全国のポイ投げファンのみなさんこんにちは。2024年10月14日、澄みきった青空のもと奈良県大和郡山市・柳町商店街の特設会場では、金魚すくいで使用するポイをどこまで遠くまで投げられるかを競う、実にしょーもないイベントの開催時間が刻一刻と近づいて参りました。迎えて今年は4回目。過去3回はいずれも秋雨前線の影響を受ける最悪のコンディションでしたが、今年は願ってもない晴天に恵まれました。果たして今年はどんな選手が出場するのでしょうか。そして2年前に誕生した全国記録を塗り替える選手はいるのでしょうか。現場からお伝えします。
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◆キワメテ的実況中継
大和郡山市のメインストリートともいうべきここ柳町商店街では、毎年秋に開催される恒例の人気イベント「金魚ストリート祭り2024」が開催されております。同イベントは、柳町商店街を使って屋台や物販だけでなくアクアにちなんだイベントなども行われ、この日だけは車もシャットアウト。文字通り市民と商店街が一体となって秋の1日を楽しもうという趣向です。
そんな中で行われる「第4回全国ポイ投げ選手権大会」。4年前から祭りのイベントのひとつとして加わりました。「そんなん何がおもろいねん」「投げても飛ばんやろ」「ポイは投げるもんじゃなくてすくうもんや」などといった多くの期待の(?)声もありましたが、大方の予想に反して過去3回とも大盛況。大人も子どもも楽しめる、スポーツの日にふさわしい清々しいイベントとなりました。
今では祭りのメインイベントといってもいいほど不動の人気。日本ではほかに類をみないユニークな試みとして、いずれ世界大会に発展させようかという勢いです。もしかしたら数年後にはギネス認定制度が確立され、オリンピックの正式競技として採用される日も夢ではないのです!
とまあ冗談は置いといて。開会式まであと1時間となりました。競技開始までしばらく時間がありますので、その合間を利用して商店街をぶらぶら歩いてみることにしましょう。
◆昭和な大和郡山にタイムスリップ
1570年に円長による開山といわれている趣のある常福寺。静かなたたずまいのお寺ですが、今日ばかりは見慣れないイベントが開催されていました。
境内に並んでいたのは、モノクロ写真のパネルの数々。ノスタルジックな昭和の原風景が、特大パネルの写真に展開されていました。
撮影者は地元出身の秦 峰一さん。これまで数々の受賞をした秦さんが、過去に撮ったストックを中心に展示。JRの郡山駅に停車中のSLや金魚池、そして金魚セリ市の様子も見られ、これはもう昭和遺産というほかありません。しばし大和郡山の歴史に触れてみることができました。
お寺を後にして、最初に出会ったのが乾 紘一さん。独特の雰囲気がある乾さん、最初はお寺の住職かと思いました。全身デニムの装いでなかなかお洒落です。朝の散歩と新聞を読むのが日課で、木製のキーホルダーの製作者でもありました。
聞くと、初めてメイド・イン・ジャパンのジーンズを使用したこともあるという乾さん。お互い、話しだすと止まらない危険性を感じたのでこのへんで。乾さん、朝早くありがとうございました。またいつかお会いしましょう。その時まで、どうかお元気で!
◆金魚のまちはスマイルが似合う
「こんにちは!どうぞ見て行ってください!」と、とびきりのスマイルで呼び止められました。去年同じ柳町商店街から場所を移動してきたB型支援事業所のさくら倶楽部。建物があまりにもイケてたので、ついつい立ち止まってしまいました。
ああ、以前自動改札型の水槽が置かれていたあそこですね。懐かしい~。
とびきりのスマイルが印象的な竹内聖典さんは、大和郡山育成福祉会ひかり園の施設長。祭りの期間中は、利用者のみなさんが作業所でつくったお菓子やクッキーなどを販売。お話のあとはキワメテステッカーを大盤振る舞い。さらにさらに笑顔がとろける竹内さんでした。
商店街から大和郡山市役所内の広場へ。ん?おえかきかなこ?このキャラどこかで見たことのあるような。あ、思い出した!もしかして、元女王卑弥呼?その笑顔、ただ者じゃない!
「はい、去年は女王卑弥呼でした~(笑)」と、さくら倶楽部の竹内さん同様にっこり笑顔が素敵な原加奈子さん。会社のパイセン・紀藤隆さんとともに、似顔絵コーナーを出店していたのです。
去年のポイ投げ大会ではプレゼンテーターとしても大会を盛り上げてくれた原さん。そそ、その笑顔があったからこそ思い出せたんですよ。ほんまかいな。
「これもうちの会社でつくったものなんですよー」と、教えてもらったのは市役所内にある郵便ポスト上の金魚オブジェ「きんとっと」。普段は地元で立体造形の設計や製作を手がける会社で仕事を手伝っているのだそう。まさに芸は身を助ける。こうして歴代の女王卑弥呼の活躍を見ていると、キワメテ的にもうれしくなってしまいました。
さてさて、ポイ投げ大会の会場のほうはどんな状況でしょうか。それでは特設会場にマイクをお返しいたしまーす!
