「キワメテ!水族館」がいよいよお江戸に進出!いやいや、そんなオーバーなものじゃないんですが(笑)。とりあえず関東のマーケットも知っておきたいということで、まずはアクアショップから取材することになりました。関東を代表するアクアショップといえば、誰もが「あそこだよね」「銀座に決まってるじゃん」なんて声が聞こえてきそうですよね。はい、みなさんの予想通り関東進出第一弾は、パウパウアクアガーデン銀座店。果たして、関西のノリが通用するのかどうか、いささか不安ではありますが(笑)。
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◆アクアショップを感じさせないアプローチ
取材に訪れたのは、東京ビッグサイトで開催された「インターペット2019」会期終了の翌日。4月1日。そう、新元号「令和」が発表された、あの記念すべき日でした。これぞ関東進出第一弾にふさわしいと思いません(笑)?
多くのオフィスビルが林立する一角。新橋演舞場もほど近い、通称「銀中通り」に面した場所。この看板、関東のユーザーにとってはすっかりおなじみですよね。築地市場駅からも歩いても約1分。そして大型地下駐車場が近くにもあるなど、アクセスのよさはピカイチです。
ビルの1階がショップへのアプローチ。やや奥まっているので、雨の日などは入店時に傘もいりません。特に派手なPOPもなく、みるからにアクアショップという感じではありません。どちからというと、オフィス機器を扱っているようなサプライズショップにみえます。だからこそ、オフィス街でも目立つ「熱帯魚」と大きく書かれた看板が必要だったのかも知れません。
ショップは1~2階の2フロアディビジョン。大きく分けて、1階が水草や生体中心で、2階が水槽を始めとするアクア用品中心。うわさにはきいていましたが、店内はかなり広そうな気配濃厚です。
営業時間は平日は午後1時から。やや遅い気もしますが、午後9時まで営業。これなら、会社帰りのサラリーマンにとって便利です。土日祝は午前11時から8時まで。定休日はなく、年中無休です。
◆水草水槽のヘビーユーザーだった副店長
「こんにちは。お待ちしておりました!」。今回取材を快諾してくれたのはこの人、藤森 祐副店長。爽やかな笑顔が素敵です。でも仕事にはなかなか厳しい人らしくて、今回取材を受けてくれるかどうか実は不安だったんです。「いやいや、副店長といっても何もしてないですよ~」。またまた。はいそうですか、なんて言うわけないじゃないですか(笑)。出身は長野県。好きな山は八ヶ岳。休日には愛娘と楽しくすごすこと。「え、まだ会ったばかりなのに何でそこまで知ってるんですか(笑)!」。いやいや、ニュースソースは言えません(笑)
何やらインテリアチックなラウンドフォルムの水槽が。ああ、これはインターペットでも出展されていた「biOrb (バイオーブ)」のブランドで知られるOASEジャパンさんですね。エントランスを入ってすぐのところにある、いわば店内の一等地。ショールーム的なこのスペースだと、きっと販促効果も上々でしょう。
そして反対側は、水草を中心としたコーナーが。
小さな鉢に入った「水草付きログポット」は、このまま水槽のソイルに埋めるだけで、簡単に水草が育成できるのだそうです。何と便利な。中にはお花のような色の水草もあり、これからアクアリウムを始めたいと思っている人にとってもgoodですね。
ほかにも水草の種類がたくさん。銀座というハイセンスなまちにあって、ここには自然がいっぱいです。「実は、数年前までわが家にも水槽があって、どちらかというと水草をメインとした水槽だったんです」。いわゆる水草水槽。だからこんなに水草の種類も在庫も豊富なんですね。藤森副店長のカラーに、早くも触れることができました。
◆まるで「銀座の水族館」
そして、さらに奥へ進むと生体コーナー。おお~、これもうわさ通り。本当に広いです。照明をほの暗く設定しているせいで、水槽がますます映えます。まるで水族館にいるような気さえします。あまりにも広すぎて、迷子になるかも知れないのでお子様づれにはくれぐれもご注意を(笑)
さすが都内最大級のアクアショップといわれるだけのことはあります。単に広さだけでなく、ない魚はないというくらい生体在庫が充実しています。
このあたりは金魚ゾーン。水槽の透明度もクリアで美しい。住環境がいいからでしょう、生体たちもとっても元気です。
体長5センチほどのネオンドワーフレインボー。メタリックブルーの発色がキラキラと美しいのが印象的です。
テトラはテトラでも、こちらはグローライトテトラ。赤色の模様が光輝いています。初心者にはこういったテトラ系がベストかも知れませんね。
優雅に泳ぐディスカスたち。かつては「熱帯魚の王様」といわれた生体ですが、これほどきれいな水槽で飼育されているディスカス、久しぶりにみました(笑)
ちょっと変わったエンゼルフィッシュ発見。尾っぽの部分だけが黒くなるハーフブラックエンゼル ベールテールタイプ。水槽ごとリビングなどに置けば、そのままインテリアとして違和感なくマッチしそう。銀座の高級クラブならさらによし(笑)!
