道頓堀といえば、くいだおれ、 かに道楽、づぼらや、などなど。しかしここ数年、少しずつまちは変わりつつあり、宗右衛門町などのいわゆる「上の道」同様、道頓堀川にも注目が集まり始めています。かつては、お世辞にもきれいとはいえなかった道頓堀川ですが、今では水もよずいぶんきれいになりました。そして遊歩道も整備され、ミナミ有数のいこいのスポットに。聞くところによると、大阪を訪れる外国人観光客の中では、あのUSJや大阪城よりも道頓堀のほうが人気が上なのだとか。すっかり秋めいた今日このごろ、秋風に吹かれながら道頓堀川を訪ねてみました。
◆誰もが知ってる「あの看板」
道頓堀で一番の人気スポットといえば、やっぱりここですよね。なかなか気づかないうちに、年々少しずつリニューアルされています。改めて近くで見てみると、電球なんて使われていません。さらにいえば、もう「一粒三百メートル」というあの昭和な文言はありません(笑)。
川の両サイドは外国人観光客がくつろいでいる姿も多く、記念写真の被写体としても人気ナンバーワンなのかもしれません。
道頓堀川は本当にいいところになりました。両サイドはウッドデッキ仕様の遊歩道に整備され、歩きやすく、たむろしやすく。これなら、大阪の観光地といっても全然恥ずかしくありません。
あの「引っかけ橋」(戎橋)を真下からみるとこんな感じに。この円形模様、何か知ってます?大阪名物・お好み焼きを焼く時に使う、あのコテ。そのコテをぐるりと円に並べたかたちをイメージしているのだそうです。まったく気づきませんでした。こんな目立ちにくいところにそんなこだわりがあるのは、いかにも大阪らしいですよね。
◆人気の立役者はリバークルーズ
ん?どことなくエンジンの音が聞こえてきたと思ったら、あらら観光船ではありませんか。こんなとこーに観光船がいたなんて、これはすごい!よくみると、定員40人の観光船はほぼ満席。朝から夜まで、おおよそ30分間隔で毎日運航されているのだそう。これは知らなかった!みなさん、とっても楽しそうです。どうやら道頓堀の人気の秘密は、この「とんぼりクルーズ」にあるようです。
船はひっきりなしにやってきます。大きさの違うタイプの船も次から次へと。「この道頓堀川を船からみたらどんなふうにみえるんだろう」。ふとそんな好奇心がふつふつと。ぶらっと遊歩道を歩いて帰るつもりでいましたが、予定変更(笑)。早速リバークルーズを体験すべく、乗り場に向かいました。
道頓堀川の北沿いの遊歩道を東へ。本来ならここはたくさんの飲食店が立ち並ぶ通りの裏側なのに、そんなことを全然感じさせません。むしろ、こちらのほうがメインストリートの感じさえします。小じゃれた居酒屋やバーが随所にあったり、向こう岸ではなにやらアイドルグループのショーなんかも。ハッキリ言って統一感はありません(笑)。でも色々なものが混ざり合って、まるで風景のかやくごはんみたいで、歩いているだけでも楽しい♪
グリコの看板から歩いてわずか5分足らずで船の乗り場に到着。「太左衛門橋船着場」と書いてあります。
チケット購入は船着場のすぐ上にあるこちらで。全便指定制なので、好きな時間帯を選べるほか、座る席がなかったりすることはありません。これも粋な計らいです。
◆船からみた水のある風景
いざ出航。つい2~3年前まで、世界をまたにかける大型クルーズ客船のPRの仕事を15年間やっていたのですが、船に乗るのはそれ以来かも(笑)。いやいや、こんな船も情緒があって実にいいものです。
運航時間は約20分。戎橋付近の船着場から東進し、堺筋をすぎたあたりでUターン。そしてFM大阪やなんばハッチなどのある湊町リバープレイスで再びUターンし、元の船着場に戻るコースです。
おお~、頭上すれすれに橋の欄干が。あたるんちゃうかと思うほど、まさにキワッキワ(笑)
ガイドさんの軽快なMCもあったりします。夜は少し肌寒いくらい、秋風が心地よく♪
やっぱりこの付近が道頓堀川では一番にぎやかな気がします。ある意味、大阪の絶景!
えっ!?つりぼり(笑)?前からあったっけ?いかにもリバークルーズからの視点を意識しています。
おお、阪神タイガース・金本監督プロデュースのお店が。そういえば、阪神タイガースが優勝した時に、道頓堀川のこの付近にファンが飛び込んだこともありましたが、それって単なる偶然なのでしょうか(笑)
多くの有名アーティストが公演するなんばハッチ。下からみるとまるでUF0~♪
同じミナミでも心斎橋付近とはまた趣の違う、堀江のおしゃれなカフェバーが川沿いにあります。
実はこの上、御堂筋なんです。ここもまた、キワッキワ(笑)
グリコの看板を右手にみながら戎橋をくぐり、約20分のクルーズはそろそろエンディングを迎えます。船なからみる風景は、陸とはまた違った趣があり、楽しいひとときでした。
◆大阪人気ナンバーワンの理由
夜の8時をすぎても、人が少なくなる気配はありません。ちなみに、最終の9時発の便は、いつもほとんど満席状態なのだそうです。
さっきまで船の上で見送られる側。そして今度はそれを見送る側。
道頓堀川によく似合う観光船。なんと10年以上もの間、クルーズが行われているそうです。大阪に住んでいながらそんなことも知らなかった、まさに灯台もと暗しですよね(笑)
あの天神祭の時には、こうした観光船がすべて天満橋に集結するのだそうです。まさに大阪がひとつになって観光に力を注ぐ結果が、ここでも観光客増加につながっているのでしょう。
♪赤い灯~青い灯~道頓堀の~♪
このフレーズをご存じのかたは間違いなく昭和生まれです(笑)
すっかりきれいになった道頓堀川。実現するのかどうか定かではありませんが、ここをプールにしようという計画もあるのだとか。ん~、それはちょっと(笑)
外国人観光客にとって、大阪人気ナンバーワンの道頓堀。川が整備され、観光船が行き交い、そこに人が集い活気が生まれる。昔から「水の都」といわれてきた大阪は、少しずつかたちを変えつつ、個性豊かな水のある風景として世界から熱い視線を浴びています。
行楽の秋。みなさんもぜひ大阪へこられた際は足を運んでみてはいかがでしょうか。
★「とんぼりリバークルーズ」のサイトはこちら