もうすぐクリスマス。キラキラわくわくのウインターシーズン。そんなときめきのシーンを演出してくれる、アクアなスポットがあります。今や全国からも観光に訪れるナイスなアクアスポット。巷のイルミネーションやプロジェクションマッピングを超える、素敵な出会いがあるかも知れません。
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◆非日常的空間を創出
奈良金魚ミュージアムは、奈良市内の大型商業施設「ミ・ナーラ」の4階に。その広いエントランスにいるだけでも、わくわく感は高まります。金魚オンリーのミュージアムとしては、今や全国屈指の規模を誇っています。
早速出迎えてくれたのは、3mの特注水槽。琉金や桜錦、蘭鋳、ピンポンパールなど、誰もがよく知ってる高級金魚のオンパレード。まるで、今春オープンした大和郡山市役所新庁舎に設置された特大水槽のよう。
高級金魚にはやっぱり大型水槽が似合います。
1年の12カ月をイメージした12本の球体型水槽。奥から1月・2月・3月と続きます。背面にはプロジェクションマッピングが投影され、透明感のある非日常的な空間が印象的です。同時に、クリスマス感もたっぷり。
ひとつひとつの水槽には、金魚たちがゆうゆうと。君は一体何月生まれ?
この時期、どこもかしこもクリスマスムード一色。館内でも至るところにツリーやイルミネーションが施されていますが、やっぱり金魚には叶いません。クリマスだけでなく、金魚たちが年中無休で出迎えてくれるのは、うれしいことです。
しかも、どの水槽もメンテが行き届いていて、とってもきれい。巨大だったり複雑な形状の水槽も多いのに、スキがありません。博物館や美術館などのミュージアムはたくさんありますが、「水もの」の常設展示は水族館くらい。しかもこの広さ。一般的な水族館に匹敵するほど、メンテがしっかり行き届いています。
◆奈良市と大和郡山市のコラボが実現
ミュージアムが完成したのは2018年でした。その後さまざまな紆余曲折を経て、去年12月に本格的なリニューアルを大敢行。これを機に、ミュージアムは大きく生まれ変わりました。管理体制や運営スタッフもすっかり変わり、言ってみれば水槽リセット状態。新しい空気は、確実にミュージアムを進化させてきました。
リニューアルを機に、約3,000匹いる金魚の入手先も再構築。今では、その多くを大和郡山市を代表する養魚場・やまと錦魚園と連携を図ることになったのです。「奈良の金魚といえば、やっぱり大和郡山市ですからね。リニューアル以後、ずっとお世話になっています」と話してくれたのは、店舗運営およびリーダーとして常に現場の最前線に立つスタッフの八家侑太さん。しかも、八家さん自身も大和郡山市に在住。「奈良市のミュージアムと大和郡山市の金魚」という奈良同士の理想のかたちが、リニューアルを機にようやく実現しました。最後のピースがピタッと収まったように。
ちなみにこのコーナーでは、ドローンを駆使したユニークな動画を上映中。数匹の金魚が大和郡山を出発後に奈良の観光スポットをめぐったあと、最後にここへたどり着くという観光客目線の設定です。
まさかここで大和郡山の風景がこんなかたちで見られるとは思ってもみなかったので、しばしスクリーンを凝視。ガラにもなく感動してしまいました。
この動画は、ある意味リニューアルの根幹を担ったコンセプトストーリー。解説が一切ないところも、野暮ったくなくてスッキリ。全国から観光で訪れた人たちはもちろん、地元の人たちにもぜひ見てもらいたい、そう感じる動画でした。
◆広々空間で金魚も余裕?
館内はとにかく広くて迷子必至。大型商業施設の一角とはいえ、この広さはハンパではありません。「国内最大級の金魚エンターテイメントアクアリウム」という謳い文句が、決してオーバーではないことが実感できます。
ゾーニングも多彩そのもの。要所には解説パネルではなくデジタルサイネージを用い、プロジェクションマッピングや光、ステンドグラス、ミラーなどがオンパレード。それらを巧みに操っているのは、アクアのプロ。彼らがアーティストさながらに本領を発揮しています。
まさにイジゲンノモリ。
花と金魚。
光が多方向に放たれることそのものが美しい、巨大ダイヤモンド。
巨大アクアテラリウム風のオリジナリティーあふれるスペシャルな水槽。息をのむような迫力に圧倒されます。
決して過密ではない金魚たち。大和郡山で生まれ育った金魚たちにとって、これほど快適な空間はないでしょう。
ここは和テイスト。イメージはおいらん道中。妖艶な雰囲気が漂うかつての江戸の町並みが再現されています。
障子と寄り沿いながら、はんなりと泳ぐプロジェクションマッピングの金魚たち。日本独特のワビサビを感じずにはいられません。
奈良といえば鹿。そして金魚。鹿と金魚がコラボで演出することで、「奈良の金魚もお忘れなく」と、鹿たちが後押ししてくれているよう。そう、金魚だってシカに負けない奈良の誇りなのです。
◆ぎっしり詰まった「参加型展示」
「これって意外と人気があるんですよ~」と八家さんに教えてもらったのが、おみくじコーナー。コインを投入してガチャガチャを回せば、カプセルに入ったおみくじがゲットできます。読み終えたものは、一面にズラリ。おみくじの人気のほどがうかがえます。
おみくじというよりも花札テイスト。しかもイノシカチョウではなく、代わりに描かれているのが金魚というのもミュージアムらしさ。花札世代にとっては、懐かしくもあり楽しくもあり。
思わずドキッとするようなものもありました。プッと笑いを誘うようなものも。アクアだけでなく、こうしたクリエイティブなジャンルでもプロ意識を感じずにはいられない、こだわりの参加型展示。どの来場者も楽しそう。笑顔しか勝たん!
