「あ、めっちゃデッカイ魚おる!」
「ヒューヒュー!ナイスバディ!」
「おお、半魚人や!」
いやはや、さすが関西のみなさん、転んでもタダでは起きませんし黙って普通には歩きません(笑)
今日は恒例のメンテナンス日。
ダイバーが6水槽に潜り、コケとりや模様替えに勤しみます。
1週間に1度しかみれない、まるで水族館のような光景。
知る人ぞ知る、大阪キタの隠れスポットとなっています。
ここは大阪の玄関口・大阪キタの阪急三番街。
通称・水族館通り。
そしてここは「かわいい水族館」と名付けられています。
ダイバーの仕事は主に、水槽全般の掃除とレイアウトの変更。
水槽一つずつに潜り、6つの水槽をテキパキと仕事をこなします。
ご本人にとってお仕事でも、通行人にとってはイケてるパフォーマンスにほかなりません。
週末の午後、主役は完全にダイバーに持っていかれてます(笑)
およそ4時間の作業。
しかも毎週。
しかも素潜りのため、息を止めて水槽の汚れなどを取る作業は、体力を著しく消耗させます。
それでも、興味津々で水槽に近づいていた人たちと手を振り交わすなど、水族館なみのコミュニケーションは、さすがです。
◆な、な、なんと60歳!
ダイバーはこの人、清水宏晃さん。
なんとこの道30年なのだそう。
スレンダーな体型は、60歳を越えてるとはとても思えません。
「いやあ、最近はさすがは素潜りがしんどくなってきましたよ~」と笑顔で話す清水さん。
昔、メンテ中に海亀に手を噛まれたこともあるのだとか。
ゲッ!
「たまたま軍手を2枚していたので助かりました」。
あんなデカイ亀に噛まれるってどんな感じなんでしょ。
「ハンマーでガンと殴られた感じでした」。
ゲゲッ!
よくぞご無事で(笑)
まさに30年の生き証人でもあります。
一年ぶりに通りかかったという枚方市にお住まいの鈴木裕美子さん親子。
かつてはすぐ近くの旅行会社に勤めていた懐かしさと、自宅では熱帯魚を始めさまざまな小動物を飼っていることもあり、思わず足を止めたそうです。
「こういうものが街中にあるというのは、いいですね。
子どもたちもここへくることを楽しみにしているんですよ。
今日は偶然ダイバーさんが見れてよかったです」(鈴木さん)
◆さまざまな魚とたわむれて
6水槽のうち、海水魚と淡水魚とがそれぞれ3つずつ。
ハマクマノミ、トゲチョウチョウウオ、ネッタイスズメ、コバルトスズメなどの海水魚、イエローシクリット、キフォチィラピア・フロントーサ、ゴールデンゼブラなどの淡水魚が、ダイバーに負けじとしなやかに泳いでいます。
魚を泳ぐこうした光景が身近にみれて、アクアリウムを興味を持つ子どもたちも少なくないと思います。
◆誰からも愛される水族館
「川の流れる地下街」として誕生し、一斉を風靡した阪急三番街。
1969年、大阪万博開催とほぼ同時期の華やかなオープンということもあり、当時は大阪キタを代表する観光スポットでもありました。
そのオープン15周年を記念してつくられたのが、「かわいい水族館」でした。
あれから30年が経ちましたが、今も存在感は十分。
まだまだこれから。
継続こそ力なり。
誰からも愛される阪急三番街の「かわいい水族館」は、ようやく熟年期に入ったばかりです。
※取材協力/阪急阪神ビルマネジメント株式会社
【おことわり】
「かわいい水族館」は2016年8月31日(水)をもって、32年間の歴史に幕を閉じました。(2016.9.1追記)