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【ショップ】これが京都・鯉屋のプライド☆70年余年の歴史で培ってきたもの/梅村養鯉場(京都市南区)

Posted on 2023年7月7日2023年7月7日 by aquariummagazine

昭和24年創業。京都では誰もが知る京都最古の鯉&金魚店。ある意味、アクアリウムの元祖。コイといえば、やっぱり梅村養鯉場。時は変わり、3代目オーナーは梅村勇太さん。「うちはアクア業界の最後の砦ですねん(笑)」と、はんなりふわっと。創業以来、変わることのない鯉&金魚愛と京都愛。そんな勇太はんとこの仕事場へ、お邪魔しまひょ。

☆     ☆     ☆

◆創業72年いにしえの底力

京都観光の拠点・JR京都駅八条口から歩いてすぐの好立地。商業ビルやホテルが建ち並ぶ一角。まさかこんな場所に路面店があったとは、今までまったく気づきませんでした。

 

アクアショップというより、魚屋さん。この日は金魚の在庫が多かったのですが、プラ製水槽で管理された店内は至ってシンプル。まるで漁港のようなたたずまいが印象的です。

 

創業以来72年が経過し、建物も周辺環境もすっかり変わりましたが、場所もやっていることもずっと同じ。何といっても、3代続いてお店を守ってきた実績も不変です。

 

店舗の上は5階建てマンション。マンション名をよく見ると。。ふむふむ、今さら説明はヤボというものです(笑)。

 

店内を抜けて一番奥へと進むと、水深1.5mのプール池が。10年前にマンションにリニューアルするまでは、もっと大きな池があったのだそう。

 

体つきのいい個体が十数匹ゆうゆうと。じっくり見ていると、2つのグループに分かれて、やや若いグループは終始群れて泳いでいる姿が見てとれます。

 

それにしても水がきれい。これだけの水を取り込むのは大変だろうなと思いきや、「井戸水を使っています。このあたりは昔から質のいい水が豊富だったんですよ。うちみたいな魚を商売にしているところはもちろん、染め物屋や造り酒屋、風呂屋などが点在していたのも、井戸からの水をたくさん使えた証拠なんです」と勇太さん。周りが枯渇する一方で、井戸水を使っているのは「もううちだけやないですかね」。今年40歳の勇太さん。若さに似合わないはんなり落ち着いた京都弁に、こちらまで癒されそう(笑)。

 

木製のフタを開けると、大型フィルターが。覗き込んでみると、車の洗車機のようなブラシが縦に見えます。なるほど、これがろ材なんですね。

 

このほか、京都府城陽市に同じ規模の養殖池が4つあるとのこと。さすが、京都で一番古い専門店だけのことはあります。

 

京都という地盤だけに、京都らしい販路や納品先が気になるところ。その筆頭はやっぱり市内のお寺でしょうか。ふと外を見るといつの間にか青空も。これはラッキー。「ほな行きましょか」。気分はすっかり観光客(笑)。地元のことならまかせといておくれやすといわんばかりに、京都検定2級の資格を持つ勇太さんに連れられて京都のまちへ繰り出すことになりました。

◆メンテは3日に1度

最初に訪れたのは、新善光寺(京都市東山区)。皇族のかたがたが京都訪問の際に立ち寄られることで知られている皇室の菩提寺である泉涌寺の塔頭のひとつです。

 

庭園が美しい境内。紫陽花や睡蓮など初夏を彩る花のほか、青もみじの新緑シーンにうっとりしていると、思わず仕事を忘れてしまいそう(笑)。

 

池には元気な鯉がたくさん。中でも、黄金色したメスが一番大きく立派です。いくつくらいなんでしょうね。「女の子に年を聞くもんやおまへん(笑)」。

 

お寺の景観にマッチした庭園や池の設計はもちろん、水回りのシステム設計もトータルに手がける勇人さん。特に、今や鯉といえば梅村養鯉場といわれるほど、伝統の名に恥じないステイタスを保っています。

