これまで飼育経験してきた生きものはざっと30以上。しかもアクアだけでなく、小動物やワンちゃん、そして両生類・爬虫類までも。要するに、鳥類以外はほぼオールマイティ。さらにいえば,生きものたちのほとんどに名前がつけられているのも、女性ならではの愛情の寄せ方かも知れません。そんなアクアライフを、前編・後編2回に分けてご紹介します。
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◆ワンちゃんたちがお出迎え
JR和歌山線・津久野駅から歩いて5分。戸建て住宅が立ち並ぶ閑静なまちなみの一角に訪問。扉には、2匹のワンちゃんの予防接種が終わったことを示すシールが。昔のように「犬」と一文字だけ書かれた愛想のない時代とくらべて、ずいぶんアカ抜けしたものですね。
早速出迎えてくれたのが、おうちの庭限定でノーリードで生活しているルカ。ボーダーコリーと秋田犬のミックス犬で、生後3カ月の時に里親になったのだそう。この日は、うれしそうに尻尾をいっぱい振って歓迎してくれました。15才という高齢であり、普段は寝ていることが多いらしく、こんなに元気におもてなしをしてくれるのは超珍しかったそうです。やった~!※
もう1匹は黒柴のまめすけ。ルカとは10才も年下で、男の子同士のせいか以前はやたら仲が悪かったそうです。なので、飼育エリアはセパレートに。少しずつ慣れてきたせいなのでしょうか、最近はあまりケンカもしなくなったそう。まめすけ、大人になったのね~(笑)。
2階のリビングから見るとこんな感じ。まめすけは、引っ越しなど大人の事情で飼えなくなった友人から引き取ってきました。受け入れ先があって本当によかったね。溝田家で幸せにならなきゃね。
玄関前には睡蓮鉢が。何気なく簾がかけられたシーンはまさに日本の夏。目を凝らしてみると、暑さにめげることなくメダカがスイスイ泳いでいました。これが溝田家のアクアへのプロローグだったりなんかして(笑)。
◆支えるのは家族愛
それではお邪魔します。リビングには、複数の水槽が2カ所に分けて設置されていました。こちらのメインは古代魚。水槽だけでなく小動物用のケージもあります。
こちらはメダカ、金魚、そして両生類や爬虫類。バラエティーに富んでます。
ご紹介が遅くなりました。今回のユーザー訪問はこのご家族。右からご主人の溝田真純(しんじゅん)さん。大阪市で印刷会社を経営、見るからにやさしそう。曰く、「意思の疎通ができない生きものは、その生体にとってどうしてやることが一番快適かを、いつも考えています」。うーん、深い(笑)。そんなクールな発言をするご主人ですが、残念ながら溝田家の飼育担当ではありませんでした。
左は四男で中学生の岳(まなぶ)君。中学生には見えないほど、顔も体格もしっかりしています。しかも大人の話にちゃんとついてくる。笑ったり、困った顔をしたり。大人やね~(笑)。あーわかった。君がメインで飼育してるんやね?「いえいえ、爬虫類はめっちゃ苦手ですから」。と首を左右にブルブル。これまたハズレ。ということは???
「はい、私がこの家のいきものがかりです(笑)」。堂々と宣言してくれたのは、幸(さち)さん(中)でした。ニコニコ顔がとっても印象的なさっぱりとした専業主婦ですが、実はタロット占いの達人でもあったりします。「よく恋愛相談とかで、彼は今私のことをどう思ってるのでしょうか?ということがあるでょ?それと同じように、ペットの今の気持ちとか性格とか相性とか、占いで何でもわかります」。とはいえ、生きものは基本的に心が本当に純粋なので占うまでもないのだそう。幸さんに言わせれば、人間のように裏切ったり嘘をついたりしないのです。
◆アクアのスタートはベタから
初めて飼ったのがベタ。約20年前にベタに興味を持ち始めたのがアクアとの出会いでした。「指を近づけるとジャンプしてくれたりしたんですよ~」。このベタにはサムという名前がつけられていました。飼育した生きものすべてに名前をつけ、生きものたちと積極的に触れ合ってきた幸さん。純粋に生きる生きものたちに接するために、自分たち家族も純粋に接しようという気持ちの表れでもありました。※
その後もプラチナホワイトエンゼルフィッシュ、カージナルテトラ、オトシンクルスなど、いわゆる熱帯魚全般の飼育経験も。「ベタ飼育は何度かチャレンジしてみたんですけど、なかなかうまくいかなくて。ちょうどこの子(四男・岳君)の出産とも重なり、アクアをお休みしたこともありました」。
今年7月に開催された「日本ベタコンテスト2023」へも3人揃って来場。「ベタはいいなぁって本当に思います。でも苦い経験もあるので、今は飼育しないでこうして見るだけにしておこうと思っています。中でも、ワイルドジャンボがいいなあと思いました」。
その後に迎えたヒドジョウ(名前はジョン)。のんびりした姿が印象的で、ベタのサムとも仲がよかったそうです。「2匹が寄り添っている姿を見て、めっちゃ癒されていました(笑)。※
◆オコウとの出会い
アクアはなかなかうまくいかないことが多くて何度も挫折。「必死で勉強しました。自分に欠けてたスキルは何だったのかという反省も。もう自分の子育てを忘れてしまうくらいに(笑)」。ちなみに溝田家は6人家族。お子さんはすべて男子。今では立派に成長した証が、リビングの柱にも残っています。
壁に飾られた1枚のリュウキン(丹頂)の絵。「ああ、それは去年まで生きていた紅(コウ)です。私はオコウと呼んでました」。ということは、残念ながら遺影になってしまったんですね。
これがオコウ。飼育当初は金魚鉢で1匹飼いをしていましたがすぐに大きくなり、30cm水槽へ。結果、1年で20cmを超える大型金魚にまで成長したそうです。※
人指し指と親指で輪っかをつくると、その中をくぐり抜けていくほど懐いていました。※
「こうして指を立てると、スラロームもしてくれたんですよ」。
これが絵のモデルになった時のオコウ。きらびやかでなんとも優雅です。※
ちなみにこの絵は幸さん作。絵に残したいほど、思い入れが強かった金魚だったことがよくわかります。「うちにくる生きものはみんなわが子だと思っていますが、オコウだけは特別な存在でした」と当時を振り返ります。
2022年1月5日。前年の終わりごろから下痢が続き、尾びれの充血がひどいので隔離して薬浴をしていたところ、突然様子がおかしくなりました。そして手当ての甲斐もなく、オコウは天国へ召されていきました。2年前に溝田さん宅にきてからわずか1年半。あまりにも短すぎた生涯でした。「甘えん坊で愛嬌があり、手にすり寄ってくる姿がとても可愛くて。オコウのおかげで、SNSでもたくさんの金魚アカウントさんと仲良くなれて、私の世界をグンと広げてくれました」。※
あまりにも突然すぎたオコウとの別れ。幸さんにとっては、オコウあってのアクライフだったといってもいいくらいそのショックは大きすぎました。だからこそ絵に描いてみたり、たくさんの画像や動画を残していたり。家族と接しているのと同じくらい、オコウと接していた充実した時間。そんな時間がある日突然途絶えたら、やっぱり辛いものです。※
オコウよ、たくさんの思い出をありがとう。※
※=溝田さん提供画像
(後編へ続く)