コリドラスのスペシャリストがいるアクアテイラーズ尼崎つかしん店。その一方で、海水魚に関しても秀でたスタッフがいました。後半では、そんなスタッフに注目。初心者でも海水魚水槽が始められるヒントも盛りだくさんです。
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◆実は人気のサンゴ水槽
まるで海底のようなエキゾチックな世界が展開する海水ゾーン。いわずもがな海水魚のスペシャリスト・大石さんのテリトリー。大石さん曰く、「海水魚って、何もかも知り尽くしたアクアユーザーが最後にたどり着くイメージがありますが、今は優れた周辺機器がたくさん揃っているのでメンテ面などの難しい部分をほとんど機械まかせにできます。だから初心者でもさほど無理なく海水魚のオーナーになれますよ」。ふむふむ、これは案外そうかも知れません。
海水水槽の楽しみは原色に近い生きものが多いことと、すぐに見られるものではない海の中が毎日手軽に見られる楽しさがあること。このいずれかに共感できれば、すぐに海水魚飼育が始められますと、ちょっとワクワクしてきそうなメッセージを発信する大石さん。海水魚へシフトすればするほど、より非日常的な世界を体験できるというわけです。
サンゴのカラフルな色に惹かれてサンゴ水槽を始める人も最近増えているのだそう。そんなユーザーのために、マザーサンゴから子株を取って育てた株も販売中。この日も、以前からこのジャンルが気になっていたお客さんが大石さんと談笑していたのが印象的でした。
ナガレハナサンゴなどのハナサンゴは女性にも人気。海水魚はメンテが大変とよくいわれますが、実はサンゴの飼育だけだとさほど水も汚れにくいのだそうです。
水槽という小さな世界でも、海中と同じタイミングで産卵することも。こんなラッキーハプニング的な感動体験をすれば、きっとサンゴ水槽の虜になってしまうのでしょう。また海水魚飼育に関していえば、「その魚がどんな海域にいてどんな物を食べているのかを調べるのが楽しいんです」と大石さん。北海道育ちの大石さんにとって、母なる海はこの世の宝物に違いありません。
聞くところによると、大石さんが鹿児島の大学時代の同級生が今も養魚場のセンター長をしていたり、沖縄(石垣島)と強いネットワークを確立していたりする関係で、入荷可能な海水魚の種類も数もかなり豊富です。良好な人間関係は、ちゃんと販促にも結びついています。ここでは、「キワメテ!水族館」目線で海水魚をちょこっとご紹介します。
◆エキゾチックなシーワールド
確かに海水魚はとにかく色がきれい。キイロハギはあざやかな黄色い体とかわいい顔が特徴。キイロハギと混泳しているのはカクレクマノミやデバスズメ、ホンソメワケベラ、タテジマキンチャクダイなどなど。
ブルーフェイスアデヤッコ。文字通りブルーフェイスのお魚。ついついレンズを向けてしまいたくなるきれいな色合いです。
バリ産のホワイトソックスシュリンプ。足に白い靴下を履いているような色合いが可愛いです。
真っ赤でおどけたような表情が可愛いベニゴンベと、尖った口が特徴のクダゴンベ。ともにゴンベのなかまで、大きな胸びれを上手に使って顔を上げているように水底に止まっていたのが印象的でした。
やたらとガラス面に体をくっつけている姿が気になったプラチナホワイトクラウン。何?取材拒否(笑)?クマノミのなかまです。
こんなコーナーもありました。これならすぐに海水水槽を始められそう。店側のサポートによほどの自信がないと、こんな強い打ち出し方はなかなかできないと思います。安心感のアピールはアクアユーザーの信頼につながります。
◆居心地のいい理由
通称・テイラーズつかしん通り。ウソです、勝手にネーミングしてみました(笑)。今まで取材訪問させてもらったショップは数あれど、これほど雰囲気のあるゾーンを見るのは初めてでした。
反対側からだとこんな感じ。ゆるやかにカーブを描いた金魚・熱帯魚ゾーンは、ショップというより見せかたを重視した水族館そのものです。
このコーナーに限らず店内は通路幅が広く、複数で来店してもさまざまな品種の金魚や熱帯魚をゆっくり探せそうです。普段からお客さんとのコミュニケーションが良好なことは前述の通りですが、こうしてスペースに余裕があることも一因しているような気がします。しかもこのご時世、ソーシャルディスタンスもバリバリ余裕です(笑)
初心者はもちろんマニアやベテランユーザーのニーズにも応えられる体制が整った同店。来店者の中には、ついつい話し込んで2~3時間はザラにいることも少なくありません。それほどお客さんにとっても、居心地のいい場所なのでしょう。
コロナによる影響はまだまだ続きそうですが、こんなときこそおうち時間を利用してアクアリウムを。キャリアや目的に応じて、このお店ならきっと目指す世界観を実現してくれることでしょう。
お客さんにとって居心地のいいショップは、スタッフにとっても居心地のいい場所でもあるのです。