アクア系のイベントというと、一般展示だったり、即売会だったり、コンテストだったり。だいたいこの3つが定番。そんなアクアのイベントに風穴をあけたのが、金魚すくいに使うポイを投げて飛んだ距離を競うというイベント。誰も思いつかない、思いついたとしても誰もやりたがらない、あまりにもシュールなイベント。去年開催してみたら、予想に反して大人気だったので、今年もついつい足を運んでしまいました。金魚すくい大会が全国区の奈良県大和郡山市。ポイはすくうだけが能じゃない時代なのです。
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◆ポイ投げしか勝たん
世にも珍しいイベントが開催されたのは、10月10日。国民的祝日「スポーツの日」。大和郡山市のメインストリートでもある柳町商店街が開催する恒例の「第12回柳神くん祭」の一環として、去年が第1回目でした。雲ひとつない秋晴れの下、、といいたいところでしたが、朝からどんよりとした重い雲が。取材前日、実行委員の弓場裕秀さんに「雨の場合は中止ですか?」と連絡すると、「いや、降りませんから」ときっぱり。その自信は一体どこからくるのでしょうか(笑)。
会場着。ついこの間までお店が建っていたかのような、商店街の一角の空き地が大会会場。奥行は20m以上はあり、ポイ投げ大会の会場としては申し分なし。両隣に建物があるので、風の影響を受けることもさほどなさそうです。というか、ポイ投げ大会以外は使われていない?だとしたらちょっともったいないような気も。
去年、晴天の下で開催されたポイ投げ大会は、弓場さんの発案で生まれました。弓場さんは商店街で仏壇仏具を製造販売する老舗のオーナーで、本社のショールームの特製プールでは高級金魚を多数飼育していることでも知られています。どんな様子か知りたい人はこちら。
去年行われた第1回目の最高記録は10.16m。これはもう立派な世界記録。色々異論はあるでしょうが、こんなものはやった者勝ち(笑)。キワメテ的には支持しちゃいます。
正午に受付がスタート。この日お手伝いするのは、奈良信用金庫の若手男子スタッフ。受付はもとより記録の集計や競技中の計測も行うという、やっぱり数字に強い男子たち(笑)。写真撮ってもOK?との呼びかけにも「全然大丈夫っす!」。生真面目さ&親しみやすさは、同信用金庫おなじみのキャラクター・ならっきーそのものでした(笑)。
受付を待つ人たちの最後尾にもならっきーのメンバーが。人当たりのいいイケメンの前川君を最後尾の誘導に起用したのはセーカイ(笑)。
ならっきーのメンバー同様、どうしても紹介しておきたかったのがこの女子2名。大原ひろこさん(右)&ゆうかさん(左)。何と親子なのに女子力強め(笑)。お母さんのひろこさんは、100m以上にもおよぶ人の列をテキパキと整理。声も通る通る(笑)。要所要所で実行委員の判断を仰ぎながら、アグレッシブに動き回る姿にすっかり感動。お仕事は介護職だそうで、老後はこんな人に看ってもらいたいと思わずにはいられませんでした(笑)。
試技は2回。遠くへ飛んだポイが公式記録となります。実際に使われるポイには、可愛い金魚の絵があしらわれています。これが去年10m以上も飛んだとはちょっと信じられません。紙を破る以外は、基本自由。「フリスビーみたいにヨコからシュッと投げたらいい」「縦方向でシュッ投げると意外に飛ぶ」「もうシュッと気合いしかない」。言うことみんなテキトー(笑)。結局コツのようなものはなさそうで、すべては運まかせ&風まかせしかないようです。いやいや、だから老若男女誰もが参加できるんです。
受付開始からわずか30分足らず。参加定員の100人に早くも到達。受付を済ませた人の中には、去年参加したから今年もというリピーターや、「金魚すくい大会には出たことがあるけど、ポイを投げるのは初めて」という少年少女もいたりして、まだ2回目だというのに注目度は高め。もうポイ投げしか勝たん(笑)!
