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【人物】金魚人生はキン太とともに☆ちょっとマニアックな骨格標本製作女子・阿久津淳子さん(兵庫県宝塚市)

Posted on 2017年12月15日2023年5月13日 by aquariummagazine

金魚関連イベントに足を運んだことのある人なら、一度は見かけたことのある金魚女子。

彼女の肩書は色々ありますが、一番興味をそそられるのはやっぱりホネ。

そう、全国でも珍しい金魚の骨格標本製作者だからなんです。

かつてはライブハウススタッフとして、エレクトーン奏者でもあったというユニークな経歴の持ち主。

金魚グッズ作家の発掘や金魚情報を収集するかたわら、ホネと向き合うことが至福の喜びです。

過去の写真と記憶を引っ張り出してもらいつつ、お話をうかがいました。

 

◆閑静な住宅街の一角に活動拠点

 

淳子さんの現在の活動拠点はこのスペース。高級住宅街が建ち並ぶ宝塚市の一角に、バイクショップや八百屋さんなどに交じって、シャッターガラガラ(笑)。以前は“香草カフェ金魚”の名で、金魚好きも多く集まる場でしたが、「店番をしてくれる人がいなくて(笑)」、今の場所に移転してきました。とにかく外回りに忙しい淳子さん。現在はカフェのようなオフィスのような倉庫のような。いわゆる多目的スペースのドアを開けたとたん、数多くの水槽が目に飛び込んできました。

 

ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ…と数えて、水槽は現在15個もあります。そのうち、4個が“入居中”。10個以上“空き家”があるのは、ちょっと寂しい気がしないでもありません。

 

お気に入りの金魚グッズがあちこちに。「ちゃんと整理できてなくてすみません(笑)」。ご存じのかたも多いと思いますが、淳子さんといえば金魚グッズの作家さんをみつけては金魚関連イベントへの参加を促す、ナンパ師なんです(笑)。カッコよくいえば、イベントプロデューサー。だから、淳子さんにナンパされてイベントに出展した作家さんは数知れず。もし「私、まだです~」という作家さんがいたりなんかしたら、ぜひ淳子さんに声がけしてみてくださいね。

 

書棚には、金魚関係の図鑑や雑誌がずらりと。今回の取材テーマである“ホネ”や“解剖”という言葉をみつけると、ついつい反応してしまいます(笑)。

 

骨格標本に関する書物もありました。これ以上はちょっと刺激が強すぎるのでお見せできませんが(笑)。

 

某ブリーダーさんからのもらい物なのだとか。イベントなどで顔が広くなればなるほど、こうした情報交換も頻繁に行われるように。これも人脈あってのことですね。

 

淳子さん以外の住人を紹介。まずは金魚。和金や琉金、オランダ、コメットなどがゆうゆうと泳いでいます。おなかがすいてるのか人なつこいのか、カメラを向けたらどんどん寄ってきます。金魚ってこういうところが可愛いんですよね。

 

続いてカメさんのいる水槽。アカミミガメとクサガメがいるんですが、冬眠中だったのに、みんなの会話が騒がしすぎたのか、むっくり起きちゃいました。こりゃ、失敬!

 

ウーパールーパーちゃんだっていたりします。白2、黒2。黒いのが珍しかったので撮りました。なんだかオオサンショウオのような風貌でした。

 

超ワイドな120㎝水槽がデーンと。実はこの横長水槽、6年前まで淳子さんが勤めていた西宮市のライブハウスに置いてあったものなんです。もちろん置いてあった水槽はこれだけではありません。なぜ金魚とライブハウスとかつながるのか、ちょっと想像つきませんよね。一体ライブハウスで何があったのか。お待たせしました、本邦初公開しも知れない淳子さんの金魚劇場、いよいよ開演です(笑)

 

◆愛魚の死が揺り起こしたもの

 

ああ、この人かぁ!知ってる知ってる!と、今ごろ気づきました(笑)?そうです、温厚でいつも人当たりのいい、あの淳子さんなのです。東京都出身。約20年前、母方の故郷である現在の宝塚市に移り、10年近くもライブハウスに勤めていたという異色の経歴の持ち主です。ここだけの話、「むかーしはキャビンアテンダントになる夢もあったんですよー」って、これは意外でした(笑)

