奈良県橿原市のおふさ観音は、写真好きのインスタグラマーなら一度は訪ねたことのある、映えスポット。一番のウリは何といっても夏の風鈴とバラ。太陽が照りつける真夏でも、あのチリンチリンの大合唱を聞けば、誰もがしばし心和んでしまうのは不思議です。そんな癒しスポットに突如登場したのが、「メダカの学校」。今夏の人気をすっかり独り占めしているとは、キワメテスタッフ的にもウカツでした(笑)。
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◆願い事を叶えてくるおふさ観音
おふさ観音は、奈良県橿原市小房町の古いまちなみの一角にたたずんでいます。その昔、おふささんという女性が近くを歩いていると、白いカメに乗った観音様が目の前に現れたことに心を打たれて、小さなお堂を建てたことが始まりだといわれています。その後、村人たちの願いごとを叶えてくれる観音様として信仰を集め、「おふさ観音」といわれるようになったそうです。
おふさ観音のキャッチフレーズは、気軽に立ち寄れて「誰もが元気になれるお寺」。あくまで庶民のお寺として身近な存在でありますように、と。拝観料も駐車場料も不要(本堂のみ有料)というのは、そんな思いが込められているのかも知れません。
正門をくぐると、たちまち頭上からチリンチリンの大合唱。ああ、癒されるー(笑)。夏は2カ月にわたって「おふさ観音風鈴まつり」開催中。
何と境内には2,500個以上もの風鈴が。これだけの大合唱があれば、体感温度も確実に2~3度低くなっているような気がします。
風鈴まつりは2003年からスタート。昔から行われていた夏の厄払いの一環でした。冷たいものを食べすぎておなかを壊したり、熱中症対策のためとはいえエアコンの効き過ぎで体長を壊したり。そんなことがないよう祈って、現代風にアレンジしたのが風鈴まつりの最初でした。チリンチリンの大合唱でコロナウイルスも撃退できればいいのですが。
◆心地よい風鈴サウンド
よくみると、色々な種類の風鈴が目を引きます。夏といえばやっぱりひまわりですよね。
こちらは朝顔。
キワメテ的にはやっぱり魚(笑)。
しかも奈良県橿原市といえば、金魚のふるさと・大和郡山ともすぐ近く。金魚の風鈴は、もはや必然というしかありません。
境内にはこんなグダグダに暑い真夏でも、バラはしっかり元気に咲いています。これも観音様のご利益なのでしょうか。
全部で3,800種類のバラが境内に。1995年からバラまつりが開催されています。春の見頃は5月から6月にかけてですが、10月から11月にかけては秋のバラまつりも行われる予定です。
さらに音色が美しい風鈴の回廊。チリンチリンと奏でるメロディがまるでシャワーのように気持ちよく降り注ぎます。暑さになんか負けません(笑)。
風鈴の回廊を抜けると、今までと風景が一変。新しくつくられた、メダカの学校とのご対面となりました。
◆改良メダカ26種類の上見絶景
広々としたスペースに開校したメダカの学校。おふさ観音に、またひとつ風物詩が加わりました。
日当たり抜群。来場者は大変でしょうが、メダカたちにとってはこれが一番なんです。
よく見ると、プラ製容器に木の素材を生かすことで和を演出。寺院にふさわしい雰囲気が醸し出されています。
「へー、メダカの学校やて」。来場者のほとんどがそう口にしてるということは、おふさ観音にメダカがいたなんて知らなかった的なコメントとお見受けいたします(笑)。
メダカの学校は今年3月に開校。このことをまだまだ知らない人もいるようです。デートスポットにもよさげな様相。以前この場所もバラが咲いていましたが、メダカのために道を譲りました。風鈴の回廊も多少カットして、以前より日当たりがよくなりました。
子どもたちにとっても、夏休みにはちょうどいいスポット。
もしかしたら、風鈴のチリンチリンもメダカにとっては心地よいサウンドなのかも知れません。聞いてないのでわかりませんが(笑)。
日射を防ぐ簾などの備品も。天敵はいないのでしょうか。
なるほど、こういうボディガードがいるなら大丈夫です(笑)。
ちなみに、どの容器にもヤゴ対策の一環としてドジョウが投入されているとのこと。天敵から身を守るために、こんな工夫もされています。
◆夏メダカはキラキラ系がおすすめ
それでは、キワメテスタッフがピックアップした品種をご紹介。まずは夏らしく、青味がキラキラきれいな青ラメから。上見でも横見でもキラキラが楽しめる人気の品種です。メダカはやっぱり上見。どのメダカもとっても元気です。バラと同じく、メダカも観音様のご利益にあやかっているに違いありません。
黄冠(おうかん)白菊。こちらも上見でも横見でも楽しめるタイプのメダカ。シルバー系の色合いですが、頭部に黄色がのり、さらにはヒレにも黄色が入っている、バリエーション豊かな品種です。
こちらも夏っぽいアオメダカ。爽やかなブルーが美しく、改良品種として昔から親しまれてきました。太陽の下だと、なお一層美しさが引き立ちます。
幹之(みゆき)スーパーひかり。体は青味がかっていますが、目の後ろから胸びれの背中にかけて光がキラーン。シンプルでありながら気品ある美しさが特徴です。
カブキ。幹之メダカの改良品種で、保護色機能により飼育容器の色によって、さまざまな色に変化するそうです。鮮やかな舞台で人々を魅了する。なるほど、だからカブキなんですね。
サバの極み。ゲスの極みではありません(笑)。背中の青いウロコが特徴で、しかもおなかに黒い模様があり一見サバを思い起こさせることから、この名がつきました。
美しい琥珀・金色系のメダカ、鳳凰(ほうおう)。ひし形の尾びれが特徴の人気種で、日光に当たると頭と背中の虹色細胞がさらに輝きを増します。
このほかにも青星河(写真)や夜桜体外光、濡烏、黒ラメ幹之、ブルースターダスト、黒龍、黒百式、紀州黄金黒鱗ひかり、紀州黄金黒鱗、鳳凰改、オロチ、東天光、オロチ松井ヒレ長など、全部で26種類。ぜひお気に入りのメダカを見つけてください。
◆奈良県の新しいメダカスポット
あれだけのメダカをどこで繁殖させているんだろうと思っていたら、バックヤードも境内の中にありました。メダカの学校のオープンは今年3月ですが、実は2年前からこうして繁殖を始めて準備していたそうです。
ここで足を止める来場者はきっとメダカにも詳しい人だとお見受けします。
境内の奥には、カメやコイのいる池があったり。
さらに奥にある茶房おふさでは、夏期限定のかき氷や個人的に超オススメのハーブカレーを味わいながら、庭園を眺めてのんびりできます。
風鈴とバラがウリだったおふさ観音にメダカも加わり、観光地としてさらにアップデート。アクアファンでもそうでなくても、誰もが楽しめる夏のスポットとして注目されていくことでしょう。奈良に、新しいメダカスポットの誕生です。
そういえば、数年前に「奈良にもメダカスポットかあったらなぁ」とつぶやいたことがあるのを思い出しました。ということは、メダカの学校は観音様が叶えてくれた賜物なのかも知れませんね。
うん、きっとそうに違いない(笑)!