ようやくコロナ禍から解放されつつあると思ったら、今度はとんでもない暑さに日本中がぐったり。そんな夏のど真ん中に行われた、メダカイベント。関西のメダカ愛好家たちが東大阪市に集結。暑いのは、季節のせいだけではありませんでした。
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◆次なるステージはイベント
イベントの会場となったのは、東大阪市の星龍目髙さん。メダカをインテリアととらえ、個体はもとより小洒落た水槽と融合させて「メダカリウム」という気の利いたワードを生み出しました。
おしゃれすぎるショールーム。それもそのはず、ベンツなど高級外車のエアロパーツなどのデザインを手がけるオーナーの世界観がそのままメダカリウムに反映されているからです。
そう。こんなメダカ屋、ちょっといない(笑)。
オープン後まだ1年少しですが、倉庫を利用したショールームだったり、屋内にメダカ川までつくってしまったり。訪れるたびに新しいものと出会えるわくわく感は、アクアショップにしておくのがもったいないほどのパフォーマンス。
そんなオーナーの次なるプロジェクトが、イベント。やっぱりそうきましたか(笑)。まずはショップを認知してもらい、次いでゲストを呼び込み、さらなる集客のためのネクストステージはやっぱりイベント。幸い、ショップが倉庫という強みがあります。10店近く出店が可能で、もちろん貸料いらず。雨の影響を受けることも皆無。車のアクセスもよく駐車場もキープできるとあって、出店者さえ揃えばいつでもイベントができる好立地も、さすがメダカリウム。
かくして初のイベント開催。6月11日(土)と7月3日(日)の両日に開催され、キワメテスタッフは7月のイベントに密着しました。立て続けに行われた2度のイベント。この先のイベント予定?さあ~(笑)。でもアイデア豊富なオーナーのことだから、きっと何かまたわくわくするような仕掛けを放ってくるに違いありません。
◆散るか?同業者同士の火花
異例の6月梅雨明け。全国各地で40度超え。熱中症多発。地球温暖化の影響、ヤバいよヤバいよ(笑)。でもこの日は少し様子が違い、局地的に降雨になったところもあり、31度という気温もしのぎやすく感じるほど。慣れって怖いね(笑)。
それぞれの出店スペースは1坪ちょい。イベントというよりフリマっぽくてアットホームな感じ。意外に狭さを感じないのは、倉庫というユーティリティーだからでしょうか。何より紫外線を気にしなくてもよく、テントやタープなどの設備も不要です。
ノボリはやっぱりあったほうが目立つし盛り上がる~♪
丸形ステッカーもあったほうが名刺がわりになる~♪
メダカ屋なのにメダカ屋を集めたイベント。同業者同士。堂々の被りまくり(笑)。でも心配なく。商売仇的な大人げない人は、ひとりもいませんでしたから(笑)。
◆出店者を根堀葉堀直撃!
早速、出店ブースのいくつかを直撃しました。最初はこちら、天理市の花火めだかさん。今回のイベントのきっかけをつくった張本人(笑)。「こちらへはオープン当初に訪れました。広いスペースとおしゃれなショップなので、イベントには最適の場所だと確信しました」。この世界では結構知られています。メダカ歴は10年弱。ブリードでは色揚剤などは使わず、自然に飼うことでグレードを上げるように心がけているそうです。ユニークなのは、金魚のまち・大和郡山市に畑を借りてメダカの養魚場にしている点。「あそこは水がいいから、メダカの成長も顕著です」。確かに金魚だけだともったいないかも(笑)。
今回の目玉はなんといってもこれ。烏城三色。委託販売ではありますが、今回のイベントのために厳選されたペアが出品されました。魅力は何といっても、白地の美しさと黒ブチの明瞭さ。ほかにもさまざまな要因がありますが、透明のウロコに普通のウロコがよく混ざるというモザイク性が極めて高いことも人気のようです。キワメテ的にも初めての見参。関東では状態のいいペアだと10万円は下らないとか。ヒョエ~!
四日市市の目高堂彩(いろどり)さんは、伊勢鉄魚愛好家という別名も。今回注目したのは鉄魚。これまた初見参。もともと宮城県の魚取(ゆとり)沼で1922年に初めて発見されました。フナとリュウキンの交雑種と考えられ、今では魚取沼一帯が鉄魚の生息地として国の天然記念物に指定されています。
まるで天女が羽衣をヒラヒラさせているように優雅に泳ぐ姿が印象的な鉄魚。見ようによっては、背びれや胸びれが帆掛け船のようにも見えます。鉄錆色のイメージがある鉄魚ですが、色は赤、白、青、そして三色が出るなどさまざま。中でも青い鉄魚は10万円くらいするのだとか。これまたヒョエ~(笑)。「「約10年間飼育してきた中で、全体に青が出たのは5匹くらいです(笑)」。関西ではあまり馴染みのない鉄魚。後日、キワメテスタッフが取材にお伺いすることになりました。乞ご期待!
