ある日、とあるショップで偶然知り合ったSHINYA君(大阪市)。子どものころからヘビやカメが大好きな爬虫類男子。出身大学の体育会古武道部に所属し、恵まれた体格を生かして後輩たちの指導にあたっている熱血武道家でもあります。前編は、SHINYA君だからこそできる“ヘビー”なライフスタイルをご紹介。押忍!
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◆夢は小学校の文集にも
今回ご紹介するのはSHINYA君。西宮出身。弱冠25歳。建設現場で現場監督としての仕事をこなす一方で、毎週土曜日には母校の大学の古武道部に出向いて後輩たちの育成にあたりつつ、次期顧問として嘱望されるなど信頼も熱いバリバリの体育会系です。Twitterではヘビ好きとして知られていますが、まさか武道家だっただなんて知らなかったでしょ(笑)?
一人暮らしをしているSHINYA君の部屋には、水槽とともに数々の武道具がずらり。これが一体何なのかわかる人は少ないはず。でもキワメテスタッフならわかります。想像できないでしょうが、キワメテスタッフも若いころはブイブイいわしてた空手家だったんです!
小さいころから生きものが好きで、図鑑を熱心に読みふけりながら「いつかはヘビを飼いたいと熱望していました」。小学校の文集には、将来ヘビを飼いたいとかペットショップの店員になりたいとか、先生も思わず引いてしまうようなテイスト一色(笑)。初めて飼ったのはカメでしたが、家の周りにはヘビがいないのが唯一のジレンマだったとか。そんな簡単におるかい(笑)!
◆第1号はアオダイショウ
早速SHINYA君の代表的なコレクションを見せてもらいました。すぐにペットシーツの下に隠れたがるアオダイショウ。内気か(笑)。
ザ・ヘビという感じのアオダイショウ。それにしてもクネクネとよく動きます。誰が見ても元気な個体だということがわかります。お願いだから、反動つけて飛んでこないでね(笑)。この子ではないんですが、実はSHINYA君が初めて飼ったヘビこそが、国産アオダイショウだったのです。「中学生になってすぐだったのですが、当時は爬虫類を扱うショップも少なくて」。友人がやっとの思いで探してくれたショップで買ったヘビ第1号。ケース付きで3,000円でした。
一方このコーンスネークは、ここでは一番の古顔。飼育を始めてからすでに13年が経過しています。もしかして、コーンスネークが好き?「はい、特にスノーと呼ばれる種類のものが好きです」。アオダイショウ同様、こちらもよく活発に動いています。
ん?ヘビにしては尻尾が短くない?「以前実家にいた時にネコに噛まれてしまったんです」。えー、ネコちゃんに負けちゃった(笑)?動物病院に行った唯一の生体だそうで、残念ながら尻尾はうまく再生できずに今も少し短い感じでした。長生きしてね、コーン君。
SHINYA君が繁殖を目指しているというアルバーティスパイソンノーザン。キワメテ的には初見参。この種は口元が白いことからホワイトリップパイソンとも呼ばれています。「ヘビらしいでしょ?かなり気合を入れて飼ってます(笑)」。例によって、とっても活発に動きます。レプ関連のイベントで購入。生体はイベントでも手軽に購入できますが、「有名なイベントだからいいものが手に入るとは限りません。イベントの大小に関係なく、どれだけ良質な生体を置いているかということに主眼を置いています。たとえ小規模で地味なイベントであっても、ブリーダーさんばかりが持ち寄ったイベントだとかなり質のいい生体が手に入る可能性が高いので注目しています」とSHINYA君流のイベント考。
最新のアルバーティスパイソンキミカブラック。思った以上に頭がよく、扉の開け方を覚えやすいことを前提にロックは厳重に管理。なかなか手に入らない品種だそうで、「以前からずっと欲しかったのでうれしいです。これもぜひ繁殖させたい生体です」。信頼のおけるショップでやっと買えた逸品。「ショップは、においで生体の管理状態の善し悪しがわかります。イベントもショップも、結局のところ買う側の目が必要ですし、その生体がどう飼育されてきたのかなどバックグラウンドが重要ですから」。爬虫類も熱帯魚も、結局のところ経験と知識がモノをいう世界なのでしょう。
◆成長を妨げる消化不良
ラフグリーンスネーク。もちろんこの子も活発で元気です。臆病な性格で、飼育が難しく、半年以上飼えるといいほうだといわれているほどの上級者向き。飼育が難しいということは、やっぱりエサが左右する?「もともと消化器が弱く消化不良を起こしやすいヘビが意外と多いんです。消化しきれないと、お腹の中で腐ってしまい命の危険性だってあります。そうならないためにも、うちではどの子に対してもエサは少なめに心がけています」。ヘビは消化不良を起こしやすい。そして、消化不良が不健康の原因になりかねない。これは本当に意外でした。
また、「ペットシーツは衛生的で使い勝手はいいのですが、保湿能力に欠けるデメリットがあります」。これも意外でした。保温能力に欠けるということは、個体の消化不良につながるということでもあります。さらに言えば、「誤飲した時の被害も大きいんです」。なるほど、そうなったら消化不良どころではありませんよね。
一見コワモテのヘビですが、消化不良を少しでも減らすためにペットシーツにあまり頼りたくないというSHINYA君。ただ取材の日は、ほとんどの個体がトリートメント中だったこともあり、ケージにペットシーツが使われていました。「それに、人工的ではなく野性的にヘビを飼育したいという思いもあるので」。というSHINYA君、まあキミ自身が野生的だからね(笑)。
さらに言えば、トグロを巻くタイプのヘビの飼育スペースは少なくともトグロの3〜4倍の広さが必要といわれています。「広いケージのほうが運動ができるので、消化もよくなります。また、もともと消化器の弱いスノーやブラッドレッドなどのベビーは、消化を助けるためにケージの下に保温器を置くことでお腹が温まり、結果的に消化もよくなります」とアドバイスしてくれました。
◆よみがえる恐怖?
バロンコダマヘビ。オスメスのペアですが、ケージは別々。家庭内別居(笑)。ヤマカガシと同じ弱毒種なのだそう。
水浴中のボールパイソンスパイダー。ボールパイソンは人気が高く、手のひらにのせてもおとなしいイメージがあるのですが、この子も野性味たっぷりによく動きます。きっと強いに違いない。「本気で飛んできて人にあたったら、金槌で打たれたくらいの青あざが残りますよ(笑)」。今日は撮影は短時間に(笑)。
飼育に関してのSHINYA君のポリシーは、「できるだけ自然に近い環境で育てていきたい」という点。ああ、野性的に飼いたいというのはそういう意味も含まれていましたか。今回見せてもらったヘビはどれも活発だったのも、温度管理など自然に近い環境で育てられているからこそ。ちなみに、このコロンビアレインボーボアは比較的おとなしかった気がしました。
奄美や沖縄地方に生息するアカマタ。毒性はないものの気性が荒いことで知られ、以前にも個人宅の取材で遭遇したことがあります。よせばいいのに、オーナーが血だらけでハンドリングしている光景が脳裏にしっかり焼きついているので、忘れるはずがありません。今日は触らなくてもいいからね、ね、ね、とSHINYA君に懇願したのはいうまでもありません(笑)。ということで、ヘビのご紹介はこれにて終了。次回後編では、爬虫類飼育について意外な注意点があったことに驚かされます。まさに目からウロコ。お楽しみに!
【後編へ続く】
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