関西屈指のペットイベント「みんな大好き!!ペット王国2022」が、3年ぶりに開催。感染防止対策の人数制限が解かれ、外出も可能になったことで会場は大盛況。マスクをしていないのは、わんちゃん・ねこちゃんくらいで、飼い主さんはバッチリ(笑)。そんな中、孤軍奮闘しているアクア部門もこの時期にしっかり地固めの様相。3年ぶりの出展となる水槽メーカー・KOTOBUKIのブースでは、どんなアクアユーザーが関心を寄せてきたのでしょうか。
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◆3年ぶりの京セラドーム
会場となったのは、去年のパリーグ覇者オリックス・バファローズの本拠地でもある京セラドーム大阪。こうして会場全体を見渡してみると、例年に比べてブース数が少ない気がします。コロナの影響がまだあるのでしょうか、ペットイベントではおなじみのキャラクターやバルーンがないのがちょっと寂しかったりなんか。といいつつ、人出はごらんの通りかなり多め。誰も彼もが、きっとこの日を待ちわびていたことでしょう。
もうブースが主役なのか、来場者に同伴中のわんちゃんたちが主役なのか、よくわかりません。毎年会場に足を運んでいるというあるアクアリストも、なぜか関心はアクアにあらず。「ここへくればいろんな犬種が見られるから楽しいですよ」。えっ、そこ(笑)?
確かに気持ちはわかります。しかもやさしい飼い主さんが多いからか、わんちゃんはほぼほぼ触れ合い放題。ペットOKのイベントは、さながら動物園のよう。魚を連れてやってくるアクアリストがいてもいいのにな、と妄想したりなんか(笑)。
え、イタチ?フェレット?違う違う、その正体はミーアキャット。このイベントには何度も足を運んでいますが、ミーアキャットと遭遇したのはこれが初めて。シュッとした立ちポーズがたまりません。あっという間に注目の的に。飼い主さんによると、これは周りを警戒しているしぐさなのだとか。こんな来場者同士のやりとりだけで盛り上がるイベントなんて、なかなかありません。
ミーアキャットは合計3匹。そして、飼い主さんの女性の背中からゴソゴソ出てきたのは、こんな可愛いエキゾ。と思ったら、ショウガラゴという超ハイグレードなオサルさんだったのです。一時は200万円もしたという、庶民にはなかなか手が出ないシロモノです。
◆アクアリウム孤軍奮闘物語
ミーアキャットもいいけど、お魚もね(笑)。すみません、ペットイベント取材のルーティンが終わったところで、水槽メーカーのKOTOBUKIブースへ。コロナの影響を懸念して、実に3年ぶりの一般向けイベント出展となりました。お帰りなさい!長かったですね。
「キワメテ!水族館」でも何度か紹介してきた、メダカ飼育用のアイテム展示がずらり。落ち着きのある和テイストの展示が印象的です。アクア未経験者であっても、比較的入っていきやすいのがメダカですよ、といわんばかりのメダカゾーン。足を止める来場者も少なくありませんでした。
改めてじっくり見てみると、だいぶ出揃った感のあるメダカシリーズ。これからメダカ飼育を始めようとする人も、すでにメダカを飼育しているユーザーも、必須アイテムがいっぱいです。
思い起こせば、子どものころ最初に生きものと触れ合ったのは、池や川に棲む魚たちでした。いくらさまざまなペットを飼育しても、元を正せば魚が生きものの原点だったなと回顧する人は少なくないでしょう。
120㎝のレグラスは、これぞアクアリウムという存在感があります。24時間自動調光シテスムLED「レイマックス」との相性もgoodで、まさにアクアリスト羨望のステージそのもの。
新しくなった外部式フィルターもフルラインナップ。これまでの取材を振り返ると、個人ユーザーやカフェなどで使用されるケースが多かったのは、何といっても使いやすさに特化した設計だから。シンプル・イズ・ザ・ベスト。多機能満載のマシンもそれなりに魅力はあるのでしょうが、それらはすべて使いこなせてナンボ。外部式フィルターに限らず、アクア用品は何よりも使いやすさが生命線です。
KOTOBUKIが誇るフラッグシップ水槽「ハイクリア」の透過度も、間近で確かめてみることができました。改めてそばで見ると、透過度抜群。ぜひみなさんもショップなどで確かめてみてくださいね。
そばにいた親子に声をかけてみました。「いやぁ、きれいだなあと思ってつい立ち止まってしまいました」。おうちに水槽は?「ありません。以前は少しだけメダカを飼っていたことがありましたが」。再開の予定は?「今のところありません。でもこういうのを見ると、またやってみたくなりますね」。そうなんです、ほかにも隠れアクアユーザーが意外と多かったんです。この人たちに目覚めてもらうためにはどうすればいいのでしょうか、みんなで考えてみたいものです。
◆自然環境に近づいたレグラスポニックス
このゾーンではレグラスシリーズのオンパレード。背の高い順に水槽を配置。今や水槽もコンパクトタイプが受ける時代。そんなニーズをよく表しています。
サイズ的に一番コンパクトなキューブ150Hには、ベタハーフムーンスーパーホワイトなどのショーベタが1匹ずつ。たとえベタのように複数の水槽が必要であっても、コンパクトサイズの水槽ならおうちの中でもさほど場所をとらずに済みそうです。
より自然に近い環境でアクアを楽しむべく、レグラスポニックス、レグラスネイチャーのいわゆるグリーンシリーズもラインナップ。新緑がまぶしいこの季節、グリーンカラーが映えます。
アクアを知り尽くしたプロの手でテラリウムが彩られたレグラスネイチャー。サイズはコンパクトでも、クリエイティビティあふれる感性が加われば、アクアシーンもダイナミックに映ります。