ある日、ライブハウスが休みで桜満開の夙川に友人と一緒に出かけた淳子さん。偶然にも金魚すくいに出会いました。早速みんなで挑戦することに。和金だけでなく、琉金やオランダ、コメットなど種類も豊富だったという金魚すくい。結局全員で計5匹をすくってライブハウスに持ち帰ったのが、金魚との始まりだったんです。

驚いたことに、淳子さんだけが人生初の金魚すくいだったそうです。ん?ハタチをとうに過ぎてたのに?遅(笑)。ちなみに翌年の金魚すくいでは、22匹もすくっちゃったそうです。特に練習をしたわけでもなく。きっとそのころから、金魚を引き寄せる何かが淳子さんに備わっていたのでしょう。

 

早速当時の写真を拝見させてもらいました。初めての金魚すくいでゲットしてきたという5匹。写真をみたところ水草やブクブクはありますが、この時はプラスチック容器が金魚たちの新居でした。

すべての金魚に名前までつける可愛がりよう。観賞魚ファンの人って、たいてい子どものころから魚好きだったという人が多いんですが、淳子さんはいわゆる“遅咲き”。「なぜこんなに好きになったのか、自分でもよくわからないんです。どの子も可愛くて仕方ありませんでした」。好きなものに理由はいりません。

 

さきほどご紹介した120㎝横長水槽が、ライブハウスに置いてあったという貴重な写真。というか、おやおや誰か寝てますけどー(笑)。決して酔いつぶれてしまったのではありません。仕事に疲れて金魚の世話にも疲れて、「ついつい眠りこけてしまって、気がついたら朝だったということはしょっちゅうでした(笑)」。金魚が好きすぎて、片時も離れたくなかったのも知れません。よくみると、120㎝水槽以外にも数個の水槽がいくつか確認できます。カウンター、狭っ(笑)!まるでアクアショップみたいで、とてもライブハウスにはみえません(笑)。

 

数ある金魚のうち、一番のお気に入りは初めての金魚すくいでゲットした和金の“キン太”でした。最も金魚らしいベーシックなスタイル。3年も経つうち、体長は20㎝までに成長。店の水槽にも入りきらなくなり、自宅のベランダで世話をすることになりました。結果的に、それがきっかけで悲しい出来事に直結してしまうとは、当時は誰も想像すらつきませんでした。

ある日、悲しい出来事が起きてしまいました。水槽内の水温上昇により、キン太は還らぬ魚になってしまったのです。あまりにも突然の出来事でした。そして、「死んだのは明らかに私のミスでした。管理を怠ってしまったんです。だのに、本当に死んでしまったの?と疑ってしまうくらいきれいな状態だったので、余計悲しかったです。何度も何度も泣きました」。

ショックすぎてなかなか立ち直れない淳子さん。そしてまとわりつく自責の念。仕事もなかなか手につきません。淳子さんにとって、わずか3年の命はあまりにも短かすぎました。そして後悔してもしきれない淳子さんが導き出した答は、「そうだ!キン太を剥製にしよう!そうすれば、いつまでもキン太と一緒にいられる!」。それほど愛情が深かったとは、ライブハウスのスタッフも思ってもみなかったそうです。

 

これがキン太の剥製。すでに10年以上が経過していますが、ちょっとも色あせた感じがありません。結構クオリティーが高く、金魚特有のツヤもうまく再現されています。「思っていた以上に、(剥製をつくってくれる人が)なかなかみつからなかったんです。動物と違って、魚ですからね」。それでも諦めなかった淳子さん、インターネットなどで調べて、やっとビンゴ。魚の剥製の製作者をみつけて、兵庫県小野市にまで足を運びました。「観賞魚はやったことがないとずいぶん難色を示されたんですが、幸い長さが20㎝あり剥製としてつくれるギリギリの範囲だったので、なんとかやってもらえました」。

 

「ここ、ここ!えらぶたのシワあたりに、キン太らしさがすっごく残ってるんです。本当につくってよかったです」。念願叶って、淳子さんはいつもキン太と一緒。そして淳子さんや飼ってる金魚たちのお守りだそうです。キン太は本当に幸せなヤツですよね。

 

当時の写真が残っていました。剥製ができあがった時、感激してなんとお店で除幕式をやったのだとか。まあこれもライブといえばライブですが(笑)。淳子さんの金魚好きは、スタッフだけでなくライブハウスに出演する数多くのアーティストにまで知り渡っていたそうです。

