久しぶりのお店訪問♪
もちろんおさかな絡みです。
そういえば、以前取材させてもらった近藤熱帯魚店さんから、お店取材は1年以上ぶりかしらん。
結構経過してしまいました。
しかも今回はバーではなくカフェ。
そう、真っ昼間にアクアなのだ♪
というわけで、とある平日の昼下がり、ちょこっとお邪魔させてもらいました~。
◆地元に密着した「癒しの空間」
向かったお店は、大阪市生野区のカフェ パライソ。しかも住宅街のど真ん中。まち全体は至って地味(笑)。のわりには、おお~、お店は全面ガラスで緑もいっぱいで、結構イケてます。
この場所、元は酒屋さんだったそう。「ここで親父が長いこと商売してたんです。でも酒屋を廃業することが決まり、自分も商売をしたかったので、結果的にちょうどいい物件にめぐり合えたんです」と話すオーナーの井上直之さん。実際会ってみると、Facebookなどで顔文字を使って軽快にコメントを返すキャラとは、ちょっとしたギャップが(笑)。早くも楽しい取材になりそうな予感がフツフツ♪
店内はオッシャレ~♪ 全面ガラスのおかげで明るくて、白い壁がきれいで、ねむの木が映えてて、インテリアにも小物が効いてて。8年前のお店とはとても思えないほど、ビューテホーで垢抜けてます。
キワメテ庶民的なまちの中にある、ホッとできる空間。癒しの楽園。そう、店名(「パライソ」はスペイン語で「楽園」の意味)の由来通りです。事前打ち合わせにうかがった日曜日の午前中は、モーニングを求めるお客さんでほぼ満員だったほど、地域に密着したお店として愛されてます。
◆奥様が暴露するオーナーの赤裸々な?過去
そしてそして、カウンターの上に並んでいるのは、ドレッシーな格闘家・ベタ。オス・メスが入れられたガラスの器が交互に置かれています。決して、ココにベタがいるから見て~的な主張はぜ~んぜん(笑)。「席を立つころになって、ようやくベタの存在に気付かれるお客様が多いです」と話す井上さん。その控えめで奥ゆかしいところは、ある意味井上さんと同じ?
それにしても井上さん、Facebookでは絵文字を連発してマメにコメントするのに、実際に会ってみるとそんなキャラと全然ちゃう(笑)。
お店をオープンした8年前、偶然立ち寄ったアクアショップでベタを発見、ソッコー火がついたそうです。でも井上さんにとって、ベタの飼育など【屁のカッパ】でした。
「これくらい全然(笑)。昔は、自宅のリビングルームは水槽だらけやったんです。日々の生活は、コの字に囲まれた水槽に支配されてたんですから(笑)」と奥様の千恵美さん。笑顔が素敵で明るい、太陽のような人。その奥様が、ここぞとばかりに語る語る(笑)
――へー、井上さんのキャラからして、そんな感じには全然見えません!
「毎年2月ごろ、部屋の暖房プラス水槽のヒーターのせいで、クラクラッとくるくらい電気代がえらいことになってたんですから(笑)」
――でも井上さんご本人は快適やったんでしょうね~。
「もちろん。私はブ~~ンというヒーターの音で、夜はなかなか寝れませんでしたよ~(笑)」
--水槽があることはご近所でも評判だったとか?
「そういえば家庭訪問があった時、きはった先生が子どもより水槽に興味を示してたこともありましたよ(笑)」
--いやいや、悪いことばかりではないでしょう。
「水槽があったおかげで、適度に加湿がされていて健康にはよかった気がします。それに、日々生きものに接することで、子どもたちにとってはいい影響を与えたと思いますよ」
よかった~、奥様、最後にちゃんとフォローしてくれました(笑)。趣味というにはあまりにも強烈なほど、お小遣いもほとんどアクアにつぎ込んでおられたそうです。ん~、やっぱり今のキャラからは想像しにくい~(笑)。
これが20年前にアクアライフを満喫していたころの状況証拠。なんと、1800のアクリ水槽が3本も。なるほど、これがコの字状にリビングを支配してたんですね~。アフリカンシクリッドや、カリブ海にいるといわれているクイーンエンゼルなどなど、とにかく海水魚の美しさがたまらんかったそうです。奥様に言わせば、電気代もたまらんかったのにね(笑)
こんな資料も見せてくれました。当時発行されてたアクア専門雑誌の記事に、小学生に熱心に熱帯魚の生態を教える小学校教諭・井上さん。。。えええええっ、小学校の先生やってはったんですか~!。なんとなんと、お店を始める50歳まで、堺市の小学校に教諭としてお勤めでした。これも意外すぎて、ひたすらへえ~!を連発するしかありませんでした(笑)。
自宅と小学校両方でアクアライフ超満喫。これって、今ハヤリの【公私混同】ちゃいますよね~(笑)。しかも小学校では、よくあるフナやメダカの飼育などではなく、熱帯魚の生態系を子どもたちと一緒に研究していたそうです。すごいなー井上さん。「ずいぶん前ですが、偶然に教え子とバッタリ会いましてね。業務用パンの配送をしている途中だったみたいですが、最初はお互いにもしかして~、と思ってたみたいです」。その後は、かつての教え子たちとの交流は、今も続いているのだとか。
あー、だから今はベタのみの飼育でも、気持ちは熱い昔のままなんですね☆
◆パライソファンがじわじわベタファンに
カウンター以外のところにも、3匹がラインナップ。3日に1度は水替えをしたりガラス容器を洗ったり。あれだけの熱帯魚ライフを送ってきた井上さんにとっては、ベタの世話なんてちょろいもんです。
以下、お客さんの反応。
「ブクブクは必要ない?」
「なんで一匹ずつなん?」
「ほんまに生きてんの?」
ハイハイ、もー井上さんが優しいからといって、好きなこと言う庶民的なまちのカフェなのでした(笑)
床には金魚(コメット)の姿も。カメラを向けると逃げてゆく、ちょっとシャイなコメットさん、撮影にも苦戦しました。シャイなところは、もしかして井上さん似?うん、奥様似でないことだけは確かです(笑)!
