2014年にオープンしたアクアテイラーズ尼崎つかしん店。テイラーズといえば水草水槽のイメージが強いのですが、ショッピングモール内にあることから、ファミリー層を意識したオールマイティーの品揃え。しかもテイラーズ5店舗の中で生体・用品とも取り扱い数はダントツ。初心者から超リピーターまで、ユーザーニーズに合わせたフレキシブルなクオリティが人気です。そんな同店を全編・後編の2回に分けてご紹介します。
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◆あの超有名コピーライターも
つかしんが誕生したのは1985年。もう36年も前のこと。ついでに言えば、阪神タイガースが日本一になったのもこの年なんですよね、関係ないけど(笑)。当時はバブルの後押しもあって、大型商業施設はどこも大人気でした。ちなみに、つかしんという名称はあの超有名コピーライター・糸井重里氏の命名によるものであることを知っている人は、かなーり少ないはず。はい、年齢がわかります(笑)
テイラーズのつかしん店はグンゼタウンセンターつかしん「にしまち」の2階。おなじみの看板が目に飛び込んできます。商業施設内にあるからでしょうか、とても入りやすい店構えです。
そしてプロローグは120㎝レイアウト水槽のデモンストレーション。いわば同店の看板水槽。水槽に使われている水草などのアイテムは、すべて店内で取り扱っているものだけを使用。アクアは決して特別なものではなく、誰でもここまでできるんですよという店側からの提案コーナーでもあります。
このレイアウト水槽には、ミクロラスボラsp.ブルーネオンが泳いでいます。たとえサイズは小さくても、存在感のある生体が水草水槽にぴったりです。
このほかにも、水草が入った状態のレイアウト水槽がたくさん。どれもこれも、この水槽で水草水槽をつくったらこんな感じに仕上がるんだと、買う側がイメージしやすい水槽ばかりです。
レイアウトもさまざま。生体もさまざま。このコーナーを見ているだけでも、アクリウムという趣味がいかに奥深いものであるかがよくわかります。何よりも、それぞれの得意分野に特化したスタッフが持ち味を発揮し、お客さんとのコミュニケーションを大切にしながら販促につなげていることがよくわかります。これこそが同店の大きな強みにほかなりません。
◆個性が豊かすぎるスタッフたち
ということで、ここでスタッフ紹介。写真右から副店長・大石貴裕さん。北海道出身。海が大好きな海水魚担当。まさに海水魚のプロ。真ん中が紅一点の井上夕綺さん。どこかで会ったかも知れないと思いきや、4年前に取材した神戸動植物環境専門学校の出身。取材当日にも現場にいたそうです。ごめん、すっかり忘れてた(笑)。そして藤原慎太郎さん。愛媛県出身で、コリドラス大好きスタッフ。寝ても冷めてもコリドラスコリドラス(笑)。一度会ったら忘れない、親しみやすいキャラが特徴です。
どのスタッフも話しやすく、しかもファミリー層からプロまで幅広く対応できるよう知識の引き出しも豊富。「特に意識したわけではなく、お客さんのことを考えていたら自然にそうなったんです。世間話や雑談をしてくださるお客さんが多く、その中で各お客さんのニーズに合った提案が可能になります」と大石さん。
某ホームセンター内のアクアコーナーを経て同店へやってきた井上さん。「ここへきて本当によかったです。マジで1日があっという間(笑)。まだまだ勉強中なので、個性豊かな先輩に必死についていってます」と、若いのに早くも仕事人間化(笑)
「そんなにコリドラスが好きならとことんやれ!」と、現店長の竹下巧海さんに後押しされて頑張る藤原さん。全国の問屋で扱っているコリドラスを全部店頭に並べることを目標にしています。めっちゃプレッシャー(笑)。でもアナタのキャラなら絶対大丈夫!
