ゴールデンウィークのラスト2日間に開催された「ペット王国2019」。犬猫関連の用品・食品メーカーなどの出展が大多数を占める中、老舗水槽メーカー・KOTOBUKIの今年のテーマは「Back to basics(初心に戻る)」。令和元年にふさわしいテーマのもと、春の新製品をめいっぱい展示しつつ、今年もユニークなブース内イベントが繰り広げられました。
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◆長すぎた10連休
記念すべき令和初のペットイベント。今年も会場は京セラドーム大阪。GW最終日のせいでしょうか、思った以上に来場者は多くありませんでした。10日間って、長すぎですよね(笑)。ブースの数にも余裕があるような気がしました。
いつもワンちゃんの出番が多いので、今年はネコちゃんなんかを少しピックアップ。それでもワンちゃんの来場者数には勝てません(笑)
数年前のペット王国にはたくさんいたレプ来場者も、今はほんのわずか。たまたま通りかかったイグアナ君をゲット。セル君4才。今日はワンちゃんと同行。ちょっとオネムでしたが、会場の人気を集めていました。ちなみにセル君お気に入りの帽子、同居しているワンちゃんのものをレンタル中なのだそうです(笑)
アクアに関するイベントも少し。思わぬところで水や魚に遭遇して、無邪気にはしゃぐ子どもたちがたくさんいます。
触れてみるもよし。
触れられてみるもよし。
ファミリー向けのアクア系クイズも行われていました。
涼しげなメダカにも心が癒されます。
◆新時代を迎えてKOTOBUKIが目指すもの
KOTOBUKIブースは、毎回京セラドーム・グラウンドのほぼセカンドベースあたり。
見上げればドームの天井が迫ってきそうです。
今春発売されたばかりの新製品がフルラインナップ。最薄部わずか2㎜というさらなるスリム化を実現したLEDや、水中葉・水上葉いずれも可能な植物の種「プランツシード」によって育ったハイグロの緑が美しい120㎝水槽が目を引きます。スリム化をさらに進化させる。水草を一から育てる。そんなアクアのテクノロジーや初心に戻った新商品が印象的でした。
やはり水槽メーカーは水槽が命。手軽にアクアが始められるコンパクトな水槽がイチオシなのは、これまたアクアの原点に立ち戻った開発コンセプトだからこそ。コンパクトでありながら、スタイリッシュ。ヨーロッパなどの諸外国ならいざ知らず、日本の住宅事情などを考慮しつつ洗練されたジャパニーズスタイルがここにあります。
昨年末、発売前から話題を呼んだプレミアムフード「FLY MIX」。生体別に細かくラインナップされ、その食いつきのよさはすでに折り紙つき。色揚げなどの見た目も大切ですが、やはり生き物は健康第一。これまでアクアを趣味にしてきた人も、これからアクアを始める人も、思いは同じ。環境先進国カナダに生産地を求めたのも、そんな基本を重視した理由からでした。
このほか、そしてベストセラーとして名高い「すごいんですシリーズ」も今や用途別に多様化。どのショップへ行ってもイエローボトルが目につきます。「いつまでもきれいな水槽でいて欲しい」。そんなアクアユーザーの願いを叶えるべく当初の開発姿勢は、今日も息づいています。
そして爬虫類専用ケース「ヒュドラシリーズ」。ガラス水槽という基本ノウハウをいかした新たなジャンルではありましたが、飼育ケースは観賞魚用水槽同様、ガラス製にこだわりました。
ベストセラーも新製品も、すべてはユーザー目線で。あったらいいな、あれば便利だなという視線に立ち続けながら、商品開発が行われてきたことがブース展示をみるだけでも伝わっています。
◆初心者にやさしい水槽「ビュース」
そして今最も注目されているのが、スタイリッシュ水槽「ビュース」。今春登場以来引き合いが多く、好調な滑り出しをみせています。
赤や白、黒といった、水槽らしからぬカラフルなデザイン。こんな水槽なら、リビングはもちろん自分の部屋やダイニングキッチンとのコーディネートもバッチリ。見ているだけで、わくわくしてきます。
特筆すべきは、底面フィルターと側面フィルターの2重構造であるという点。水流によって砂利を通過した水が底面フィルターを経由し、水中ポンプによって側面フィルターへ。2重構造ならではの水質安定が期待できます。
つまりビュースは、初心者にもやさしい水槽。あるいは、あったらいいな水槽。または、キッチンにも置いてみようかな水槽。すなわち、アクア始めてみようかな水槽。アクア関連商品のラインナップは豊富なKOTOBUKIですが、真骨頂はやっぱり水槽。老舗水槽メーカーとしての初心に戻って、しかも初心者が手軽にアクアを始められるよう開発されたビュースこそ、「初心に戻る」テーマそのものの商品といえるでしょう。
◆アクア講座開催の理由
ということで、今回のブースイベントは初心者を対象としたアクア講座。初心に戻った水槽メーカーが、気持ちも新たに初心者に向けてのアクア講座開催となりました。