そして一番奥。ちょっとした庭のある手前に、2匹のベタがゆるりゆるりと。明るいし、ソファの座り心地もイケてるし。この隅っこの席が一番人気の特等席だそうです。やっぱり☆
取材のこの日、信用組合の女性外交員さんが休憩タイムに来店。もちろんお店の特等席へ。「月に何度かお邪魔するんですが、こんなかわいい魚がいるとは最初は知らなかったんです。でも今ではすっかりファンに。ゆっくり泳ぐベタは癒されますし、仕事から解放されて安らげる唯一の空間なんです」と絶賛しておられました。またお立ち寄りください♪
お、7月2~3日に開催される「ベタコンテスト2016」のポスターも。当日は、「キワメテ!水族館」編集部も取材に行きますよ~☆
◆SNSで人気の看板犬・空(くう)ちゃん
やおらコーギー犬のくうちゃん登場。ベタ同様、お店のオープン当初からいる人気者の看板犬です。Facebookやインスタグラムなどのおかげで、今ではすっかり全国的に有名になりました。
CDなどにまぎれて、店内はさすが親バカちゃんりん風景が(笑)。国内はおろか、遠く海外からくうちゃんを見にくる人もいるそうで。「以前、名古屋の中部空港からレンタカーを借りて、それだけのためにわざわざここまできてくれた人もいました」。へえ~、それってすごすぎでしょ!ベタよ、負けてられんぞ(笑)!
くうちゃんくうちゃん、お友だちがきたよ~♪ガラス越しにごあいさつ。
学校帰りの女子中学生にとっても、くうちゃんはご近所で人気の的。昼下がり、ほのぼのとした空気が漂います。あー、でもちょっとはベタにも注目してあげてね(笑)
◆結局ここは夫婦の楽園?
FacebookやインスタグラムなどのSNSを通じて、情報発信に余念のない井上さん。どちからというと、今のところはベタよりもくうちゃんメイン。
――そのうちベタをうんと増やす予定とかあったりするんでしょ?
「いや、それはないですね」
――あらら、ガクッ(笑)
「でも、誰でも手軽に飼えるということを、お客さんには知ってもらいたいです」
――ですね。かつてリビングを「コの字型水槽」で占領させていたように、どデカイ水槽を置くわけにはいかない(笑)
「個人的には、あのアフリカンシクリッドを連想する、深いブルーのベタが好きなんです」
なるほど、確かに店内ではブルーのベタが多いような。写真、撮りにくいけど(笑)
かつてはバリバリの教諭だった井上さん。それが50歳になって突然の転機。「主人の人生を変える権利など私にはないので、開業にあたっては全面的に主人の意見を尊重しました」(千恵美さん)。いやいや、奥様にとっても専業主婦からお店経営という、大きな決断をされたのは立派です。
これまで児童教育の道を走ってきた井上さんは、今度は生まれ育ったこの地で社会奉仕の道へ。ご夫婦の有り様をみていたら、まるで仲のいいベタのようで。そう、2人の間に「格闘」は似合いません、たぶん(笑)。でも、もしかしたらこのパラダイスを一番満喫しているのは、ベタよりくうちゃんより、井上さんご夫婦そのものなのかもしれません。
取材はこれにて完了☆「井上さん、昔はごっつい水槽持ってはったんですね!」「学校の先生もしてはったんや~!」「奥さんもエラかったね~!」などなど、そんな話題でお店がますます盛り上がりますように☆
★カフェ パライソ
大阪市生野区舎利寺1-8-28 06(6180)9765
平日/7時~16時、土日祝/7時~17時、第3金曜日定休日
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