続いて、大津からお越しの淡海(おうみ)めだかさん。鮮やかなオレンジの揃いのポロシャツが印象的で、背中には「めだか大好きオヤジ」の文字が。北は群馬から南は熊本まで、全国に21人いるメダカ愛好家のメンバーの一人です。「残念ながら女性はいません(笑)!」。残念(笑)!メダカにハマったのは、地元の神社で行われた小野妹子まつりでメダカ釣りをしたのがきっかけなのだそう。
「コロナの影響もあって、ネットでの購入者が増えました。販売者がハッキリしている人ならネットでもいいものが買えますが、個体はやっぱりリアルで見て欲しいです」。リアルで目利きができていれば、ネットで購入する時にも強味になる。これはアクアショップ全般にもいえることで、やっぱりリアルにはかないません。
めだかのゴンちゃんも、めだか大好きオヤジのメンバーの一員。この日のために、自宅のある岐阜を朝の3時に出発。「開場は10時なのに8時に着いてしまいました(笑)」。いやいや、そんな情熱には頭が下がります。本当にご苦労様です。
「今回は新しい品種を持ってきました!」と汗を吹き吹きのゴンちゃん。その名も、ゴージャス。これはわかりやすい(笑)!もちろんゴンちゃん作出。自身の名前(ゴンちゃん)からとったそうですが、「ゴ」しか共通点がないんですけど~(笑)。ゴージャスは5月3日デビュー。今年のニューフェイスです。
ん?これは?「もう半分くらい売れちゃいました~」と余裕の表情を見せるのは、奈良県の笑笑めだかさん。ユニークな屋号ですね。「メダカを通じてみんなが笑えたらいいなと思って!」。なるほど、いい心がけです(笑)。今日のラインナップはラメ系が中心で、「夜桜やサファイアがよく売れました!」。
ご夫婦ともに30代後半。高校生のお子さんがいるようには見えない若々しさ。3年前、地元のホームセンターで初めてメダカを見てハマってしまいました。普段は地元の産直市場で出店しています。当初はドッグランにしようと思っていた敷地が「全部メダカの養魚場所に変わってしまいました(笑)!」。屋号通り、常に笑いを絶やさないお二人でした。
一見、物静かなひとりの男性。ところがひと声かけてみると、.喋る喋る(笑)。あとになって屋号の意味がわかりました。何しろ、屋号は「陽気な容器屋」さん(岐阜県)ですから(笑)。メダカ歴は4年ほど。プラスティック製品をつくる会社に所属し「メダカに関するものをつくれないかと思いまして」。そこで考えたのが、メダカ飼育用の容器でした。
試行錯誤の結果、コスト的にもニーズが合ったのが白い容器。イベントでも売れるようになりました」。ちなみに会社からはあとン千万円売れたら遊んでもいいと言われているとか(笑)」。目下営業マンがいないので、孤軍奮闘しています。「でもイベントは遠くまで行けるので楽しいです」と、とこまでも陽気な容器屋さんでした(笑)。
イベントには女性の出品者もいました。UT jobs 橿原BASEさんは、就労移行支援施設。ついついオネーサン!などと軽いノリで声をかけてしまってゴメンナサイ(笑)。この施設では、利用者のみなさんがメダカの飼育ツールやグリーティングカードをつくっています。最近少しずつではありますが、こうした動きが高まっています。
個体の販売こそありませんでしたが、ユニークな飼育グッズがたくさんラインナップ。アクアでいえば、メダカは最もベーシックな世界。品種が何であろうと、アクアがこんな社会貢献につながっているのはうれしいことです。
月兎(Tsukito.art)さんは、関西で活躍中の日本アルコールインクアート協会のディプロマイザー。普段はアルコールインクで描いたパネルなどを制作するクリエイター。でも根っからのメダカ好きであることはいうまでもありません。とにかく、イベントと聞けば西へ東へ多忙な毎日を送っています。無理したらダメですよ~(笑)。
そしてそして、その手にはKOTOBUKIレグラスが。自身のポテンシャルを生かして、水槽のバックスクリーンをつくっちゃったんです。「協会長の勧めで水槽用に絵を書いてみたのが最初なんです~」。作品はすべて1点1点手描きによるオリジナルアート。いやぁ、ひとくちにメダカイベントといっても、色々なジャンルで活躍している人がたくさん。キワメテ的にも負けていられない!と自らを発奮せずにはいられませんでした(笑)。
◆新たなるネクストステージへ
気がついたら、閉会間際の午後4時前。あー、今日もよく喋りました(笑)。出店者のみなさん、すっかり仕事の手を止めてしまって、ごめんなさいでした。
その日の売り上げを気にする人もほとんどなく。もちろん売れないよりは売れたほうがいいに決まってますが、出店者のみなさんにとってはそれよりも大事なことがあるみたいです。
コロナの影響で人と会える機会が減り、イベントもまともにできなかったここ2年。誰もが人に会いたかったり話したいと思ったり。
「いやいや、売り上げなんか別にええんですよ(笑)。こうしてメダカ愛好家が集まってくれることに意義があるんですから」と、ある出店者。久しぶりのイベントを通じて絆を強めることができたことに、確かな手応えを感じていました。
初心者からベテランまで、幅広い層に人気の高いメダカ。メダカ愛好家たちがイベントを通じて情報交換を図りつつマーケットを把握し、ターゲットや時流に合った個体を揃えてエンドユーザーに高品質のメダカを提供できる仕組み。やっぱりメダカ屋、ニーズ把握もお手のもの。
今回、イベントを通じてメダカ屋さんを束ねてきた星龍目髙さん。後日少し話をしてみると、すでにネクストステージの用意がある、と。それは何かって?それは口が避けても言えません(笑)。ぜひお楽しみに!
みなさん暑い中、お疲れ様でした!メダカに関してはこれからも冷めないでくださいね(笑)。