2021/09/03イベント, ショップ, ユーザー, 人物, 技術

【ショップ】大病を克服してメダカにバズって1周年☆自宅でメダカ販売を始めた「めだか川屋」川口訓生さん・由理恵さん(大阪府寝屋川市)

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人生の転機はある日突然。それまで順調にサラリーマン生活を送ってきた夫は、ある日突然心臓系の病に。サラリーマン生活のストレスも重なり、それを見かねた妻は「もう仕事なんか辞めて好きなことをすれば?」。はいわかりましたと簡単にいかないのが人生。でもそれを大胆にやってのけ、自宅にめだかの販売所を開設してまる1年。「めだか川屋」は、第2の人生そのものです。

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◆趣味から始めたメダカ販売

めだか川屋は、京阪電車・香里園駅から歩いて10分足らず。昔ながらの日本家屋が今も多く残る住宅街を歩いていると、ブルーの幟と暖簾が見えてきます。至ってシンプルな店頭アイテムではありますが、青空とのコラボレーションがナイスな感じです。

 

川口さん宅。なるほど、だから「川屋」なんですね。ん?よく見るとメダカじゃなくて金魚?本当はメダカにしたかったのですが、たまたま金魚のモチーフしかなかったからこうなったのだそう。オープン1年。そろそろ替えましょう~(笑)。

 

川口家は、いわゆる2世帯同居中。4年前まで訓生(のりお)さん・由理恵さん夫婦はマンション住まいでしたが、訓生さんが突然の病に。幸い一命は取り留めたものの、これをきっかけに長年勤めた会社を退社。お父様の浩さん・お母様の美代子さんと合流したというわけです。

 

残念ながらお父様の浩さんだけが帰ってこなかったので、3人だけで玄関先でパシャリ。まだ40代前半の働き盛りなのに、思わぬアクシデントに遭遇した訓生さん。人生、いつ何が起こるかわかりません。しかし、結果的にめだか川屋オープンのきっかけになったことには違いありません。

 

マンションに住んでいたころから飼っていたのが、メダカでした。聞くと、お母様の美代子さんが「これ(メダカ)を家に持って帰って育ててみたら?」と何気に勧めたのが最初だったとか。さらに聞いてみると、かつての川口家は家族揃って生きもの好きだったのだそう。近所でトカゲを捕獲してきたり、スズメの雛が巣から落ちて弱っていたのを連れて帰ったり。飼っているうちに手乗りになったこともあったそうです。

◆奥様は飛ぶものが苦手

でも由理恵さんだけが「飛ぶものが苦手なんです。鳥はもちろんチョウチョやトンボもダメ。チョウチョだったら、まだゴキブリのほうがマシかも(笑)」。根堀葉堀と聞いてみましたが、結局これといった理由が見つかりませんでした。

 

かたや玄関にはお母様所有の金魚水槽が2つ。もちろんお世話はご自身で。現役のアクアユーザーだったとは。それまで大切に育ててきた花も、少しずつメダカのためにスペースが侵食されていったみたいですが、気にされる様子はまったくなし(笑)。

 

「でもこの玄関まわりだけは、決して侵してはならない母の領域なんです(笑)」(由理恵さん)。

 

最初からメダカを販売しようとしていたわけではないんですよね?「最初は趣味の範囲だったんです。でも実家に帰ってきたら、すごく増え始めました。マンションの時も外飼いでしたが、やっぱり環境がよかったからでしょうか。近所の人たちにも差し上げてずいぶん喜ばれました」と訓生さん。大きな病気をした後、仕事でも多くのストレスを抱えていた訓生さんは、由理恵さんの後押しの結果「それならやってみるか」と販売に踏み切りました。好きなことを商売にする。誰もがあこがれるワーキングスタイルを、リアルにやってのけました。

 

ツイッターのトップページ。担当はもっぱら由理恵さん。PRのほとんどはツイッターで、アカウントユーザーからの反応も上々。ここ2~3年、どの取材でもアクア関連はツイッターがメイン。ハマってよかったよかった。ちなみに、奥様に刺激されたのか「主人がやっと先週ガラケーからスマホにグレードアップしました(笑)」。

 

◆蔵の上にメダカハウス

川口邸内につくられたメダカハウスその1。足場などに使われるパイプで骨組みし、エアレーションは個別ではなく一極集中。全部訓生さんの自作とは器用すぎます。

 

実は取材の前日に1周年イベントが開催され、由理恵さん曰く「ごめんなさい!昨日たくさん売れてしまったのであまり残ってないんですよ~」。恐縮しているわりには笑顔満面なので、さてはかなりの量が売れたものとお見受けいたします(笑)。

 

斜めによぎる石の跡、これ何だかわかりますか?実はここには蔵が建っていて、その名残なのだそう。ありし日の茅葺き屋根の民家と蔵。そんな伝統家屋をおうちにしてもらえたメダカたち、きっと喜んでいることでしょう。

 

水換えは訓生さんが担当。頻度は3日に1度。もちろん全換え。えー、体力的にしんどくないですか?「好きなことをやれているので楽しくてしょうがないです(笑)」。ちなみに奥様はこれまでメダカの飼育経験は?「全然(笑)。ただ見ているだけの人でしたが、主人がやっているのを見て自然と覚えました。何よりも接客が好きなので、お客さんと話をするのがとっても楽しいです!」。まさにこの夫婦にしてめだか川屋あり。とりあえずやるだけやってみて、あかんかったらまた何か考えたらええやん、という超ポジティブ指向の由理恵さんの貢献度は大きすぎます。

