ゴールデンウイーク期間中の5月3日・4日の両日、「みんな大好き!! ペット王国2017」が京セラドーム大阪(大阪市西区)で開催されました。
水槽メーカーのパイオニアであるKOTOBUKIも、去年に引き続き今回も出展。
特筆すべきは、例年とはひと味違った参加型・体験型のイベントをブース内で展開した点にあります。
来場者の大半が一般ユーザーであることを意識した、KOTOBUKIのイベント。
会期中の2日間に密着し、その様子をレポートしました。
◆主役はあくまで一般ユーザー
会場は今年も京セラドーム大阪。ご存じオリックス・バファローズの本拠地。このイベントを待たずして、出足好調の猛牛軍団を何度応援しに行ったことか(笑)。
初日も2日目も、多くの来場者で会場は大盛況でした。何といっても一般ユーザーが特徴の同イベント。ペット同伴OKということもあり、来場者がイベントの主役であることは明らかです。
早速アクア関連のゾーンへ。犬猫コーナーに脇目もふらずに(笑)。例年さまざまな趣向を凝らして水槽を展示するコーナーでは、クイズ形式によるアクアライフを提案するユニークな展示が行われていました。
リビングルームが再現されたゾーン。さまざまな生活シーンにもアクアがぴったりハマりますよ、的な展示演出が印象的です。
こちらは「おこた」。思わず靴を脱ぎそうになりました(笑)
もちろんKOTOBUKIの水槽も展示されていました。
こうしてみると、アクアが決して敷居の高い世界ではないことがよくわかります。むしろ、生活の潤い感や癒し効果など、アクアが意外に身近なものであることがわかる展示でした。「お父さん~、お魚飼いたい~」とおねだりする子どもたちが結構いたりします。「はいはい、そのうちにね~」なんてその場しのぎの返事をするお父さん、そろそろ本気になってアクア導入を考えてみません(笑)?
◆体験型イベントの重要性
「ペット王国」ではすっかりおなじみ、「水のふれあいコーナー」。
観賞魚タッチコーナーでは、ウーパールーパーからヒトデまで、とにかく「さわる」のがアクアのイケてる楽しみ方(笑)
特に子どもたちはこわいものなし(笑)。そうそう、どこへ行っても「手をふれないでください」のオンパレードですから、子どもだってストレスたまりますよね。ここでは、手をふれないと、イケてない来場者、ってことになります(笑)
こちらも毎度おなじみのアクアエステ。
手や足をきれいにしてくれるガラ・ルーファに感謝ですね(笑)
毎年人気のこのコーナー、体験型イベントの最たるものでした。理屈や知識ではなく、さわるという体験がいかに大切か、特に子どもたちを見ているとよくわかったような気がしました。こうした体験が大いなる好奇心を呼び込んで、将来立派なアクアリストに成長してくれたらいいですね~。
◆新製品ラッシュのKOTOBUKI
まだみぬアクアライフをイメージして。生体にしっかりふれてアクアを実感して。ここまで紹介してきたアクアのゾーンでは、段階的なストーリーがありました。この流れでいくと、次のステップは当然水槽をはじめとした用品関係ってことになりますよね。というわけで、お待たせしましたKOTOBUKIブースへご案内。
KOTOBUKIでは春の新製品ラッシュを迎えています。爬虫類専用ケースでおなじみの「ヒュドラケース」の新シリーズを始め、15㎝のコンパクト水槽が置ける「コレクトボード」や、伝説のスタイリッシュ水槽「デビュー」などが注目の的でした。
特に、まるで宙に浮いたような近未来的デザインの水槽「アーク」は、2月の「ジャパンペットフェア2017」に引き続き、ここでも大人気でした。合い言葉はもうご存じですよね。そう「社長室に似合う水槽」、その通り(笑)!