◆ポイ投げても公務投げず
はい、こちら再び特設会場です。現在、こちらではスタッフのみなさんによって入念な打ち合わせが行われております。
通算4回目のMCを務める村田佳平さん。アータもすっかりレギュラー格。
ちなみにこちらの特設会場は、商店街の理事を務めつつポイ投げ大会の実行委員長でもあり、そしてポイ投げ大会の発案者でもある弓場裕秀(写真右)さんのお店・ユミバ鳳凰堂専用の駐車場です。それにしても大きい駐車場で、軽く10台は停められそう。弓場さん、この日のために駐車場を開放していただきありがとうございました。みなさん、仏壇仏具のご用命なら信頼と実績のユミバ鳳凰堂におまかせください。
午前11時。いよいよ開会式が始まりました。あいさつする上田清大和郡山市長もぞっこん惚れ込んでいるポイ投げ大会。いかなる公務があっても、毎年10月14日だけはスケジュールを空白にしてこの日を楽しみにしておられるそうです。嘘。
そして始球式ならぬ、始投式。よ~いドンではなく、よ~いポイ。ま、どっちでもいいんですけど。上田市長に第42代女王卑弥呼のお2人(左/萬津乙羽さん・右/新井佑奈さん)も加わり、いよいよスタートです!
よ~い。
ポイっ!
ここで競技のルールを説明しておきましょう。試技は3回。受付順に3人ずつ同時に30秒以内にポイを投げて、一番遠くまで飛ばした人の記録のみが採用されます。特に今年は200人という多くの出場者もあり、競技をスムーズに進行させるために今年から採用された新ルールとなります。
計測をするのは、あなたのまちの奈良信用金庫のみなさん。数字に強いことに着眼してスカウトした実行委員長の弓場さん、さすがです!
ちなみに、これまでの最高記録は2年前に樹立された14.90m。もちろん立派な日本記録。去年は惜しくも新記録に手が届きませんでしたが、今年はあまり風の影響を受けることのなさそうな秋晴れの空。4年目ということでリピーターも多く、今年こそは!の期待も高まっています。
◆変身ウォッチが味方だ
かくして競技スタート!いち早く受付に並んだ3人が同時にポイッ!
「ただいまの記録~、14m~」。おお~、いきなりの大記録!しかも受付ナンバー1番でありながら、第1投目でこの快挙!これはすごい!野球でいえば、試合直後に放った先頭打者ホームランに匹敵!風の影響を受けることもなく、いきなり何やってくれるんだ~!やりました。日本記録にわずか90㎝に迫る大記録の誕生です!
左腕を見ると、特撮テレビドラマに登場するヒーローの変身ウォッチがキラリ。これの効果は?「ありました!(ニヤリ)」。
さらに話を聞いてみると、金魚すくい選手権大会にも出場経験があり、「去年の大会では3分で60匹すくいました!」。スゲ!一昨年の奈良大会で優勝したスゴ腕さんだったのです。まさかの1投目で大記録。もうちょっと空気を読んで欲しかったところですが、とりあえず暫定1位。とはいえ、この記録はなかなか破れそうにない感じがします。最終結果を待ちましょう!
その後も次から次へと参加者が登場し、笑ってみたり悔しがってみたり。大会は順調に進んでいきます。
老いも若きも、み~んな笑顔でポイ・アンド・ポイ。ああ~、なんちゅう平和な光景なんでしょ。
国と国とが血なまぐさい戦闘を繰り返し、平和とはほぼ遠い終わりの見えない国家間紛争が続いてますが、いっそのことポイ投げで決着つけたらいいのに、と思わざるを得ません。
◆きたか!ミタカ!驚いたか!
「お久しぶりです!」。おお~、その声は。地元で金属加工を営むミタカ金属工業の社員さんたちやその取引先のみなさん。やっぱりきたかミタカ。とりあえず1年ぶりの再会を懐かしみました。
去年の大会では工場長(左)と営業課長(右)が1・2位を独占。「健康管理に気を使いながら、この日のためにしっかり準備してきました」と工場長。たかが遊びとはいえ、物静かながら闘志に燃える工場長の冷静さは、去年より凄味を増していました。
そしてついに工場長の番。デその所作に注目が集まります。2~3回深呼吸をして、5秒間目を閉じて精神集中。いいかい、諸君。ポイはこうして持つのだよ。
こうやって振りかぶって~。
シャキ~~~ン!見よ、この圧倒的パワーがもたらす、美しいフォロースルーを!スナップを効かせばある程度飛ぶと思われていたポイでしたが、パワーも必要だったことが工場長のしなるようなスイングでよくわかりました。この男、やっぱりタダモノじゃない。
「ただいまの記録~、16.85m~」。ええええ、えらいこっちゃ!大記録誕生!しかも驚異の16m超え!ついに私たちは、歴史的瞬間に立ち会うことになったのです。シンジラレナ~イ!
ガ~ン。この時点で暫定1位がチェンジ。1投目でいきなり14mを叩き出した変身ウォッチの青年の心境やいかに。
驚くのはまだ早い。このずっとあとに投げたミタカ金属工業のゼッケン169の社員が14.10mという好記録を出したからなんです。ボードに小さい字でしれっと書かれていますが、いきなり2位。地域の発展にする地元企業、まさかポイ投げを通じて商店街を活性化してくれるとは思いもしませんでした。いや~、まいったまいった。
【後編へ続く】