2022年が始まりました。去年は大変な年ではありましたが、去年は去年、今年は今年。年に一度のリセットタイムで、また新たな一歩を踏み出しましょう。さて2022年最初の記事は、新年にふさわしいアクアなスポットをご紹介。キワメテスタッフが大のお気に入りのびわ湖からさらに厳選した、とっておきの離島・沖島を訪ねました。離島から見える水のある風景。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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◆約10分のクルージング
JR近江八幡駅から市民バスでさらに約50分。ここ堀切港が沖島への玄関口です。大阪からざっと2時間。思えば遠くへきたもんだ(笑)。
沖島へは船が唯一の交通手段。約1時間ごとに運航されていますが、利用しているのは大半が島の人たち。最近は観光客も増えてきているようですが、島の人たちにとって船はなくてはならない生活の足なのです。
船が通るたびに、たくさんのカイツブリがいっせいにバタバタ。ありがとう、道を空けてくれて(笑)。この付近はカイツブリだけでなく、トンビやカワウなどの野鳥がたくさん生息しています。鳥たちにとっても格好の漁場なのでしょう。
湖岸に建つ朱色の鳥居が印象的です。せっかく島へ上陸するのだから、ぜひあの場所まで行ってみましょう。
島唯一の小学校・沖島小学校も見えてきました。地元の生徒はわずか数人ですが、毎日船を利用して島外からやってくる小学生や先生もいます。特認校に指定されているので、近江八幡市内からでも越境通学が可能なのだそう。
◆活躍する三輪自転車
沖島へは約10分の船旅。船はやがて港へ。風光明媚な水のある風景。建ち並ぶ民家と漁船をぼんやり眺めていると、ついつい淡水湖にいることを忘れてしまいそうになります。
まるで瀬戸内海に浮かぶ小さな離島のようなたたずまい。びわ湖へは今まで何度も足を運んできましたが、こんなびわ湖らしくないのんびりとした風景を見るのは、これが初めてかも知れません。
港の目の前にある沖島漁業会館では、地元の人たちによるお土産や定食の販売も。もちろんすべて地元の人たちによる手づくり。自分たちが一番美味しいと思う方法で料理しているのだそう。この日は、お土産にも人気の「えび豆若煮」を購入。白ごはんとの相性はもちろん、意外にカレーにも合ったのでびっくり。あっという間になくなってしまいました(笑)。沖島のお土産として、ぜひこれがおすすめです。
島に車やバイクはありません。島内の移動手段は、自転車ないしは三輪自転車。特に三輪自転車は安定感があり、しかも農作物や魚を手軽に運べるとあって島の主要な交通手段となっています。
三輪自転車を操る人の多いこと。男も女も。あっちにもこっちにも(笑)。
◆イノシシ出没注意
沖島は周囲約6.8㎞で、人口は約250人。びわ湖に生息する約50種類もの固有種を対象とした漁業が中心で、何とびわ湖全体の約5割の漁獲高を占めています。これには驚きました。
特筆すべきは、「人がくらす淡水湖の離島」として全国でもここだけ。びわ湖には無人島や観光島もありますが、人が実際に住んでそれぞれ生活を送っているのは、沖島だけなのです。
島のくらしの中心は漁業だけではありません。島のあちこちには畑があり、あらゆる野菜が栽培されています。魚あり野菜あり。船でたったの10分という地の利。現役を引退したら、こんなくらしも悪くないなと、ついついその気になってしまいそう(笑)。
芋焼酎をつくるさつまいもを栽培しているユニークな畑も。
驚いたことに、島には野生のイノシシが生息しています。離島なのになぜ(笑)?なので、イノシシによる農作物の被害は深刻なようです。
