子どものころから近所の池や日本海で釣りを楽しんだり、野山で昆虫などを採取して自宅で育てたり。いきものを育てるということが大好きという性格は、誰にも負けませんでした。反面、スポーツが嫌いという困ったちゃんでもありましたが(笑)。弱冠26歳。すでにマイホームあり、3人の子どもあり、爬虫類好きのヨメあり(笑)。日曜日以外はほぼ自動車整備の仕事に精を出していますが、実はとっておきの夢があります。「それを考えただけでもうワクワクしちゃうんです(笑)」。そんなアクア&レプライフを満喫している兵庫県養父市の自宅を訪問させていただきました。
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◆幸せを絵に描いたようなリビングで
南向きの大きな窓。さんさんと陽が差し込む明るいリビング。住まいはやっぱり一戸建てにアドバンテージ。まるで絵に描いたようなマイホームにジェラシーMAX(笑)。こんな場所でくらせるなんて、人もいきものも幸せです。そういえば、昔は犬だって屋外の犬小屋で飼われていましたが、今や室内飼育が当たり前の時代。アクアだってそう。水槽といえば玄関の下駄箱の上というのが定番でしたが、次第にリビングへと設置場所が変わってきています。さてさて、20畳のスペースの中に“いきものアパート”がどこにあるか、おわかりでしょうか?
上垣家のいきものアパートは4階建て。スチール製ラックにコンパクト水槽が整然とビルトインされています。単にいきものの飼育場所というより、来客があった時でも見やすいよう意識されている気がします。
キッチンからみるとこんな感じ。料理中の奥様からでもいきものたちが視界に入るよう配置されています。ちなみに上垣家は5人家族。5歳の女の子と4歳の男の子、そして1歳になったばかりの女の子。「うちは鳥類以外みんな揃ってるんですよ(笑)」って?魚類に、爬虫類に、両生類に、そして哺乳類、、、ってことか(笑)。のちほど住民たちを紹介しますが、子どもたちもリビングでのいきものたちとの同居にすっかり慣れているそうです。
◆思春期の少年が辛抱したこと
――アクア歴はまだ1年だけど、このシチュエーションをみたらそうは思えない(笑)
「ヤモリやイモリ、カエル、カメ、ブラックバスなど中学生までは野生のいきものが好きでした」
――ああ、わかるわかる。周りは山や池、田んぼばかりだから(笑)
「その後アクアを始めるまではブランクがありました」
――その間何してたの?
「X-JAPANにハマってました!」
――はぁ(笑)?
「GLAYも好きで、当時はHISASHIみたいなヘアしてました」
――ほー、それ今見たかったなあ(笑)
「高校を卒業して就職後も、アクアのことは頭にあっても時期尚早だと辛抱していたんです」
――辛抱は体に悪い(笑)。アクアショップへ行って見るだけ、というのはなかった?
「ダメですダメです、そんなことしたら絶対買ってしまいましたから。ひたすらスマホを使ってネットで楽しむだけが精一杯でした」
アダルトに目覚めた思春期の少年が、見てはいけない&関わっちゃいけないと欲望をこらえてガマンしてるのと同じだと思ったのは、自分だけでしょうか(笑)
◆奥様の意外な嫁入り道具
ちなみに、奥様の小百合さんはアクアにも爬虫類にも全面的に理解があるのだとか。それって珍しいんじゃない?「だって、嫁入り道具と一緒に埼玉から持ってきたのが、クサガメだったんですもん!」。あーそれなら話が早いね(笑)