ちっちゃなカエルやおっきいカメなんかも。両者を比べると、全然サイズが違うんですけど(笑)。ますます水族館っぽい☆
◆お客さんが聞きたいことにすぐ対応
こちらは海水魚コーナー。照明がさらに落とされ、もはや神秘的でさえあります。
お母さんが指さすほうにいるカクレクマノミに、お子さんは興味津々。「近くに託児所があるので、仕事帰りに子どもと一緒によく見にくるんです」というマスクで完全防備のまつげエクステレディー(笑)。以前海水魚を飼っていたそうですが、うまく飼育できず何度も挑戦しているのだそうです。大丈夫、このお店ならベストなノウハウをアドバイスしてくれますよ。銀座でお仕事をされていると聞き、もしかしたら銀座の高級クラブのママかも、なんて妄想もしてしまいます(笑)
沖縄産のサンゴ礁・ウミキノコもたくさん。以前は特大のサンゴ水槽が入口付近にあったそうです。海水魚飼育というと難しいイメージがありますが、決してそんなことはありません。あらゆる可能性を追求して、ユーザーを安心させてくれるのが「藤森マジック」なのだそう(笑)
おお~、こんなシュリンプみたことない(笑)。真っ赤なボディと、足やヒゲ先のホワイトがきれいな海水性エビの花形・ホワイトソックス。単にきれいなだけではなく、寄生虫を掃除するクリーナーシュリンプとしても知られています。アクア女子が喜びそうな生体です。
メンバーカード所有者を対象にしたキャンペーンの発表コーナー。こうしたイベントもきめ細かく開催して、お客さんの心をつかんで離しません。このほか金魚すくいは毎月の恒例行事になりました。ゴールデンウィークや夏休み期間中には、独自のセールも行っています。
世はまさにSNS時代。Facebookやメルマガなどを通じて、ユーザーとの距離を縮めて、情報発信&販促に特化させています。
いつもこんなに水槽がきれいなのは、スタッフのみなさんのおかげ。スタッフは男子だけでなく女子スタッフも結構います。専門学出身者ではなく、四年制大学出身者がほとんどだそうです。
藤森副店長によると、「スタッフに聞きたいことがあるのに接客で忙しくて対応できない、ということがないよう、やや多めにスタッフを配しています」。ああ、これよくわかります。これって大事ですよね。アクアについて問い合わせたいお客さんがいるのに、常連客がスタッフと熱く話し込んだりしているシチュエーションなんて最悪(笑)。どうかそんなお店にはならないでくださいね。
◆かつてはカフェもあった2階の窓際
アクア用品が揃う2階にワープ。通路幅も広くゆったりしています。これなら日祝日に多くの来店客があっても、お互いが遠慮して気を使いながら商品を品定めしないといけないこともなさそうです。まるで外資系の大型ショッピングモールのよう。どのコーナーへ足を運んでもごちゃごちゃ感がないのは、やっぱり関東テイストだから(笑)?