◆商店街活性化の一翼担って
競技開始の午後2時まで時間があったので、「柳神くん祭」でにぎわう商店街を少々探索。ポイ投げ大会会場のすぐ隣にあったのは、ユミバ鳳凰堂。そう、実行委員の弓場さんが経営するお店の一つでもありました。早速人だかりができています。
玄関にはドーム型の大型水槽に金魚がゆーらゆら。
奥にももうひとつ水槽が。最近では「金魚ストリート」の愛称がすっかり定着した感がありますが、それもこれも商店街のみなさんの努力の結集であることには違いありません。
今日に限っては、仏壇仏具だけでなく各種オリジナルのお菓子なども販売。推しはやっぱりこれ、「金魚が泳ぐ炭酸ドリンク」。水に見立てたブルーの炭酸に、金魚のかたちをしたゼリーが泳いでいます。これをストローでチューチューするという仕組みで、逆にブクブク吹いたらまるでフィルターやなと思ってしまいました(笑)。
「いかがですか~?」。ん?柳町商店街にガールズバーなんてあったっけ(笑)?いやいや、ハッピーなスマイルで販促に貢献していたのは、奈良県のFM局でパーソナリティーを務めたり、動画配信サイトの恋愛リアリティ番組などで活躍していた女性タレントの「あずあず」こと野田あず沙さん。えー、こんなところにそんな有名人が?柳神くん祭って一体どんなコネクションで成り立ってるんでしょ(笑)。あずあずは、ポイ投げ大会が始まったらプレゼンテーターとしても参加予定です。
ほかにも「白い金魚焼き」や「金魚すくい飴」など、どれも金魚にちなんだお菓子をラインナップ。キワメテスタッフもひとついただいちゃいました。ご馳走さまでした!
金魚ストリートは、名前だけではありません。それぞれのお店がそれぞれのスタイルで金魚をアピールしています。
あのメガネ屋さんでも。
学生服を売っている服屋さんでも。
ネコちゃんもいる?呉服店でも。
そして老舗の饅頭屋さんでも、それぞれの思いを込めて金魚を披露していました。
こうした地道な活動が認められ、2021年には中小企業庁の「はばたく2021 商店街30選」にも選出され、商店街活性化のモデルケースとして話題を呼びました。
◆すくったそのコイどうする?
おお、こんな看板にまで金魚テイストが(笑)。きっと苦い経験のある金魚ユーザーが書いたのでしょうね。
これは珍しい!水草が販売されていました。
どれどれ。見せてくれたのは、何と何と30匹以上もの金魚、、ではなくコイ。「コイを飼ってみたくて」という女子中学生がチャレンジしたのが、金魚すくいならぬコイすくいでした。今年の金魚すくい大会で決勝まで進出したというJC。対象が金魚であろうとコイであろうと、要領はさほど変わらなかったのかもしれません。コイって大きくなるよ~。水槽もたくさんいるよ~(笑)。この日は家族も一緒でしたが、お母さん曰く「さて、どうしましょ(笑)?」と至ってポジティブ志向だったのが印象的でした。
商店街の南方にある東大寺大仏ゆかりの郡山八幡神社には、今年も地元の子どもたちがつくった金魚ねぶたがずらり。境内でも子ども向けのワークショップでにぎわっていました。
「うちの子の作品はどれかなあと思って、探してるんですよ~」と、わが子の名前を探しているお母さん。なるほど、わが子がどんな金魚ねぶたをつくったのか気になりますよね。ついに小雨が降り出し始め、傘を片手にわが子の作品を探索。大変でしょうけど、頑張って探してあげてくださいね。
◆世界記録を大幅に更新
そうこうしているうちに時間は午後2時。いよいよポイ投げ大会が始まりました。ここではよーいドン、ではなく、よーいポイ。大和郡山市・上田清市長とタレント・あずあずの2人が始球式ならぬ始投式に臨みました。市長、ナイスダンシング(笑)!