余談ですが、サユリさんってどういう字を書くの?って聞いたら、小さい百合と書きますという答が返ってきた時、やっぱり若いなーって思いました。昭和生まれなら、間違いなく「吉永小百合の小百合」と答えたでしょうから(笑)
これが、嫁入り道具と一緒に奥様がチャッポンチャッポンと水槽ごと埼玉から運んできたクサガメ。推定年齢は15~16才。寿命的には80年くらいは生きるそうなので、いずれは3人の子どもたちの誰かが引き継がないといけないことになりそうです。まあでもツルとカメといえば縁起もいいわけだし、よくよく考えてみるとこれは立派な嫁入り道具だったのかも知れません。
◆第1号がわが家にやってきた
いきものアパートの別館ともいうべき90㎝水槽。その上にも何やらケージが。この中には一体何が?子どもが生まれ、念願のマイホームも完成。「お金もかかるし子どもたちの世話もあるし、そんな時に魚を飼いたいなんてとても口にできませんでした」。グッとガマンして辛抱してきたアクア思春期の上垣さんが、ある日突然X-JAPANの呪縛から解き放たれる時がきたのです(笑)
記念すべきアクア第1号が古代魚。何としてでも欲しかったポリプテルスエンドリケリー。「恐竜みたいでカッコいいでしょ?泳ぐ姿もいかにも魚って感じでホレてしまいました」。
でもよくチャンスがきたものだ。「子どもがもっと小さかったころ、車の中でよくグズってたんです。休みの日に姫路方面に出かけた時もグズっていたので、犬や猫を見せて気を紛らわせようと偶然通りかかって立ち寄ってしまったのが、総合ペットショップだったんです」。あーあ、ついにやっちゃいましたね(笑)。「はい、これでついにリミッターが外れてしまいました(爆笑)」。
かくして、数年間の眠りから目覚めた上垣さん。飼うことに関して奥様の小百合さんは「別にいいんじゃない?」ってアッサリ。あらまあ、そうならそうともっと早く言えばよかったね(笑)
ほかにもドット柄の古代魚・ポリプテルスデルヘッジ(中央)と、体が白くて背びれのギザギザが特徴のポリプテルスエンドリケリー(アルビノ)もいます。水中ポンプの陰に隠れていますが、ちょっと内気なスチュワートスネークヘッドも同居中。
どれもネットで見ていて、ノドから手が出るほど欲しかった生体ばかり。リミッターが外れて、ついにスタートしたアクアライフ。この記念すべき古代魚たちには、当時の上垣さんの思い出がいっぱい詰まっているんです。
◆グッピー仲間とはツイッターで
続いてグッピー。サンセットフルレッドのペア。先日行われた「第30回グッピーコンテスト」でのオークションで入手したもので、「赤いグッピーが好きなんです!」。
グッピーとの出会いは去年の8月。たまたまアクアショップでやっていたグッピーすくいで手にした外国産グッピーが最初でした。「わずか1週間で10匹も生まれて、繁殖って面白いって思いました」。当時は詳しい飼育方法がわからず、ツイッターを通じてお気に入りのフォロワーさんに色々教わりましたが、それ以上に「こんなに尾びれのかたちや色がきれいなグッピーもいるんだと、そっちで感動してしまったんです。まさに違いを見せつけられた思いでした」。
「どうすれば自分の気に入るグッピーが生まれるか、遺伝子のことなどもめっちゃくちゃ研究しました。知れば知るほど、奥が深い世界だなと思いました」。で、目下グッピー沼にハマり中。
フルレッドがてんこ盛り。オスメスのペアがそれぞれ違うので分別されています。「グッピーは昔に比べてブリーダーは減ったようですが、最ブレイクするにはぼくたちが頑張らないといけないんです!」と鼻息も荒い!