リピーターが多いこともあり、入荷情報などをスピーディーにネット公開するブログも、アクアテイラーズ5店舗の中で更新頻度は一番多いのだとか。海水部門と淡水部門それぞれに週3回は更新。ということは、全体でいうと1週間ほぼ毎日のペースで更新されているほど。
ついにツイッターも。はい、確かに今さらです(笑)
◆アクアは水槽選びから
まるでパルダリウムにそのまま水を注入したようなユニークなレイアウト水槽。
KOTOBUKIの「アクスト」ワイド50。アクストシリーズの持つオシャレ感をキープしつつ、本格的なレイアウトが楽しめるマルチパーパス水槽です。
今もファミリー層に人気のオールインワン水槽「ビュース」。このお店の女性客には赤がイチオシ。特にビギナーにおすすめです。同店では、おうち時間が増えたことで初めてアクアリウムに挑戦すべくビギナー用水槽を買いにきたお客さんが多かったそうです。一過性で終わるのではなく、このままアクア熱が冷めてしまいませんように(笑)
ん?ジャングルチックな水草で、まるでワルツを踊っているようなアマゾンフロッグピット。メダカ飼育によく使われる浮草で、細かい根がびっしり伸びているのがよくわかります。一般的に浮き草は上見が多いので、水に浮かべられたものを横から見たら根の伸び具合までハッキリ認識できました。これなら小さな卵生の魚たちにとっても、いい隠れ家になりそうです。横見では丸見えですが(笑)
レイアウト水槽の奥には、各種在庫がビッシリと。まさによりどりみどり。自分がどんな水槽に仕上げたいか、レイアウト水槽と見比べてイメージしてじっくり時間をかけて選ぶことができそうです。
ある水草用の肥料。水草といえど魚同様栄養分は必要不可欠。底材によっては、栄養不足で期待通りの成長や色が出ないこともあるそう。このタイプは個体のものと液体のものがあります。利用目的に応じて肥料を与えていく点は園芸と同じです。
組織培養されたカップインの水草のラインナップも豊富。アクアを始めるにあたって、水槽が決まったら次は水草をチョイスしなければ。店内のストーリー性のある商品構成は、そのままビギナーの商品選びと連動しています。
◆コリドラスのスペシャリスト
ここがうわさのコリドラスゾーン。何をかくそう、関西で質のいいコリドラスを探している人なら一度は訪ねたことがあるというほど、コリドラスに関してはすっかり専門店的な位置づけとなっています。
もちろんスタッフの藤原さんは、知る人ぞ知るコリドラスのスペシャリスト。コリドラスいいですよ、コリドラスいかがですか、コレクション性も高いですよ、などと勧められるままに藤原さんのエジキになった人は数知れず(笑)。そんな藤原さんに今イチオシのコリドラスを厳選して紹介してもらいました。
セミロングノーズスーパーシュワルツィ。シュワルツィの中でも大きくなるタイプ。エラ蓋から尾まで伸びる1本のスパイラルラインが特徴です。スーパーシュワルツィは、スパイラルラインが太く1本入り、そのほかは余計な柄が入らないものがいい個体とされています。さらにいえば、背ビレがピンとしている個体がベストなのだそう。
ビファシアータスブラック。肩口からエラ蓋にかけてかかるオレンジのラインと太めのスパイラルラインが人気。この個体はノーマルのビファシアータスより黒味が強いタイプです。
スーパーアンチェスター(ヒカリ)。スーパーアンチェスターの頭部の柄とビファシアータスのオレンジのラインが混じった品種がヒカリといわれています。
ウルトラシュワルツィ。ラインが細かく、さらにラインがしっかりたくさん入っているものが人気だそうです。
同じ品種の中でもバリエーションが多かったり、きちんと飼えば繁殖を楽しむこともできたり、繁殖行動(Tポジション)が可愛かったり、同じ水槽で混泳させても決して争いをしなかったり。知れば知るほど魅力がいっぱいのコリドラス。去年は2度コリドラスのユーザーを取材しましたが、みなさん情報を出し惜しみしない温和でやさしい人ばかりでした。これから何を飼育しようか迷っている人がいたら、ぜひコリドラスも候補のひとつにしましょう。はい、今年はコリドラスがイチオシです!
〈後編へ続く〉