溝田さんのアクアライフのすべてといっても過言ではなかったオコウ。そんなオコウがたった1年半で天国に。やりきれない喪失感。これまで何度も経験してきたはずのペットロスでしたが、その影響はほかの魚にも蔓延しました。とはいえ、アクアライフを終わらせるわけにもいかず。新たな一歩を踏み出したのでした。
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◆そして古代魚へ進化形
オコウがいなくなって1年半あまり。その面影を引き継いでいる水槽があります。
現在はメダカ(マリアージュ)やコリドラスパンダなどが仲良く混泳していますが、以前はここにベタがいたことがあります。それがこの60㎝水槽。「オコウが大きくなって別の水槽に移る前までここにいたんですが、ベタとコリドラスパンダはとっても仲良しの平和な水槽でした」。
水深が15㎝くらいなので、現在はミリオンバンブーを投入。「水上の植物はろ過能力が高いので、結構ラクさせてもらってます(笑)」。
一時はオコウとタンクメイトだった魚は今も元気です。その筆頭がスーパーレッドアーマードプレコ(名前はプレ子)でした。「見た目のわりにはおとなしくて、いい子なんです」。
ところがオコウがいなくなったことで、プレ子が急に元気がなくなりました。有事にピンときたのでしょうか、魚同士にしかわからないことがあるのかも知れません。
すっかり落ち込んでしまった?プレ子。幸さん自身もプレ子の気持ちがわかりすぎるあまりに憔悴。そんな危機を救ってくれたのが、あるアーティストとの出会いでした。MCなどを通じて、趣味でアクアに没頭していることを知ったからです。偶然とはいえ、それを知った幸さんは驚きを隠せませんでした。というか、アクアはもとよりライブにまで夢中だったことも驚きでしたが(笑)。
あれこれ思案しつつよさそうだなと思ったのが、ブルーレインボースネークヘッドでした。「ショップによると、丈夫で飼いやすくてキレイで、小型のため60cmレギュラー水槽でも終生飼育できるらしいんです。コミュニケーションもとれると聞いてさらにうれしくなりました」。名前はトモジロウ。「ライブ会場の名称にちなみました(笑)」。なんじゃそら(笑)。オコウと同じように小さいころは輪くぐりをしたり、幸さんの手にも寄ってきたフレンドリーな魚だったそうです。「さすがに肉食魚なので、よく噛みつかれましたけどね(笑)」。
古代魚シリーズのもう1匹は、プロトプテルスアンフィビウス。名前はポレポレ。生息地である東アフリカの公用語スワヒリ語で「ゆっくり」という意味なのだそう。
この魚を飼う気になったのも、お気に入りアーティストの影響。「プロトプテルス」という曲がきっかけで、ライブ好き&アクア好きの幸さんのハートをつかむには時間はかかりませんでした。
現在は水槽の中心に仕切りを入れて、魚間のトラブル回避中。仕切りが少し左に傾いているのも、ポレポレの仕業なのだとか。いやいや幸さん、直しておきましょうよA型なんだから(笑)。
◆溝田4兄弟と風林火山
KOTOBUKIのハイタイプ水槽にはヤナギデメキン3匹と和金1匹。
特にヤナギデメキンは、「ミニオンズみたいで可愛いでしょ?」。また、和金が飼いたくて買ったエサ用の小赤は、以前は外飼いしていましたがリビングの水槽へ。「最近、赤い斑点が出てきてすごくきれいでしょ?」。顔立ちも可愛くお気に入りです。
お、カエルさんが1匹。ウルルという名のイエアメガエル。なかなかエサを食べてくれず、一時は拒食が長く続いたこともありました。とはいえ食べないわけにはいかないので、今も強制給餌を実践中。
さらに2匹のイエアメガエル。サララとクララ。ウルルもそうでしたが、名前が何だかエアコンの回し者のような(笑)。「人工飼料推しの信頼のおけるショップだったので、2匹とも人工飼料に慣れてくれています」。まるで陶器のような色合いが印象的です。