すべての受講者は、新製品水槽ビュースをお持ち帰りOK。さらに水槽アクセサリーやビュースに適した砂利、フィッシュフード、カルキ抜き善玉菌などもセット。これだけの付属品がついて、参加費はわずか3,000円。価格的にも初心者にやさしい設定です。
同講座は2日間で合計6回実施。1回あたりの時間は30分弱。ワークショップ的な要素はほとんどなく、アクアを始めるにあたって必要なポイントを説明してくれる座学中心の講座となりました。
まずは、ビュースという水槽の説明から。開発にあたってきたKOTOBUKIの企画スタッフが、製作コンセプトなどを説明。女性MCがサポート役となって講座が始まります。
水槽立ち上げにあたって、まず最初にやることは砂利を洗うことから。「お米をとぐ要領で洗いましょう」。ただし、水槽内で洗うと内側に汚れだけでなくキズもついてしまうので×。
底面フィルターとは。側面フィルターとは。2つのフィルター効果によって、水の汚れを抑制することができるんですよと聞いて、参加者もうんうんと。ビュースにはあらかじめ2つのフィルターが内蔵されているので、わざわざ設置の必要もなし。このあたりも、ビュースが初心者向けに適している理由なのです。
そして砂利を投入したあと、水槽アクセサリーなんかも少し。これだけでもすでにアクアな雰囲気が整っています。意外に簡単なんです。
水は一気に入れてしまうのではなく、手を添えるなどしてゆっくり注ぎます。ちなみに水道水を使用する場合は、事前にカルキ抜きを使用するなどして、カルキ(塩素)を中和します。カルキは魚の呼吸器官であるエラに対して良くありませんので。水は水槽の7~8割くらいまでで水位を抑えます。
その後、ショップから連れて帰った魚を袋ごとしばらく水槽へ浮かべます。これは水の温度を合わせるため。魚にとって温度変化は大きな負担ですからぜひ。
この状態で30分ほど温度合わせをしてから、袋をあけて中に少しずつ水槽の水を足すことでなじませていきます。これが水合わせ。何回かに分けてそーっと。これで水槽の水位はほぼ満タン。さきほど水槽の水位を7~8割に抑えていた理由がおわかりいただけたと思います。
なお、水槽の汚れが気になる人にはバクテリア材の投入がおすすめです。これによって、汚れの分解能力もアップ。フィルターとの相乗効果により、長期間水をきれいに保てます。
水位が足りない場合は最後に水を注いで調整します。これで魚を飼育するすべての環境がほぼ整いました。ああ、意外と簡単なんだ~という表情をしている参加者も少なくありませんでした。
このあと、フィルターのろ材の交換時期や水換えなどのタイミングなどのアドバイスがあり、講座は終了。ビュースはフィルターの2重構造によってガードされているので、通常よりも水が汚れにくい点も初心者にとっては安心です。
ブース展示では、コンパクトサイズのライトがつけられて演出されていましたが、水草を育てようとしない限り通常はライトも不要。ただし、インテリアとしてカッコよくリビングなどを演出したいと思った人は、KOTOBUKIのコンパクトタイプライト「アクストLED9」や、「エコスポットフリー」などがあってもいいかも知れません。
講座が終わったら、好きな砂利や水草アクセサリーをチョイス。そして水槽ビュースを。ちなみにラインナップ3色のうち、この日は白色が一番人気でしたが、可愛い色だからと赤を選ぶ女性もいたりして、無機質な水槽も色があるとカラフルに映るから不思議です。
手軽に参加できて、水槽もお持ち帰りできる講座。始めての試みながら、意外とアクアを始めてみたい人が多いこともわかりました。それでは、講座に参加した人に声を聞いてみることにしましょう。
◆感動!ビュースな人々
まずは、以前3世代で同居していたこともあるという、大阪市和泉市の南口利香さん。去年もKOTOBUKIブースに立ち寄ったものの、残念ながら時間切れでワークショップには参加できなかったとのこと。「今年は何が何でも絶対参加しようと思ってました(笑)」。
南口さんが注目したのは赤。「水槽に赤って珍しいし、リビングに置いておけばうちに遊びにくる親戚たちも見てくれると思って」。おうちには60㎝水槽に熱帯魚を、4つのスイレン鉢にはメダカを、そして1つのプラ舟にはコイを飼育中。全然初心者じゃないんですけど(笑)。「でも赤の水槽は初めてですから(笑)」。今度は今までに飼ったことのないものを飼育していきたいと話しておられました。
続いては、「このイベントのためにきたんです!」という和歌山からお越しの吉村圭吾さん親子。ホンマでっか(笑)!?娘の咲来(さくら)ちゃんは動物好きの小学4年生。現在、自分の部屋でカメを飼育しているとかで、お父さんいわく「娘が飼いたいものを飼ってくれれば、それでいいと思いますよ」と親バカチャンリン(笑)。それもそのはず、小さいものを合わせると自宅には水槽が5本も。えーっ、立派なアクアリストですやん(笑)。「はい、去年もここ(KOTOBUKIブース)でテラリウムつくらせてもらいました」。