 

個体の仕入れは、有名なブリーダーさんや問屋から。仕入れてからすぐ販売するのではなく、屋内のビニールハウス内や屋外のバックヤードで飼育し、個体が卵を持ち始めるくらいまで成長したら販売スペースに移して販売、というスタイル。一番のこだわりは、「小さな個体を販売するのではなく、繁殖が期待できるサイズになってから販売するようにしています。もちろん外飼いだと日光が当たることが多く元気に育ちますから」。

 

どの個体も発色がきれいになるよう、ほとんど黒い容器で飼育されています。セオリー通りのメダカ飼育。いつもは20種類くらいのメダカがいるんですが、今日はイベントですっかり売れてしまっていました。「見てもらえなくて、ごめんなさ~い!(笑)」と、やっぱりうれしそう(笑)。

◆弘法大師ゆかりの恩恵?

乙姫。頭が赤くて体が黒いのが特徴。メダカはやっぱり上見が一番!と感じさせてくれる個体です。飽きずにいつまでも見ていられます。由理恵さん曰く、「やっぱりメダカは上見&外飼いがベストだと思います。そのほうがメダカにとってもいいし、飼育も簡単ですから」。乙姫はそれぞれ多少個体差はありますが、総じて体の部分が黒いほうに人気があります。状態のいい個体ならワンペア5,000円。取材があるのを知ってて、待ってくれていました(笑)。

 

グリーンアメジスト。横から見ても十分美しいナイスバディ。ラメのキラッキラが印象的で、ヒレも青く光るタイプ。なので、この個体なら水槽飼育も楽しめます。状態のいい個体のペアなら8,000円。

 

頭が赤い乙姫に対して、こちらは頭が白。どちらも同じ黒い体色の種類のメダカで、乙姫同士の交配で白姫が生まれることもあるそうです。

 

屋外の3つの容器には、現在これから大きくなるメダカたちが日光をいっぱい浴びて元気に育っています。日光が直接当たる屋外飼育なので、2~3日でグリーンウォーターになってしまいますが、健康面などメダカの環境としてはグリーンウォーターが一番。

 

紅帝楊貴妃。

 

乙姫と白姫がまじって飼育されています。

 

サバの極み。とってもこわがりで、一度外敵から襲われるなどの怖い目に遇うとトラウマになってしまう個体なのだそう。確かに、この子たちだけはカメラが近づいたら、ササッと底のほうに隠れてしまいました。

 

すべてのメダカが外飼いだからでしょうか、どの個体も健康そのものです。水質保持のために訓生さんが頻繁に水換えをやっていますが、スペースの関係もありやや過密気味。とはいえ、将来的には標準といわれる1匹に対して1ℓよりも余裕のある2〜3ℓを目指す考えです。

 

どのくらいの量の水を使うのかは聞きませんでしたが、結構大変な量かと。「メダカ用には井戸水を使っているんです。といっても自宅のものではなく、近所に今もこんこんと涌き出ている良質な井戸水があって、それを何度も往復してここまで運んで使ってるんです」と訓生さん。へー、そんなところが近くにあるとは。ラッキーですよね。

 

水を調達する場所はここ。歩いてほんの5分ほどのところにある弘法大師ゆかりの湯屋が谷井戸。その昔、水不足で困っていたこの村をたまたま通りかかった弘法大師が、持っていた杖で地面を突くと水が涌き出たのだとか。以来、水が枯れることなく村人たちを救ったといわれています。

 

蛇口をひねると、ひんやり冷たい水が。ここから水を汲んで生活水にしている人々も多いスポットのようです。まさに弘法大師様様。伝説の真意はともかく、めだか川屋のメダカたちは弘法大師ゆかりの水の恩恵を受けていることには違いありません。

◆最大の敵はヤゴ

メダカにとって幸せな環境ですよね。「いやぁ、それが案外そうでもないんですよ(笑)」。というと?「敵が結構多いからなんです」。そんなに?「カラスやタヌキ、イタチにアライグマなど、もういっぱい(笑)」。

 

そうだったんですか。ということは野良ネコからの被害も結構多いんでしょうね?「ところがネコはメダカを食べないんです。それよりもヤゴ。たった1匹のヤゴでも、10~15匹ものメダカを食べてしまうんです。トンボになるための成長過程で、おなかいっぱい食べておかないといけないみたいで」。

 

容器の上に網を置いたりトタン板を置いたり対策は講じていますが、敵たちも一筋縄ではいかないみたいです。広いなら広いなりに苦労が絶えない川口さん。ほかに何かいい方法があればいいですね。ピンときた人はぜひ教えて上げてくださいね。

 

7月に開催されたオープン1周年記念イベントは大盛況でした。「買われるお客様が列をつくって、1時間以上も並んでもらったのが本当に申し訳なくて。急遽手伝ってくださったかたもいらっしゃったので助かりました」と感謝の気持ちを忘れない由理恵さん。

 

二人の挑戦はまだ始まったばかりですが、「何とかなるでしょう(笑)」のハートがある限り、メダカの灯が消えることはなさそうです。いやー、心強い!

 

いくら待てどもお父様の浩さんは帰宅せず(笑)。「いやいや、必ず帰ってきますから(笑)」と美代子さん。何はともあれ、川口家のみなさんいつまでもお元気で!

 

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