ふと見ると、こんな新製品も。えー、聞いてませんがー(笑)。詳細はいずれまた。
◆「きれい」がキーワード
そして、一番のウリであるレグラスポニックス。老廃物を含んだ水を上部のプランツバスケットにポンプで汲み上げ植物を育成させ、ろ過されたきれいな水を再び水槽に戻す仕組みの循環型水槽。水槽でアクアが楽しめ、プランツバスケットでプランツが楽しめるという、自然にやさしい二刀流水槽です。
意外な人と会いました。あのきんぎょのまち・大和郡山市で金魚マイスターを務める男性。水槽などの研究についても熱心で、「循環型水槽のレグラスネイチャーに興味がありました」が来場動機でした。
聞くところによると、コロナを機に親子で金魚を飼育する金魚スクールをオンライン開催したところ、「飼育していてなぜ水が汚れるのか、その仕組みを知らない人が意外に多いんです。循環型水槽が従来の水槽とどう違うのか、またプランツバスケットではどんな植物が育てられるのかなど、興味津々で注目したいんです」。レグラスネイチャーが親子の金魚飼育ノウハウにひと役買うことができれば、もう願ったり叶ったり。ぜひ金魚スクールの参加者のみなさんに買ってあげてくださいね(笑)。
もしかしたら、会場で唯一の緑あふれるゾーンだからでしょうか、ふとこちらを見つけて立ち止まる姿が少なくありません。例によって話を聞いて見ると、「アクアはやってないけど、きれいだから」。あー、やっぱりきれいだけなんですね(笑)。
いや、待てよ。それって大事なのかも。アクアの世界はきれいに決まっているのだから、きれいというキーワードを前面に押し出していけば、潜在的アクアユーザーがもっと表面化するのかも知れません。みんなきれいなものが大好き。みんなペットも大好き。ほらほら、ペット王国のタイトルにもあるように。きれいという言葉を、どのように具現化し発展させていくことができるか。これまたみんなで考えていきましょう(笑)。
◆犬猫好きは抽選会好き
KOTOBUKIブースで一番人気だったのが、ガラポン大抽選会。ほかのブースにこんな独自のイベントがなかったからかも知れませんが、期間中大いににぎわいました。その証拠に、1等から4等まで用意した水槽250本が、2日目の夕方近くにはすべてなくなりました。
別会場で金魚すくいを楽しんだあと、抽選会に参加した神戸市須磨区の父娘。「嫁に叱られるかも(笑)」といいながら4等の水槽をゲット。「とりあえず金魚1匹からですが、飼育を始めよう思っています」。大丈夫、給料も上がって最近マイホームも手に入れられたくらいのお父さんですから(笑)。
今回なぜか多かった父娘での来場者。奥様はみんな自宅で優雅に(笑)?大阪府狭山市の男性は元ダイビングのインストラクター。中2の女の子も将来ダイバーになることが夢なのだとか。その前にアクアの世界にぜひ。だってお父さんは大阪ECO動物海洋専門学校のOBだと言っておられましたよ(笑)。
「大当たりでした!」イベント2日目の最後の最後に、1等の90㎝水槽が当たった神戸市三田市の親子。「ママが当てました!」。それはよかった。やっぱり奥様も一緒にこなきゃ(笑)。「家では小さな水槽に金魚などを飼ってます」。おお~、やっと見つけたアクアリスト(笑)。しかも「いつかアロワナを飼ってみたいと思ってます」。おお~、マジっすか(笑)。初めて手に入れた大きな水槽で、独自のアクア歴を刻んでいってくださいね。
ヒュドラケースの展示が中心に行われていたゾーンでは、消臭スプレー・デオミストのサンプルを来場者にプレゼント。以前、京都の爬虫類カフェを取材した際にサンプルを持参して使ってもらったことがあるのですが、香水などで誤魔化すのではなくにおいを元から断つ成分に絶賛。これは本当に効きます。
そんなサンプルを手渡して、ついつい長話になってしまったのが大阪市都島区の女性。首にはボールパイソンが、手首にはデザートキングスネイクが同伴。最初、ストールとブレスレットかと思いました(笑)。聞くと、リクガメをきっかけにヘビやフトアゴ、カブトニオイガメなどの爬虫類とともに仕事をしているのだとか。
え、勤務先に爬虫類が?派遣?正社員(笑)?以前勤務先の社長が、倉庫で見つけたドブネズミをエサにできないものかとパイソンのケージに入れたところ、何と「ネズミの逆襲に遇って、パイソンの眉間にキズができてしまったんです。こう見えても案外弱虫なんですよ、この子(笑)」。笑っていいのや悪いのやら、そんなエピソードがほかにもあるみたいだったので、後日久しぶりのレプ取材を行うことになりました(笑)。
◆生体に寄り添う誓いの年
気がつけば、2日間のイベントもそろそろ終わり。本当なら1~2時間で終わろうと思っていたのに、色々な人やペットとの出会いが楽しすぎて、今回もやっぱりほぼ1日会場に居座っていました(笑)。
コロナの影響でイベントが2年連続中止になり、3年ぶりに開催されたペット王国。来場者のみなさん、出展ブースのみなさん、本当にお疲れ様でした。「キワメテ!水族館」スタッフは、いつも通りテンション上がりまくりでした(笑)。
Withコロナはまだまだ続きそうな様相。外出がままならなかった2年前、おうち時間を有効に活用しようとアクアに没頭したり、アクアそのものを始めた人も少なくないでしょう。
それもひと段落した感のある2022年は、まさにリスタートの年。そして、これからも生きものたちに寄り添っていこうと誓うべき年。真価が問われるのは、これから。生きものすべてを愛おしみ、趣味としてのアクアの灯をいつまでも絶やすことのないように。