タイマーなしでも24時間自動的に調光が可能なLED「レイマックス」、ヨーロッパテイストが印象的なドイツのブランド「JUWEL」のシステム水槽も。その美しさに魅せられて、さかんにシャッターを切る来場者もいました。
このコーナーにはKOTOBUKIの定番人気商品がズラリ。販売コーナーにもみえたりなんかします。そのせいでしょうか、とある男性の来場者が「すごいんです」シリーズのボトルを2~3本を持って、「えっと、レジはどこ?」(笑)。このあたり、いかに来場者の大半が一般ユーザーだということがわかります。
◆KOTOBUKI初のワークショップ登場
さてさて大変長らくお待たせしました。今回のKOTOBUKIブース最大の特徴がここ。新製品展示とは一線を画した、ワークショップコーナーが新登場したんです。題して、「キワメテ!水族館 テラリウムワークショップ」。
2月の「ジャパンペットフェア2017」のKOTOBUKIブースで初めて「キワメテ!水族館コーナー」が設けられましたが、どちらかというと展示がメインでした。その第2弾ともいうべき今回は、あくまで体験型にシフト。ひとつのワークショップをきっかけに、少しでもアクアに興味を抱いてくれたら、との熱い思いが反映されたゾーンとなりました。
講師を務めるのは、これまで何度かご紹介してきたアクアショップ・アワジヤのオーナーである淡路谷将明さん。「ジャパンペットフェア2017」では、ヒュドラケースを使って本格的なテラリウムを3基展示。来場者からも関心が高かったため、今回はワークショップとしてのテラリウムが実現したというわけです。
どこからでも目立つサインが印象的です。ドームの天井に届きそうな勢いです(笑)
こぢんまりとしたワークショップ。そうなんです、今回は新製品展示をぐるりとブースの3方を取り囲むゾーニングを施し、メインはあくまでもワークショップとした点が画期的でした。
ワークショップが行われる場所の前には、講師の淡路谷さんが事前に製作したコンパクトテラリウムのサンプルが。
今回も来場者の関心が高く、単に展示だけでなくテラリウムを体験できるとあって、「やりたいやりたい」「楽しそう~」などなど、どのゾーンよりも注目されていました。
「これって苔玉?」「観葉植物?」「盆栽みたいなもの?」。まあみなさん、色々なことを仰いますが全員ブブーッ(笑)。苔玉より応用が利きます。観葉植物より手軽です。盆栽より簡単につくれます。ね、いいところばっかりでしょ?
ワークショップは1日5回。各回定員8名。所要時間40分。もちろん水槽込みの「お持ち帰り価格」なので、かなりお得でした。
新製品をあますところなく展示しつつ、ブースのメインはあくまでもワークショップという、従来にはなかった斬新なゾーニング。そういえば会期中、「今年のKOTOBUKIさん、面白いことをやってくれましたね~」と感想を口にする来場者が何人もいたことをお伝えしておきます。コトブキ、カンゲキ~(笑)!
◆思い描いたイメージをテラリウムに
かくして、ワークショップがスタート。テラリウムとはなんぞや的な、淡路谷さんの簡単なレクチャーからはじまります。
定員は8名ですが、参加者以外のご家族もこんなにたくさん。赤ちゃんもわんちゃんも、ちょっと待っててね(笑)
使用するのはこの水槽。「クリスタルキューブ150H/B」。幅15×高さ20㎝。レグラスシリーズのキリリと引き締まったブラックシリコンが印象的で、テラリウム以外にもメダカやベタなどの小さな生体飼育にも適した、KOTOBUKIでも今一番イケてるコンパクト水槽です。
ワークショップに使用するパーツをざっとご紹介。まずは水ゴケ。テラリウムのベースとなるもので、しっかり水分を含ませてぎゅっぎゅっと絞ってから、一番最初に水槽の底部などに置いていくパーツです。
コケ。女子も好きなコケ(笑)。結構色々な種類があるそうです。ふわふわしていて、美しいグリーンが印象的。
