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【ユーザー訪問】狙うはコンテストのポールポジション!?☆水草レイアウト水槽で流木にこだわる土井直人さん(大阪市西淀川区)

Posted on 2021年11月12日2023年5月13日 by aquariummagazine

大阪市内のデザイン会社に勤務する土井直人さん。高校生の時に水草水槽に目覚めて以来、WEBデザインの激務と並行して、やったりやらなかったり(笑)。とはいえ、根底に流れるのは水草水槽への熱い思い。そして流木に対する強いこだわり。独身生活をエンジョイしている土井さんに、アクアライフ履歴書を提出してもらいました。

☆    ☆     ☆

◆パーソナル水槽の妙

おうちのとびらをそっと開くと、アクアワールドがチラリ。まさにワンチャン。何度体験しても、このエモーショナルな瞬間がたまりません。

 

さらにそおっと。ハートをわしづかみにされるようなアクアシーン。アクアショップなどで体感するディティールとはまた違った、ユーザーならではのパーソナルな世界観に引き込まれます。

 

かくして90㎝水槽と対面。まず目に飛び込んでくるのは何といっても流木。水面から抜け出してダイナミックに突き上げられた大小の流木には南米モスが巻き付けられ、独自の生命力を感じさせてくれます。流木を見ているだけでも、これらをつくり上げた人の熱い思いが伝わってきます。まるで4K動画を目の当たりにしているようで、ついつい見入ってしまいます。

 

中を泳ぐのは、赤と青のバランスがきれいなカージナルテトラ。水草水槽では、今やすっかり定番です。

 

そしてこちらの水槽。60㎝サイズでありながら、とてつもないスケール感を醸し出しているのは、やっぱり流木の配置が効いているからでしょうか。横方向の広がりに注目されがちな水草水槽ですが、ここでは明らかに縦方向の視覚効果を発揮は。さきほどご紹介した90㎝水槽が、逆に小さく見えてしまうほどです。

 

こちらも流木に南米モスが巻き付けられているほか、シダ類やヤマザキカズラなどが植え付けられています。背面は南米モスで覆われ、パルダリウム的なビジュアル要素も兼ね備えています。

 

さらに背面からはミストが数カ所から排出。幻想的な演出効果だけでなく、南米モスの湿度をキープするのにもひと役買っています。

 

最初はわずか4匹でスタートしたエンドラーズも、今や数え切れないほどのにぎやかさでわらわらと泳いでいます。水草水槽では、魚たちはあくまで名脇役。とはいえアクアでは欠かせない絶対的エース。小さな体で水槽の左右に動く健気な姿があるからこそ、水草で設えられた前景や後景も引き立つのです。

◆過去の苦い経験をバネに

広島出身の43歳。地元の高校に通っていた時、通学路にあったアクアショップで水草水槽と遭遇。「いつか水草水槽にチャレンジしたいな」という気持ちが芽生えた瞬間でもありました。その後、アルバイトでペットショップに勤めるなどして、アクアリウムとふれる機会は少なくありませんでした。

 

ある時、商品カタログの中で見事な水草レイアウト作品に遭遇。カルチャーショックを受けました。「なんじゃこれは!と驚きました(笑)。流木や水草が単なるパーツとしてだけでなく、水槽の中で意図的にレイアウトされ、しっかりドラマをつくっていたからなんです」。水槽ではなく、作品。このことがきっかけで、まだ10代だった土井さんを覚醒させることになったのです。

 

10代にして初めて手がけた水草水槽。前景水草はショートヘアグラスやグロッソスティグマ、後景水草にはパールグラスやグリーンロタラ、そして少し育てにくかったというオランダプランツで構成。記念すべき第1号となりました。相当苦心のほどがうかがえます。「学生の身で水草や用品を買い揃えるのは大変でしたが、何とか格好がつきました」。当時はまだSNSもインターネットも今ほど全盛ではなかった時代。アクアに関する情報を入手するのも難しく、10代としては手探りのアクアライフだったことでしょう。ということは、本格的に始めたのは社会人になってから?「いえいえ、就職したばかりで東京にいましたし、SEという仕事が忙しくてそれどころではありませんでした。その後大阪にきて仕事も変わり、気持ち的にも少し余裕が出てきたことで少しずつ再開させました。とはいっても、アクアをやってると言っていいのか、わからない程度でしたが(笑)」。

 

