2021/11/26ショップ, スポット, ユーザー, 人物, 専門家, 技術, 未分類

【人物】群がる敵をあの手この手でディフェンス☆メダカファーム・塚本修平さん(愛媛県今治市)の冬支度

Pocket

伊予の三湯のひとつ・鈍川温泉(愛媛県今治市)にある「鈍川めだか水族館」。今春オープンした県下でも数少ないアクアスポットのひとつですが、立ち上げから携わってきたのがメダカの飼育・販売を行う塚本修平さんです。県下にはショップを始めとするアクアスポットが少ない伊予の国。塚本さんがどのような環境でメダカを飼育しているのか、興味はつきません。本格的な冬の到来を前に、飼育場を訪ねてみました。

☆     ☆     ☆

◆自然がいっぱい!メダカファーム

着いたところは、田んぼを造成してできたメダカの飼育場。まさにメダカファーム。今治市中心部から車で約30分という立地で自然がいっぱいです。あちこち田畑が広がり、メダカを飼育するには絶好の環境です。

 

今年に入って、いよいよ本格的な飼育場づくりにとりかかった時の様子。

 

井戸水を利用しているので水道代はゼロ。給水設備もバッチリ。これだと夏も冬も水温が変わらないし、これから寒くなる冬の季節でも、給水し続けると水が凍ることもありません。

 

ふと足元を見ると、地割れのような跡が。これは日本沈没か!と思いきや、モグラが通った跡でした。

 

そこのけそこのけモグラが通る(笑)。そんな形跡があちこちに。自然と共存している証拠です。

 

ある日、塚本さんが用水路を掃除してさらった草類を盛っていたら、「次の日に2つの穴がくっきりとあったんです。盛られた草の中にきっとミミズがたくさんいたんでしょうね、それがわかってて、草に突っ込んだイノシシの鼻の跡だったみたいです(笑)」。何という牧歌的なエピソード(笑)。幸い、モグラもイノシシもメダカファームを荒らすことはないのだそうです。きっと目指すものが違うんでしょうね(笑)。ほかにも野生のキジやサルなどが出没することも珍しくありません。車の窓ガラスにサルの足跡がくっきり、なんて日常茶飯事。どの動物にも会えなかったのが少し残念でした。

◆黒いメダカに魅せられて

塚本修平さん。63歳。保険代理店の代表として松山市内に事務所を構え、メダカは副業として去年スタートさせたばかり。え、たったの1年ちょいでここまで(笑)?事務所には20年来メダカを飼育している水槽が複数あるそうですが、それにしてもやることが早すぎます。

 

 

去年2月、黒い色をしたメダカっていいなぁ、とふと妄想(笑)。シックでしなやかでしかも上品さを兼ね備えた、体が黒いメダカ。その思いがなかなか頭から消えず、「どうしても欲しくて探していたら、松山のメダカ専門店でオロチを見つけたんです。これだと思って、5匹のオロチを買ったのが始まりでした」。この時点ではあくまで趣味の域。「すると3カ月の間に4,000匹にまで増えてしまったんです。これにはもうビックリでした(笑)」。すっかりその気になって、広島の専門店に見てもらったところ「とってもよくできているとお墨付きをもらいました」。ここまできたら、もう木の上に登ったサル同然(失礼!)。去年8月に「めだかやTSUKAMOTO」を設立するはこびとなったのです。

 

当初はオロチ専門店としてスタート。しかもメダカファームもありませんでした。それでも、朝な夕なに本業の合間を縫ってオロチの選別を続けてきたことで、メダカを見る目が肥えてきたのだとか。メダカの善し悪しを判断する目は、こうして養われていったのです。

 

かつてはオートバイレーサーとして活躍し、富士スピードウェイや鈴鹿サーキットを駆け抜け、コンマ秒単位の勝負をしていた塚本さん。研ぎ澄まされた感性と勝負勘、そして心理を読み取る能力。今から思えば、レースとメダカの選別は何か通じるものがあるのかも知れません。

 

黒いメダカにちなんで、運搬用のトラックまで黒!

