。これは同社の大きな強みですね。
カテゴリーに分けられたブースもとってもみやすく、子どもたちも楽しそう。ユニークな金魚用栄養剤「国産戦隊 きんぎょ5」や新発売された初の昆虫食爬虫類の栄養食「レオパゲル」など、長きに渡って生体を扱う同社らしいコンセプトの展示も印象的でした。
◆「イケメン重役」もいたナプコ・リミテッドジャパン
次にお邪魔したのはナプコ・リミテッドジャパンさん。人工海水のメーカーとして、日本の水族館でも数多く採用されています。
ここでのメインはやっぱりこれ。海水と淡水両方に使用できる中和剤「アムケルプラス」。使用後すぐに魚を入れることができ、しかもバクテリアの増殖を待たずに水質が安定するので、初心者や小さな水槽を中心にアクアを楽しんでいるユーザーにおすすめの商品。これで「アクアは面倒だ」とは言えなくなりそうですね(笑)
昨年発売された「ポリフィルター」。吸着した物質ごとに、違う色がつくというユニークな商品。水がきれいになっていく過程が、目に見えるので便利そうです。
デモンストレーション用の水槽にもアムケルプラスが投入されています。向こうにみえる外国人のかたは、フランスのアクアリウムシステム社の重役のかたがた。はるばる日本までお越しいただき、ボンジュール(笑)
◆魚のお薬といえばやっぱりニチドウ
今や「ニチドウ」の名前のほうが浸透している日本動物薬品さんのブース。アクア関連では、「メチレンブルー」や「グリーンF」などの薬品でおなじみの会社です。
ブース全体をみると犬猫用品の割合が多く占めてはいますが、ちゃんとアクア用品もあります。
金魚のエサや薬品も当然ありますが、魚が薬に頼ることなく元気でいられるようにと、粘膜保護剤も販売されています。要するに予防医学の観点ですね。
パッと見だと、まるで人間の薬にも見えるパッケージ。販売形態が対面販売からセルフに変わっていくのに合わせて、パッケージに具体的な病名を入れユーザーが買いやすい工夫がされている感じです。
本当に困った時にわかるのが、こういった薬品や粘膜保護材。薬品というと何となく引いてしまうところもありますが、イザという時に困らないためにも予備知識だけは蓄えておいてくださいね。
◆飼育にもおしゃれを追求するジクラ
さて最後はこちら、ジクラさん。そう、クジラが大好きな社長さんが、それをもじって社名にしてしまいました。みなさんご存じでした(笑)?
創業当初からの定番商品である中和剤ジクラウォーターを始め、ハリネズミやフクロモモンガやデグーなどエキゾティックアニマル用品、爬虫類用品を取り扱っておられます。「カッコかわいい!」がテーマというだけあって、品質だけでなくパッケージデザインにもこだわっているのだそう。どうせ飼うならおしゃれに飼おうと。確かに若い社長さん、おしゃれでイケメンでした(笑)。
最近少しずつ注目されているオカヤドカリ。それにあやかって、オカヤドカリの飼育に関する用品なども扱っています。会期中オカヤドカリのプレゼントも行われてました。え、知らなかった!って?すみません、次回をお楽しみに(笑)
ペットブームにやや翳りがみえつつあるのは、人間がきれい好きになりすぎた結果では、と分析。またスマホの普及により、声を使ってのコミュニケーション能力がしたせいでは、とも。うん、確かにそうかもしれません。アクア関連の展示ブース取材の最後で、何か宿題を突きつけられたような気がしました。
◆その他こんなブースも「Brio」
こちらのブースには、イケメン外国人の写真が。一体誰(笑)?
彼の名はロビン・プランテ。カナダ出身。これまで多くのペット関連商品のデザインを手がけ、今では商品化されているものだけでも100点をゆうに超えているのだとか。「Brio」は、そんな彼のブランドそのものだったのです。
水槽というより、インテリア什器のようで、とてもカッコいいアイテム。これが淡水魚の飼育と植物の育成を同時に楽しめる自然循環システム「アクアポニックス」だったんですね。展示ブースでは、ほぼこれがメインでめっちゃ目立ってました。
この商品、どっかでみたことあるなあと思っていたら、最後に思い出しました(笑)。去年取材でお邪魔したアミーゴ伊丹店に置いてあったのと同じ商品。なるほど、お店とかに置くとアイキャッチになって、すっごく映えていました。
◆レポート後編ではイベントを中心に紹介
以上、駆け足で会場を回ってきました。今回はアクア関連の出展企業をご紹介してまいりました。低迷といわれるアクア業界ではありますが、それぞれの企業が独自の路線で商品開発を行っているのを間のあたりにすると、まだまだ捨てたものではないな、と共鳴できる点が多かったように思います。アクアファンのみなさんとともに、さらにさらに盛り上がればいいな、とも。
さて次回は、会場を盛り上げてくれたアクア関連のさまざまなイベントや、会場で出会った楽しい人々をご紹介する予定です。そして、イベント最後に待っていた思わぬドラマにも独占クローズアップ。どうぞお楽しみに!