ワンポイントでテラリウムやコンパクト水槽があったりで、パッケージばかりが並ぶシチュエーションにあって、ひとときの潤いを醸し出しています。
こちらはイチオシのレンタル水槽。近隣のオフィスのほか、銀座のクラブなどからの引き合いもあるのだそう。レンタル水槽だけでなく、アクアをサポートすべくメンテの請負も行っています。
詳しくチェックしたわけではありませんが、1階の生体ゾーンと同様、ない用品はないといってもいいくらい品揃えが豊富です。藤森副店長いわく、「ホームセンターとの差別化を図るべく、よそではない用品を揃えておくよう心がけています」。まさにアクアショップのオールラウンドプレイヤー。刻々と変化するマーケティングを常に把握しておかないと、適切な商品管理はできません。
10年以上前に藤森副店長が商品管理を任された時には、「とんでもない状況でしたよ(笑)」。というのは、当時のショップテイストがかなりマニアック志向だったから。当時の2階は爬虫類と海水魚が中心で、しかも決してきれいとはいえず初心者が気軽に来店するにはドン引きする雰囲気だったそうです。「これはダメだと思いましたね。当時は他店からの応援だったんですが、これから先のことを考えると、ガラリと変えないといけないと思いました」。
通りに面した側の2階はガラス張り。この環境を生かして、10年前はカフェもあったそうなんです。ほ~、アクアリウムカフェ。10年前だというのに何か斬新。「当時はそうでしたが、思ったよりお客さんが少なかったです(笑)。採算ベースにもあわなくなり、色々検討した結果カフェをやめてスペースごと商品売り場にリニューアルしたんです」。
それだけではありません。生体売り場をすべて1階に移動することで、1階と2階とのカテゴリーのセパレート化を敢行。全体が広くなった分、生体も用品も充実し店内も明るく生まれ変わり、「誰でもが入りやすい店」となったのです。
当時のターゲットは、とりあえず新規(初心者)のお客さん。リニューアル前は、関西のアクアショップにも足を伸ばして色々研究を重ねてきたそうです。あの店、この店、こんな店。よく聞くと、そのお店のほとんどは「キワメテ!水族館」が以前取材で訪ねたところばかり。どうやら藤森副店長とは気が合うようです(笑)
◆関東でも水槽コンパクト化の波
水槽メーカー・KOTOBUKIが今春新発売したセット水槽「ビュース」。「インターペット2019」でもひときわ注目されていたスタイリッシュな水槽ですが、「すっごく売れました。底面フィルター式でろ材が共通、しかもフタやコードもしまえるというユニークな構造が、まさにKOTOBUKIさんらしい商品だなと思いました」と藤森副店長も絶賛。
ちなみに一番よく売れたカラーはブラックだそう。ああ、銀座といえば武井咲の「黒革の手帖」だけにやっぱり黒が(笑)?現在もコンスタントに売れているそうで、これからも大いに期待が持てそうです。
「FLY MIX」のコーナーを覗くと、熱帯魚用のところだけ商品がありませんでした。副店長!すぐに補充を(笑)!コリドラス用に買っていくお客さんが結構多いのだそうです。「最初はどうなることかと思いましたが、ほかのエサより高価でプレミアム感は満載(笑)。その分内容的な差別化もできていると思うので、これからの動向は大いに注目すべきでしょうね」。
水槽の動向でいえば、最近はやっぱり小型水槽が中心。この波は関東でも同じでした。「KOTOBUKIの15センチのシリーズは特によく売れます」。なるほど、首都圏だからといって大型水槽が売れるわけではないんですね。
このほか、新しくなったフラットLEDでは、SS(スーパースリム)が出足好調。従来よりさらにスリムになって、「やっぱり高機能プラスかっこよさが受けているんだと思います。今やスリムLEDの代名詞にもなって、ユーザーにもすっかり定着しています」。
「これからも、KOTOBUKIさんらしい商品をたくさん販売して欲しいと思います。水槽メーカーとしての強みも前面に。やっぱりオールガラス水槽は王道ですから」。KOTOBUKIらしさ。あくまでもユーザーの立場になった商品。使いやすさとか、安全を追求しているとか、誰もが思いもつかなかったアイデア商品レベルのユニークなものとか。大丈夫、藤森副店長がしっかり売ってくれますから(笑)!