 

オリジナルグッズとして販売されているTシャツも黒!黒い色のメダカに完全にぞっこんです(笑)。

 

エサの貯蔵庫ともいうべき立派な建屋も。

 

PSB、ゾウリムシ、ミジンコなどが。

 

黄金色に輝くメダカ3匹。「黒メダカから突然変異で生まれた個体なんです。黒メダカを交配した300匹のうちの3匹だけがこの色だったんです」。ということは、100分の1の確率で生まれた貴重な3匹。何か後光がさしているような気も(笑)。

◆まるでメダカ戦国物語

トロ舟(飼育容器)はざっと200個はあります。70種類以上の改良メダカを飼育中ですが、すべてのトロ舟は金網でガード。これなら、ヤゴの発生も予防でき、トンボの産卵も防ぐことができます。

 

ん?これは?「網の目から首を突っ込んでメダカを捕食しようとする鳥対策です。網が水面から近いと簡単にやられてしまうので、高さをつけてみました」。おやおや、天敵はヤゴだけではなかったんですね。

 

バタバタッという音にハッとして見上げると。トンビ?タカ?ハヤブサ?いえいえ、空からの侵入者を阻止するためのカイトが空に舞っていました。さほど大きくないように見えますが、180㎝もあるビッグサイズで、主にシラサギ除け。上から下まで、ここまで防御しないといけないとは、メダカ飼育も楽じゃありません。

 

さらに約3㎝のゲンゴロウがわさわさと。え、これも敵なんですか?「食欲はすごいですよ。ヤゴどころではありません。不幸にもゲンゴロウにしてやられたカエルが、骨格標本になってしまうくらいでしたから(笑)。可愛い水辺のいきものだと思っていたゲンゴロウ。ちょっと見方が変わりました。イメージダウンは免れません(笑)。

 

悪名高きミズカマキリ。こんなのにやられたらひとたまりもありません。メダカ飼育は、敵との戦いでもあったとは。もし自分がメダカの飼育者ならとっくにあきらめていたと思います。いくら本業が保険代理店とはいえ、まさかメダカに生命保険なんてかけられるわけないし(笑)。

 

正体不明のラスボス(笑)?タガメかコオイムシかよくわかりません。体は小さいのに、大きなカマで不気味にメダカを襲います。このようなメダカの敵を、くまなくパトロールして見つけて駆除するのも塚本さんの仕事。とはいえ、ヤツらは水中に潜んでいることが多くなかなか水面に出てこないので、確保するにも大変。自然にことのほか恵まれていますが、メダカを脅かす悪党たちもたくさんいます。

 

敵は野生のいきものだけではありません。人間だって虎視眈々とメダカを狙っています。塚本さん曰く、「愛媛にアクアショップはほとんどありませんが、ブリーダーさんは意外に多いんです。メダカの盗難にあったブリーダーさんもいます。だから自分も気をつけないといけないと思って」。防犯カメラが5台設置されています。5台もあればもうカンペキ。

 

侵入者を感知すると赤く光る防犯灯も2台設置。幸い今まで盗難に遭ったことはありませんが、今はメダカブームですから何が起きてもおかしくはありません。自然環境に恵まれたメダカファームだからこそ、侵入者に対するセキュリティも必然です。

 

ファームの向こうに見えるのが塚本さんのおうち。ファームが自宅のすぐそばにあったとは意外でした。一体どんな人が住んでいるのだろうと想像したくなるような、ヨーロッパ風のモダンな造りが印象的です。まさか家の主がメダカを飼育している達人だなんて、絶対わかりっこない(笑)。道路をはさんで自宅とファームが隣接。これなら作業もしやすく何かと便利で安心です。シラサギ除けカイトもなんかいい感じ(笑)。

◆夫唱婦随の「めだ活」

飼育だけでなく一般販売も。向かって左側の上段が赤系、下段が光系、そして右側上段が黒系、下段がその他となっています。かつてオロチが4,000匹に増えたころ、ここが飼育場でもありました。

 

万一病気になったメダカは、こことは別にメチレンブルーと塩を入れて完全隔離。4~5日すれば回復するそうですが、日照時間が短くなるとどうしても病気になりがちなのだとか。

 

メダカの撮影用に使用する容器。最近一眼レフを購入、マクロレンズを装着してメダカの撮影に臨んでいます。「カメラで思い通りに撮るのは難しいですね」。でしょ~(笑)?

 

お、KOTOBUKIの「すごいんです」シリーズのバクテリアですね。地元のファーマーズマーケットでメダカを出品する前に使ってみたら、数日間水がまったく濁らなかったんです。バクテリアが豊富で、アンモニア分解に貢献してくれました」。鈍川せせらぎ水族館でもKOTOBUKIとの出会いがありましたが、ここでもこうしてお役に立てて光栄です(笑)。

 

鈍川せせらぎ水族館をプロデュースしたことで、知名度はもちろんメダカ飼育に寄せる信頼も高まってきました。夫唱婦随で取り組む「めだ活」を中心に、ユニークな話題を提供しています。また、スイマーとして県のマスターズ大会では数々の記録を持つ体育会系アクアリストでもある塚本さん。「メダカも私も泳ぐ者同士、共通点があるかも知れませんね(笑)」。もしかしたら記録を伸ばせば伸ばすほど、それに比例してメダカもどんどん増えていくのかも知れません。

 

言い忘れていました、塚本さんは生粋の魚座であることを(笑)。

 

Pocket