 

池の奥には、専用の大型フィルターが。10年以上使っていますが、今も立派に現役です。

 

それぞれのお寺に足を運ぶ頻度は?「3日に1回は訪問しています」。それってメンテのペースとしては多くないですか?「こまめに様子を見にくることで、魚や設備の異変にも気づくことが多いんです」。こまめにチェックしていれば、大事には至りません。作業そのものもさほど手間がかからずに済むものです。

 

池の取水はこの井戸から。水は枯渇することなく潤沢ですが、水を汲み上げるポンプなど電気系統の点検整備に力点を置いています。

 

せっかくなので、御朱印をいただいたキワメテスタッフ。「やっぱり観光ですやん(笑)」。

◆メンテの敵は紅葉

次の訪問先は、日蓮宗瑞光寺(京都市伏見区)。伏見稲荷大社にもほど近く、最近はウクライナを支援すべく同国の慰霊法要も行われました。

 

何といっても、この風情あるたたずまい。丸みを帯びた茅葺屋根の本堂が印象的で、京都のお寺で茅葺屋根は珍しい部類に入るそうです。

 

池は本堂のちょうど正面。「このあたりは、かつて山からの湧き水が豊富だったんですが、周りに家が建ち始めると暗渠も急増したんです。そんなこともあって、池は埋められてしまったことがあるんです」。

 

ところがある日、境内の桜の木に龍神さんが現れました。「池をつくりなさい」とのお告げがあったのだそうです。これは一大事だ、何かあってはいけないと、早速池をつくり直しました。もうお告げに背いていたら、どうなっていたことやら。かくして、龍神さんのおかげで池は見事に復活したのです。

 

「神のお告げとかは信じてます。特に京都は信仰心の厚いところですからね。国魚といわれる錦鯉も、神の使いだと思ってますから」。鯉を売るだけの店ではない。ホームページのトップに書かれた力強い文字にも、勇人さんの強い信念がうかがえます。

 

池のメンテで大変な点は?「何といっても落葉です。特に秋の紅葉。池いっぱいに広がる紅葉は見た目には風情がありますが、メンテをする側にとっては大変(笑)。パイプや排水口を詰まらせたら一大事ですから」。京都らしさを肯定しつつ、メンテという現実も直視。根っから京都を愛する勇太さん、仕事をこなしていく上で、うまくメンタルのバランスをとっているのでしょう。

◆自然環境とコンディション

最後に訪れたのは、紅葉の名所として知られている永観堂禅林寺(京都市左京区)。近くの南禅寺とともに外国人観光客にも人気のスポットです。

 

風景に終始圧倒されっぱなし。仕事だというのに(笑)。

 

境内に石橋のかかる大きな池がありました。前日の雨の影響で少し濁ってはいますが、ここが鯉たちの安住の地。

 

「今日はずっと向こうのほうにいますね」。前日の雨の影響かも知れません。

 

あ、いたいた。

 

おお、どの魚も立派な体格をしています。

 

この池も井戸水を使用?「いや、ここだけは違います。琵琶湖疎水の一部が、この池に流れ込んでるんです」。え、そうなんですか。ということはかけ流し?「そうですね。かたちは池ですが、川の途中でもあります」。永観堂には何年かに1度は訪れているので池の存在も知っていましたが、琵琶湖疏水の水だったとは知りませんでした。

 

池のように見えて、実は最も自然に近いかたちで鯉たちの住処になっていたとは。ポンプともフィルターとも無縁というわけです。逆に、薬剤などを使っても効果がないので、鯉の健康管理には人一倍気を使うのだそうです。

 

池の一部には弁財天が祭られている祠も。ちなみに弁財天は水の神様。こうした厚い信仰心が少なからず水の恩恵を受けているのかも知れません。

 

池の奥へ進むと、池の水源が。小さな滝を形成して勢いよく流れ落ちています。琵琶湖の水が疎水を経由してここから池に注がれているとは、おそらく観光客にとっては、どこにでもある小さな滝くらいにしか見えてないのでしょう。