テラリウムといえば、やっぱり流木の存在感なしでは語れません。どんな大きさの流木を選ぶか、それをどう置くかによって、自身がつくるテラリウムのだいたいのイメージが決まるといっても過言ではないほど、大事なパーツです。
さまざまな食虫植物。全体的に単調にならないよう、アクセントとしての要素も高いパーツでもあります。今まで聞いたことのない名前の食虫植物も少なくありません。今回は、白く可愛い花を咲かせるウサギゴケに人気が集まっていました(写真上左)。
テラリウムを製作するにあたって使用する七つ道具色々。オペに使用する医療器具にみえたりなんかもします(笑)
これも演出ツールのひとつ、ヤシャブシの種。松ぼっくりではありません(笑)
ブタ、パンダ、ゴリラ、ゾウ、カエルなどなど、こんな動物フィギュアも演出には欠かせません。今回のテラリウムワークショップでは、どのフィギュアを置くか最後の仕上げに使われていました。このほか、大小さまざまな石や砂なども用意されていました。
さてさて、これらのパーツをどう組み合わせていくかは、まったくの個人の自由。どうぞお好きなように(笑)。
森、渓谷、高原、島、海、川、山など、それぞれが思い描くイメージの世界観をコンパクト水槽に投影していく面白さは、やってみないとわかりません。講師の淡路谷さんによると、一度テラリウムを体験してしまうと、ハマってしまう人が少なくないそうです。やっぱり見てるだけと実際にやってみるのとでは全然違います。言い換えれば、人間の創業力はそれほど果てしないものだ、ということでしょう。
◆ワークショップをきっかけにアクアリウムへ
参加者のみなさんは、脇目もふらず目の前の水槽にひたすら集中~(笑)
ご夫婦で、カップルで、ご家族で、お一人で、親子で。参加スタイルは実にさまざまでした。
テラリウムを製作するには、40分という時間は初めての人にとっては少し短かかったかもしれません。それでも、講師の淡路谷さんやアワジヤ若手スタッフの笹井章寛さんが熱心にサポートしてくれるので、心強い限りです。
ぼちぼち出来上がってきました。ブタやゴリラ、パンダなど、さまざまな動物フィギュアがアクセントとして意外にイケてました。いやいや、2匹以上入れるとウルサくなるからダメです(笑)
流木の細い部分だけを使ってつくったら、まるで原生林みたいな雰囲気が醸しだされました。意外な発想!
逆に流木をドカンとメインに取り入れた例。ダイナミックな流木が、大自然の営みを感じさせてくれています。
断崖絶壁のような渓谷、その真ん中を縫うように流れる川。コンパクト水槽ながら、高さを生かしたテラリウム。今回は「川をつくりたい」という参加者が多かったのも特徴的でした。
まるで2本の橋がかけられているような。当初のイメージは「保津峡」でしたが、製作を進めていくうちに「少しずつ違う方向に(笑)」(女性)。でもそれはそれでまた味があると思いますよ~。
当初は「天空の城」をイメージしていたという女性も、やってるうちに少しずつ微妙に変化。でも山道をひたすら頂上目指して頑張ってるブタさんを、ついつい応援したくなりました(笑)
◆爽やかなワークショップ参加者のドヤ顔
家族みんなのチームワークで出来上がった、柴田夕都ちゃんの作品。おー、意外とダイナミックなシチュエーション!
普段の観葉植物の経験が大いに生きた、津守さん親子のテラリウム。お母さんの段取りがよすぎました(笑)
スキューバダイビングのインストラクターの経験を持つ吉田 忍さんのドヤ顔が印象的でした(笑)
小学5年生の軽澤勇翔君、お母さんやおばあちゃんの手を借りることもなく、ほとんど一人でつくりきりました。
麸山さん親子のイメージは「里山」。丹波篠山ののんびりした風景を再現。ご兄弟だと思ってたら親子だなんて、お母さん若すぎます~(笑)
流木をクロスさせて密林を思わせるテラリウムをつくった大金壮眞君。あまりにも個性的な苗字、将来は大富豪になりそうな予感(笑)!
