ひしめくように隣り合う、約300軒の小さな家々。
伊根湾からみると、まるで家々が海に浮かんでいるようにさえみえます。
よくみると、1階には「船のガレージ」が。
所狭しと漁具も並んでいます。
生活の基盤が電車や車ではなく、船であることは一目瞭然です。
ここでくらす人々にとって、舟屋は海が「玄関口」なのです。
風のない日は湖のように静寂を保ち、潮位は年間でも50㎝ほどしか変化しない穏やかな港町。
ほとんどの家は、明治から昭和の初期に建てられた古いものばかりだそうです。
にもかかわらず建て直しされる家もほとんどなく、昔のままのまちなみ。
平成17年には、漁村で初めて重要伝統的建造物群保存地区として選定。
しかながら、決して見た目だけでなく「くらしやすい」と結論づけたのはほかならぬ舟屋の人々でした。
海とともに生きてきた、舟屋の人々。
おだやかに水をたたえる伊根湾は、まるで母のよう。
「どうかこれからも水とともに生きてください」。
どこからともなく、そんな声が聞こえたような気がしました。
舟屋についての問い合わせは伊根町観光協会へ。