フルレッドの若魚のほか、ドイツイエロータキシードやRREA(リアルレッドアイアルビノ)ドイツイエロータキシードなども絶賛飼育中。見ててください、この若者は来年あたりアッというようなグッピーを誕生させますから。
◆誰も知らない古代魚に適したエサ
「グッピーはグッピーのよさがありますし、古代魚は古代魚のよさがあります」。なんて理屈をこねながら、グッピーと古代魚を行ったりきたり(笑)。その後、またまたポリプテルスエンドリケリー2匹とハーコートスネークヘッドの1匹をゲット。
このスネークヘッド、さっきからずっと木の間に引きこもってるんだけど(笑)。「ああ、この間縞模様のポリプテルスにちょっかいを出したら逆ギレされたみたいで(笑)。その時に噛まれて、それからおとなしくなったんです」。へーそんなことが。でもそのうち喉元すぎれば忘れちゃいますから(笑)。水槽は違えど、これからますます体長も大きくなるのは間違いない古代魚。120㎝水槽が必要になるのも、時間の問題かも知れません。
それにしても、古代魚っていつも水槽の下にいます。こんな下にいて、エサはちゃんと食べているのでしょうか。「食べてますよ~。というか、古代魚たちがエサを食べる仕草って、めっちゃくちゃ可愛いんです!。パクパクというよりムシャムシャという感じです!」。よくわかりませんが(笑)、要するに動物っぽくゆっくり味わいながら食べてるんでしょうね。
「FLY MIXはミズアブの成分を多く含んでいるからでしょうか、下に落ちてくるスピードが速い気がしますが、逆に古代魚や大型魚にはピッタリだと思いますよ。生体を大きく育てたいと誰もが願う古代魚ユーザーのニーズを満たしています。うちの古代魚も成長が早いですから、間違いありません!」。FLY MIXは古代魚用・大型用に最適だそうな。それはいいこと聞きました。さらに、先日ユーザー訪問したワイルドベタも底魚の部類だから、これまたバッチグー。ココ、大事ですから(笑)
◆アクア熱に拍車をかけた奥様の強運
ペタペタと可愛いケンランフリンジアマガエル。普段は水槽がおうちですが、今日は特別にアウトドアライフ(笑)。
実はこのカエル、ある日のアクアショップでやっていたカエルくじの特賞なんです。しかも引き当てたのが奥様。何というラッキー!しかも、ショップやイベントでは5万円以上の価格で売られているというプレミアムカエルだったのです。幸運すぎる奥様に拍手ですね!
このラッキーですっかり気をよくしたのか、「ボテっとしていて可愛いから」という奥様の主張が通ってクラウンウェルツノガエルが上垣家に参入。
計5種類。カラーバリエーションも豊富です。1匹ずつプラケで飼育されますが、いくらワンルームでも狭すぎると思うんですが(笑)。「彼らは空間認識ができないので、全然OKなんです」。なるほど。でもプラケからこちらを見る目は、「こんな狭いところはイヤだから池にカエル!」って言ってそう(笑)
◆ほらここにも奥様の強運ぶりが
オイオイ、ベタまでいるってどういうこと(笑)。?「これまたヨメが特賞を当てたんです!」。マジですか。カエルくじとは別のショップのイベントとして行われていたベタくじ。そこで奥様が無欲の勝利!何というラッキー夫婦なんでしょ。グッピーよりもベタよりも一番相性がいいのは、この2人じゃないですか(笑)!
ベタの幼魚たち。少しずつ色が出始めています。現在成魚はオス1匹とメス2匹がいますが、例によって交配も試みたものの「ベタは難しいです」とポツリ。ベタブリード、撃沈の巻。
オレの出番はまだかよと言いたげなエボシカメレオン。まるで烏帽子を被っているような風貌からこの名がつきました。宝塚の超有名なカメレオン専門店で、速攻でゲットしたのがこれでした。もちろん爬虫類初。きっと来年の今ごろは、猛禽類も家族の一員になっているような気がしますが。
◆ついにレプにも着手
ノシ、ノシ、ノシ。慌ただしい人間社会などどこ吹く風といった、貫祿のある動きと風貌。コロコロ顔色が変わる人間にしょっちゅう例えられているとも知らず(笑)。推定約8カ月。もう立派な大人なのだそうです。ちなみに、一番上の子が「カメレヨン」と発声するので、名前も自動的に「カメレヨン」(笑)。そう、上垣家で唯一名前のあるペットなんです。
あ、こっちガン見してる(笑)!怪獣っぽいけど、いい顔つきしてます。
おなかに子どもがいる状態で入手したジャクソンカメレオン。さすがに女の子らしく、超おとなしかったです。
女子は女子同士、何かわかるんでしょうかね(笑)
この子も推定約8カ月。でもさっき紹介したエボシカメレオンとは、カップルでも夫婦でも不倫でもありません(笑)
そしてそしてこの日一番インパクトがあったのが、ジャクソンカメレオンの赤ちゃんたち。10数匹、みんな10月9日生まれ。5等身あるかないかのディフォルメ感が可愛くてたまりません。
◆夜勤明けのナースも癒されるひととき
この日、取材にわざわざ駆けつけてくれた宮木美衣さん、実は現役ナースなんです。病院の夜勤明けで相当疲れているはずなのに、「癒される~」とコーフン気味。
ほんとに可愛い赤ちゃんたち。宮木さん、持って帰ったらあかんで(笑)!