関根万里菜さんと佐々木雄太さんはカップル同士で参加。愛犬にはゲージでガマンしてもらってのテラリウムづくりとなりました(笑)。
真剣な表情でテラリウム製作に取り組む和歌山市の集田秀佳さん。実はワークショップでテラリウムを完成させたもののご自身で納得いかなかったらしく、後日「キワメテ!水族館」編集部へ写真を送ってこられました。この時、奥様の真紀子さんとのツーショット写真がなんとなく元気がなかっのも、そのせいだったんですね(笑)
集田さんがおうちでつくり直したというテラリウムがこれ。おお~、流木を端に寄せて、高さが強調されてますね。かなりパワーアップしてますや~ん(笑)。わざわざ写真を撮ってお送りいただき、ありがとうございました!スッキリ(笑)!
さまざまな思いを込めて完成させたテラリウム。ワークショップに参加した人たちのどの表情にも、やりきった感で満ちあふれていました。「たった40分で、こんな大自然の世界がつくれるとは思ってもみませんでした。テラリウムという言葉を聞いたのも今回が初めて。とってもいい体験ができました。最高のお土産ができました(笑)」と、ある女性の参加者。お家へお持ち帰りしたあとも、霧吹きだけでOKという手軽さもイケてます。
今回は小さなテラリウム製作にとどまりましたが、完成させた参加者の中には、「この中で魚が飼えますか?」「自分でももっと大きなテラリウムがつくれますか?」などの声が聞かれたのも印象的でした。ひとつの体験が確実にアクアに近づいていることを実感せずにはいられませんでした。ワークショップ、してやったり(笑)。みなさん、本当にお疲れさまでした!
◆とことんユーザー目線のKOTOBUKIブース
このほかにもKOTOBUKIブースでは「ガラポン抽選会」が行われ、大いに盛り上がりました。
空くじなし。1等・2等には、水槽セットが当たるという太っ腹企画(笑)。こうしたユーザー目線のイベントも、ワークショップ同様初めての試みでした。
1等には伝説のスタイリッシュ水槽「デビュー」が、2等には「アクアポニックス スクエアポット」が当たります。
お見事!初日の午前中早々にセット水槽をゲットした村上さんのお子さん姉妹。子どもたちにとって「デビュー」がこんなにデカかったとは(笑)! 記念すべき1等賞の第一号となりました。おめでとう!
おお~、なんと以前取材した大阪動植物海洋専門学校の学生さん(上/尾山さん・下中央/久保さん)にも勝利の女神が微笑みました。しかも2人とは出来すぎでしょ(笑)。ちなみに彼女たちの栄光の陰で、何度挑戦しても残念賞しかゲットできなかったアンラッキーな教職員さんがいたことも暴露しておきます(笑)
2日間のワークショップはこれにて閉店ガラガラ(笑)。特に2日目は、どの回もほぼ定員に達し、予想以上に反響の大きいイベントとなりました。
KOTOBUKIが初めて取り組んだワークショップやガラガラ抽選会。参加型イベントに重点を置いたブース出展の甲斐あって、メーカーとしてエンドユーザーとの距離も縮まったような気がします。
そして何よりも、アクアの世界に最初の一歩を踏み出すためのきっかけをつくったことが大きいと思います。
テラリウムワークショップはひとまず終わりましたが、今後もこうしたかたちのワークショップ開催に期待が持たれるところです。
そしてまる2日間、必死のパッチでワークショップ講師を務めてくださった淡路谷さん、本当にお疲れさまでした。アワジヤさんによると、こうしたワークショップを自店でも積極的に開催していくそうです。テラリウムに適したさまざまなコケや食虫植物、そしてコンパクト水槽が揃っているので、興味のあるかたはぜひアワジヤさんの門を叩いてみてくださいね。「テラリウム専門の通販サイトもありますのでよろしく!」(淡路谷さん)だそうです(笑)
4日午後5時。会場には蛍の光が流れ、「ペット王国2017」もエンディングを迎えました。ユニークな方法で来場者を魅了したKOTOBUKIブース。ご来場くださったみなさん、どうもありがとうございました。来年はさらにブラッシュアップしてみなさんに楽しんでいただけるよう、「キワメテ!水族館」も頑張ります!