5年前に再開したころの60㎝スリム水槽。しっかり水草が投入されています。再開するにあたって、何か理由でも?「仕事の取引先の人と、大阪市内のバーへ呑みに行ったんです。色々と話しているうちに、偶然その人もアクアをやっていたので、逆に勧められたんです。しかも足を運んだバーというのが、あの近藤熱帯魚店(現・深海BAR「THE DEEP」)さんだったんです」。まるでドラマのような思いがけぬ展開。なるほど。そのシチュエーションだと刺激されないはずがありません。

 

眠っていたアクア魂に火がついた土井さん。かなりガチで取り組んだのがこの水槽でした。「このころ、石を使って大胆なレイアウトをしてみたかったんです」。レイアウトの中心となっているのは龍王石。この石はアクアリストの中でも人気のあるパーツで、たとえば中国の桂林などのような大自然のシーンを水槽で再現したい場合などによく使われています。土井さんもそれに着目し採用したものの、なぜか水草の育成不良に見舞われることに。「アンバーカバーのオーストラリアンクローバーが枯れてしまうし、ほかの水草も萎縮してしまっていたんです。まったく成長がみられませんでした。原因を突き止めるべく照明を追加してみたり、上部フィルターを外部フィルターに変更してみたり、底砂をソイルに変更してみたりもしましたが、一向に改善されず心が折れそうになりました」。

 

試行錯誤というより、暗中模索の一年間。「長かったです(笑)」。「ある日水の硬度を調べてみると、異常に高い数値だったんです。こんな状態で水草が順調に育つわけがありません。通常は100以下なので、これは明らかに異常数値でした」。そして、あれほどお気に入りのパーツだった龍王石が、水の硬度を上げる原因になっていたことがわかったのです。

 

早速龍王石を取り除き、しばらくすると硬度も下がり、少しずつ改善。

 

やがて水草も元の元気を取り戻しました。ひとまず一見落着。「やっぱり長年のブランクは大きかったです(笑)」。

 

ちなみに、龍王石が水草水槽に適していないということではありません。水槽のサイズに合った石の量や水の硬度に適した水草を使用すれば、今では大丈夫とのこと。龍王石に惚れ込んでしまった結果、投入した石の量が多すぎたというのが主な原因だったようです。今ではSNSやネットで情報収集が簡単にできる時代ですが、当時はまだ手探り状態でした。そういう点でも、今のアクアユーザーは恵まれている、といっても過言ではないでしょう。

◆目標を掲げることの意味

このころ、30㎝水槽を使った水草水槽にも着手。「といっても、これから先自分はどこを目指していくのか、まだハッキリしていないころの水槽でした。

 

この水槽でもまずは流木配置から。

 

最初の流木を配置してから水草や苔が徐々に育ち、最後には流木がまったく見えなくなるほど成長した過程がよくわかります。水槽の中で自然に近い環境が整えば、水草は裏切らないということも、改めて認識した次第です。

 

そして何より、こうして写真で記録を残してきたからこそ成長の過程だけでなく失敗の原因も気づくことができたに違いありません。わかっていても、ついつい怠ってしまう記録という作業。完成時の水槽そのものだけでなく、プロセスにもこだわるのはアクアリストとして大事なことかも知れません。

 

このほか、90㎝水槽を使って水草水槽に挑戦。このころ、流木の持つダイナミックさや生命力に惹かれつつあった土井さん。「もう龍王石は使いません(笑)」。流木で全体的なイメージをつくり上げていきました。もはや土井さんにとっては流木が肝であり、これなしでは水草レイアウトはあり得ないくらいの、強い気持ちの表れでもありました。

 

こちらも徐々に水草が成長していき、やがて全体的に広がりを見せていく様子がよくわかります。

 

そして、以前から知っていたものの参加意欲はなかったIAPLC(世界水草レイアウトコンテスト)を意識し始めたのもこのころでした。「ただ上位に入りたいというよりも、何か目標を掲げることでさらに上を目指しつつ水草水槽のスキルを磨いていきたかったんです」。

◆水草レイアウト水槽コンテストで得たもの

あれこれ思案した末、2020年のコンテストに初参加。まずは流木をX状に配置。この配置にはこだわりました。「だいたいこの時点で、完成した時の感じがイメージできるんです」。流木の位置を決めるだけで、何日も時間を要することも珍しくないくらい、レイアウトを進めていく上で重要なファクターとなるようです。

 

その後、水草が成長したのを確認してカメラテスト。え、カメラテスト?コンテストの応募は画像が基本。そのため、いかにいい画像に仕上げて応募するかも大きなポイントとなります。幸い土井さんはWEBデザイナー。日常の仕事で写真撮影を行うことも多いため、シャッター速度や絞り値、アングル、レンズチョイスなど、カメラを扱うのはそう難しいことではありませんでした。カメラテストにもこだわるところは、いかにも土井さんらしい作業でもあります。