家族揃ってアクアファン。と思いきや、奥様だけ苦手なのだそう。その理由は定かではありませんが、咲来ちゃんも水槽を手に入れたことだし、これを気にぜひ家族全員でアクアを楽しんでください。ちなみに水槽ビュースは白に決定。もしかしたら咲来ちゃんの部屋も、清潔感のある白で統一されているのかも。うまくマッチするといいですね。
神戸からお父さんと一緒に来場の山本直人さん。いくつ?「21です!」。えーーっ、中学生か高校生かと思った(笑)。「そんなに童顔にみえます(笑)?」。みえるみえる(笑)。インタビュー中、イチゴのミニパフェ?をずっと頬張ってるから、余計そうみえるのかも知れません。半年前からUSJでアルバイトをしているそう。
アクア歴は?「全然飼ったことないです」。ビュースでどんな魚を飼ってみたい?「小さくて可愛い魚がいいです!」。たとえば?「カクレクマノミみたいな」。おお~、いきなり海水魚かい(笑)!すると、さっきまで黙っていたお父さんが参戦。「昔、独身の時にグッピーやネオンテトラを飼ってたことがあります!」。それなら心強い。家族みんながみえるようリビングに置きたいということで、水槽ビュースは白をチョイス。もしかしたら、22年ぶりにお父さんのアクア熱も再燃するかも知れません。
金魚のお膝元・奈良県大和郡山からお越しのT.Yさん母娘。以前一緒にお住まいの時は、お父さんが金魚を飼育していたそう。大和郡山といえば、やっぱり金魚ですからね(笑)。このほか、メダカや熱帯魚なんかも少し飼育の経験が。
今回は娘さんのほうがアクア復活宣言。20年ぶりだそうです。こんな声を聞くのが、一番うれしいですよね。「キッチンカウンターでおしゃれに飼ってみたいんです」という理由で、白のビュースを選びました。時代とともにアクアライフも少しずつ変化し、水槽を始めとする用品もずいぶんスタイリッシュになりました。キッチンカウンターに水槽なんて、以前は考えられませんでしたから。気になるのはコケ対策だそうですが、以前にも増してすごいんですシリーズも充実。きっと頼もしきパートナーになってくれることでしょう。
若いカップルにも話をうかがいました。大阪市内からお越しのY.Kさんは、2人で1台ではなくそれぞれ別のビュースを選択。女性は赤、男性は白に決定。別々に暮らしてる?「いえいえ、一緒ですよ」。これは稀なケースです。水槽は一家に1台って勝手に思い込んでいました(笑)。そのうち、水槽もスマホのように1人1台の時代がくるかも知れません。
2人ともアクアはまったくの初めてなのだとか。今はセキセイインコがいるらしく、「何か別のものを飼ってみたいなと思っていたところだったんです」。今のところ何を飼うかは決めていませんが、ビュース入手後2人でアクアショップに出かけてあれやこれやと魚を選ぶ姿が目に浮かびます。マイ水槽を管理しながら、時々相手の水槽も気づかうシーン。カップルならではですね。
最後に話を聞けたのは、トイプードル同伴で大阪府柏原市からお越しの父娘。娘といっても、そこそこいいお年頃(笑)。まるでファッションモデルのような女子力が高そうなイケてる女性でした。よく似た雰囲気のブロンド髪の姉妹のうち、魚を飼ってみたいと手を上げたのはお姉さんの藤原みずきさん。ホントに初めて?「もちろんです!何を飼育したらいいと思います(笑)?」。
聞くところによるとみずきさん、スキューバダイビングをやっているとか。ということは、沖縄などの海でしょっちゅう魚を見ているのでしょうね。「はい、だからぜひアクアをやってみたかったんです」。イメージトレーニングは十分できている感じです(笑)。ビュースの置き場所は自宅のリビングと決めているらしく、選んだ色は白。小さな魚だったら、ビュースだと7~8匹は飼育OK。ぜひ自宅で美ら海を再現してみてください。
◆新しい試みで新しいユーザーを
午後3時半、2日間にわたって行われたアクア講座は無事終了。2日間でたくさんのかたが受講してくれて、水槽ビュースその他を手にして帰途につきました。ビュースが単なるお土産ではなく、確実にアクアをスタートさせたものと信じています(笑)
初心に戻って水槽メーカー本来の持ち味を十分にいかした新製品水槽ビュース。同時に、初心者向けにアクア講座を開催したことは、これまでになかった試みとして大きな意義がありました。
初心者がアクアを始めるのに、適性年齢などありません。要は、きっかけ次第なのだということも今回のイベントを通じてよくわかりました。やってみようかなと、あと一歩が踏み出せない潜在的なアクアユーザーの背中を、誰が押してあげるか。どのタイミングで押してあげるか。
ペットイベントは相変わらず犬猫&小動物が中心ですが、わずかな出展数ながらアクア系も絶賛奮闘中。元号が令和に変わったことをきっかけに、新たにアクア元年となるユーザーが生まれてくれればうれしいです。
ご来場、まことにありがとうございました!