一見チャラ男にみえるオーナーを侮るなかれ。わずか26歳にして独立開業にこぎつけ、早くも固定客がつく勢いです。生まれ育った堺市堺区で、念願のマイショップ。元気ハツラツ、アクアフォーカス。そう、路面店が元気でないとアクアは盛り上がらないのです!
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◆ブラディングへの序章
今年7月15日オープン。交通至便。契約駐車場あり。おしゃれなイメージの堺市堺区。近くにアクアショップなし。立地条件としてはパーフェクトすぎてエグい。
8月19日グランドオープン。一見ヘアサロンかカフェのよう。幹線道路に面しているため、車がひっきりなしに通ります。こりゃアドバンテージも大きい。
そして、こだわりのロゴマーク。シンプルで印象的なビジュアル。しかも魚をちゃんと意識した「 <×」 。たかがロゴマーク、されどロゴマーク。いずれブランドとして確立させたいオーナーの野望がビシビシ伝わってきます。すべては魚とつながっているのです。
店内真っ正面に、いきなり水槽。しかも小型。60㎝や90㎝などではないところがミソ。やや控えめなワンポイントビジュアル。逆にそれが効果的で、アクアリストのハートに火をつけないはずがない。ラスボラアギリスベルリン ライカーソードが水草の中でワルツを踊っている様子も、何だか誇らしげ。
◆推しは「珍カラシン」
やや右横のところにも水槽。ラスボラヘテロモルファ ビンタンレッドがちょっと気取ってウェルカム。
外から見たらこんな感じ。
生体&水草ゾーン。左右それぞれ3段構造で水槽が置かれています。限られた空間に展開されたアクアワールドは、南米系の原種を中心とした「珍カラシン」がメインキャスト。
カラシン系だけでもざっと60種類。約500匹弱。見るからにレアものばかり。量的にも質的にも、決して大型店にヒケをとりません。レアもの好きのオーナーの意思がコンプリートされています。
ジャックナイフテトラ。おなかのあたりから伸びる黒いラインがジャックナイフのようなのでこの名がつきました。
クリスタルレッドテトラ。真っ赤に染まる少し小さめのカラシン。レイアウト水槽によく合いそう。
ハイフェソブリコン コンドテンシス。目が大きくて黄色味が強いカラシン。おなかのあたりは成長とともに赤く変化していきます。
ハイフェソブリコン エイリョス。黒い体に赤いヒレが、ある意味珍カラシンの代表種。
ハイフェソブリコン エピカリス。体はピンク色に染まり、背ビレが極端に伸びて長くなります。
カラシンのなみらず、水草の在庫も豊富。カラシンといい水草といい、一瞬どこかのアクアショップとシンクロしてしまったのは気のせいでしょうか。え~っと、どこだっけ?ココ、大事ですから。
◆無敵のモリタ
ここでオーナー登場。森田悠介さん。弱冠26歳。いわずもがなZ世代。堺で生まれて堺で育った、生粋の堺っ子。一見チャラ男的なビジュアルですが、「ずっと堺にお世話になってきたので、堺に貢献したかったんです」と意外なコメントが返ってきて、本気モード全開。
――魚との縁は?
「子どものころ、親に連れられてよく釣りに行ったんです。それがきっかけですかね」
――ああ、よくあるエピソード(笑)
「アクア系の専門学校在学中に、とあるアクアショップでアルバイトを2年間させてもらって、学校とアクアの最前線で腕を磨けました」
――アクア二刀流。
「その後、卒業と同時に就職できました。。この店をオープンさせるまで6年在籍し、色々とお世話になりました」
――あ、もしかして東大阪市にあるアレ(笑)?
「はい、あのアクアショップです!」
――今やっと思い出した(笑)
「水槽のPOPを見てすぐにピンとくるお客さんもいるくらいですよ(笑)」
――最初から独立は目標にあった?