 

レイアウト変更。左右の流木を少し倒して中央に空間をつくりました。

 

これが完成形。中央のルドビジア(赤い水草)が構図全体の奥行きにひと役買っています。作品名は「試行錯誤」。成績は293位でしたが、初めてのコンテスト参加としては上々の結果でした。「後日ほかの作品を拝見して、さすがだなと思う点が多々ありました。思うような結果ではありませんでしたが、とてもいい刺激になりました。コンテストに参加してよかったです」。以後、SNSやグループLINEを通じて、コンテスト参加者やアクア仲間と積極的に交流しているという土井さん。「何か目標を持つということは、アクアに限らず大事なことなんだなぁと、つくづく痛感しました」。

◆脳内作業から手作業へ

1年前に今の住まいに引っ越し。日当たりがよくて明るく、すっきりとした洋室での一人住まい。「以前住んでいたところは狭くて、水槽を廊下に置いていたほどでした。やっぱりもう少し広い部屋で優雅に水草レイアウトを楽しみたいと思って(笑)」。決してアクアのために見つけた住まいではありませんが、スペースに余裕があるということは今後の将来性にもつながっています。

 

もちろん今年開催のコンテストにも、去年から準備に取りかかりました。もちろん記録もちゃんと残っています。一番のポイントとなる流木をどう配置するか、水草やコケ類をどんな種類にするか、頭の中にあるイメージをラフスケッチにしたためることから始まりました。

 

参加2回目となる今回は、さらに大胆に流木を配置。こだわりが強すぎて、流木だけで3万円もかかったとのこと。「どちらかというと前回では過去の資料を色々と調べて、コンテスト受けそうな感じに仕上げたのですが、今回は自分のやりたいようにやってみました」。同じコンテストでも、どういうイメージで作品をとらえるか。レイアウト水槽に携わるクリエイターとして、意識も高まってきました。

 

水草が成長し、ついに完成した今年5月。最初に流木を配してから順調に育ち、4カ月でこの状態まで持ってくることができました。「結果は1173位と前回よりも順位は下がりましたが、今後もさらなる高みを目指して頑張ろうと思っています」。さほど順位にこだわらず、かといって要因をスルーするわけでもなく。うまくバランスをとって次回の作品づくりに勤しもうとする姿が伝わってきます。

 

一時的にアクアを中断した時期もありましたが、今はコンテストという具体的な目標ができたことで、土井さんの新たな挑戦が始まりました。それは、作品タイトルにつけられた「新天地」そのものでもあります。「いずれこの水槽もリセットする予定です。南米モスがところどころ枯れているんです」。90㎝水槽はこれからもコンテスト参加用水槽としてのポジショニング。照明時間は午前8時から午後1時半までの短めですが、できるだけ強い光を当てるようにしています。なので、中に入れる生体も少なめ。水換えの頻度は?「やっぱり水草が多いですからね。週に一度は必ずやっています」。

◆リセットという時間

こちらの60㎝水槽も、間もなくリセット。流木がレイアウトの中心になりそうなことはどちらも同じですが、「こちらは水中だけでなく、水上部分もある水上テラリウム水槽のテイストに仕上げていきたいと思っています」。リセットは新しい世界へ発信するのと同時に、メンタルをリフレッシュするために欠かせない作業なのです。

 

これからの課題は?「前景・中景・後景それぞれの水草を使って、いかに奥行き感を出すかが課題です。最近はジオラマ水槽といわれる、実在のシーンを水槽で再現するという手法が主流になりつつあるので、それも意識していこうと考えています。あと、コンテストではいかに写真でうまく見せれるかも大事な要素なので、そこにも力点を置こうと思っています」。そのために色々教えてくれましたが、あえて企業秘密ということで(笑)。

 

90㎝と60㎝の2水槽体制。基本は、1年維持して年に1回リセットのサイクルはどちらも同じですが、「やっぱり将来的には120㎝水槽を立ち上げたいと思っています」。引っ越してきてまだ1年ですが、もう1年もすれば120㎝水槽がドカンドカンと部屋を占領する日も遠くはなさそうです。

 

もう一つの趣味は、リアルすぎるレーシングゲーム。これは意外でした。部屋の奥には40インチのモニターとハンドル・アクセル、ドライバーシートなどをシステマチックに再現。スケール1/1。総予算はン10万かかったそうですが、画面に映し出されるサーキットだけでなく、水草レイアウト水槽コンテストでもポールポジションを獲ってくださいね(笑)。

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