これも今春の新製品「プランツシード」。商品のことを説明しようと思ったら、「実は私、プロメリアなどの植物が大好きなんです」。え、魚より?「いやいや、そこまでは(笑)」。自身のSNSをちょっと見せてもらいましたが、スマホの画面は植物だらけでした(笑)。
そういえばさっき、以前水草水槽に入れ込んだことがあると仰ってましたが、きっかけはやっぱりそこだったのでしょう。「今はリッキアという種類の植物が好きなんです」。でもアクアがあるから植物への興味も増すというもの。もしかしたら、お店に植物が並ぶ日がくるかも知れません。
ちなみに、水草水槽がお気に入りだったのはわりと最近の話で、学生のころはワンルームワンションに120センチや90センチの水槽が30本もあったそうです。ゲゲッ、30本も!小学5年生のころにアクアに目覚め、とことん入れ込むこと10年以上。「ワンルームにいた学生のころはアロワナが大好きでした」。えー、インターペットの時もそうでしたがまたアロワナ(笑)?やっぱり関東ではアロワナは定番なんでしょうか。
◆アクアイベントの翌日は「国際化」
銀座という地の利のよさは、多くのお客さんを引き寄せる要因にもなっていると思うんですが。「そういえば、まだ築地市場があったころは、活魚水槽用にと90センチ水槽を買いにこられるお客さんも多かったです」。豊洲移転後はまだあまりそんな話はないそうですが、あれだけ世間を賑わせた豊洲移転問題がアクアにも影響しているのは思ってもみませんでした。
外国人観光客が立ち寄って、アクア用品を買いにくるケースも格段に増えたそうです。これもやっぱりお店が東京の中心部にあるからでしょうか。「たぶんそうでしょう。外国人観光客の中でも、中国人のかたが圧倒的に多いです」。インバウンドの好影響がこんなところにも。ということは英語が話せるスタッフがいるんですか?「いやいや、そこは気持ちと気持ちでつなげています(笑)」。このほか、日本在住の外国人が生体や水槽を買いにくるケースも少なくありません。
今回のように、インターペットのような比較的大きなイベントがあった翌日、外国人が来店することも多くなりました。もちろん一般ユーザーではなく、営業マンやバイヤーさんなど、いわゆるビジネス絡みの来店。この日も、昨日インターペットで取材したフードメーカーのポーランド人の営業マンとバッタリ。もしかしたら、昨日も一般来場者が多かったイベントだっただけに、ビジネスを目的に直接売り込みにきたのかも知れません。これも、関西ではちょっと考えられない傾向でした。
一方、東京出張から大阪などへ買えるビジネスマンの姿がみられるのも銀座ならでは。そう、お土産は東京ばななや雷門せんべいではなく、あくまでアクア用品(笑)。どんな商品を買っていくことが多いのかはわかりませんでしたが、わざわざ東京で買う必然性がとっても気になりました。
首都圏にお店があるのですから、きっと芸能人の利用も多いかと。「ミーハーですね~(笑)」と笑われてしまいましたが、芸能人に対しては関西のほうが反応が大きいから仕方ありません。
聞いてみると結構多かったです。バラエティーなどでおなじみのタレントさんは、少なくとも1週間に1度はご来店。「メダカや金魚を飼育されていることは有名ですから」。なるほど。真打ち以上のベテラン噺家さんも時々。「えーっと、名前は忘れました(笑)」。ドラマにもよく出演している若手男優さんが、奥様と小さいお子様を連れてやってくることも。それに、「あのアイドル事務所に所属の大物タレントもお越しになりますよ。それも何人も」。へー、そんなにたくさん?YOUもぜひ行かなきゃ(笑)。また、新橋演舞場が近いことから、あの歌舞伎役者さんもやってきます。しかも120センチや150センチといった大型水槽をお持ち帰り。
さてさて、みなさんは誰かわかりましたか?それにしてもやっぱり東京は違います。話を聞いているだけでもワクワクしてきます。やっぱり、ミーハーでした(笑)
関東進出第一弾のショップ取材は、そろそろお開きに。これからもお客さんを増やしていきたいという藤森副店長、「そのためには、たとえ単価の低い商品でも真面目に誠意を持って売っていくことが大事だと思っています」。そうですよね、そうすることでリピーターとしてお店を利用してくれて、アクアの裾野を広げていくことにもつながります。
お店のモットーは、「決してNOと言わないこと。どんな時でも最善を尽くせ、とスタッフには言っています。もしお客さんの希望する商品がなくても、可能な限り代替案を出すようにもしています」。さすがです。淡水魚から海水魚まで、小さな水槽から大型水槽まで、そしてアクリル水槽からガラス水槽まで、どの用品をみてもニーズに対応できる品揃えを保っているのも、そういう理由からだったんです。
今日は長時間おつきあいくださり、ありがとうございました。ここからだと東京駅も近いし、急いで帰らないといけないこともありません。ああ、この地の利はやっぱりアドバンテージがあります。でも藤森副店長、あまり植物ばかりに夢中にならないでくださいね(笑)
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