 

滝といえば不動明王。鯉たちの住処である水が枯渇しないよう、守ってくれているのかも知れません。

 

ここでは健康状態が最大のチェックポイント。ほかの池と違って自然が相手だけに、メンテの中心は魚にあります。質のいい魚を自信を持って納品しているだけに、余計気がかりでしょう。

 

本日の京都観光、、、いやいや、京都取材はこれにて修了(笑)。

◆一般家庭にも鯉

「お寺だけがお得意先じゃないんですよ~」。そう話す勇太さんが向かった先は、龍谷大学深草キャンパスにほど近い住宅地。駐車場の一角に、見慣れないブルーの箱のようなものが玄関先に置かれていました。

 

「一般ユーザーでも鯉を飼いたい人が、京都でも結構いてはります。このおうちもそのひとつです」。鯉の飼育というと、どうしても池や広い場所がないと無理だというイメージがありますが、工夫すれば一般家庭でも鯉が飼えるというわけです。ちなみにブルーの箱に見えたのはプラ製水槽で、店舗にあるものと同タイプでした。

 

折り畳み式の鳥よけネット。おうちの人の自作なんだそう。「すごく鯉が好きなお客さんなんです。時間を見つけては、上からじーっと眺めてはりますよ(笑)」。大きなスペースがなくても飼える鯉。こんなノウハウが浸透していけば、鯉もさらに普及していく可能性を含んでいることは確かです。

◆お客さんは「水を愛する人たち」

鯉は新潟から、金魚は弥富から。仕入れ先も昔とほぼ変わらず。いくら時代が変わっても、生産者がはっきりしているからこそ、高品質の品種が継続して入手できるのです。そういえばお土産でもらった新潟銘菓の柿の種、めっちゃ美味しかった(笑)。

 

一説によると、水をためた防火バケツのボウフラ防止のために普及したといわれる京都の金魚。お寺も町屋も、昔ながらの文化が意外なところで魚との接点があったようです。

 

この日は鯉ではなく、勇太さんお気に入りの金魚がお出まし。まずは琉金。なぜか勇太さん推し。シンプルに、ただそれだけ(笑)。

 

そしてタマサバ。店で扱ってるのは珍しいらしいそうです。どんなタマサバが一番いいんですか?「赤ければいいんですよ(笑)」。マジか。

 

らんちう。勇太さんに言わせれば、らんちゅうではなく、らんちうなのだそう。見る人が見たら宇野中の宇野というくらい、宇野系らんちうの特徴がしっかり表れているのだそう。

 

肉瘤がしっかりしていて、赤が鮮やかに入った丹頂。どうやら赤い金魚がお好きな勇太さん。その理由は定かではありません(笑)。

 

お店にはどんなお客さんが?「あちこちで調べてから、ここの魚が欲しいと決め打ちでこられるお客さんがほとんどです。一見さんや何気なくふらっと立ち寄ってきはる人は、いてはりませんねえ」。

 

かつて鯉ヘルペスが大流行したころ、原因不明のままお店は大打撃を受けました。いわれのない誹謗中傷も飛び交い、どん底を経験した苦い経験もあります。そんなダメージをくらっても、京都を大切にしているから、京都が好きだから、ここまでやってこれたという自負もあります。「自称・錦鯉業界を背負う男ですから(笑)」。

 

 

業界や京都の伝統を守りつつ、新しいことにもチャレンジしつつある勇太さん。第10回国際幼魚品評会に出品した幼魚が、見事金賞を受賞しました。おめでとうございます!

 

勇太さんの願いは、世界人類が安全で平和にすごせる世の中になること。「水の神様=弁財天を大切にしてはる人しか、お客さんにはいてはらへんのです」。

 

鯉愛や京都愛だけでなく、水を愛することに共感する人々が周りにいることが、何よりの平和なのかも知れません。

 

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