映えフォトが撮れるためのこんな配慮が随所に。今やカメラといえばスマホが主流の時代、入場者が多い時には、順番を待つ列までできるのだそうです。
これは、金魚とともにクリスマスを楽しむ北欧のおうち風。金魚がいるだけで、エレガントなワンシーンにグレードアップ。
奥にはあったかそうな暖炉も。まるで、ドラマのセットのようなシチュエーション。ついついフォトセッションが楽しめそう。
そこへ、奈良観光真っ只中の3人グループ。2泊3日の予定で奈良観光を楽しむべく、前日に現地集合。「奈良といえばシカと金魚ですから。昨日は奈良公園でたっぷり遊んで、今日はここへきたかったんです!」。なるほど。奈良観光イコール金魚というのは、全国的にみても揺るがぬファクターになりつつあるのかも知れません。
よくよく聞いてみると、山梨・岐阜・沖縄と勤務先はバラバラなのだそう。20代の同僚同士。ミュージアムでも、とっても盛り上がっていました。まるで水を得た魚のように。
ついでにもう1カ所。日本ではここにしかない「人間水槽」で。最初はよくわからなかったのですが、要するに通常の金魚水槽の約10倍のサイズでつくられた、逆ジオラマだったのです。
ブクブクだって水草だって10倍増しサイズ。
すぐそばにはモデルとなった実際の金魚水槽も。これで納得できました。
みんな金魚になってみて~。まさに水を得た魚。早速金魚の気持ちになってくれました。最終日となる翌日は神戸を観光したあと、そのまま現地で流れ解散の予定。仲良し同士の奈良観光、いい記念になればいいですね。ご協力ありがとうございました!気をつけて お帰りください。
◆「金魚ファースト」が大前提
ひときわ目を引く巨大金魚ちょうちん。幅約7m、高さ約3mのビッグサイズ。どこかで見たことのあるキャラ。数年前の金魚すくい選手権大会(大和郡山市)で現地担当者と交流。山口県柳井市では、民芸品の金魚ちょうちんが推し。今もPRのための観光大使的存在です。
奥のゾーンでは、通常サイズの金魚ちょうちんのオンパレード。題して「五百金魚」。その名の通り、500匹の金魚ちょうちんが映え映え。ひとつひとつが職人さんによる手づくりの金魚ちょうちん。大和郡山だけでなく、山口県柳井市もよろしく。
八家さんによると、今年3月3日の金魚の日に「金魚の日コラボツアー」を実施。「体験・学び・癒しをコンセプトにして、やまと錦魚園さんで嶋田社長に金魚の知識や歴史についてお話をしていただき、そのあとここへ移動して館内ツアーを行いました」。金魚の生体についての解説はもちろん、飼育方法についてもレクチャー。結果、地元産業への理解を深めてもらうと同時に、金魚の飼育を通してSDGsへの取り組みを知ってもらうキッカケにもなったそうです。
そんな取り組みが少しずつ行われ、時間とともに強まりつつある大和郡山市との絆。同じ奈良県同士。金魚を通じてたぐり寄せられた赤い糸は、必然だったのでしょう。
まるで、運命に導かれた若い2人のように。
「とことん金魚ファーストであるということ。このマインドを一番大切にしています」と八家さん。展示でもアクアでも一番重きを置いているのは、ほかならぬ生体そのものである、と。ここ、大事です。
あえて片方だけ墨が入っていない、巨大金魚ちょうちん。来場者の日常のさまざまな願いが叶えば、再びここへ戻ってきて自分自身が目になって写真を完成させてください、というのがミュージアムサイドの思い。みなさんの願いごとが叶えばいいですね。
それを叶えてくれるのは、やっぱり金魚に違いありません。少し早いですが、メリークリスマス!
〈在籍金魚リスト〉季節やイベントによっては変動する場合があります。
四国オランダ、ピンポンパール、蘭鋳、ヤンバエオランダ、琉金、桜東錦、キャリコ琉金、桜錦、タイガーオランダ、朱文金、黒出目金、レモンコメット,東錦、オランダ、コメット、更紗オランダ、江戸錦、だるま琉金、丹頂、ジャンボオランダ、黒オランダ、三つ尾和金、ブリストル朱文金、黄金魚、パールスケール、頂天眼、水泡眼、玉錦、江戸地金、玉サバ、茶金、青文金、白桜錦、白オランダ、白蝶尾、白琉金
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※2023年1月31日(火)まで有効