「う~ん、何か怒ってるみたいです~」とカメレオンをヨシヨシする上垣さん。撮影のために近づくと、色が徐々に黒くなっているとのこと。それってもしかしたら、見慣れない顔があるがためのストレス?「たぶんそうなんだと思います。イテテテテテテ!」。普段は用心のために手袋着用でスキンシップを図るのだそうで、「カメレオンの歯って、テープカッターみたいにギザギザしてるんですよ」。へー、それはヤバい!この日さすがに噛まれはしませんでしたが、ほんの5分の間によじのぼる足でひっかかれた跡が、上垣さんの腕に痛々しく残ったとさ(笑)
◆アクア趣味が本業になる予感
――姫路や加古川ではなく、近くにアクアショップがあればもっと便利なのにね。
「それなんです!ないんです全然!だから自分がアクアショップをつくらないといけないです!」
――いやいや、何もそこまでは言ってない(笑)
「いや本気なんです、マジで!商売になるかどうかということよりも、アクアをやっている人たちのリアルな情報交換の場にもしたいんです」
――そういえば、敷地内に車4~5台置けるスペースがあるので、土地の心配はいらない(笑)
「将来のことをあれこれを考えてるだけで、もうワクワクしてくるんです。何が何でも40歳までには絶対実現したいんです!」
――アクアって年々衰退している感があるから、若い力で巻き返して欲しい。
「今まで大先輩がつないできてくれたアクアの歴史を、今度は自分たちが盛り上げていかないといけません。それに、いくらネットの時代といっても生体やエサの比較なんかはやっぱりショップでないとできないと思うんです」
――ネットとリアルで相乗効果が図れるといいね。
「そうですね。今はツイッターを主に利用していて、飼育に関する悩みなどの情報交換も可能です。深刻な悩みを抱えているのに、それを相談できない人もいると思うんです。そんな人の背中を押してあげられる存在になればいいな、と思っています」
――YouTubeのライブ配信も始めたとか?
「まだ始めたばかりですが、少しずつ広げていこうかなと。ユーザー登録してくれている人はまだまだ少ないですけどね。でも目的はYouTuberではありませんから!」
夜になると花粉症の影響でクシャミがなかなか止まらない上垣さん。それでも毎晩一番下の子を寝かしつけるのも上垣さんの仕事。水槽の水替えなどメンテはそれが終わってから。いやあ、大変です。クシャミがなかなか止まらないのも、あいつきっと楽しいことをやってくれるに違いない、ってたくさんの人がワクワクしながらウワサしているからですよ(笑)
もともと車が好きで始めた現在の仕事。実は、車検や修理などで訪ねてくるお客さんの中にアクアファンが意外と多いのだそう。なるほど、それならお互いに心強いし情報交換もできそうです。何より、会社として営業活動の一環にもなる(笑)。もしかしたら、自宅でショップを出すよりそのほうが手っ取り早いかも。実現すると話題になりそうな予感。鳥取の中古車屋さんが同時経営するラーメン店に行列ができるように、“アクアのある車屋さん”として広まれば人気が出ること間違いないでしょう。
若い人の夢は大きければ大きいほどいい。そして尖っていていい。丸くなる必要なんか全然ない。そんなこと自分には無理だとか難しいとか、ネガティブな発想しかできないのなら何もできません。1度きりの人生、それではあまりにももったいない気がします。
久々に本気で骨のある若者に出会えました。迷ったら、やる。生きてりゃ、何とかなる。将来が楽しみな“但馬のいきものがかり”。ここがボクのアナザースカイ♬
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