「このあたり見て~」と島の人が指差す付近を見ると、何やら土を掘り返した形跡らしきものがあります。どうやらこれもイノシシの仕業なのだそう。一体どうやってイノシシがこの島に?「海を泳いでやってくるんよ~」。え、マジで(笑)?真偽のほどはともかく、ついついイノシシがびわ湖を泳いでいる姿を想像してしまいました(笑)。
◆三輪自転車第1号
少しまちなみを歩いてみました。坂があったり路地裏があったり。昔ながらのくらしが今もあります。
離島ではありますが、通信や上下水道などのライフラインは整備されています。離島といっても、思ったほど不便さはありません。
またひとり三輪自転車で軽快に走る女性と遭遇。何と島で初めて三輪自転車に乗った記念すべき第一号なのだそう。えー、それはすごい!聞いてみると、42年前に近江八幡市の知り合いの勧めで入手。すると、これは便利な乗り物だとたちまち島民の間で広がり、いつのまにか三輪自転車が島の代名詞のようになってしまったのです。
沖島の歴史に大きく貢献した女性(笑)。荷台には、収穫したばかりのだいこんがありました。
お、島民唯一のアクアリストかも(笑)。水槽にはメダカがいました。
島の西部には、水道浄水場もありました。かつてはびわ湖そのものを生活水に使っていた時期もありましたが、今ではライフラインも近代化されています。
沖ではのんびりブラックバスを釣っている人たちも。そういえば、今回はびわ湖の魚にありつけなかったことだけが悔いが残りました。
◆沖島の絶景参拝
こんな絶景とも遭遇しました。かつてはびわ湖の観光船が停泊していた桟橋の跡。目の前に広がるのが比良山系。もうすぐこの山々にも雪が降り、厳しい冬を迎えます。
地元の人によると、ここから見る夕陽が格別なのだそう。それにしても、同じびわ湖なのに港のある東側とこの西側とでは、風景のテイストがまったく異なります。ここがまぎれもなく離島であることを思い知らされながら、真っ赤に染まる空を妄想中(笑)。
通称・桜のトンネル。春になると、桜吹雪が湖岸を舞う島の観光スポットです。
奥津嶋神社から見たびわ湖。まるで対岸が離島であるかのような、まさに絶景というほかありません。
再び港まで戻ってきました。ん?ネコちゃんがのんびりお昼寝中。
あ、起こしてしまってごめん(笑)!
そういえば、さっき船から見た朱色の鳥居を思い出しました。滞在時間は限られていますが、せっかくここまできたのだからやっぱり行くことにしました。
さっき船から見た沖島小学校。遠くから見るよりはるかに近代的で立派な建物です。
こんなところにもイノシシの仕掛けがありました。
道を渡る時は一旦停止?ここでは車ではなくイノシシに注意ですね(笑)。
島で唯一の水泳場。沖島小学校の遠泳授業で使われる浜だそうですが、びわ湖の水って結構冷たいんですよね(笑)。
◆弁財天に祈る
少しずつ民家が減っていき、道はどんどん探検っぽいシチュエーションに。シダの葉も印象的です。
おお、これは!高さ3mはあるでしょうか、こんな巨石がいくつも転がっています。いや、転がっているのか山から落ちてきたものなのかは不明ですが、沖島は明治から昭和の40年代ごろにかけて石材業が盛んだったことを思い出しました。もしかしたら、これらはその名残なのかも知れません。
港から20分ほど歩いたでしょうか、お目当ての朱色の鳥居に到着しました。弁財天といわれ、雨乞いの神様なのだそうです。
厳粛な空気が漂い、鳥居があるだけで神々しい雰囲気満載。せっかくここまできたので、キワメテ読者を代表してお参りしておきました。今年も充実したアクアライフが送れますように!
◆よい一年でありますように
帰りの船を待つ間、ネコと戯れる女の子がひとり。同じ滋賀県からママ友と一緒に2家族5人で来訪。取材中もすっかり仲よくなり、「くーちゃんのおうちにも来てね」とラブコールを送られてしまいました(笑)。
じゃあまたね。ちょっと寂しげなネコちゃんでした。
今年こそ!沖島にもびわ湖にも、そしてみなさんにもハッピーが訪れますように。