雨が降ったりやんだりする、あいにくの空模様。それでも子どもたちは楽しそう。
気持ちはあっても、なかなか遠くへは飛んでくれません。ポイ投げの神様はこの世にはいないのか(笑)。
風にまかせるべきか、力まかせに投げ込むべきか。そんなに悩まなくても(笑)。
「貸してみなさい。ポイというのはね、こうやって投げるのよ」。そりゃっ!結果はどうだったかは、ノーコメントということで(笑)。
そしてそして。大会が始まって30分もしないのに、去年の世界記録を上回る人が続出。しかも降雨という悪コンディションなのにすごすぎます。その後も10mを超える人が続出して、周囲を驚かせました。
時折吹く向かい風が、競技を邪魔します。でもすぐまたやんでくれるところが、この商店街のやさしさというべきなのでしょうか(笑)。幸い降雨の影響はほとんどなさそうです。
そして競技開始後2時間足らず。全参加者の投てきが終わりました。参加者のみなさん、関係者のみなさん、お疲れ様でした。
緊張が高まる集計の結果、何と6位以上が世界記録超えというハイレベルな大会となりました。大会が行われるごとに記録が更新されるのは、参加者にとっても関係者にとってもうれしいものです。これからの可能性が大いに楽しみです。
3位は12m75㎝のネボスケさんファミリー。おめでとうございました!去年も参加したネボスケさん、同じ3位だったそう。次回こそ上をいきましょう。来年も参加しますと約束してくれました。ははーん、それまで絶対練習しますよこれは(笑)。
続く2位は12m80㎝のリョウタさん。おめでとうございました!あらま~、3位との差はわずか5㎝(笑)。ちなみに表彰式では、上田市長とあずあずに加えて、地元が誇る観光キャラクター・第40代女王卑弥呼のメンバーも加わりました。ちなみに卑弥呼にも冬服があったとは知りませんでした。
そしてテッペンを取った栄えある第1位は、2位を大きく引き離して14m90㎝を記録したミホさんでした。おめでとうございました!東大阪市からお越しのミホさん、もちろんポイ投げは初めてで娘さん夫婦も参加しましたが、ミホさんだけがダントツの一人勝ち。それにしてもすごい記録が出ました。何とかギネス公認にはならないものなのでしょうか(笑)。
◆シュールなイベントに注目の気配
映像プロデューサーの黒田さんの記録は惜しくも11m。一時は1位かも!と一緒に喜んでたんですけどね(笑)。ご夫婦でわざわざ淡路島からやってきてくれましたが、久しぶりの再開を果たした友人とともに大和郡山出身なのだそう。せっかく水槽が当たったことだし、ぜひ淡路島でイキのいい魚を飼ってくださいね。食用ではなく観賞用をぜひ(笑)。
ならっきーのみなさんもお疲れ様でした。立ったり座ったりして100人分の計測をこなしてきたわけだから、きっと腰にきてるよね(笑)。ゆっくり休んでください。
この日は、大和郡山市観光協会の主催イベント「金魚まつり」も三の丸会館で同時開催。おなじみの昔懐かしい金魚リヤカーが登場し、金魚マイスターのみなさんによる威勢のいい掛け声で上田市長を先頭に商店街を練り歩きました。
雨にも負けず風にも負けず。悪天候で中止になったイベントもなく、来場者が急激に減ったわけでもなく、1年に1度しかないこの日を誰もが存分に楽しんでいたのが印象的でした。
あいにくの天候にもかかわらず、世界記録も更新するなどして大きな盛り上がりをみせた第2回全国ポイ投げ選手権大会。これでまた来年が楽しみになりました。
すぐ近くの奈良県王寺町の達磨寺では、「全国だるまさんがころんだ選手権大会」が行われたり、遠く高知県の仁淀川では川面すれすれにうすっぺらい石を投げて競う「国際水切り選手権大会」が行われたりして、何だかわくわく。こんな時代だからこそこんなシュールなイベントが受けるのかも知れません。鬼ごっこ、かくれんぼ、缶蹴り、ハンカチ落としなどなど、昔懐かしいシンプルな昭和の遊びが、今また脚光を浴びようとしているのかも知れません。
「ここ、うちの土地ですねん」と弓場さん。弓場さんなしでこのイベントは語れなくなりました。来年もその先もきっと好記録が予想されるので、ぜひ今のうちに土地を買って会場を拡張しておいてくださいね(笑)。
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※2023年1月31日(火)まで有効