「もちろんです!面接の時に言われたんです、将来独立する気はある?って」
――一生この会社で忠誠を尽くしますと回答(笑)?
「いえいえ。はい、将来は本気で独立したいです!と答えました(笑)」
――で、なんと?
「この仕事をしていくには、それくらいの気持ちがないとダメだからと言われました。それが理由で採用されたのかどうかはわかりませんが(笑)」
――おお、神対応。
「でもいきなり鼻をへし折られました(笑)。自分ではある程度知識も経験もあって自信がありましたが、現実はやっぱり厳しかったです」
――だからこそ頑張れた。
「はい。いくら経験が少なくても、いきなりひとつのコーナーをまかされる会社でしたから。でもそれが結果的に接客がしっかりできるようになったり、トップレベルの知識や経験も習得できましたから」
――もしかして凝り性?
「何でも疑問に感じたことは、納得するまで調べないと気が済まないタイプなんです。その代わり、一度覚えたり身についたりしたことは絶対忘れませんよ」
――趣味も多彩そう。
「こう見えても小中で野球をやってたんですよ(笑)。高校では陸上競技を、大人になってからはマウンテンバイクやカメラにもハマりました」
――そのシャレオツなメガネもダテじゃない(笑)。
「いえいえ、これってレンズが入っていないただのダテメガネなんですけど(笑)」
まるで独立開業養成機関のような前職でしっかりスキルを磨いてきた森田さん。天性のカンも冴えまくり、独立そのものがワクワク感満載でした。近々大きなマンションができるらしい。少し足を伸ばせば戸建て住宅も少なくない。堺市内でアクアショップは意外と少ない。在庫には自信があるのでリピーターにつながるに違いない。幹線道路(府道中央環状線)からも近い。前職のショップからのお客さんもよくきてくれる。。。森田さんの頭の中はポジティブ要素しかありません。「逆に、路面店がトーンダウンしつつある今だからチャンスだと考えたんですよ」。まさに、無敵のモリタ。
◆KOTOBUKI推し
一番奥の水槽はプレコワールド。もともと、プレコがきっかけでアクアにハマったという森田さん。だからプレコにはどえらいこだわりが。「近くで見ると意外と可愛い顔をしているんです。繁殖が狙えるところも楽しいですよ」。
キンペコやインペリアルゼブラプレコなどいわゆるヒパンキストルス属のプレコが中心。それ以外にも、大型のトリムなどを扱うケースも。「といっても、私の趣味なんですけどね(笑)。あまり出てこないのがプレコなのですが、それも人気の秘訣だと思います」。
プレコはゼブラ模様がハッキリしているのがいいとよくいわれますが、白い部分が大きいプレコはもっと人気。小さい時にはぼんやりしたコントラスト模様でも、育て方によってはオトナになって白い部分がさらにハッキリして高値がつくこともあるとかで、奥が深そう。
おっ、こんなところにKOTOBUKIの水槽が。よく出るのは45㎝だそうで、森田さん自身もKOTOBUKIファンなのだそう。
生体コーナーの最上段ほか計10数本の水槽もKOTOBUKI製。透過度もよく、何より頑丈なところがショップでは信頼を集めているようです。
用品コーナーでの取り扱いも。こちらはベタ用「ワンルームハウス」。
文字の大きな水温計。
レイアウト水槽を引き立てるバックスクリーン。
ろ材ネット。
異常をアラームで知らせてくれるヒーター用水温センサー。
生体コーナーの一部で使われているライトも、KOTOBUKIのフラットスリムLEDでした。たくさん用品を扱ってくれて、あざ~す!
生体に関しても用品に際しても、思いはオール激アツ。これがワンチャンと思いきやの独立開業。ガチな仕事ではありますが、森田さんにとっては人生の中のひとつのアクティビィティにすぎないのかも知れません。
さて次回は、いよいよアレの登場です。果たしてアレとは一体?お楽しみに!
【後編へ続く】