心の底から金魚が好きすぎて、愛魚の剥製までつくった淳子さん。物語はこれだけでは終わりませんでした。いや、ここからが本当の始まりだったかも知れません。金魚劇場、第二幕の始まりです(笑)

 

◆全国唯一の金魚骨格標本製作者誕生

 

「生き物はどうして死んでしまうのだろうか。キン太の死後、そんなことばっかり考えてたんです」。当時は金魚グッズにもハマっていて、面白い金魚グッズの情報があれば全国を飛び回っていましたが、それとはまた次元の違う思考回路が、淳子さんの頭の中を駆けめぐる毎日でした。キン太の剥製は、通過点でしかなかったのです。

 

そうだ!キン太の剥製を機に、骨格の勉強をしてみよう!命の神秘はきっと骨格にある!と。なぜそこにつながるのかよくわかりませんが、ここまでくるともう誰にも止められません(笑)。またもや悩みに悩んだ末に、試行錯誤の連続。そして次にみつけたのが、骨格標本のボランティアチームである『なにわホネホネ団』でした。いやはや、その行動力には恐れ入ります。こうだと決めたらとことん目標に向かって突っ走る信念にも、脱帽するしかありません。

 

なにわホネホネ団で待っていたのは、あまりにも過酷な“入団テスト”でした。冷やかしかどうか、生き物にメスを入れられるかどうか、度胸はあるかどうか。そんな現実を前にして、少しくらいはひるんだのかと思いきや、余計な心配でしかありませんでした(笑)。生体の解体にも抵抗なく見事に合格。晴れて団員になることができました。「この話になるとみなさん首をかしげるんですけど、意外と平気でしたよ」とニコニコ。この人、やっぱり只者ではありません(笑)。

 

各種ホネに囲まれてご満悦の淳子さん(笑)。なにわホネホネ団で本格的に骨格の研究に携わるかたわら、金魚関係の雑誌の取材に同行したり、相変わらず全国規模で金魚グッズを探したり作家と出会ったりしているうち、やがて次の難関に。「哺乳類や爬虫類に比べて、魚の骨格標本をつくる人がいなかったんです」。アチャー(笑)。またもや立ちはだかるハードル。せっかく入団したのに、魚類の骨格標本が学べなければ意味がありません。そうなんです、ここでもまだ諦めなかったんです(笑)

 

次に淳子さんが求めたのは、“魚の骨格標本をつくる人”。例によって知り合いやネットを通じて情報収集。その結果、山口県にいるチヌ釣りの達人が魚の骨格標本も製作しているらしいと知り、早速修行の旅へ。会ったのは、通称“チヌ師ヒゲさん”。奥様とともに手ほどきを受け、いよいよ魚の骨格標本に着手したのです。それしても淳子さん、履いたワラジはこれが一体何足目(笑)?

 

当たり前ですが、骨格標本をつくるのと料理のために魚をさばくのとではまったく違います。似ているようで似てますが「全然違いますよ~(笑)。たとえば小骨。料理ならすべて廃棄しますが、骨格標本ではすべての骨を残さないといけません」。人間には200本の骨で構成されているといわれていますが、おそらく魚はそれ以上に多いでしょうし、「頭の部分だけでも50本以上あるといわれる魚の骨を扱うのは、実に根気のいる作業でした」。まるで、説明書なしでプラモデルを組み立てるようなもの。専門書を参考にしつつ頭の中で体を想像しながら、取り組んでいくしかありませんでした。

 

そして師匠から太鼓判を押され、初めて自分の力だけでできあがった記念すべき骨格標本を完成させました。淳子さんにとって骨格標本第1号。「やったー、という達成感でいっぱいでした」。

 

キン太の剥製同様、この骨格標本も大事に保管してあります。気がつくと、キン太の死からまる6年。ついに、全国でも唯一の金魚骨格標本製作者が誕生した瞬間でもありました。

 

骨格標本製作に欠かせない器具の数々。人間の医療器具とほぼ同じものを使用しています。当然ですがメスだって握っちゃいます。アニメやテレビドラマでも話題になった、骨格標本士の主人公・九条櫻子を連想してしまいました(笑)。

 