そしてデグーの輝(てる)。カエルを買ったショップで一目惚れ。「1才になったばかりで、ショップのお姉さんにとても懐いていたので、連れて帰るのはちょっと気が引けました」。結構警戒心が強く、「特に私には全く甘えてくれません(泣)」。なでて欲しい時だけ寄ってくる、ツンデレ的なところがまた可愛いようです。
そうこうしているうちに、三男の賢(まなぶ) 君(左)が帰ってきました。滋賀県の大学に通う1回生。幸さんと違って、賢君には妙に懐いてるデグーの輝(笑)。母に代わってペットの世話をする息子。岳君も興味津々で、このシーンを見てるだけでも溝田家の家族愛を感じずにはいられません。
ちなみに溝田の4兄弟は、名前がすべて漢字一文字。上から勉(つとむ)君・航(わたる)君・そして賢君・岳君。勉・航・賢・岳って、何かカッコいい。まるで風林火山みたい。
おお、これは偶然(笑)?ちなみに手前にあるのは、ふるさと納税返礼品のハンモック。日中は幸さんがほぼ独占なのだそう。知らんけど(笑)。
◆ペットロスを乗り越えて
最近お迎えしたシシバナヘビのエマ。うれしそうにクネクネ感に酔いしれている幸さんに反して、「早くしまったら?話でけへんやん」とビビる岳君(笑)。こういうシチュエーションってどう思う?って岳君に聞いてみたところ、「どの家も生きものに囲まれた生活を送ってるものだとずっと思ってた」ですって(笑)。
さらに腕回りをクネクネ。「最初はコーンスネークが欲しかったんですが、ショップで聞けば聞くほど興味がわいてこれに決めました。警戒心が強く、最初のうちは威嚇することも多かったですが、今ではすっかり慣れてくれました」。
ヘビがこんなに手がかからないものだと知って驚いた幸さん。とにかく生きものとのコミュニケーションを大切にする幸さん。人には慣れるけど懐かないといわれる爬虫類ですが、幸さんなら懐かせることができるかも知れません。オコウに愛情を注いで、あそこまで懐かせてきたのだから。
チズガメが駐車場の片隅に。おうちにきてから20年経ちましたが今も健在。ということは数ある生きものの中でこの子が古い?こりゃ失敬(笑)。
名前はハナ。20年間、幸さんの波瀾万丈なアクアライフを黙って見守ってきたことでしょう。いつまでも元気でいてね。
小規模ながらビオトープも。ヒメダカと睡蓮、ホテイアオイ、オリヅルラン、赤玉土などなどを角タライでコーディネート。
その後、「幹之スーパー、黒幹之、黒メダかなどを迎えて、去年の夏も今年の夏も孵化して現在数えきれないほどに増えました」とご主人の真純さん。おお、これに関してはご主人の担当でしたか。「私だけ家の片隅に追いやられているんです(笑)」。いやいや、外じゃないですか(笑)。幸さんが度重なるペットロスに陥った時でも、そこにはいつも真純さんがいて幸さんを支えてきました。
ちなみに、溝田さんたちとお会いするのはこれが2回目。今年のベタコンテストで初めてお会いした時、「うちにはビオトープがありますよ」というご主人の一言がなければ、今回の取材は実現しませんでした。ただあの時、「いやあ、うちなんて普通ですけどね~」と言い放った幸さんのクールなコメントも、今もしっかり覚えていますから(笑)。
◆オコウが残してくれたもの
「これまでうまくいかないことが多々あり、悩みも心配もあって撃沈しかけたこともありましたが、信頼できるショップのスタッフやSNSで知り合ったみなさんに支えてもらって、ここまでこられたような気がします」。オコウの存在感は、今や幸さんでないとわからないことかも知れません。
自分なりに成長した実感があるという幸さん。きっとオコウも空の上で幸さんのアクアライフを見守ってくれていることでしょう。※
これまでも。これからも。
※=溝田さん提供画像