上から和金、オランダ、らんちゅう、琉金の4体型の骨格標本。「金魚に限らず死はいつも辛いものですが、こうして骨格標本=カタチに残すことで、永遠の命が授かったような気がします。趣旨を理解していただいて献体いただく金魚愛好家のみなさんには、本当に感謝です」。取材前のイメージとはかなり違いました。決してホネマニアではないことを断言しておきます(笑)

 

全国で開催される品評会によく顔を出す淳子さん。「泳いでる姿をみていると、骨格がなんとなくみえてくる」そうです。骨格をひとつひとつ調べていると、色々なことがわかってくるそうです。元はといえばフナが原点だった金魚が、繁殖によってさまざまな種類を生み出し大きさも変化してきました。外見ではわからないことが、骨格標本をつくることで初めてわかることも多いのだそうです。小さな骨を見落とさずになぎ合わせるという作業をしながら、淳子さんにしかわらないことはまだまだたくさんありそうです。

 

淳子さんはさらに力説します。「縁あって金魚を飼うからには、やっぱり健康に育ててあげてほしいんです。品評会で賞をとってもとらなくても、命は大切にしてほしいです」と、しんみり。その言葉は、10数年前キン太を自分のせいで死なせてしまった自責の念そのものでした。

 

◆バラバラだったものを束ねていく意外な共通点

 

2011年より開催されている「ホネホネサミット」(なにわホネホネ団主催)では、淳子さん独自のブース展示も。金魚グッズだけでなく、唯一金魚の骨格標本も展示し、各方面から注目されていました。

 

数年前からは某水族館とのつながりもできて、金魚以外の骨格標本製作にも携わるようになりました。両生類や鳥類の骨格標本が多いそうですが、「やっぱり金魚がいい(笑)」。多方面から骨格標本の依頼も増え、年を重ねるごとに技術が向上しているのは明らかです。昔からエレクトーンが得意だった淳子さん。生まれつき手先が器用だったのが幸いしたのかも知れませんね。

 

4年前には、米国イリノイ州で開催された「世界剥製大会」に日本人で唯一参加。もちろん金魚骨格標本は、世界中の剥製師から熱い視線を浴びていました。

 

金魚に関するセミナーの経験も。骨格標本についても、ぜひ聞いてみたいものです。

 

去年開催された九州のイベントでは、例によって金魚グッズを多数販売。いつものように金魚グッズ作家とともに、大いに盛り上がりました。

 

そして今年、アクアマリンふくしまで開催されたイベントでは、なんと全国の金魚マスコットキャラクターを大集合させて話題になりました。骨格標本製作の技術もさることながら、こうしたプロデュース力にもアッパレです。

 

金魚専門の情報誌にも、淳子さんが手がけた骨格標本の連載記事がありました。外見からではない、違った切り口の記事として貴重な参考資料になりそうです。

 

 

さまざまな金魚愛好家を集約して情報収集や活動を行う「金魚銀座」を立ち上げて、はや5年が経過しました。淳子さんの日頃の努力やネットの力も手伝って、金魚グッズを展示するイベントも年々増えるなどして、ますます充実の日々が続いています。

 

金魚好き仲間を通じて得られる情報やノウハウこそ、貴重なものはありません。「近い将来、金魚サミットみたいなものが開催できたらいいなと思ってるんです。金魚グッズはやちろん養魚場やブリーダー、ショップ、メーカーなど、金魚に関することが満載の金魚ファンのための一大イベント。そのためにもスポンサーをみつけなくちゃいけませんね(笑)」。淳子さんの人柄と人脈、そしてこれまで積み重ねてきた努力をもってすれば、そう先のことではないでしょう。金魚グッズ作家も骨格標本も、バラバラなものをひとつに束ねていくという共通点。そっかー、今ごろやっとわかりました(笑)

 

キン太の死がもたらした、数奇な人生。もしあの時金魚すくいをやらなかったら、あるいは店に1匹も持ち帰ってなかったら、今とはまったく違った道を歩んでいた淳子さん。でも長時間話を聞いていて、この人だからできたことばかりなような気がします。1匹の愛魚が、1人の人間の人生まで変えてしまう事実がここにありました。

キン太。あの時、金魚すくいで淳子さんと出会って本当によかったね☆

☆金魚銀座のホームページはこちら

 

 

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